印刷用紙:B4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):100 第 3 学 年 道 徳 学 習 指 導 案   盛岡市立城北小学校   教諭  長 畑 斉 子 1 主題名 じぶんをふりかえって   資料名 「あらそい」 2 主題設定の理由 (1) 価値について   指導内容の「思慮・反省」は第3学年及び第4学年の「主として自分自信に関すること」の(2)に「よく   考えて行動し、過ちは素直に改める。」とある   人間の成長発達において自己を振り返ることは必須である。自分を客観的に見つめ、反省を繰り返すこと   によって自己を確立していく。そこでは、同時に、行動を起こす前によく考えること、つまり、思慮深さが   重要である。   中学年は社会認識や自己認識が拡大するころである。この時期に、自己中心的なものの考え方から脱却さ   せ、周囲の状況を把握しながら、よく考えてしっかりとした見通しをもって行動することのできる能力を育   てることが大切である。また、もし過ちを犯して、間違っていたと気づいたら、いつまでも我を張り通した   りせずに、素直に過ちを認め、改めようとする態度を身につけさせることが重要である。 (2) 児童の実態   学級の子供たちは、その場その場の自分の利益だけを考えて軽率な行為を行い、あとになって後悔してい   ることがよくある。また、しだいに自我が強くなってきており、友達同志のちょっとした衝突においても、   自分の過ちを認め改めようとはせず、強情をはって、もめごとをこじらせ、お互い不快な思いをしているこ   とがよくある。自分に非があることを棚にあげて「おまえの方が先にやった。」、「おまえの方が悪い。」   とお互いに相手の非ばかりを指摘している場面をよく見る。    そこで、こうした児童に、後味の悪い後悔をひきおこさないで明かるい生活を送っていくためには、よく   考えてから行動する思慮深さと、自分の過ちを認め、改めようとする心の広さが必要だということをとらえ   させたい。 (3) 資料について 本資料は、ノートを汚されて仕返しをした主人公が、自分の行為の浅はかさを認めながらも素直になれな   いでいるところに、相手の方から先に謝られ、仲直りはしたものの後悔が残ってしまうという話である。  仲直りしたにも関わらず、主人公に最後まで後悔が残ったのは、相手から謝られたことによってようやく自   分の過ちを反省したからである。強情をはって自分の自尊心を満たそうとした主人公は、仲良しの二人に戻   るために自分から歩み寄ってきた相手の心の広さ、思慮深さに触れ、謝れなかった自分の浅はかさを心から   反省するのである。   よく考えないで行った仕返しを悔やみながらも、自分の過ちを素直に認められずに意地をはってしまう主   人公の姿は、子供達にとって自分自身と照らし合わせ易いもので、その気持ちに容易に共感できると考える。   結局、最後まで素直に自分の過ちを認められず、後悔がいつまでも残ってしまった主人公の姿を通して、よ   く考えることの大切さと過ちを素直に改めようとする態度の大切さに気づかせるのに適した資料である。 (4) 指導にあたって  指導を進めるにあたっては、主人公の謝りたいと思いながらも素直になれない心の葛藤に焦点をあてて進   めていく。主人公の心の葛藤への共感を深めさせるために、自己活動の前段階で、素直になれない方の主人   公の気持ちのイメージをふくらませておく。    話し合いにおいては、謝りたい気持ちとコレッティの非を許せないために素直になれないでいる気持ちの   二つにわかれることが予想される。そこで、その二つを対立させるように類似意見をひきだすことで話し合   いを組織化し、共感を深めさせていく。そして、仲直りをすることはできたが、自分から謝れなかったこと   をいつまでも悔やむ主人公の心情に迫り、よく考えてから行動することの大切さ、過ちを素直に改めようと   することの大切さに気づかせ、価値をとらえさせる。 終末のふりかえりにおいては、過ちを素直に認め、改めようとした経験を想起させ、それに賞賛と励まし   を与えることで自己のよさに気づかせ、意欲化を図りたい。 3 本時の指導 (1) ねらい よく考えてから行動し、過ちを素直に改めようという気持ちを育てる (2) 展 開 +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ |段| | |時| | | |  学習活動・・・・・・・・・・  |   教師の働きかけ・・・・・・・・ | | 指導上の留意点・・・・・・ | |階|      |   |間| | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |1 価値に関わる課題意識を|・ 友達とけんかした時どんな気|4|・ 状況を簡単に言わせ、問い| |導| もつ           | 持ちになるかを考えさせる  | | かける形で課題意識をもたせ| | |             |☆ 子供の素直な発言をよくあり| | る  | | |             | がちなこととして温かく受け止| |・ 特定の子の名前がでないよ| |入|             | める             | | うに留意する | | |             |              | | | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |2 資料「あらそい」を読む |・ 主人公「ぼく」の気持ちを考|4|・ 事前読みをさせる | | | | えながら視聴することを指示し| |・ 読みの視点を与える | | | | 資料を範読する       | |     | | |3 主人公「ぼく」の心の動き| | | | | | に追体験し価値を把握する| | | | |展| (1) ノートにインクをこぼ|・ 「わざとしたんじゃないよ」|5|・ コレッティの笑っている絵| | |  され「しかえしをしてや| とコレッティが笑って言ったと| | を貼る | | |  るぞ。」