印刷用紙:B4縦 1ページの行数:53 1行の文字数(半角で):90   −−以下 指導案本文−−              第3学年 道徳学習指導案                           日 時  平成8年10月18日(金) 5校時                           児 童  3年2組  男16名 女12名 計28名                           指導者  神 林 磨 美 1 主題名   ゆうきをもつ  (1−C 勇気) 2 資料名 こわくなんかない−−宮沢賢治−−−(出典「みんなのどうとく3年」学研) 3 主題設定の理由 (1) 価値について      本主題の内容項目「勇気」は、視点1「主として自分自身に関すること。」の(3)に位置づけられ     ており、第3学年および第4学年においては、「正しいと思うことは、勇気をもって行う。」とある。     児童の自己形成においては、何事にも積極的に取り組む姿勢が必要となるが、その原動力が勇気と考え     られる。しかも、正しいと判断できる力を伴った勇気が求められる。      この時期の児童は、物事に対して自分なりの判断ができるようになり、徐々に自分や他人の言動を見     つめることができるようになってきている。このように、かなりの認識能力を身につけてきている児童     にとって、正しいこと正しくないことの判断はそれほど難しいことではない。正しいことを求め、正し     くないことを許さない心情をもつことは、社会生活を営むうえで重要な態度である。また、正しいこと、     望ましいこととわかっていても、周囲の雰囲気に押し流されて行動に移せないことが多く、誘惑や困難     に負けて、正しくない、悪いことだと分かっていても、ついついやってしまうことがある。そこで、勇     気をもって行動することの意義を考えさせる必要があると言えよう。また、勇気をもって行動すること     が、価値のある素晴らしいものであることに気づかせたい。 (2) 児童の実態      学級のほとんどの児童は、正しいことと正しくないことの判断はできる。しかし、反面、程度の差こ     そあれ、恐怖心、恥ずかしさ、誘惑、利害関係、などが妨げとなり、正しいと思  うことでも実行で     きなかったり、悪いことと知りつつも、ついやってしまったという経験は、ほとんどの児童がもってい     ると思われる。また、正しいことや正しくないことについて判断しなければならない場面に直面すると、     それを無意識に、あるいは意識的に避けようとする  場面も見られる。      また、本資料を使っての事前調査では、次のような結果であった。「賢治のことをどう思いました     か。」という問いに対して、「賢治は弱虫だと思ったけど、はっきり言ったから強い人だと思った。」     「賢治は勇気がある。」が13人。他「えらい」「いい人」「すごい」「やさしい」「りっぱ」と続く。     以下「賢治は弱虫だ。」「賢治のように僕にはできない。」がそれぞれ1人であった。 (3) 資料について      本資料は、たけしの不正な行為に対する賢治の正しい判断に基いた、勇気ある行動を描いている。賢     治はたけしに「金を持ってこい。」と言われ、それが不正なことだと知りつつも、即座に断ることがで     きなかった。しかし、友人がお金を取られたことで、たけしに「きみのやっていることはいけないこと     だ。」と言う決心をしきっぱりと言う。「ぼくは弱虫だ。」と苦しんでいた賢治が、たけしに対して立     ち向かっていくまでの心情を考えさせることにより、正しいことを勇気をもって行うことの大切さをわ     からせるのに適した資料である。 (4) 指導にあたって      前半、「金を持ってこい。持ってこないとひどいめにあわすぞ。」などと言っては、不正行為を続け     るたけしのことをおさえながら、「そんなこと、いやだ。」と言えなかった賢治の弱さに十分共感させ     たい。      後半、たけしにお金を取られたせいきちを見て、はっきり言おうと心に決めた場面では、なぜはっき     り断ろうと決心したのかを十分考えさせたい。そして、きっぱりと言った場面を踏まえ、その後の賢治     の気持ちを書かせそれを発表させることにより、より深く考えさせ価値にせまらせたい。 4 資料分析図 資料名  こわくなんかない         ねらい  正しいと思うことは、勇気をもって行おうとする態度を育てる。 +−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |場 | |1 たけしに脅かされて、断れずに後| |2 たけしにお金を取られたせいきち| |3 きっぱりとたけしに言う賢治。 | | +−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−+ | |面 | | 悔する賢治。 | | を見てはっきり言おうと決めた賢治| | | +−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | | | | +−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ |主 | |(1) 「金を持ってこい」と言われた| |(2) たけしが帰って行った後、賢治| |(3) 賢治は、なぜきっぱり断ろうと| |(4) 賢治はきっぱりとたけしに言っ| |発 +−+ とき賢治はどんなことを考えまし+−−+ はどんな気持ちになりましたか。+−−+ 思ったのでしょう。 +−−+ た後、どんな気持ちになったでし| |問 | | たか。 | | | | | | ょう。 | +−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | | | | | | +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−+ |・嫌だなあ。 | |・怖かったなあ。 | |・せいきちが可愛そうだと思ったから| |・正しいと思ったことをすると、こん| |心 | |・怖いからいうことをきこうかな。 | |・お金、持ってこようかな。 | |・たけしのしていることが、悪いこと| | なにすっきりするんだ。 | |の | |・友達と遊ばせてもらえなくなったら| |・どうして嫌だと言えなかったんだろう。 | だから。 | |・前からこうすればよかったんだな。| | +−+ | | | | | | | |動 | | どうしよう。 +−−+・はっきり断ればよかった。 +−−+・我慢ができなかったから。 +−−+・はっきり言ってよかった。 | |き | |・そんなこと嫌だといわなければ。 | |・悪いことだと言えなかったぼくはだ| |・自分のしたことを情けなく思ったか| |・勇気を出してよかった。 | +−−+ | | | めだなあ。 | | ら。 | | | | | |・僕は弱虫だ。 | | | | | +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | | +−−+ 勇気 後悔 同情 満足感 |変 | −−−−−−−− 反省 正義感 勇気 |容 | −−−−−−−−−− 自責 |の +−−−−−− −−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−− |様 | −−−−−−−−−− |子 | 恐れ 恐れ +−−+ 悩み 臆病 恐れ 5 本時の指導 (1) ねらい    正しいと思うことは、勇気をもって行おうとする態度を育てる。 (2) 展開 +−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | +−−+ | | 教師の働きかけ | 予想される児童の反応 |指導上の留意点◇個への配慮|評価| | | | | +−−+ +−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |1 資料「こわくなんかない」を| | | |導| 読み感想を発表し、課題を設定| | | | | する。 | | | | | | | | | |・賢治がしたことや考えたことに|・賢治はすごい。 |◇賢治の行為や意識に着目させ、個| |入| ついて、感想を発表して下さい|・賢治は断ったからえらい。 | 々の児童が主人公に対してどんな | | |・賢治は勇気がある。 | 意識を持っているのかとらえる。 | | +−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |◇できるだけ多くの児童に発表させ| | | | 賢治はきっぱりとたけしに言った後、 | | 意欲づけにしたい。 | |10| |どんな気持ちになったでしょう。 | |・児童の感想をもとに課題を設定す| |分| +−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ | る。 | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−+| | | | ||賢治がたけしにきっぱりと言っ|| | | | ||た場面を踏まえ、その後の賢治|| | | | ||の気持ちを課題としてとらえる|| | | | ||ことができたか。 || | | | |+−−−−−−−−−−−−−−+| +−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |2 賢治の気持ちになって考える| | | | | | | | | |・「金を持ってこい」と言われた|・嫌だなあ。 |・断りたいのに、断る勇気が出なか| | | とき、賢治はどんなことを考え|・怖いから言うことをきこうかな。| った賢治の気持ちに共感させたい | | ましたか。 |・友達と遊ばせてもらえなくなった| | | | | らどうしよう。 | | | | |・そんなこと嫌だと言わなければ。| | | | | | | | | | | | | |・たけしが帰っていった後、賢治|・怖かったなあ。 |・たけしが帰って行った後の賢治の| |展| はどんな気持ちになりましたか|・お金、持ってこようかな。 | 悶々とした気持ちに共感させたい | | |・どうして嫌だと言えなかったんだ| | | | | ろう。 |+−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |・はっきり断ればよかった。 ||賢治の考えや行為に共感すること| | | |・悪いことだと言えなかった、ぼく||ができたか。 | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | は駄目だなあ。 | | | | |・ぼくは弱虫だ。 | | |開| | | | | |・賢治は、なぜはっきり断ろうと|・せいきちが可愛そうだと思ったか|・不正行為に気づき、それに立ち向| | | 思ったのでしょう。 | ら。 | かっていこうとする賢治の心情を | | |・たけしのしていることが、悪いこ| つかませたい。 | | | | とだから。 | | | | |・我慢ができなかったから。 | | | | |・自分のしたことを情けなく思った| | | | | から。 | | | | | | | | | | | | | |◎賢治はきっぱりとたけしに言っ|・正しいと思ったことをするとこん|・賢治の気持ちを書かせることによ| | | た後、どんな気持ちになったで| なにすっきりするんだ。 | り、より深く考えさせていきたい | | しょう。 |・前からこうすれば、よかったんだ| | | | | な。 |+−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |・はっきり言ってよかった。 ||書く活動とそれを発表する活動を| | | |・勇気を出してよかった。 ||通して、不正行為に立ち向かった| |32| | ||賢治の勇気ある態度をとらえるこ| |分| | ||とができたか。 | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−+ | +−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |3 自分の生活を見つめる | |・きまりを守らない人に勇気をもっ| | | | | て注意したことなどに目を向けさ | |・これまでに、よくないことに気| | せ、発表させたい。 | | | づき勇気をもって行動したこと| |◇これまでのことが思い浮かばない| | | がありますか。 | | 児童には、今後勇気をもって行動 | | | | したいことを発表させたい。 | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | ||自分の生活を振り返り、発表する| | | | ||ことができたか。 | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−+ +−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ |終|4 教師の説話を聞く | |・勇気を出して行動していた人の話| | | | | をして、実践への意欲づけにした |末| | | い。 | | | | | | |3| | | | |分| | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+