印刷用紙:B4縦 1ページの行数:64 1行の文字数(半角で):104   −−以下 指導案本文−−                  第1学年 道徳学習指導案                              日 時  平成8年10月18日(金) 4校時                              児 童  1年3組  男12名 女15名 計27名                              指導者  関   真 美  1 主題名   じぶんのために がんばろう (1−A勤勉・努力)  2 資料名   はたらけ せっせ (出典「みんなのどうとく 1ねん」学研)  3 主題設定の理由                              (1) 価値について     本主題の内容項目「勤勉・努力」は、視点1「主として自分自身に関すること」の(2)に位置づけられ    ており、第1学年及び第2学年においては、「自分でやらなければならない仕事は、しっかりと行う」とあ    る。人間が自立していくためには、自分でやらなければならないことをきちんと自覚し、しっかりとやり遂    げることが必要である。そのためには、何事にも粘り強く取り組み、努力していくことの大切さに気づき、    希望を持って努力し、向上していこうとする心構えが大切である。そして、少しずつ自分の力によって成し    遂げられていく体験を重ねることが、後の大きな喜びにつながり、新たな自己理解や自己発見、自己への自    信、さらに他への信頼へと発展させることができるのである。     この時期の児童は、物事に対する興味・関心、好奇心が旺盛である。「がんばろう」「よくなりたい」「    自分がやりたい」といった期待と意欲、向上心も持っている。しかし、同じことの繰り返しや地道な努力、    顕著な成果が得られないものに対しては、すぐ飽きてしまい、努力を放棄することがある。このような児童    に、自分がやらなければならないことは、自分のためにしっかり行おうとする態度が身につくよう、努力し、    向上することの大切さに気づかせていきたい。  (2) 児童の実態     2学期に入り、児童たちは学校生活において給食・清掃・係活動等様々な活動を意欲的に行っている。ま    た、家庭生活においても音読を毎日継続しているなど、自分がやらなければならないことをしっかり行おう    とする気持ちを持っている。しかし、自覚が足りず人任せになったり、できなかった事を振り返ろうとせず、    努力することに無関心になっている児童も少なくない。     そこで、本資料の価値にかかわる実態調査を児童と保護者を対象にアンケ−トにより行った。     児童には「今まで、どんなことをがんばれましたか」の問いに対し、「ラリ−をがんばった」「眠かった    けど、時間割りをそろえてから寝た」など苦痛を乗り越えて努力したと答えた児童20人。「テレビを見た    かったけど宿題をがんばった」など欲求を乗り越えて努力したと答えた児童1人。「鉄棒で右足がすれるく    らい練習して、足かけ回りができるようになってうれしかった」など継続した努力をして、できた時の喜び    を実感したことがある児童6人。     保護者には「ふだんの生活において、お子さんが自分でやらなければいけないことを、がんばって続けて    いる(続けた)例」の問いに対し、「小さい時から家庭でのお手伝いを継続している」と答えた保護者4人。    また、「一輪車に乗れるようになりたくて、練習中である」「さか上がりができなかったができた」「泳げ    なかったが毎日水に親しみ泳げるようになった」などと答えた保護者10人、のようにふだんの何気ない生    活において、努力している児童の多いことがわかった。  (3) 資料について     本資料は、イソップ童話「ありときりぎりす」の話である。暑い夏や実りの秋にも、自分たちのためにせ    っせと働き、冬でも安心して過ごすという内容である。遊び暮らしていたきりぎりすの誘惑に負けることな    く、自分たちがやらなければならないことをきちんと自覚して頑張ったありたちの気持ちと、何もしないで    遊んでいたきりぎりすを心配するありたちの気持ちを十分に考えさせながら、ねらいとする価値について考    えさせるのに適した資料である。  (4) 指導にあたって     実態把握より、児童はありたちの行為について容易に理解できると思われる。そこで、暑い夏の日と秋に    きりぎりすに誘惑された時のありたちの気持ちを考えさせることで、本来誰にでもあるはずの心の弱さにつ    いて十分に共感させたい。そして、ありたちの行為を支えているものが何かを考えさせたい。また、努力し    た後のありたちの気持ちを書かせることによって、一人一人の考えを確かなものにし、話し合わせることに    より、自分たちがやらなければいけない事はしっかりと行おうとすることの大切さに気づかせ、価値を深め    合わせたい。 4.資料分析図  資料名  はたらけ せっせ          ねらい  自分がやらなければならないことは、しっかり行おうとする態度を育てる。 +−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |場| |1 暑い夏の日、きりぎりすの誘惑に| |2 秋になり、きりぎりすの誘惑に負| |3 冬になって、今まで食べ物をたく| | +−−−+ +−−−+ +−−−+ | |面| | 負けず、せっせと働くありたち。 | | けそうになるが、またせっせと働く| | さん運んでおいたので、春までゆっ| +−+ | | | ありたち。 | | くり過ごせるありたち。 | +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | | | | | | | +−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ |主| (1) 暑い夏の日、きりぎりすに「一緒| (2) 秋になり、きりぎりすに「食べ物| (3) 冬になって「きりぎりすさんは、| |発| | に歌を歌わないか。楽しいよ。」と| | には困らないさ。歌って遊ぼうよ。| | 今ごろどうしているかな」と思った| | +−−−+ +−−−+ +−−−+ | |問| | 言われた時、ありたちはどんな気持| | と言われた時、ありたちはどう思っ| | ありたちは、どんなことを話し合っ| +−+ | ちになったでしょう。 | | たでしょう。 | | たのでしょう。 | +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | | | | | | | +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ |・うん、そうしよう。 | |・疲れたから、遊びたいな。 | |・きりぎりすさんは、食べ物があるの| |・暑いから、休みたい。 | |・そうだな、ちょっと遊ぼうかな。 | | かな。 | +−+ |・どうしよう、歌おうかな。 | |・きりぎりすさんも、働いた方がいい| |・きりぎりすさんは、おなかをすかせ| |心| |・忙しいから、あとにして。 | | よ。 | | ていないかな。 | |の| |・食べ物を運ぶのは大切だから、だめ| |・冬に食べ物がなくなったら大変だよ| |・ぼくたちはいいけど、きりぎりすさ| | +−−−+ | | | | | |動| | だよ。 | |・食べ物があるうちに、いっぱい運ん| | んは、大丈夫かな。 | |き| | | | でおこうよ。 | |・きりぎりすさんも、働いていればよ| +−+ | | | | | かったのに。 | | | | | |・ぼくたちは、春までゆっくりすごせ| | | | | | るね。 | | | | | |・ぼくたちは、せっせと働いていてよ| | | | | | かったね。 | +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | | | | 根気 自覚 充実感 +−+ 努力 根気 安堵感 |変| 努力 満足感 |容| |の+−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−− |様| −−−−−−−−−−− |子| | | −−−−−−−−− +−+ 迷い 迷い 5 本時の指導                           (1)ねらい    自分がやらなければならないことは、しっかり行おうとする態度を育てる。 (2)展開 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | +−+ | | 教師の働きかけ | 予想される児童の反応 |指導上の留意点 ◇個への配慮 評価| | | | | +−+ +−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |1 資料「はたらけせっせ」を読み| |・ありたちの行為に着目させ、意識し| | | 感想を発表し、課題を設定する。| | て紙芝居を聞かせる。 | | | | | | |導| ・ありさんたちのことを、どう思|・えらいなあ。 |◇できるだけ多くの児童に発表させ、| | | いましたか。 |・すごいなあ。 | 意欲づけとしたい。 | | | |・がんばったなあ。 |・児童の感想をもとに、課題を設定す| | | |・きりぎりすさんに「遊ぼう」と言わ| る | |入| | れたのに、立派だなあ。 |+−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |・暑い夏から、よく休まず運んだなあ||自分たちがせっせと働いて安心が|| | | |・冬になってから、困らなくてよかっ||得られたありたちが、何もやらな|| | | | たなあ。 ||いで遊んでいたきりぎりすを心配|| | |+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+||する場面を、課題としてとらえる|| |10|| 冬になって「きりぎりすさんは、今ごろどうしているかな」と思った|||ことができたか。 || |分||ありたちは、どんな事を話し合ったでしょう。 ||+−−−−−−−−−−−−−−−+| | |+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+| | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |2 ありたちの気持ちになって、考| | | | | える。 | | | | | | | | | | ・暑い夏の日、きりぎりすに「一|・うん、そうしよう。 |・暑くて、くじけそうになるであろう| | | 緒に歌を歌わないか。楽しいよ|・暑いから、休みたい。 | ありたちの弱い気持ちに触れながら | | と言われた時、ありたちはどん|・どうしよう、歌おうかな。 | きりぎりすの誘惑に負けないで頑張 | | な気持ちになったでしょう。 |・忙しいから、あとにして。 | っている姿に共感させる。 | | | |・食べ物を運ぶのは大切だから、だめ| | | | | だよ。 | | | | | | | |展| ・秋になり、きりぎりすに「食べ|・疲れたから、遊びたいな。 |・夏からずっと働き通しのありたちの| | | 物には困らないさ。歌って遊ぼ|・そうだな、ちょっと遊ぼうかな。 | きりぎりすの誘惑に負けそうになる | | うよ」と言われた時、ありたち|・きりぎりすさんも働いた方がいいよ| 気持ちを押さえながら、今自分たち | | はどう思ったでしょう。 |・冬に食べ物がなくなったら大変だよ| がやらなければならない事をきちん | | |・食べ物があるうちに、いっぱい運ん| と自覚して頑張っている姿に共感さ | | | でおこうよ。 | せる。 | | | | | | | | ◎冬になって「きりぎりすさんは|・きりぎりすさんは、食べ物があるの|・書く活動を通して、ありたちの気持| | | 今ごろどうしているかな」と思| かな。 | ちを考えさせたい。 | | | ったありたちは、どんな事を話|・きりぎりすさんは、おなかをすかせ|+−−−−−−−−−−−−−−−+| |開| し合ったのでしょう。 | ていないかな。 ||自分の考えを書くことができたか。| | | |・ぼくたちはいいけど、きりぎりすさ|+−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | んは大丈夫かな。 |・ありたちが、遊んでいたきりぎりす| | | |・きりぎりすさんも働いていればよか| を心配する姿をとらえさせる。 | | | | ったのに。 |・自分がやらなければならない事は、| | | |・ぼくたちは、春までゆっくりすごせ| しっかり行おうとする事の大切さに | | | るね。 | ついて気づかせたい。 | | | |・ぼくたちは、せっせと働いていて、|◇意図的指名による話し合い活動を通| |32| | よかったね。 | して、価値を深め合わせたい。 | |分| | |+−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | ||書く活動とそれを発表する活動を|| | | | ||通して、自分がやらなければなら|| | | | ||ない事は、しっかり行おうとする|| | | | ||ことの大切さに気づき、価値を高|| | | | ||めることができたか。 || | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−+| +−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |3 自分の生活を見つめる。 | |・おうちでのお手伝い、音読、などに| | | | | 目を向けさせ自分たちが、身近な事 | | ・自分がやらなければいけない事| | に頑張って取り組んでいることに気 | | を、しっかりとやってよかった| | づかせる。 | | | と思ったことを教えて下さい。| |・お互い発表を聞き合う中で、本価値| | | | | に対する実践の意欲づけを図りたい | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | ||自分の生活を見つめ、ふり返るこ|| | | | ||とができたか。 || | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−+| +−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |終|4 教師の説話を聞く。 | |・自分がやらなければならない事を、| |末| | | しっかりと行おうとするのは大切で | | | | ある、という気持ちを高め、自分た |3| | | ちの身近なことに頑張って取り組も |分| | | うとする実践の意欲につなげたい。 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+