小学校4年 道徳(お母さん、なかないで) 指導案 仁王小学校 用紙は A4 縦  1行 90字(半角) 1ページ 49行に設定してください。          第4学年 道 徳  指 導 案                                                                                         指導者  陳ヶ岡 安 雄                                               T.主題名   お母さん、なかないで                                                                          U.主題について                                       ○ 学級の子どもたちは3年生の時、同じ学級の友だちが事故にあった経験を持っている。そのた   め、生命のかけがえのなさと、それが些細な不注意や事故によって失われることを知らない子ど   もはおらず、人の生命の大切さを実感としてとらえている子どもが多い。              しかし、自転車で危ない乗り方をしたり、交通ルールを守らなかったりする子どももおり時間   の経過ととも忘れてきている現状である。言葉では生命の大切さを理解しているが真の生命の大   切さは十分に理解されているとは言えない。まして、他の人の生命の危険について真剣に考え、   それを大切にしようとする子どもは少ない。                           このような子どもたちに、本主題により生命のかけがえのないことを知り、それとともに自他   の生命を大切にする気持を育てたい。本時の授業では、自分の生命を大切にしようとするH男と   話は聞いているが無鉄砲な行動の多いK女を抽出児に選定し、その価値変容を見守りたい。    ○ 指導項目3ー(2)は中学年では「生命の尊さを知り、生命あるものを大切にする。」ことを   ねらいとしている。それは、かけがえのない生命、生きとし生けるものに対いする思いやりや尊   敬の念であり人間尊重の基盤である。                              「生命の尊重」は思いやり、尊敬の念など人格に対する尊重を基盤として、生命そのものすな   わち身体の保持の面からも考えていかなければならない。しかし、活発な行動を伴った遊びほど   楽しいが危険を伴うものである。生命を大切にし尊重したり、危険を避けたりする子どもは危険   を予想し活動を禁止するだけでは育たない。そこで、十分活動させながらも危険に対して生命を   大切にしようと対応できる子どもを育てていかなければならない。                 人間の存在(生命)は、まわりの人々、また、未来の人々にとって喜びや希望をもたらしたり   たとえ悲しみや苦しみであってもそのことで精神に深まりをもたらしたりするものである。子ど   もたちに生命は自己のみならず、多くの人々にとってかけがえのないものであり、多くの人々に   支えられ育まれていることに気付かせ、生命を尊重する気持を深めさせたい。            中学年では、自分の生命と同時に他人の生命にも配慮できるようになければならない。そのた   め、自己中心的時期から抜け出し、他との関わりを強めていこうとする時期に生命の大切さを考   えさせることは意義深いものがある。                            ○ 資料「お母さん、なかないで」は友人の交通事故死を回想して書かれた手記である。その友人   の母の気持や親友である主人公の気持に焦点をあて、一人の人間の死がその家族、友人にもたら   す感情の波紋を理解させ、人命の大切さ、かけがえのなさについて感じ取らせたい。         子どもたちは、「これからもなかよくしましょうね。」という言葉によって、かけがえのない   友人を失ったわたしの深い悲しみを感じ取り、さらに、一人の死が周囲の人に与える計り知れな   い悲しさに気が付くであろう。また、ぬいぐるみのモンちゃんが来てから、悲しみの中から自分   のくらしや意識を変化させていく主人公の姿を子どもたちは共感的にとらえるものと思う       遺影が語りかけてくる場面では、わたしに正子が残された者たちに生命の尊さ、生きることの   素晴らしさを教えてくれていることを感動的にとらえることができ、ねらいとするかけがえのな   い生命を大切にする心情を感得できる資料である。                     V.指導の構想                                        ○ 子どもの価値意識の個人差を@日常活動の観察、A資料状況に対する感想   の2つの観点   からとらえておく。そして、ねらいに関わっての子どもたちの価値観を次の3つに分けて把握し   ておく。                                             Aタイプ(深)・・・生命を尊重することが分かりそのように行動しようとする。         Bタイプ(普)・・・生命の大切さは分かるが行動が伴わない。                 Cタイプ(浅)・・・生命の尊さに対して無頓着で、その場の楽しさを求めて行動する。  〈 個人差に応ずる手だて 〉                                @ 多様な価値観の表出と交流の場の設定                           ・ 正子からのプレゼントが後から届けられた時のわたしの気持を考える段階で、わたしにとって   とても悲しいことだとだけ感じているB・Cタイプに、生命は、わたしけでなく正子自身や友だ   ち・家族にとっても大切であることに目をむけているAタイプの子どもの見方、感じ方にふれさ   せる。正子の死が本人のみならずたくさんの人々の心に悲しみの影を落としていったことを理解   させたい。                                        