印刷用紙:B5縦 1ページの行数:41 1行の文字数(半角で):84   −−以下 指導案本文−−       第2学年道徳学習指導案                         日 時 平成8年10月16日(火)4校時                         児 童 宿戸小2年 男16名、女10名 計26名                         指導者 尾藤 久美子 1、主題名   明るく正直に 《1−C 誠実・明朗》 2、資料名   さるへいと立てふだ(「道徳 みんなたのしく 2年」東京書籍) 3、主題設定の理由 (1)価値について     学習指導要領第3章 道徳の第1学年及び第2学年の内容の1「主として自分自身に関する    こと」の(4)に「うそをついたりごまかしたりしないで、素直に伸び伸びと生活する」とあ    る。低学年においては、特に叱られたり笑われたりすることから逃れるために、うそをついた    りごまかしをして暗い心になることが少なくない。人の失敗を責めたり笑ったりしない学級に    するとともに、素直に伸び伸びと生活できる態度を養う必要がある。更に、中学年では、「正    直に、明るい心で元気よく生活する」高学年では、「誠実に、明るい心で楽しく生活する」に    まで発展していく。     誠実は、いろいろな欲望に左右されることなく、本来的な心の動きに従って、忠実に生きる    ことである。自分自身に嘘をつくことなく、正直であることは、なによりも快適に日々を送る    ことにつながる。また心の明るさとは、多くの人々の善意や誠実から生まれるのであり、誠実    な心の集まりの中から、意欲的で素朴に物事を追及する、嘘やごまかしのない明るさが生まれ    るのである。誠実に行動することの大切さに気付き、真心を持って接すれば、人の心はなごみ、    一層温かい関係が成り立っていく。人と人とのつながりを強めていくためには、誠実な態度    を育てることが大切である。     この期の子供たちは、他人が気になり、よく思われたい、ほめられたい気持ちから、嘘を言    ってしまったり、ごまかしをしたりしてしまうことが多い。そのことによって一時的には気持    ちのよい生活が送れるが、さらに嘘をついたり、ごまかしをしたりしなければならない場合も    多く、いつのまにか憂鬱な気分になっていく。そのような状況の中では、伸び伸びとした生活    を送ることはできない。自分自身に素直に生活すること、伸び伸びとした生活へ結び付けるた    めには、人が見ていても見ていなくても、うそをつかない、うそをついたら自分自身の気持ち    がよくないことに気付き、誠実に行動するしていこうとする態度を育てていくことが大切であ    ると考える。 (2)児童について     学級の子供たちは、明るく素直であるが、ちょっとした問題場面に出会うと、叱られたり笑    われたりすることから逃れたい気持ちや、自分の欲求を満たすためや自分をよく見せたい気持    ちが先行して簡単に嘘をついてごまかしたり、自分の失敗やいたずらを隠そうとする。     子供たち自身、うそやごまかしがよくないということはよく知っているが、自己を振り返る    ことは希である。また、不誠実な行為の後の気分転換が早く、他人の嘘やごまかしに対しては    不正を指摘できるが、自分の不誠実な行為については、不快な気持ちになることを意識したり、    気付いたりすることが少ない。     そこで、心の中にある快・不快の気持ちをはっきりと意識づけることを通して、子どもひと    りひとりの正直でありたいという願いを高め、明るい心で生活するためには自己中心的で欲に    目がくらむ心に負けない本来的な心の動きを耕していきたい。 (3)資料について     欲ばりなさるへいは、自分一人で柿の実を独占したいと考え、そこで名案を思い付く。立て    札を立てるが、その立て札にいつも自分の心が見透かされているような言葉が書かれる。自分    のしようとすることと逆の結果になるが、多くの友達もでき、一人ぼっちの生活から抜け出す    ことができるようになるという内容である。     「貸したくない」「あげたくない」といったような気持ちは、誰にでもあり、欲を捨て切れ    ないさるへいの気持ちに十分共感できる。また、嘘をつくさるへいの行為を批判することで自    分の利害から平気で嘘を付いたり、ごまかしをしたりすることがどんなに快くないことに児童    が気付いていくのに適切な資料である。     