印刷用紙:B5縦 1ページの行数:47 1行の文字数(半角で):94   −−以下 指導案本文−−   第1学年 道徳学習指導案 日 時 平成8年10月16日(水) 児 童 1年1組男子13名女子11名計24名 指導者 田村 真弓 1.主題名 しんせつになったおおかみ 〈1−A 思いやり・親切〉 2.資料名 はしのうえのおおかみ (学研 みんなのどうとく1年) 3.主題設定の理由 (1)価値について    低学年の2−A 思いやり・親切は、相手に対する思いやりや親切な心を持ち実践できる児童     を育てるという内容項目である。低学年の段階では、特に身近にいる幼い人や高齢者に目を向け、    だれも対しても温かい心で接し親切にすることを指導することが大切である。これは主に、中学    年の「相手のことを考えて親切にする。」や、高学年の「相手のためになるようによく考えて対     処する。」に発展する。   親切は、人と人との温かい結びつきを作る上での大切な基盤であり、欠くことのできない要素     である。親切とは、相手の心や相手の置かれている立場や状況と一致した、適切な手をさしのべ    ることであり、単なる憐れみや相手にやさしく接することだけを指すのではない。そして、相手    の立場を「わが身に振り返って思いやる」ときに、本当の親切が実現するのである。    「わが身に振り返って思いやる」とは、他人の喜び、悲しみ、痛み、立場などを推察し、その     気持ちが理解できるということであり、自分もこうだったから、あの人もきっと〜だろうなと相    手の心に自分の心の思いを押し広げていけることである。   そこで子供の発達段階を考え、親切の対象となる範囲を低学年では身近にいる幼い人や高齢者     とし、中学年では「相手」から高学年への「だれに対しても」まで広げ、「親切にしたい」とい    う気持ちだけにとどまらず「困っている人を見ると助けずにはいられない」という内面的自覚に    まで高めることが重要である。また、だれに対しても思いやりの心をもつためには、どんな状況    の中でも自分や相手の思いを深く見つめることが要求される。   低学年の子供たちは、まだ相手の立場にたって物事を考えることが十分にできないので、本当     の意味の思いやりのある行為をする事は難しい。しかし、様々な体験や活動を通して、自分がし    てほしいと思う行為を相手に対して行うことはできる。どのようにすればお互いに気持ちのよい    人間関係が保たれるのか、そのためにはどのような接し方が必要なのかを指導することによって、   温かい心が自ずと育ってくるのである。   さらに、身近にいる幼い人や高齢者に目を向けさせ、だれに対しても温かい心で接し、親切に     することの大切さを指導することが必要である。 (2)児童について    1年生の児童は、親切にされたい、親切にしたいという気持ちを持っている。しかし、相手の     気持ちを考えずおせっかいになったり、せっかくの友達の親切をうれしく思わなかったりする場    面がみられる。自分は親切にされても、親切にしてあげることに気づかなかったり、仲のよい友    達にしかやさしくできない子も多い。その反面、困っている友達を手助けしたり、いつでもやさ    しく接しようとするなど、少しずつ相手の立場や気持ちを考えて行動できる態度も育っている児    童もみられる。    このような心の成長に差の大きい実態を考慮し、どんな人に対しても親切を自然な行為として     あらわせるよう意識させていく必要がある。 (3)資料について   本資料は、一本橋の上で次々と渡ってくる動物たちに意地悪をしていたおおかみがくまに優し     く橋を渡してもらい、自分の行動を反省し、親切にしようとするという話である。   おおかみやくまなどの動物の出てくる童話のような内容のこの資料は空想的な想像の世界に興     味をもっている1年生にとって意欲的に学習でき、主人公の気持ちに共感できるものとして適切    である。おおかみの気持ちに共感させながら親切にされたときの気持ちをとらえさせることを通    し、親切にすることの大切さに気づかせたい。   導入では、おおかみについて恐い、強いというイメージを持たせ、強いものが弱い者をいじめ     てしまう現実やその気持ちに共感させることへとつなげていく。また、展開では、くまがおおか    みに親切にする場面を動作化させた後、くまの親切な行為に安心し、感心するおおかみの気持ち    をワークシートに書かせ、おおかみの気持ちを深く考えさせるとともに、ねらいとする価値にせ    ますよう工夫する。 4.本時の指導 (1)ねらい 身近にいる人に温かい心で接し、親切にしようとする心情を育てる。 (2)展開 +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |段階| 学習活動と主な発問 | 期待する児童の反応 | 指導上の留意点 | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | 導 |1.1枚の絵をみて話し合う。 |・こわい。 |・おおかみはこわく| | |○一本橋の上にいるおおかみを見|・食べられそう | て強いイメージを| | 入 | てどんな気持ちになるか。 |・逃げてしまう。 | 持たせる。 | | | | | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | |2.「はしのうえのおおかみ」を| | | | | 読んで話し合う。 | | | | 展 |○「もどれ、もどれ。」と言って|・おもしろい。 |・おおかみのおもし| | | 動物たちを追い返したおおかみ|・もっと意地悪したくなる。 | ろい気持ちと共に| | | はどんな気持ちになったか。 |・いばるのは楽しい。 | 追い返された動物| | | | | たちの気持ちにも| | | | | ふれる。 | | | | | | | 開 |○くまが来たときおおかみはどん|・こわそうだな。 |・弱い者には意地悪| | | なことを考えたか。 |・だまって通してやろう。 | をしていたおおか| | | |・意地悪したことをおこられる| みが強い者にあっ| | | | かな。 | たときの不安な気| | | |・意地悪されるんだろうな。 | 持ちをつかませる| | | | | | | |◎くまに親切にしてもらったとき|A.おこられなくてよかった。|・おおかみとくまに| | 前 | おおかみはどんな気持ちになっ|B.くまはやさしいな | なって動作化した| | | たか。 |C.ぼくは意地悪だったな。 | 後、ワークシート| | 段 | |D.これからは親切にしよう。| にそれぞれの気持| | | | | ちを書かせる。 | | | | | | | | | |・くまとおおかみの| | | | | 相手に対する考え| | | | | のちがいに気づか| | | | | せる。 | | |○うさぎを通してあげたとき、な|・親切にするってとっても気持| | | | ぜ前よりもずっといい気持ちに| ちいいな。 | | | | なったのか。 |・自分も熊と同じようにいいこ| | | | | とをしたから。 | | | | |・うさぎが喜んでくれたから。| | | | | | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | |3.親切にしたり、親切にされた| |・子供たちの日常生| | | 経験を話し合う。 |・けがをしたとき保健室につい| 活から親切にして| | 後 |○人に親切にしたことがあるか。| て来てもらった。 | いることを探し出| | | または、親切にされたことがあ|・鉄ぼうの坂あがりを手伝って| しておき、話し合| | 段 | るか。その時どんな気持ちだっ| もらった。 | いの中で提示でき| | | たか。 |・友達といっしょに無くしたも| るようにしておく| | | | のをさがしてあげた。 | | | | |・親切にされてうれしかった。| | | | |・親切にして気持ちよかった。| | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | 終 |4.教師の説話を聞く | | | | 末 | | | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ 資料分析図 ・主題名 しんせつになったおおかみ 〈2−A 思いやり・親切〉 ・資料名 はしのうえのおおかみ (学研 みんなのどうとく1年) ・ねらい 身近にいる人に温かい心で接し、親切にしようとする心情を育てる。 +−−−−−−+ +−−−−−−+ +−−−−−−+ +−−−−−−+ +−−+ |おおかみが「| |くまに会って| |くまに親切に| |みんなにやさ| | | |もどれ、もど| |おじぎをする| |され感心する| |しくしていい| | 場 | |れ」といって| |場面 | |場面 | |気持ちになる| | | |動物たちを追| | | | | |場面 | | | |い返している| | | | | | | | 面 | |場面 | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−+ | | | | | | | | +−−+−−−+ +−−−+−−+ +−−−+−−+ +−−+−−−+ | | | | +−−+−−−+ +−−−+−−+ +−−−+−−+ +−−+−−−+ +−−+ |●意地悪をす| |●不安 | |○やさしさに| |○親切にする| | 主 | | る楽しさ | |●恐怖 | | 感心 | | ことの喜び| | 人 | |●もっと意地| |●迷い | |○反省 | | | | 公 | | 悪をしよう| | | | | |○快い | | の | | | | | |○自分も親切| | | | 意 | | | | | | にしたい | | | | 識 | | | | | | | | | +−−+ +−−−+−−+ +−−+−−−+ +−−+−−−+ +−−+−−−+ | | | | +−−−+−−+ +−−+−−−+ +−−+−−−+ +−−+−−−+ +−−+ |・意地悪は楽| |・こわい | |・くまさんは| |・親切にする| | 児 | | しい | |・こまったな| | やさしいな| | と気持ちい| | 童 | |・もっと意地| |・通してやっ| |・やさしくさ| | いな | | の | | 悪をしたい| | たほうがい | | れてうれし| |・うさぎさん| | 意 | |・いばるのは| | い | | いな | | が喜んでく| | 識 | | 気持ちいい| |・おこられる| |・意地悪をし| | れてうれし| | | | | | かな | | てわるかっ| | い | +−−+ | | | | | たな | | | +−−−+−−+ +−−−+−−+ +−−+−−−+ +−−−+−−+ | | | | +−−−+−−+ +−−−+−−+ +−−+−−−+ +−−−+−−+ +−−+ |・「もどれ、| |・くまが来た| |・くまに親切| |・うさぎさん| | | | もどれ」と| | 時、おおか| | にされた時| | を通してあ| | 基 | | いって動物| | みはどんな| | おおかみは| | げた時、な| | 本 | | たちをおい| | ことを考え| | どんなこと| | ぜ前よりも| | 発 | | かえしたお| | たか。 | | を考えたか| | いい気持ち| | 問 | | おかみはど| | | | | | になったの| | | | んな気持ち| | | | | | か。 | +−−+ | になったか| | | | | | | +−−−−−−+ +−−−−−−+ +−−−−−−+ +−−−−−−+