印刷用紙:B4縦 1ページの行数:51 1行の文字数(半角で):100 第 5 学 年 道 徳 学 習 指 導 案   盛岡市立城北小学校   教諭  千 田 修 子 1 主題名 せきにんを果たす     資料名 「とり返しのつかない一日」 2 主題設定の理由 (1) 価値について 指導内容の「役割と責任の自覚」は、第5学年及び第6学年の「主として集団や社会とのかかわりに関す ること」の(1)「身近な集団に進んで参加し、自分の役割を自覚し、協力して主体的に責任を果たす。」 である。    社会的役割の自覚とは、家族や日常接する人々に支えられている自分の立場を自覚して、地域社会の向上 のため、自らが積極的にその役割を果たそうとする態度である。責任とは、自分で責任の負えることを引き 受け、責任をもって行動し、自分の行った行為にも責任を負うことである。責任は自由で楽しい生活を送る   ためにも必要である。こうしたことから、進んで責任を果たそうとする意識を高めることが求められる。  高学年になると、各自が社会の一員としての自覚をもって、自主的に考え行動することができるようにな   る。しかし、途中で仕事を投げ出したり、人に任せたりすることも依然として見られる。自分の役割を自覚   して、自分の果たすべきことを確実に果たそうとする態度を育てることが大切である。 (2) 児童について 高学年になった子供達は、係活動や当番活動などの学級内の仕事のほかに、委員会活動やクラブ活動 地 区子供会の仕事も増え、集団内における自分の仕事の役割や責任の自覚についても明確になってきた。また 家庭生活においても、自分の仕事を見つけ取り組んでいる子も少なくない。仕事を任されている集団の中の 一員として、新しい仕事に積極的に取り組んでいる姿が見られる。その反面、自分の仕事を他人に押し付け   たり、また、だれかがやってくれるだろうという他人任せな面も多く見られる。 こうした児童に、社会や学校はたくさんの人達で構成され、一人ひとりが構成員の一員としての自覚を持   ち、責任を果たさないと自分が困るだけでなく周りにまで迷惑がかかる事を理解させ、責任を果たすことの   大切さを学ばせたい。 (3) 資料について 本資料は、先輩から受け継いだ気象観測の仕事を忘れてしまった3人が、記録が途絶えた意味を知って、   責任を果たすことの大切さに気づく話である。単に、気象観測の仕事をするのではなく、谷坂村の天気予報   を作ろうという大きな目標の下に大きな責任を感じての仕事である。大きな鯉を見つけた3人は、初め、観   測のことが気になりながらも、お互いの安易な気持ちから遊びにのめり込んでいったのである。その後、自   分達の行動の甘さに気づく3人の心情から、責任ある行動の大切さが浮き彫りになってくる。 この資料で、鯉をみつけて捕まえようとする場面では、責任ある仕事を忘れ、目の前の興味に心を動かさ   れた3人の姿に、子供達は、自分を見る思いがするだろう。そして、二度とくることのない大切な日に、観   測ができなかった3人の心情を通して、自分の心の弱さを見つめ、それを乗り越え、責任を果たす事の大切   さを気づかせるのに適した資料である。 (4) 指導にあたって 大切な仕事だと知りながらも、気象観測を忘れて遊んでしまった3人の行動と心の動きに焦点をあてて考   えさせたい。まず、先生の話から、気象観測の仕事が学級、学校、村に関わる重要な仕事であることをおさ   える。そのことで、3人はやり遂げようと決意し、責任感が芽生える事をとらえる。しかし、大切な仕事と   知りながらも、大きな鯉という目の前の興味に心が動かされてしまう3人の心情に追体験し、3人は、先生   の言葉と切れたグラフによって気象観測の意味を思い出し、後悔と共に、責任を果たす大切さを気づいてい   くのである。    自己活動では、3人が仕事を忘れ鯉を捕まえる場面に設定し、その後の話し合い活動では、観測をしなか   ったのは、3人の責任のなさであり、お互いの心の弱さや甘えから、大きな鯉を求めた心情を共感的に扱う。   そして、誰にでもある心の弱さや甘えが、結果として、他の人達にも迷惑をかけ、取り返しのつかないこと   になることに気づかせ、このことから、自分の役割を自覚し、個々が責任をもってやり遂げることが社会的   役割であることを、感得させたい。 終末の段階に自己の生活を振り返らせ、資料で学んだことと今までの自分の生活と関連させて書かせるこ   とで、自己をじっくり見つめさせたい。また、よさに気づかせる支援を送ることで、自分のよさに気づかせ   意欲化を図りたい。 3 本時の指導 (1) ねらい 身近な集団における自分の役割を自覚し、責任をもってそれを果たそうとする態度を養う  (2) 展 開 +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ |段| | |時| | | |  学習活動・・・・・・・・・・  |   教師の働きかけ・・・・・・・・ | | 指導上の留意点・・・・・・ | |階|      |   |間| | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |1 自分がまかされている仕|・ 清掃や係、委員会などの自分|4|・ どの仕事も生活をしていく| | | 事について想起する   | の仕事を想起させ、どのような| | 上で大切な仕事であることに| |導|             | 気持ちで取り組んでいるのかを| | 気づかせる  | | |             | 発表させる         | | | | |             |☆ 自分の経験を素直に話せた子| | | | |             | を認める          | | | |入|             |・ どのように仕事に取り組んで| |・ 想起した生活経験をつなぎ| | |             | 行けばいいのか、課題意識を持| | の言葉によって、資料と結び| | |             | たせる           | | つける | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |2 資料「とり返しのつかな|・ 3人の行動と気持ちを考えな|5|・ 読みの視点を与える | | | い一日」の範読を聞く  | がら聞くことを指示し、範読を| |・ 資料は、事前読みをさせて| | |             | する            | | おく | | |3 3人の友達の心の動きに|               | | | |展| ついて考えながら、価値を|               | | | | | 追求し、把握する    |               | | | | | (1) 気象観測について先生|・ 先生の話から、気象観測の仕|7|・ 村の天気予報を作るための| | |  から話を聞いた3人の気| 事の意味について考えさせる | | 大切な仕事であることをおさ| | |  持ちを考える     |               | | える | | |             |・ 仕事の意味を知って、頑張っ| |・ 