印刷用紙:B4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):100 第 1 学 年 道 徳 学 習 指 導 案   盛岡市立城北小学校   教諭  小野寺 佳代子 1 主題名 最後まで           資料名 「わきだしたみず」 2 主題設定の理由 (1) 価値について 指導内容の「勤勉・努力」は第1学年及び第2学年の「1 主として自分自身に関すること」の(2)に   「自分でやらなければならない勉強や仕事は、しっかり行う。」とあり、勤勉にくじけず努力し、自分を向上   させる児童を育てようとする内容項目である。 だれにでも勉強や仕事など継続してやらなければいけないことがあるが、途中で飽きてしまったり困難や   障害に突き当たったりすることがよくあり、最後までやり遂げられないでしまうことも少なくない。しかし、   その困難にぶつかったときのつらさや苦しさにくじけず一歩一歩前進してこそ、成し遂げたときの成就感や   満足感を味わうことができるのである。そしてこのような経験によって意志の強さが培われ、何事にも粘り   強く努力し、自分を向上させようとする気持ちが育ってくるのである。 低学年の段階では、はじめは意欲的に取り組もうとするが、飽きるのが早く、少しの困難でも投げ出して   しまう傾向がある。そこで励ましや賞賛の下に最後までやり遂げた喜びを味わわせながら、この期の基本的   な課題である勉強やなすべき仕事を自分でやらなければならないものとしてしっかり行えるよう指導する必   要がある。 (2) 児童について 学級の児童は、課題や仕事を指示されると、意欲をもって取り組もうとする。宿題や当番の仕事など、多   くの児童は進んで取り組み、継続してやろうとしている。しかし、飽きるのが早く、課題や仕事が時間のか   かるものであったり、少しでも難しいものであったりすると、作業が雑になったり、途中で投げ出したりし   てしまうことがよくある。これは困難に出合ったとき、少しの苦しさにも耐えられなかったり、最後までや   り遂げようとする意志が弱かったりするためである。 こうした児童に、自分の課題の実現に向かって困難に耐えながらも自分の力で粘り強く努力しようとする   気持ちを育てていきたい。 (3) 資料について 本資料では、困っている魚たちのために困難な仕事を粘り強く成し遂げようとするかにの姿が描かれてい   る。かには、困っている魚たちを見て「助けよう。」と決心し、その気持ちが後に突き当たるさまざまな障   害を乗り越える原動力となる。疲れて思うように力が出なかったとき、やめたい気持ちと続けようとする気   持ちとで葛藤する。葛藤しながらも掘り続けたのは、魚たちを助けようとする強い気持ちがあったことと自   分でやろうと決めたことを果たそうとしたためである。穴を掘り通したとき、苦しさに耐え、乗り越えたか   らこそ、大きな成就感や満足感、魚たちを助けたという喜びに浸ることができたのである。 困難にくじけず成し遂げたかにの様子は、少し苦しくなればすぐに投げ出してしまいがちな児童の実態と   は掛け離れているが、かにが障害に出合ったときのやめたいという気持ちはだれでも経験したことがあり、   十分共感できると思われる。その弱さに十分共感し、その後乗り越えた喜びを捉えさせることで最後まで粘   り強くやり通すことの大切さに気づかせることのできる資料である。 (4) 指導にあたって  かにが疲れて思うように力が出なかったときのやめようという気持ちと続けようという気持ちとの葛藤に   焦点を当てて考えさせる。それは成し遂げるまでに味わう、苦しさやつらさのあまり挫折しそうになる気持   ちに十分共感させることで、困難に耐え、自分の弱さを乗り越えることの大切さを実感として感じ取らせる   ことができると考えたからである。 そこで、この弱さに共感させるために、まず前段で、3日間休みなく掘り続けたことと、その間さまざま   な障害があったことで、疲れきっているかにのイメージを十分膨らませておきたい。その上で、かにが力が   出なくなって葛藤する場面に自己活動を設定して自分なりの考えをもたせ、さらに話し合いをする中で、疲   労や苦痛のために挫折しそうになる気持ちへの共感を深めさせていきたい。  終末のふりかえりにおいては、途中であきらめないでがんばった経験を想起させ、それを賞賛することで   自己のよさに気づかせ、実践への意欲を図りたい。 3 本時の指導 (1) ねらい 自分がやらなければならないことは、最後までしっかりやろうとする気持ちを育てる  (2) 展 開 +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ |段| | |時| | | |  学習活動・・・・・・・・・・  |   教師の働きかけ・・・・・・・・ | | 指導上の留意点・・・・・・ | |階|      |   |間| | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |1 価値に関わる課題意識を|・ 途中で投げ出して後悔した気|4|・ 発言に対してうなずき、だ| |導| もつ          | 持ちを思い起こさせる    | | れでも途中で投げ出した経験| | | ・ 最後までやり遂げられ|☆ 子供の素直な発言を温かく受| | があることに気づかせる  | | |  ず、途中で投げ出した経| け止める          | |              | |入|  験を想起する     |・ 最後までやり遂げるにはどん| |・ 問いかける形で課題意識を| | |             | な気持ちが大切なのかと問いか| | もたせる         | | |             | ける            | |              | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |2 資料「わきだしたみず」|・ かにの気持ちを考えながら聞|3|・ 視聴する視点を与える  | | | の紙芝居を視聴する   | くことを指示し紙芝居を読む | |              | | |3 主人公かにの心の動きに|               | |              | | | ついて考えながら、価値を|               | |              | | | 追求し、把握する    |               | |              | | | (1) 魚たちが困っている様|・ 池の水が少なくなって困って|6|・ 水が少なくなり困っている| | |  子を見たかにの気持ちに| いる魚の様子を想像させ、魚に| | 魚の絵          | |展|  ついて考える     | とって生死に関わる差し迫った| |              | | |              | 問題であることを考えさせる | |              | | |             |・ 困っている魚を見たときの助| |・ 後に出てくる障害を乗り越| | |             | けようと思ったかにの気持ちを| | えていく原動力となるものな| | |           | この段階でしっかり捉えさせる| | ので、「かわいそうだから助| | | | | | けよう。」