指導にあっては、さるへいの欲を捨て切れない気持ちと、あくる日の立て札に書かれている    言葉を見たときの気持ちとを対比させ、様子を想像させながら、だれが書いたかわからない立    て札に書かれていることの意図をしたものを、2年生なりに考えさせ、更に、自分が立て札に    書いた人になってさるへいに手紙を書くことよって、誠実に行動することの大切さを自分自身    のこととして深めていきたい。 4、本時の展開 (1)ねらい うそやごまかしをしないで、明るい心で生活しようとする態度を養う。 (2)展 開 +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ 段階  学習活動と主な発問 | 期待する児童の反応 | 指導上の留意点 | +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | 1、「さるへいと立てふだ」・かわいい。 ・あまり深入りせず、の | |導|の学習へ意欲付けを図る。 ・意地悪そう。 |びのびと発表させ本時の| |入|・登場人物さるへいについ ・楽しそうなお話。 |学習へ興味を持たせる。| (3分) てどんなイメ−ジを持つか・誰かに何かを伝えたいとき | | |・立て札について |使うもの。 | | | | | | | +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | 2、資料「さるへいと立てふ | | | |だ」を読んで話し合う。 | | | | |・簡単にあらすじを確認 | | | | | する。 | | | | | | | | |展 ○立てふだを立てたさるへい・いじわる ・自分の欲のためにはい | | |をどう思うか。 ・よくばり |ろいろなことを考えて、| | | ・くいしんぼう |うそやごまかしをしてい| | | ・一人占めするなんずるい |ることに着目させる。 | | | | | | | | | | | | | | | | | ○苦笑いをしたさるへいの気・ビックリした。 ・さるへいの驚きととも | | |持ちを考えよう。 ・だれがこんなことを書いた に、心情を想像させる。| |開| |んだろう。 | | | | ・うそがばれてしまった。 | | | | ・でも、まだ一人でかきが食 | | | |べたいから違う言葉を書こ| | | | |う。 | | |前| | | | | ○二度目の立ふだを見たとき・きみがわるい。 ・一度目と比べて、気持 | | |さるへいはどう思っただろ ・本当にだれなんだ。 |ちの変化について考えさ| | |う。 ・ぼくのうそを見ぬいている せたい。 | |段| |のはだれだろう。 | | | | ・ぼくのじゃまをしているの | | | |はだれだ。 | | | | | | | | ○少ししか柿を食べられな ・少ししか柿を食べることが | | |かったさるへいの気持ちを|できなくって残念 | | | |考えよう。 ・立て札に書いたからしかた | | | |ない。 | | | | ・分けてあげてよかった。 | | (29| ・友達がたくさんできて嬉し | |分) |いな。 | | | | | | | | ◎二度も立てふだに書いた人A柿を一人で食べるとおなか・自分たちがさるへいの | | |は、さるへいになにを伝え|をこわすよ。 |立てふだに書いた人にな| | |たかったのだろう。 B欲張りしてはいけないよ。 ったつもりでさるへいに| | | (書く) C嘘をついてはいけないよ。 手紙を書かせる。書いた| | | D嘘やずるもしないで、みん ものを発表させたり、話| | | |なとなかよくしないといけ|し合わせたりして、十分| | | |ないよ。 |時間をとる。 | | | | | | +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | 3、自分たちの生活をふりか | | | |えり、話し合う。 | | | | ○うそをつかないで良かっ | ・相手に対してだけでな | |後|たと思ったことを発表する。 |自分にとっても気持ちが| |段|・うそをつかないで良かっ| |よいことや、毎日の生活| (10| たなと思ったことはないで |も明るくなることに気付| |分) すか。 | |かせる。 | | | | | | +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | 4、友達の作文を聞く。 | ・うそをついたことでい | |終| | |やな気持ちになったこと| |末| | |や友達に謝りたいという| (3分) | |気持ちが述べられている| | | | |作文を読んで聞かせる。