気象観測が、個人的な仕事| | |             | てやり通そうとする3人の気持| | ではなく、学校、村へと大き| | |             | ちを考えさせる       | | な関わりをもっていることか| | |             |               | | ら、責任の重みと仕事への意| | |             |               | | 欲の強さをおさえる | | | (2) 鯉を見つけて、鯉をつ|○ 気象観測に行く途中で、今ま|13|・ 鯉をつかまえている絵 | | |  かまえることに夢中にな| でに見たこともない大きな鯉を| |・ 鯉を捕まえることが、気象| | |  る3人の気持ちを考える| 目の前にした3人の様子をイメ| | 観測を忘れさせた理由である| | |             | ージさせる         | | ことをおさえる | | | ・ 大きな鯉に夢中になっ|・ 学校へ行く途中、大きな鯉を| |・ 学習プリント | | |  ていく3人の気持ちを考| 見つけたときの3人の気持ちを| |・ 3人もいるという安心感、| | |  える自己活動を行い、自| 書かせる          | | 気象観測はだれかが覚えてい| | |  分なりの考えをもつ  |☆ 初めは気象観測のことが気に| | るだろうという身勝手で無責| | |             | なっていたが、次第に観測のこ| | 任な考え方がなかったかどう| |開|             | とを忘れ、鯉を捕まえることに| | か考えさせる | | |             | 夢中になっていく3人の姿を共| |・ 机間巡視をし、3人の気持| | |             | 感的に書いている子に賞賛を与| | ちについて子供達の考えを整| | |             | える            | | 理し、話し合い活動にいかす| | |             |               | |・ 自分の考えがかけない子に| +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ |段| | |時| | | |  学習活動・・・・・・・・・・  |   教師の働きかけ・・・・・・・・ | | 指導上の留意点・・・・・・ | |階|      |   |間| | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |             |               | | は、もう一度イメージしたこ| | |             |               | | とを思い出させ、自己活動の| | |             |               | | 一助とする | | | ・ 自己活動をもとに、仕|・ 大きな鯉を目の前にして、つ| |・ 3人の行動を批判するので| | |  事を忘れ鯉を捕まえるこ| い目先の興味に心を動かされた| | はなく、誰しもが経験してい| | |  とに夢中になっていく3| 3人の心の内を、語らせる  | | る行動であるから、そのとき| |展|  人の気持ちについて話し|               | | の気持ちを素直に発言させ、| | |  合いをする      |               | | 共感的にとらえる | | |             |・ 「鯉をつかまえたい」「まだ| |・ 「鯉をつかまえたい」「何| | |             | 時間がある」「誰かが覚えてい| | とかなる」などの心の弱さは| | | | てくれるだろう」などの身勝手| | 誰にでもあることとしてとら| | |             | で、無責な名考えに焦点を当て| | え意図的指名や、発言への肩| | |             | て、話し合いを進める    | | 入れによって共感を深めさせ| | |             |☆ 子供達の発言に対して、うな| | る  | | |             | ずきやあいづちを入れながら聞| | | | |             | く             | | | | | (3) 8月のグラフが1カ所|・ 切れたグラフを見たときの3|6|・ 5年間続けられてきた気象| | |  だけ切れているのを見た| 人の気持ちを考え、自分たちの| | 観測が、自分たちの安易な行| | |  ときの3人の気持ちを考| 責任のなさ、仕事に対する甘さ| | 動でだめになり、責任を果た| | |  える         | に気づかせる        | | さないことで、他の人にまで| | |             |               | | 迷惑をかけてしまったことを| | |             |               | | とらえる  | | |             |・ どんな場合でも、自分の分担| |・ 自分の役割について責任を| | |             | した役割について、責任ある行| | もちそれを果たすことでより| |開|             | 動をとることが大切であること| | 良い集団が形成されることを| | |             | を、とらえる        | | つかませる | | |             |               | |・ 発言をいかして、子供にわ| | |             |               | | かる表現で価値をまとめる。| | |4 把握した価値を広くとら|・ 自分の役割と責任ある行動の|4|・ 日常生活での自分の役割に| | | える          | 大切さについて、広く生活場面| | 気づき、どのように取り組む| | |             | を想起させる        | | か考え、価値の一般化を図る| +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |5 学習を振り返り自己の良|・ 自分の役割を自覚し、責任を|6|・ 学習プリントに学習を振り| | | さを見とる       | 果たすという価値に照らして、| | 返って書く  | |終|             | 今までの自分はどうだったかを| |・ 学校内の生活だけでなく幅| | |             | 見つめさせる        | | 広く想起させる  | | |             |☆ できなかった経験や、反省を| |・ 責任の大切さや、自分のな| | |             | している子に対して、認め励ま| | すべきことをやり抜く意欲を| |末|             | す、また、できた経験を書いた| | 持たせる  | | |             | 子も紹介し、責任を果たせたと| | | | |             | きの満足感をとらえさせる  | | | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+