A 自己のふり返りをうながす発問の工夫                           ・ B・Cタイプの子どもは、正子の死をただ「わたし」にとって悲しい。つまり、正子ともう遊   べなくなるからという自分サイドの問題としてとらえていると思われる。そこで、「『これから   もなかよくしましょう。』という正子の手紙を読んだわたしは、どんな気持になったろうか。」   という発問をすることにより、その死は、正子自身にとっても悲しいことであるということに気   付かせたい。さらに、「正子の死は、わたしや正子自身にとってだけつらくて悲しいことなんだ   ろうか。」という補助発問をすることにより、自分の考えを振り返らせ正子の死がわたしや正子   にとってだけでなく家族やその他のまわりの人に対してもつらく悲しいものであることを理解さ   せたい。                                         B 書く活動の組み入れ                                   ・ お葬式のときに正子の遺影がわたしに何を語りかけようとしているのかを考える場面ではわた   しの深まった心情を理解させるため自分の考えをノートに書かせる。              〈 話し合いの流れ 〉  +----------------+               +-------------+   +------------------+  | びっくりした  |  +-------------------+  | どうして死ん|  T| 交通事故の知らせを+---+ どうしたらいいん+---+ 「これからもなかよく+---+ だのだろう |   | 聞いた時の気持  |  | だろう     |  | しましょう。」という|  | とても悲しい|   +------------------+  | 元気な正子が死ぬ|  | 正子の手紙を受けとっ|  | 大切な友だち|               | なんて     |  | た時のわたしの気持 |  | を失った  |    +---------------+  +--------------------+  +-------------+ +-----------------+ +----------------+ +-------------------+ +-------------+  T| 写真の顔はわたしに+---+ わかれたくない +---+ モンちゃんが家に来て+---+ みんなにとっ|   | 何を話そうとしてい|  | わたしの分まで |  | から、わたしはどんな|  | て生命は大切|   | たのか      |  | 生命を大事にし |  | 気持で過ごしたのでし|  | だ。生命を大|   +-----------------+   | てね      |  | ょうか       |  | 事にしよう |               +----------------+  +--------------------+  +------------+ W.ねらい                                              生命のかけがえのないことを知り、それを大切にする気持を養う。                                                         X.展開の大要                                       +---+--------------------+-----------------------+--------------------------------+ |  |  学 習 活 動  |  予想される児童の反応 |   指 導 上 の 留 意 点  | +---+--------------------+-----------------------+--------------------------------+ |  | 1、資料を読んで感想|             | ・資料を読んで強く心に残ったことを| | 問|  を発表する。   |             |  発表させるが、状況をしっかりつか| |  |  ・強く心に残った | ・正子が死んでかわいそう|  ませ、そのうえでの感想を持たせた| | 題|   ことは何ですか。| ・生命を大切にしよう。 |  いと考える。そのため、資料は事前| |  |           | ・正子が死んだあとお母さ|  読みとする。          | | の|           |  んや友だちもかわいそう|                  | |  |  ・みんなで考えてい| ・正子のいない誕生日を | ・感想を発表させる中から話し合って| | 把|   きたいことは何で|  みんなは、どんな気持で|  いく方向をさぐっていく。方向とし| |  |   すか。     |  過ごしただろうか。  |  ては、モンちゃんがわたしの家に来| |  |           | ・モンちゃんが来てから |  てからのわたしの気持や考えをさぐ| | 握|           |  わたしは、どんなふうに|  るようにし、学習を進めていきたい| |  |           |  変わったのだろうか。 |  他の問題についても場面ごとに整理| |  |           |             |  して、展開の中に位置付けたい。 | |  | 2、正子が交通事故に|             | ・知らせを聞いたときの状況を臨場感| | 問|  あった知らせを聞い|             |  をもって把握させる。      | |  |  た時のわたしの気持|             |                  | | 題|  を考える。    |             |                  | |  |  ・知らせを聞いた時| ・ショックだ。     | ・楽しみにしていた誕生日に友だちの| | の|   わたしは、どんな| ・そんなことうそだ。  |  正子が、交通事故にあってしまい、| |  |   気持だったろうか| ・事故にあうなんて信じら|  どうしてよいかわからないほど強い| | 分|           |  れない。       |  ショックを受けたわたしの気持に共| |  |           |             |  感させる。           | | 析| 3、正子からのプレゼ|             |                  | |  |  ントが後から届けら|             |                  | | ・|  れた時の気持を考え|             |                  | |  |  る。       |             |                  | | 追|  ・「これからもなか| ・とても悲しい。    | ・「悲しい」とだけとらえている場合| |  |   よくしましょう」| ・どうして正子は、死んで|  には「どうして悲しいのか」「だれ| | 求|   という正子の手紙|  しまったのだろうか。 |  にとって悲しいのか」という発問を| |  |   を読んだわたしは| ・モンちゃんを正子だと思|  することにより、一人の死によって| |  |   どんな気持だった|  って大切にしよう。  |  友だちや家族にまで与える悲しみの| |  |   ろうか。    | ・ほんとうに大切な友だち|  深さに気付かせたい。      | |  |           |  を失ってしまった。  | ・正子が死んだあと、わたしの手元に| |  |           |             |  とどけられた一通の手紙が友だちを| |  |           |             |  失った悲しみを深いものにしている| |  |           |             |  ことを考えさせながら、わたしにと| |  |           |             |  って、正子の存在が大変大きいもの| |  |           |             |  であったことをわからせたい。  | |  |           |             |                  | |  | 4、お葬式のとき、思|             |                  | | 価|  わず大きな声で呼ん|             |                  | |  |  だ時のわたしの気持|             |                  | | 値|  を考える。    |             |                  | |  |  ・写真のなかの正子| ・わたしの分まで長生きし| ・正子の語りかけを考えさせることを| | の|   はわたしに何を話|  てね。        |  通して単なる死の感傷から、生命を| |  |   しかけようとした| ・生命を大事にしてね。 |  大切にしようという心に気付かせて| | 感|   のだろうか。  | ・みんなで仲良くしてね。|  いきたい。           | |  |           | ・いつまでも友だちよ。 | ・一人一人の考えをノートに書かせ、| | 得|           |             |  これからの自分の生き方に目を向け| |  |           |             |  させたい。           | | ・| 5、モンちゃんがわた|             |                  | |  |  しの家に来てからの|             |                  | | 理|  わたしの気持につい|             |                  | |  |  て考える。    |             |                  | | 解|  ・モンちゃんが家に| ・正子が死ななければ良か| ・1年たった今でも正子の死は友だち| |  |   来てからわたしは|  った。        |  の心に大きな影を残している。つま| |  |   どんな気持で過ご| ・事故は怖い。     |  り、一人の死がまわりの人の心をも| |  |   したのでしょうか| ・車に気を付けて事故にあ|  悲しませるのである。だからこそ、| |  |           |  わないようにしよう。 |  一人一人の生命を大切にしていかな| |  |           | ・他の人を悲しませないた|  ければならないことに気付かせてた| |  |           |  めにも生命を大切にしよ|  い。              | |  |           |  う。         |                  | | 価| 6、モンちゃんを通し|             |                  | | 値|  て自分のこれからの|             |                  | | の|  ことについて話し合|             |                  | | 主|  う。       |             |                  | | 体|  ・モンちゃんから | ・みんな生命を大切にして| ・モンちゃんからの言葉やモンちゃん| | 化|   みんなへ    | ・正子さんはいつまでも友|  への言葉を考えることによって、自| |  |           |  だちだよ。      |  分がこれからどのように生きていく| |  |  ・みんなからモン | ・生命を大切にするからね|  ことが大切なのかを明確にさせ意欲| |  |   ちゃんへ    |             |  づけを図りたい。        | 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