| | | | | | | | | | | +−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ ・主題名 明るく正直に 《1−C 誠実・明朗》 ・資料名 さるへいと立てふだ(東京書籍 2年) ・ねらい うそやごまかしをしないで、明るい心で生活しようとする態度を養う。 +−−−−−−−−++−−−−−−−−++−−−−−−−−++−−−−−−−−+ | 柿の実をだれに|| 「うそをかいて|| 2回も立てふだ|| さるへいは、い| 場|もとられないよう||はいけせん。」の||が書き直され、さ||つもより柿が少し| |にと、さるへいが++立てふだにさるへ++るへいは、気味が++しか食べられなか| 面|立てふだを立てた||は、びっくり、首||悪くなり、しかた||ったが、たくさん| |場面 ||をかしげ思わず苦||なく柿を食べてく||の新しい友達がで| | ||笑いをする場面 ||れたまえと言った||きた場面 | | || ||場面 || | | || |+−−−+−−−−++−−−+−−−−+ +−−−+−−−−++−−−+−−−−+ | | | | | | 主 −−−+−−−−++−−−+−−−−++−−−+−−−−++−−−+−−−−+ 意人 ●ひとり ||●ひとり ||○分けてあげよう||○ うれしい | 識公 じめし || じめし ||●ひとりじめしたい|○ よかった | のの たい ++ たい ++●しかたない ++● 不思議 | 変|● 心 配 ||●びっくり ||● びっくり ||●しかたない | 容|●うれしい ||●不安 ||●気味が悪い ||● 残 念 | +−−−+−−−−++−−−+−−−−++−−−+−−−−++−−−+−−−−+ | | +−−−+−−−−+ | +−−−+−−−−++−−−+−−−−+|・気味が悪い。 |+−−−+−−−−+ 児|・いじわる。 ||・ビックリした。||・本当に誰なんだ||・少ししか柿を食| 童|・よくばり。 ||・誰がこんなこと||・僕の嘘を見抜い||べることができな| の|・くいしんぼう ++を書いたんだろう++ているのは誰れだ++くって残念。 | 意|・一人じめする ||・うそがばれてし||・僕のじゃまをす||・立てふだに書い| 識|なんてずるい。 ||まった。 ||るのは誰だ。 ||たから仕方ない。| | ||・違う言葉を書こ||・柿を一人で食べ||・分けてあげてよ| | ||う。 ||ると腹をこわすよ||かった。 | +−−−+−−−−+| ||・欲張りはだめ。||・ともだちができ| | +−−−+−−−−+|・嘘をついてはい||て嬉しいな。 | | | |けないよ。 |+−−−+−−−−+ | | |・嘘やずるをせず| | +−−−+−−−−++−−−+−−−−+|みんなと仲良く。|+−−−+−−−−+ |・立てふだを立 ||・「うそをかいて|+−−−+−−−−+|・二度も立てふだ| 発|てたさるへいを ||はいけません。」|+−−−+−−−−+|に書いた人は、さ| |どう思うか。 ++という立てふだを||・苦笑いしたさる||るへいに本当は何| | ||見たとき、さるへ||へいの気持ちを考||を伝えたかったの| 問| ||いはどんな気持ち++えよう。 ++だろう。 | | ||だっただろう。 ||・少ししか柿を食|+−−−−−−−−+ | || ||べられなかったさ| +−−−−−−−−++−−−−−−−−+|るへいの気持ちを| |考えよう。 | +−−−−−−−−+ 授業記録「さるへいと立てふだ」 T 「さるへいと立てふだ」という道徳のお勉強を始めます。    どんなおさるさんだと思いますか。 C かわいいおさる C いたずら C いじわる C あばれんぼう T 立札を知っていますか。 C 板と木で作っていて、そこに文字が書いてある。 C 家に人がいないときとかこんな人をさがしていますとか知らせる札 T 皆さんに何かをお知らせする板のことをいいます。   今日はそのおさるさんと立札がでてくるお話です。   どんなお話か考えながら聞いてください。(読む) T 柿の実を見たさるへいくんはどう思いましたか。 C 一人で食べたい C おいしそうだから独り占めしたい C 誰かに取られないか心配 C みんなにあげないで一人で食べたい T こんなにたくさんあるのだから一つぐらいいいのでは C さるへいははらぺこ C よくばりだからあげない C よくばりでけちんぼう C くいしんぼう 誰にも分けないぞという気持ち C ひとりでぜんぶたべちゃえ T このさるへいくんをどう思いますか。 