印刷用紙:B4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):100 第 4 学 年 道 徳 学 習 指 導 案   盛岡市立城北小学校   教諭  金 濱 通 子 1 主題名 こまった人の身になって    資料名 「みんなでさがしたコンタクトレンズ」 2 主題設定の理由 (1) 価値について    指導内容の「思いやり・親切」は、第3学年及び第4学年の「主として他の人とのかかわりに関すること」   の(2)に「相手のことを思いやり親切にする。」とある。    思いやりは、相手に対する温かい心が土台となり、相手の出来事を自分の出来事として考え、思いを寄せ   ることである。また、自分が相手の役に立てないものかと考え、相手へ援助しようとする心でもある。そし   て、思いやりの結果として親切な行為があり、それは、相手に喜ばれ受け入れられるものであって、一人よ   がりの一方的な親切の押し売りとは全く違うのである。  中学年の段階における児童は、活動的で思ったことをすぐ行動に移し、人の立場をあまり深く考えない傾   向にある。いわゆるギャング・エイジの年代であるが、徐々に相手の気持ちを理解できるようになってくる   時期でもある。そこで、他の人と望ましい関わり合いをもつためには、常に相手の立場に立って行動ができ   るように指導していくことが大切である。 (2) 児童について    学級の児童は、親切にすることの大切さはわかってはいても、行為にまで至らないことのほうが多く見受  けられる。例えば、給食時間や清掃時間の作業の中で、困っている相手が仲良しの友達である場合には手助  けすることもあるが、他の場合には何もせずに見ていることが多いのである。それは、自分がやらなくても   誰かがやるだろう、めんどうくさい、仲良しでない、異性だからきまり悪い等の理由から実践につながらな   いのである。中には、自分さえよければよいという考え方をする児童や受け身的で消極的な児童もいて、親   切な行為として表れることが少ないのである。 (3) 資料について    本資料は、駅の階段で、見ず知らずの大勢の人達に混じって、コンタクトレンズを探し出す話である。主   人公の「わたし」は、急用があるので迷惑に感じながらも、見知らぬ人に対する大勢の人々の思いやりあふ   れる様子に心を動かされ、いっしょにコンタクトレンズを探し始めるのである。そして、探し出した喜びを   共に味わう中で、親切な行為に加われたという充実感、満足感を味わうのである。    親切にしてあげようと心で思っていても、行為にまで至らないことが多い児童に対し、親切な行為が自然   にできる思いやりのある人々の姿を通し、困っている人の気持ちを思いやって、親切にしようとする態度を   育てるのに適した資料である。 (4) 指導にあたって    階段の人だかりを迷惑に感じながらも、コンタクトレンズを熱心に探している人々の様子に心を動かされ   あわてて探し始める「わたし」の心情の変化に焦点をあてて考えさせたい。まず、階段の人だかりに腹を立   てている「わたし」の心情に、次に、ただ周りの人々の様子を眺めている傍観者的心情に、そして、見ず知   らずの人々の真剣な様子から、何か強い力を感じ、あわてて探し始める気持ち等に共感させたい。    自己活動は、「急用があるからこのまま行こう。」とする気持ちと、周りの人々の様子に心を動かされ始   め、「困っているから探してあげよう。」という気持ちの揺れ動く場面に取り入れて、心の葛藤に共感させ   たい。その後の話し合いでは、相手の立場や悲しみ、苦しみを理解して思いやりをもって行動することの大   切さを感得させたい。    終末のふりかえりにおいては、資料で学んだことと今までの自分の生活を関連させて書かせることで、自   己を見つめさせたい。また、自己活動や話し合いの場でよさに気づかせるように支援を送ることで、自分の   よさに気づかせ、意欲化を図りたい。 3 本時の指導 (1) ねらい 困っている人の立場にたって考え、その気持ちを思いやり親切にしようとする態度を育てる (2) 展 開 +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ |段| | |時| | | |  学習活動・・・・・・・・・・  |   教師の働きかけ・・・・・・・・ | | 指導上の留意点・・・・・・ | |階| | |間| | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |1 価値に関わる課題意識を|・ 困っている人を見た時,助け|5|・ 多くの児童は、何度かは経| | | もつ          | たい気持ちはあっても、なかな| | 験しているものと思われるの| |導| ・ 困っている人を見た時| かできなかった経験を想起させ| | で、その時の気持ちを想起さ| | |  どうしたか、その時の気| る             | | せる           | | |  持ちを思い出す    |               | |              | | |             |☆ 助けてあげられなかった児童| |              | | |             | の気持ちを、共感的に受け止め| |              | | |             | る             | |              | | |             |・ 嫌な思いをしないためには、| |・ 問いかける形で、課題意識| |入|             | どのような心掛けが大切なのか| | をもたせる        | | |             | 話し合っていく、という課題意| |              | | |             | 識をもたせる        | |              | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |2 資料「みんなでさがした|・ 「わたし」の気持ちの変化に|3|・ 資料は事前読みをさせる | | | コンタクトレンズ」の範読| 注意しながら聞くように読みの| |・ コンタクトレンズについて| | | を聞く         | 視点を与える        | | 補説をする        | | |3 主人公「わたし」の心の|               | |              | |展| 動きについて考えながら、|               | |              | | | 価値を追求し話し合う  |               | |              | | | (1) 駅に来て人だかりを見|・ 