印刷用紙:B4縦 1ページの行数:75 1行の文字数(半角で):104   −−以下 指導案本文−−                  第5学年 道徳学習指導案                       日 時  平成8年10月18日(金)4校時                       児 童  5年1組 男13名 女18名 計31名                       指導者  篠 田 陽 子 1 主題名   じぶんの心にせい実に(1−C誠実・明朗) 2 資料名   手品師(出典「みんなのどうとく5年」学研) 3 主題設定の理由  (1)価値について      本主題の内容項目「誠実・明朗」は、視点1「主として自分自身に関すること」の(4)に位置づけられており、第     5学年及び第6学年においては、「誠実に、明るい心で楽しく生活する。」とある。人間は、自己を防衛するために嘘     をついたりごまかしたりしがちである。そんなときには、後ろめたさがともない、自己嫌悪に陥ったり、暗い気分に沈     んでしまったりする。明るい心で楽しく生活するためには、日ごろから自分の良心に偽りなく行動するとともに、人に     対して陰日なたなく、誠実に接することが大切である。その結果、誠実に行動することで得られる心の安定や満足感に     よって、はじめて本当に明るい心で生活することができるのである。      この時期の児童は良心に従って、何事も惜しみなくやろうとする構えはもっている。しかし自己顕示や自己防衛の姿     勢が強まり、自分の弱さや甘さに負けてしまったり、まじめさをばかにしたりして、明るく社交的に振る舞う魅力にば     かり目がいきがちである。そこで、誠実に行動したあとに自然にわき出る心の明るさや笑顔の美しさについて、気付か     せていきたい。  (2)児童の実態      学級の児童たちは、明るく活動的である。休み時間には元気よく遊び、学級会では活発に発言している。発言内容を     聞いていると「掃除を真面目にする。」、「先生の話をきちんと聞く。」、「友達の嫌がる事をしない。」など、とて     も立派である。しかし、実際の生活を見ていると楽な方を選んだり、好き勝手な事をしたり、友達の悪口を言ったりし     ている。      事前調査で手品師の行為についてに感想を書かせたところ、手品師がチャンスをむだにして約束を守ったので優しい     という児童が22人、約束を守りいい人だと思ったが、自分が同じ立場だったら友人の所に行っていたかもしれないと     いう児童が3人、他に、男の子にわけを話してステ−ジに立てばよかったという児童、約束を守ったのはえらいが、ど     うして友達の誘いを断ったか分からないという児童、一人のために友達の誘いを断りすごいという児童、男の子との約     束を守り心が広いという児童、腕のよさが発揮できてよかったという児童がそれぞれ一人という結果になった。  (3)資料について      本資料は、あまりうれないが腕はいい手品師が、さびしそうにしていた男の子に手品を見せ、明日も来ることを約束     した。その日の夜、友人から電話がきて、「大劇場で手品をしないか。」という誘いを受けた。男の子との約束をとる     か、友人の誘いをとるか迷いに迷った結果、男の子との約束を守り通したという内容である。児童が興味をもつであろ     う手品を素材としており、心優しい手品師と寂しい男の子の出会いを通して、真の誠実さのあり方を深く考えさせるも     のとして最適である。  (4)指導にあたって      手品師が、大劇場に出る夢を捨てて男の子との約束を果たすことを決心するまでに悩み、心の中で葛藤していること     をしっかりと把握させたい。そして、二度とは回ってこないかもしれないチャンスを逃してまでも、男の子のために約     束を守った場面で、書く活動を取り入れ、それをもとに話し合わせるようにしたい。また主人公は最初から迷わずよい     行為をしたのではく、普通の人と同じように自分の都合も考え、非常に迷ったうえでの選択であることも考えさせたい。     また、単に約束だから守ったのだという単純な捉え方や、その日は約束が守れなくてもあとでわけを話せばすむのだと     いう安易な捉え方をしないように気をつけさせたい。そして、これから明朗で快活な生活を送るためにも、自分をごま     かすことなく、明るく精一杯生きようとする気持ちを育てたい。 4 資料分析図  資料名  手品師          ねらい  常に誠実に明るい心で行動しようとする心情を育てる。  場   1 大きな劇場で手品をや    2 寂しそうだった男の子    3 友人からの電話で、迷いに迷う   4 友人の誘いを断り、次の日た −−− りたいと思う、あまりう−−−− に手品を見せる手品師。−−−− 手品師。 −−− ったひとりのお客さまの前で手  面    れない手品師。                                            品を演じる手品師。  主   (1)手品師は、いつもど    (2)寂しそうだった男の    (3)友人から「大劇場で手品をし  (4)友人の誘いを断り、次の日た        んなことを願っていた      子が目を輝かせたのを      ないか。」と誘いを受けた手品    ったひとりのお客さまの前で、 発−−− でしょうか。 −−−− 見た手品師は、どんな−−−− 師は、心の中でどんなことを思−−− 手品師はどんな気持ちで手品を                        気持ちになったでしょ      ったでしょうか。          演じていたのでしょうか。  問                     うか。      ・有名になりたい。       ・男の子のおかげで、自分    ・男の子と約束しなければよかった。  ・友達にはすまなかったが、これ  心   ・手品で生計をたてたい。     も元気になれたぞ。      ・今、友人の話を断ったら、二度と    でよかったんだ。      ・多くの人に自分の手品を    ・自分の手品を見て喜んで     このようなチャンスは回ってこな   ・大劇場には出られなかったが、  の    見てもらいたい。        くれる人がいてよかった。    いぞ。                もう迷いはない。 ・華やかなステ−ジに立ち ・自分の手品が役に立って ・男の子の所に行かなければ、いつ ・男の子が喜んでくれてよかった −−− −−−− −−−− −−−  動    たい。             うれしい。           までも待っているだろう。かわい   ・約束を守ってよかった。すがす      ・大劇場で手品をしたい。    ・男の子が元気になってう     そう。                がしい気持ちだ。  き                    れしい。           ・男の子のことを考えると、約束は                                       破れない。                                                           誠実 変 誠実 明朗 −−−−−−−−  容                   希望                礼儀                 満足 の −−−−−−−−−  様  欲求               同情                葛藤  子  願望                                 後悔    5 本時の指導   (1) ねらい      常に誠実に明るい心で行動しようとする心情を育てる。   (2) 展開 | | +−−+ 教師の働きかけ | 予想される児童の反応 |指導上の留意点 ◇個への配慮|評価| | | +−−+ | | 1 資料「手品師」を読み感想| |・手品師のしたこと、考えたことに着 導 を発表し、課題を設定する。| | 目させ、個々の児童が主人公に対し ・手品師のしたこと、考えた|・腕のよさが発揮できてよかった。 てどんな意識を持っているのかとら ことについてどう思いまし|・友人の誘いを断りすごい。 | える。 たか。 |・どうして友達の誘いを断ったか|◇できるだけ多くの児童に発表させ意 | 分からない。 | 欲付けにしたい。 |・チャンスをむだにして約束を最|・児童の感想をもとに、課題を設定す 入 | 後まで守ったのでとても立派だ。 る。 | |+−−−−−−−−−−−−−−−+ ||友人から誘いの電話を受けた時の| 友人から「大劇場で手品をしないか。」とさそいを受けた手品 |場面を、課題としてとらえることが| 10 師は、心の中でどんなことを思ったでしょうか。 |できたか。 | |+−−−−−−−−−−−−−−−+ 分 | −−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2 手品師の気持になって、考| | える。 | | ・手品師はいつもどんなこと|・有名になりたい。 |・手品師の切なる願いを明らかにする。 を願っていたでしょうか。|・手品で生計をたてたい。 | 手品師としての腕のよさもおさえて 展 |・多くの人に自分の手品を見ても| おく。 | らいたい。 | |・華やかなステ−ジに立ちたい。| |・大劇場で手品をしたい。 | | | ・寂しそうだった男の子が目|・男の子のおかげで、自分も元気|・自分の手品によって、男の子が元気 を輝かせたのを見た手品師| になれたぞ。 | になり、それを見てうれしくなった は、どんな気持ちになった|・自分の手品を見て喜んでくれる 手品師の気持ちに共感させたい。 でしょうか。 | 人がいてよかった。 | |・自分の手品が役に立ってうれし| | い。 | |・男の子が元気になってうれしい。 | | ◎友人から「大劇場で手品を|・男の子と約束しなければよかっ|・書くことにより手品師の心の葛藤に しないか。」と誘いを受け| た。 | 十分触れさせたい。 た手品師は、心の中でどん|・今、友人の話を断ったら、二度|◇意図的指名による発表する活動を通 なことを思ったでしょうか。 とこのようなチャンスは回って| して、価値を深めさせたい。 | |+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | こないぞ。 ||書く活動とそれを発表する活動を通| |・男の子の所に行かなければ、い|して、大劇場のステ−ジに立つ夢より| | つまでも待っているだろう。か|も、男の子の気持ちを踏みにじること| | わいそう。 |ができないという手品師の気持ちが勝| |・男の子のことを考えると、約束|った上での行為だと気付くことができ| | は破れない。 |たか。 | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | ・友人の誘いを断り、次の日|・友達にはすまなかったが、これ|・翌日、男の子の前で手品をしている たったひとりのお客さまの| でよかったんだ。 | 時の、手品師の晴れ晴れとした心に 前で、手品師はどんな気持|・大劇場には出られなかったが、| も気付かせる。 ちで手品を演じていたので| もう迷いはない。 |+−−−−−−−−−−−−−−−−+ 開 しょうか。 |・男の子が喜んでくれてよかった。|誠実な行為をしてよかったという | |・約束を守ってよかった。すがす|手品師の気持ちをとらえることができ| | がしい気持ちだ。 |たか。 | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | 3 自分の生活を見つめる。 | |・学校生活や家庭生活に着目させ発表 32 ・友達や家族との約束を守り| | させたい。 分 通して、よかったなと思っ| |+−−−−−−−−−−−−−−−+ たことはありませんか。 | ||自分の生活を見つめ発表できたか。 | |+−−−−−−−−−−−−−−−+ −−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−− 終 4 教師の説話を聞く。 | |・常に誠実に明るい心で行動すること 末 | | の大切さをとらえさせたい。 3 | | 分 | |