印刷用紙:B4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):100 第 2 学 年 道 徳 学 習 指 導 案   盛岡市立城北小学校   教諭  金 野 文 香 1 主題名 つらくてもがんばる      資料名 「がんばれポポ」 2 主題設定の理由 (1) 価値について    指導内容の「勤勉・努力」は、第1学年及び第2学年の「主として自分自身に関すること」の(2)に、   「自分からやらなければならない勉強や仕事は、しっかり行う。」とある。    「物質的豊かさ」と「生活の便利さ」が充満している現代社会の生活においては、望むものを手に入れる   ための勤勉さや努力の必要感が薄らいでいる。しかし、自己の向上を求めて、何事にも粘り強く取り組み努   力を続けることは、将来における望ましいあり方や生き方を自覚しながら自立していくことにつながるもの   である。    低学年の子供達は、ややもすると自分がやらなければならないことでさえやらないで安易な生活に流れて   しまう傾向がある。それ故、人間形成の基礎とも言えるこの期の児童に、困難なことであっても一生懸命に   努力する経験を一つでも多く積ませ、成就した喜びを味わわせることが大切である。 (2) 児童について    学級の児童は、学級のいろいろな活動において楽しく過ごしている。物事に対する興味関心が一段と強く   なり「やってみよう。」という意欲が旺盛になってきた。しかし長続きせず途中で投げ出してしまったり、   あきらめてしまったりする姿も見受けられる。個々にさまざまな生育歴と家庭環境を持つ児童の価値観は多   様性を示しており、課題や仕事に対して一生懸命努力するタイプと、途中であきらめたくなっても続けるタ   イプ、努力しようと張り切るが途中であきらめてしまうタイプ、努力しないタイプの4つに分けることがで   きる。    こうした児童に、資料の主人公が、困難を乗り切って努力する姿に共感させ、一生懸命努力することの大   切さに気づかせ、これからの生活において、忍耐することや、努力を惜しまぬ心と態度を育てていきたい。 (3) 資料について    本資料は、お母さんに「つらいことがあってもがまんして、きれいな花を咲かせてね。」と言われ、旅立   った主人公のポポが、途中いろんな困難を乗り越え、やがて広い野原で根を伸ばし、春にはきれいな花を咲   かせるというお話である。ポポは、さまざまなつらい思いをしながらも、お母さんに言われた「きれいな花   を咲かせる」という目標に向かってがんばり通したのであり、その結果大きな喜びを得るのである。    自分ではお母さんからはなれるのはいやだったのに、つらい環境の中で自分の力でがんばり抜くというお   話だけに、人に頼りがちなこの時期の児童にとって、つらくてもがんばることの大切さに気づかせるのに適   した資料である。 (4) 指導にあたって    岩の上にいる時のポポの苦しさとがんばろうとする心の葛藤に焦点を当てて考えさせる。そのためには、   前段の「お母さんからはなれてくらすのよ。」と言われた時の気持ちや、あっという間に風に飛ばされて岩   の上に辿り着くまでの心細さや不安さなどの様子をしっかりとらえさせ、場面をはっきりイメージ化させて、   自我関与を深めさせたい。 自己活動は、岩の上のポポの気持ちを考える場に設定し、夜の寒さや昼の熱さでくじけそうになるポポの   気持ちを共感的に感じとらせ、話し合いに生かしたい。    終末の段階のふりかえりにおいては、資料で学んだことをもとに今までの生活を広い視野から見つめさせ、   自己のよさに気づかせる支援を送りながら、今後の生活に向けて価値的行為を行おうとする意欲を高めたい。 3 本時の指導 (1) ねらい 自分がしなければならないことは、つらくてもがんばってやりとげようとする気持ちを育てる (2) 展 開 +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ |段| | |時| | | |  学習活動・・・・・・・・・・  |   教師の働きかけ・・・・・・・・ | | 指導上の留意点・・・・・・ | |階|      |   |間| | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |1 価値に関わる課題意識を|・ 学校や家で、自分がやらなけ|4|・ 予習や復習をやらずにくや| |導| もつ | ればならないことをやらないで| | しい思いをしたこと等に気づ| | | ・ 自分の役割を果たせず| 困ったことを思い出させる  | | かせる | |入|  に困った経験を想起する|☆ 身近なことに気づいて発表し| | | | | | ている子をほめる      | | | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |2 資料「がんばれポポ」の| 資料「がんばれポポ」を範読|3|・ 読みの視点を与える | | | 範読を聞く | する | | | | |3 主人公ポポの心の動きに| | |              | | | ついて考えながら、価値を| | |              | |展| 追求し把握する | | |               | | | (1)「大きくなったから、お|・ お母さんとの会話文から大き|4|・ 次の中心発問で多様な反応 | | |  かあさんとはなれてくら| くなったらはなれてくらすのだ| | を引き出すため、お母さんと | | |  すのよ。」と言われたと| と言われたときのポポの気持ち| | 離れる淋しさ、つらさ、悲し | | |  きのポポの不安な気持ち| を考えさせる        | | さ、不安さを十分自我関与さ | | |  を考える    | | | せながら共感させておく | | | (2) お母さんのはげましの|・「きれいな花を咲かせてね。」