急用があるため通りにくい状|5|・ 駅の混雑ぶりをおさえさせ| | |  たときの「わたし」の気| 態に腹を立てている「わたし」| | る            | | |  持ちを考える     | の気持ちをとらえさせる   | |・ 迷惑と思う気持ちを共感的| | |             |               | | に受け止めさせる     | | | (2) 女の人がコンタクトレ|○ 駅に集まる人の目的、時刻を|13|              | | |  ンズを落としたことを知| 気にしていること、混雑ぶり等| |              | | |  った「わたし」の気持ち| から、駅の人込みの中で、小さ| |              | | |  を考え話し合う    | な物を落としたらどうなるかの| |              | | |             | 状況を豊かにイメージさせる | |              | | |             |☆ 自分の見聞きした経験をもと| |              | | |             | にイメージを広げ、発言してい| |              | |開|             | る子をほめる        | |              | | | ・ だんだん人だかりが大|・ 急用があるから急いで行こう| |・ 学習プリント      | | |  きくなって探しているみ| とする気持ちと、みんなも探し| |              | | |  んなの様子を見ていると| ているから探してあげようとい| |・ 急用があるのに、素通りし| | |  きの「わたし」の気持ち| う気持ちの迷いを考えさせる | | ないで立ち止まり、みんなの| +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ |段| | |時| | | |  学習活動・・・・・・・・・・  |   教師の働きかけ・・・・・・・・ | | 指導上の留意点・・・・・・ | |階| | |間| | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |  を考える自己活動を行い|☆ 日頃とらえている子供像と結| | 様子を見ていることに気づか| | |  自分なりの考えをもつ | びつけて、書いている子をほめ| | せ、迷いの気持ちにふれさせ| | |            | る             | | る            | | | ・ 自分なりの考えをもと|・ 「急いでいるからこのまま行| |・ 急用があるのだから、電車| | |  に、葛藤する「わたし」| く。」と、「探してあげる。」| | に乗り遅れないように行くと| |展|  の気持ちについて話し合| という2つに焦点化しながら話| | いう本音を出させたい   | | |  う          | し合いを進める       | |              | | |             |☆ 「急用があるのだから、この| |              | | |             | まま行こう。」という発言や生| |              | | |         | 活経験にのっとった発言に対し| |              | | | | て、うなずきや同調を示しなが| |              | | |             | ら共感を深めさせる     | |              | | | (3) あわてて探し始めるこ|・ 大勢の人々の温かい姿に目を|5|・ あわてて探し始める「わた| | |  とになっていった「わた| 向けさせることにより、困って| | し」の姿に目を向けさせ、気| | |  し」の気持ちを考える | いる人を見過ごそうとした「わ| | 持ちを考えさせる     | | |             | たし」の、反省する気持ちに気| |              | | |             | づかせる          | |              | | |             |☆ つぶやきや挙手しない児童の| |              | | |             | 考えも引き出す       | |              | | | (4) 拍手がおこり、それが|・ 探していた人々の喜びの様子|4|・ 自分もその場に加われた充| | |  だんだん大きくなってい| に目を向けさせ、思いやりに溢| | 足感や満足感に気づかせる | | |  ったときの「わたし」の| れた親切な行為を感じとらせ,| |              | |開|  気持ちを考える    | その場に加われた「わたし」の| |・ 子供の発言を生かして、分| | |             | 気持ちを考えさせる     | | かりやすい表現でまとめる | | |4 把握した価値を広くとら|・ 困っている人の気持ちを思い|5|・ 他の価値が混じっている事| | | える          | やって親切にしなければいけな| | 例発言は、思いやり・親切と| | |             | い場面を想起させる     | | いう中心価値との関わりで、| | |             |               | | 発言を整理する      | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |5 学習をふりかえり、思い|・ 「困っている人の身になって|5|・ 学習プリント      | | | やりのある親切な行為につ| 考え、親切にする。」という価| |・ 親切にできなかった経験だ| |終| いて、今までの自分を見つ| 値に照らして、今までの自分は| | けを想起している児童に対し| | | める          | どうだったかを見つめさせる | | ては,これから親切にしよう| | |             |☆ 素直に、ありのままの自分を| | という願いをもっていること| | |             | 見つめることができた児童を賞| | に気づかせる       | |末|             | 賛し、よくできなかった児童に| |              | | |             | は励ましの言葉がけをし、実践| |              | | |             | への意欲化を図る      | |              | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+