印刷用紙:B4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):126   −−以下 指導案本文−−                        第5学年道徳学習指導案                                      日 時 平成8年10月25日(金) 5校時                                      児 童 5年1組 男13名 女10名 計23名                                      指導者 坂 本  幸 治  1、主題名 公平な態度 (4−B 公正・公平、正義 )  2、資料名 「アンパイアの心」(『みんなの道徳』学研 5年)  3、主題設定の理由   (1)価値について       指導内容の4−Bは、「主として集団にかかわること」の「だれに対しても差別をすることや偏見をもつことなく公正、公平      にし、正義の実現のために努める。」という内容になっている。       人間が、自分の都合のよいほうに心が傾いたり自分の嫌なことには避けて通りたいと思ったりするのは、否定できない。しか      し、そうした自己中心的な気持ちに任せないで、公正・公平な立場にたって物事を処することによって、互いに気持ちのよい生      活ができる。自分にとって不利な立場であっても、言葉に表し、行為に示すことではじめて可能になる。   (2)児童の実態       高学年に仲間入りしたこの時期は、集団生活が一段と活発になってくる。仲間意識が強まる一方で、相手への好き嫌いの感情      がそのまま児童の言動を左右することも多い。実際に学級のなかを見てみると、子供たちはもちろん善悪の判断はついているが、      仲のよい友達や自分より立場の強い友達が少々それたことを行うと正しいことを言えなかったりすることが多分にある。       そこでこの時期の子供たちに自分の身の回りのことだけでなく、社会正義に関しても自律的な判断やその実現への意欲が喚起      されるように促していく必要がある。   (3)資料について       この資料は、決してえこひいきしない審判である主人公が冷静に判断し確信を持って判定したのにもかかわらず、ピッチャ−      の友達自身の不調を主人公のせいにされ自信をなくし、また試合終盤に判定に不服を示した応援団の中学生に高圧的な態度に出      られ、文句を言われるが、校内新聞の作文を見て安心をするという話である。       授業の状況把握では、主人公公一の審判として決してえこひいきしないという立場とピッチャ−広との友情の間で揺れ動く気      持ちを共感させ、後半の価値把握ではライオンチ−ムの応援団の中学生の高圧的な態度にでる場面では、公一のだれに対しても      公正・公平にし、正しいことをやり抜く気持ちに共感させながらも、そうすることの難しさを気づかせ、ねらいに迫りたい。  4、本時の指導   (1)ねらい       だれに対しても公平・公正にし、正しいことをやりぬこうとする意欲を育てる。   (2)展開 +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ |過 程|教師の働きかけ | 予想される児童の反応 |指導上の留意点 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |価|1 価値への方向づけ | | | |導|値| ビデオを見て審判の活躍の感想を発表し| | | | |へ|合う。 | |・判定をくだしている審判のビデオ| |入|の| ○ こういう審判の人たちを見てどう思|・かっこいい |を見て、価値の方向づけをはかる。| | |方| いますか。 |・大変そうだな | | | |向| |・あんなふうに審判してみたいな | | | |づ| | | | | |け| | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |2 資料を読み、主人公の気持ちについて| | | | | | 話し合う。 | | | | | |(1)状況把握 | | | | | | ○ 公一はなぜ「公平君」というあだ|・野球のル−ルをよく知っているから |・公一はクラスのみんなから尊敬さ| | | | 名がつけられているのだろう |・球を見ることがうまい | れて、「公平君」と呼ばれている| | | | |・いつも公平に判定する。 | ことをおさえる。 | |展|価| |・決してえこひいきしない | | | | | | | | | |値| ○ 広に恨めしそうににらまれている|・そんなににらむなよ |・審判としての立場と広との友情と| | | | 公一はどんな気持ちになったのだろ|・審判やめたいな | の間で揺れ動く公一の気持ちを共| | |へ| う。 |・調子が悪いから、ストライクをとってや| 感させたい。 | | | | | りたいな。 | | | |の| | | | |開| |(2)価値把握 |・あれは間違いじゃない |・「僕は正しいんだ」と「間違った| | | | −−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | |追| ○ 応援団の中学生に「ホ−ムランと|・僕は正しいんだ | かも、自信がない」という2つの| | | | |言い直せ」と言われたとき、どんな|・そんなこといったて | 意見から価値に迫りたい。 | | |求| |こと考えただろう。 |・判定を変えないと殴られるかもしれない| | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | | ぞ | | | | | |・自信なくなってきちゃったなあ | | | | | |・もしかして間違い? | | | | | | | | | | | ○ 校内新聞の作文を見たときどんな|・あの判断は正しかったんだ |・正しかったことを認められた喜び| | | | ことを思っただろう。 |・僕のことをわかってくれる人がいた |を素直に出させたい。 | | | | | | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |3 主体的自覚 | | | | |内| 正しいと思っても強く言い切れない経験| | | | | |を振り返って書いてみる。 | |・今までの自分の生活を振りかえら| | |省| ○ 今まで学校生活の中で「正しい」と|・給食の準備のとき、僕の前に横入りして| せる。 | | | | わかっていても、強く言えないときは| きた友達がいたけど、何となくにらまれ| | | |化| ありましたか。 | てしまって「後ろに並んでよ」と言えな| | | | | それはどんなときですか | かった。 | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ |終|ま|4 終末 | | | | |と| 教師の説話 | | | |末|め| | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+  5 資料分析 +−−−−+ +−−−−−−−−+ +−−−−+ +−−−+ |主な場面| | 主人公の意識 | |基本発問| |価 値| +−−−−+ +−−−−−−−−+ +−−−−+ +−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−+ | 友達の広(ピッチャ-) の調子が悪く −−−+・広君、どうしたんだろう。 +−−−+どうして公一は、「公平君」とい+−−−+疑問 | |アンパイアの公一の判定に不満を| |・そんなににらまないでくれよ| |うあだ名がついたのだろう | |不安 | |示す。 | |・ | | | +−+−−−−−+ | | | | | | | +−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | | | +−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−−−+ +−+−−−−−+ | それでも広の調子は悪く、交代+−−−+・だってボ−ルなんだもん。 +−−−+ 広に恨めしそうににらまれた公+−−−+公平・公正 | |をするが、その時、公一は広にに| |・にらむことないじゃん | |一はどんな気持ちになっただろう| |不満 | |らまれる。 | |・やめてしまいたい。 | |。 | +−+−−−−−+ | | |・ストライクとってやりたいな| | | | +−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | | | +−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−−−+ +−+−−−−−−+ | 最終回、ライオンチ-ムは良い当たりを打つが、公一はファ- ・僕の判定は正しいんだ。 −−+ 応援団の中学生に「ホ−ムラン+−−−+不安、怒り | |ルの判定。応援団は飛び出して抗議をするが判定は覆らない。延長 ・あれは間違いじゃない と言い直せ」と言われたとき公一 |公平・公正、正義| |戦に入り、キリンチ-ムが勝利。ライオンチ-ムは公一のせいする ・殴られるかも | |はどんなこと考えただろう。 | +−+−−−−−−+ |。 | |・自信がないな | | | | +−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | | | +−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−−−+ +−+−−−−−−+ | 2週間後、校内新聞にその時の+−−−+・判定を変えないでよかった。+−−−+ 校内新聞の作文を見た公一は、+−−−+安堵感 | |試合の作文が書いてあるのを読み| |・僕のことを解ってくれる人が| |どんなことを思っただろう。 | +−−−−−−−−+ |、公一ははっとした。 | | いた。 | | | | | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−+