|5|・ 自分でしなければならない | | |  言葉を聞き、その期待に| と励まされたポポは、どんな気 | | ことなのだという大きな使命| | |  こたえようとするポポの| 持ちだったろうかを考えさせる | | 感を把握させておくことは、| | |  気持ちを考える |☆ つらくともがまんしなければ | | 「ねらい」との関連づけで大| | | | ならないのだという考えの子を | | 切にしたい | | | | 誉めてやり自信を持たせる | | | | | (3) 岩の上にいるときのポ|○ ポポがたどりついた岩の上の |14|・ふるえるような夜の寒さ、 | | | ポの気持ちを考える | 様子を広くイメージさせる | | 体が焼けるような昼の熱さで| | | ・ 自分と結びつけながら| | | ぼうっとして目がかすみのど| | |  ポポの気持ちを考える自|・ ポポは岩の上でどんなことを | | がかわく様子を想像させる | | |  己活動を行う | 思ったのかを考えさせる | |・ 学習プリントに書かせる | | | |・ 岩の上にたどり着くまでの場 | |・ 机間巡視をし、書けないで| | | | 面の様子を再度確認させながら | | いる児童には、今までの場面| | | | 書かせる(甘えてばかりいられ | | を思い起こさせ、現在おかれ| | | | ない大きな使命感を抱いて旅立 | | ているポポの気持ちを考えさ| | | | った様子や旅の途中の様子) | | せる | |開| |☆ つらいけどおかあさんの励ま | | | | | | しの言葉を思い出して、大切な | | | | | | 役目のあることからがまんして | | | | | | いるポポの気持ちを考えた児童 | | | | | | を誉めてやる | | | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ |段| | |時| | | |  学習活動・・・・・・・・・・  |   教師の働きかけ・・・・・・・・ | | 指導上の留意点・・・・・・ | |階|      |   |間| | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | | ・ 自己活動をもとに、岩|・ ポポの苦しさと、自分がやら | |・ 悪条件に苦しむ中でもおか| | |  の上での苦しさから抜け| なければならないという使命感 | | あさんの励ましの言葉に元気| | |  出したい気持ちとお母さ| からがんばろうとする気持ちに | | づけられ、役目を果たすため| | |  んの言葉との間で葛藤す| 焦点を当てながら話し合わせる | | のポポの忍耐と努力に共感さ| | |  るポポの気持ちについて|☆ 岩の上での熱さや夜の寒さ、 | | せるようにする | |展|  話し合う | 心細さ、苦しさの中で、おかあ | |・ 児童の話し合いを次の3つ| | | | さんの言葉を思い出して気を取 | | にまとめて板書する | | | | り戻し、きれいな花を咲かせる | |  ・がんばってきれいな花を| | | | ためにがんばるポポの姿を捉え | |  咲かせよう | | | | たり、自分の生活経験と結び付 | |  ・がんばろう、でも苦しい| | | | けて発表した子に賞賛を与える | |  ・がまんができない助けて| | | |☆ 友達の考えを、うなずきなが | |・ 児童の発言からなぜそう思| | | | ら聞いたりしている児童を賞賛 | | うのかわけを話させたり、自| | | | したり、発言しない児童のつぶ | | 分の考えと同じところや違う| | | | やきも取り上げて話し合いに生 | | ところ、付けたし等の内容の| | |       | かす | | 違いに気づかせながら進める| | | (4) きれいな大きい花を咲|・ やっと辿り着いた広い野原の|5|・ ポポが使命を果してやり遂| | |  かせたポポの気持ちを考| まん中で、きれいな大きな花を | | げた充実感にひたらせる | | | える | 咲かせることができたポポの気 | |・ 四日目に、岩の上から突然| | | | 持ちを考えさせる | | 大雨に流された時の気持ちを| | | |☆ 苦しさを克服して得た満足感 | | 考えに入れさせることにより| | | | や充実感など価値に関わる発言 | | 今までの苦しさを更に倍加さ| | | | を認め賞賛する | | せ、きれいな大きな花を咲か| | | | | | せた喜びを一層大きく強め、| | | | | | 忍耐と努力の大切さを感得さ| | | | | | せる | | |4 自分からやるべき目標に |・ 広く生活場面を想起させ、苦 |5|・ 自分の経験を発表させる際| |開| 向かって、つらくてもがん | しさを耐え抜くことや努力の大 | | 教師の捉えた児童の日常の実| | | ばりぬくという価値を広く | 切さを把握させる | | 態をもとに意図的な指名も考| | | とらえる |☆ ポポのように、自分のやらな | | える | | | | ければならない勉強や仕事をが | | | | | | んばった経験を発表させ、賞賛 | | | | | | を与える           | | | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |5 学習を振り返り、頑張り|・ 今までの自分はどうだったか|5|・ 自分がやらなければならな| |終| ぬくことについての自己の| を見つめさせる | | いことはつらくても頑張ると| | | よさに気づく      |☆ 今までの生活の中で苦しくと| | いう価値に照らし考えさせる| | |             | もがまんしたというように価値| | | |末|             | に照らしたり反省している子に| | | | |             | 賞賛や激励を与え意欲化を図る| | | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+