という内容の発言を| | |             |               | | 板書で明示し、しっかり押さ| | | (2) 大きな岩にぶつかった|・ 大きな岩にぶつかったときは|5| える           | | |  ときのかにの気持ちにつ| 助けようとする気持ちが強いこ| |・ 大きな岩の絵      | | |  いて考える      | とを考えさせ、やめようという| |・ 大きな岩だけでなく、木の| | |             | 気持ちよりも、困惑しながらも| | 根やたくさんの石ころなどさ| | |             | がんばろうとする気持ちが大き| | まざまな障害があったことに| | |             | いと押さえさせる      | | も触れておく       | | | (3) 疲れて思うように力が|○ 3日間休みなく掘り続け、し|13|・ 疲れているかにの絵   | | |  出ないときのかにの気持| かもその間さまざまな障害があ| |              | | |  ちについて考える   | ったことを押さえることで、疲| |              | | |             | れ切っているかにの様子をイメ| |              | | |             | ージさせる         | |              | | | ・ かにの気持ちを考える|・ 疲れて思うように力が出なく| |・ 学習プリント      | |開|  自己活動を行い、自分な| なったときのかにの迷っている| |  | | |  りの考えをもつ    | 気持ちを書かせる      | | | | |             |・ 机間巡視しながら、子供の考| |・ 一人一人の子供に言葉をか| | |            | えを把握する     | | けながら机間巡視を行う  | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ |段| | |時| | | |  学習活動・・・・・・・・・・  |   教師の働きかけ・・・・・・・・ | | 指導上の留意点・・・・・・ | |階|      |   |間| | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | | |☆ かにに自我関与し、続けよう| |・ 書けないでいる子にはかに| | |             | とする気持ちがありながらも、| | の疲れている様子と掘ろうと| | |             | 苦痛のあまりやめたいと思う気| | 思った訳を思い出させる  | | |             | 持ちを書いている子に同意を示| | | | |             | しながらほめる  | | | | |             | | | | | | ・ 自分なりの考えをもと|・「魚たちを助けるために掘り続| |・「続けよう」「やめたい」と| | |  に葛藤するかにの気持ち| けなければ。でも疲れてしまっ| | いう発言を整理しながら板書| |展|  について話し合う   | てもうやめたい。」という迷いの| | を構成する        | | |             | 中味を理解させる      | |・ どちらの気持ちがより大き| | |           |・「疲れてやめたい」という発言| | いかと問いかけ、話し合いを| | | | に対して、だれでも同じ気持ち| | うながす         | | |             | になることと受け止め、肩入れ| |              | | |             | することで共感を深めさせる | |              | | |             |☆ 話し合いの中で出された苦痛| |・ 弱さに共感させた後、「で| | |             | や挫折しそうになる考えにうな| | も、かにはどうしたの。」と| | |             | ずきや同調を示しながら、自分| | 問いかけ、価値把握の場面へ| | |             | のこととして考えていることを| | とつなげる        | | |             | 賞賛し、広める       | |              | | | (4) 水がどんどん流れてい|・ 水が流れていくのを見ている|6|・ 水が流れ、魚たちが喜んで| | |  くのを見ているかにの気| かにの、苦しさを乗り越えてや| | いる絵          | | |  持ちについて考え、価値| り遂げた成就感や満足感、魚た| |              | | |  を把握する    | ちの命を助けることができた喜| | | | | | びを感じ取らせる      | |              | | |             |・ つらくてもくじけずやり遂げ| |・「つらくても最後までがんば| |開|             | ることができたのは、思いやり| | る。」のような発言を生かして| | |             | や自分が決めたことの達成のた| | 子供に分かる表現で価値をま| | |             | めであることを捉えさせる  | | とめる          | | |4 把握した価値を広く捉え|・ つらくても最後までやり通さ|3|・ 広がらないときや望ましい| | | る           | なければいけない場面を広く想| | 発言が出ないときは、提示し| | | | 起させる | | て補足する       | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |5 最後までやり遂げること|・ つらくても途中であきらめな|5|・ 学習プリント      | | | について今までの自分の生| いで最後までやり通すという、| |・ 心のすがすがしさも発表さ| |終| 活をふりかえる     | 価値に照らした自分の経験を想| | せ実践への意欲付けを図る | | |             | 起させる          | |              | | |             |☆ 自分の生活を素直にふりかえ| |              | | |             | ることができたことを賞賛する| |              | |末|             |☆ やり遂げた子には賞賛を与え| |              | | |             | できなかった子には励ましの声| |              | | |            | をかけ実践への意欲をもたせる| |              | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+