C いじわる C わがまま C けちんぼうでくいしんぼうでいじわる C すごくいじわるなさるへい C 自分の物だからって人に分けないなんてだめなさるへい T この柿の実はさるへいくんのものかな C ちがう T だれかわからないね C 自分の物でもないのに独り占めしてはだめ C 友達にもあげないと友達ができない T さるへいは柿を取られることを心配し何をしましたか。 C たてふだをたてました C うそのたてふだをたてた C 食べられませんと嘘を書いた T 次の日どうなりましたか。 C 立札に嘘を書いてはいけませんと書いていた。 C あれだれが書いたんだろうと思った。 T さるへいは、これを見てどうしましたか。 C びっくりした C これはだれが書いたんだろう。 C どうしてうそがわかったんだろう。 C 苦笑いをしてしまいました。 T 苦笑いってどんな顔ですか。 T おもしろい顔ですか。楽しくって笑った顔のことですか。 C ちょっとちがう C あちゃあという感じ C ちょっとおこってて笑っている C うそがばれた T 苦笑いをしているときのさるへいはどんな気持ちですか。 C こんな作戦はだめだ。違う作戦を考えよう。 C 違う立札を立てよう。 C あちゃあ、こんな立札だめだ。違う立札を立てよう。 T すぐに違う立札を立てようとしましたか。 C ちがう 考えた。 C これじゃあだめだ。みんなに嘘がばれる。違う言葉にしよう。 C みんなに食べられちゃう T このあとさるへいはどうしましたか。 C 違う立札を立てた。 C また嘘を書いた。 C だめなことをした。 T どうしてまた、さるへいは立札を書いたのか。 C 柿を独り占めしたい C 一人で食べたい C 一回目の立札が失敗してもまた一人で食べたい。何か企んでいる。 C さるへいはけちんぼ、わがままだし、いじわる、くいしんぼうだから C 柿の実を守っている T これでだいじょうぶでしたか。 C 立札にまた書かれていた。 C 自分の物だと思ったらおお間違い。 C この立札も失敗 またどうしようと思った T 「ほしいかたはえんりょなく」これを見たさるへいは   どう思いましたか。 C この作戦もだめだった。 C きみがわるくなった。 T 気味がわるいってどんな気持ちですか。 C ぞっとした感じ C こわい C 不気味 C さるへいが嘘を付いていることがわかった C これでいいと思ったんだけどすごく怖くなった。 C 前の立札のときも分かっていたかも C 失敗しちゃた C またやっても失敗するだろうな C 心配であきらめきれない T 3枚目の札を立てましたか。 C 立てない。 C もうばれていて、そこらへんのさるたちがぞろぞろやってきた。 T さるへいは、いつもの年よりも柿が食べれなかった C なんだかやさしくなった C 柿はたくさん食べれなかったけど友達がたくさんできた。 T 少ししか柿を食べることができなかったさるへいくんは   今どんな気持ちですか。 C 新しい友達がいっぱいできてよかったな。 C 柿よりもこっちの方が退屈しなくていいや C 前よりもずっと楽しくなった C けちんぼするより前よりずっといい C ともだちができてうれしいな C 柿は食べてしまうとおしまいだけど友達はたくさんできるようになる C 柿の分よりたくさんの友達ができた C けちんぼするより今の方がよっぽどいい C 柿よりすごくいっぱいの友達ができた。退屈でない。いつまでも一緒   に遊べるからいいや T 食べれなくってざんねんという人はいないかな。 T さるへいくんは、これ(立札にか書かれた言葉)がなかったら   友達たくさんできたかな。 C できていない C ひとりぼっち C 友達でなくなる T これを書いた人が何をしてはいけないよと教えてくれたのですか。 C 嘘を書いてはいけないよ C いじわるしてはいけない C 嘘を付いたり意地悪したりけちんぼしたりする気持ちをなくしてほし   い。 T 立札に書いた人は、さるへいに教えてくれたんだね。   立札に書いた人になって、さるへいくんに教えてあげたいことを書い   て見ましょう。  《書く》 C さるへいくんわがままはだめだよ。友達がたくさんできて嬉しかった   ですか。 C さるへいくん何でくいしんぼうやひとりじめするの嘘をついてはだめ   だよ。でも、友達ができてよかったね。独り占めするより楽しく友達   と遊んだ方が楽しいよ。 T 嘘を途中でやめたお話だったね。みんなにも似たことがあるのでは、   正直に話てよかったなと思うことがあるのではないでしょうか。紙に   書いてもらいますが、時間なので後で書きます。 T 先生のお友達の話をします。  《説話》 T これで道徳のお勉強を終わります。