と思う「ぼく」| きの「ぼく」の気持ちを考えさ| |・ 子供の発言を基に、うなが| | |  の気持ちを考える   | せる  | | しや切り返しによって、きれ| | |             |    | | いに書きかけたノートを汚さ| | |             |  | | れた怒りと、笑って言う相手| | |             |  | | を許せない気持ちを引き出し| | |             |☆ 腹をたて、しかえしをしよう| | 「しかえししてやる。」と思| | |             | と考える「ぼく」の気持ちを自| | う「ぼく」の気持ちを共感的| | |             | 分と照らし合わせて語っている| | に押さえておく      | | |             | 子をとりたてほめる | |・ 怒る「ぼく」の気持ちを子| | |             | | | 供の発言からまとめ板書する| | |             | | |・ 二人が仲良しの友達同士で| | |   | | | あることにもふれておく | | | (2) 自分の方が悪いとはわ|○ どうしても謝れないでいる |13|・自分の浅はかな行いの非を | | |  かっていながらも、どう| 「ぼく」の様子をイメージさせ| | 認めながらもコレッティの方| | |  しても謝れない「ぼく」| そのわけについても考えさせる| | が最初に謝るべきだとのこだ| | |  の気持ちを考える |  | | わりから素直になれないでい| | |   |  | | る主人公の思いをとらえさせ| | |             |  | | ておく | |開| ・ 「まっているとも。」|・ コレッティに「帰りにまって| |・ 学習プリント | | |  と答えたときの「ぼく」| ろよ。」と言われ、「まってい| | | | |  の気持ちを考える自己活| るとも。」と答えた「ぼく」の| | | | |  動を行う | 気持ちについて考えさせる | | | | | ・ 自己活動をもとにして|・ 話し合いの始めは、机間巡視| |・ けんかになることを恐れな| | |  「ぼく」の気持ちについ| で整理したものをもとに指名し| | がらも、コレッティが笑って| +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ |段| | |時| | | |  学習活動・・・・・・・・・・  |   教師の働きかけ・・・・・・・・ | | 指導上の留意点・・・・・・ | |階|      |   |間| | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |  て話し合いながら、葛藤| 謝りたい気持ちと素直になれな| | 言ったことにこだわり、自分| | |  する気持ちに感を深める| い気持ちの二つを引き出す  | | を正当化している気持ちを押| | |              |・ 謝りたいと思う気持ちと、コ| | さえておく | | | | レッティの非を許せず素直にな| | | | | | れない気持ちを対立させるよう| | | |展|             | に類似意見を引出し、話し合い| | | | |        | を組織化していく | | | | | |☆ 自分と照らし合わせての発言| | | | |             | を認めほめる        | | | | |             |☆ 友達の考えを聞いて変容した| | | | |             | 考えを述べている子や聞いた上| | | | |             | でさらに考えを強くもって発言| | | | |             | している子をほめる     | | | | |             |☆ つぶやきを大事にひろいあげ| | | | |             | 話し合いにいかすことで自信を| | | | |             | もたせる          | | | | | (3) コレッティに「もうけ|・ 「ぼく」の安心した気持ちに|5|・ コレッティは「友達どうし| | |  んかはよそう。」と言わ| からめて、コレッティがどうし| | だから仲良くしたい。」と考| | |  れた「ぼく」の気持ちを| て謝ったかについて考えさせる| | えて謝ったことを押さえてお| | |  考える      | | | く | | | (4) 家に帰って、いつまで|・「ぼく」にいつまでも後悔が残|5| | | |  も後悔している「ぼく」| ったのは、自分の非を先に認め| | | | |  の気持ちを考える   | なかったことを反省する気持ち| | | | |           | が起こったためだということを| | | | | | 子供の言葉でまとめ、過ちは素| | | | | | 直に認め、改めねばならないと| | | |開| | いうことに気づかせる | | | | |4 把握した価値を広くとら|・ まちがいを素直に改めねばな|4|・ 子供から出ない場合は、こ| | | える          | らない場面を広く想起させる | | んなときはどうすればよいか| | | | | | といくつか例をあげ、自分の| | |          |  | | 過ちは素直に反省し改めよう| | |          |  | | という価値の一般化を図る | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |5 学習をふりかえって自己|・ 過ちを素直に認め、改めよう|5|・ 学習プリント | |終| のよさをみとる     | という価値に照らして、今まで| | | | |              | の自分はどうだったのかをみつ| | | | |             | めさせる          | | | | |             |☆ 今までの自分を反省している| | | | |             | 子を励まし、価値を日常に結び| | | |末|             | つけて実践していくよう意欲づ| | | | |             | ける             | | | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+