印刷用紙:B4縦 1ページの行数:45 1行の文字数(半角で):120   −−以下 指導案本文−−                     第6学年道徳学習指導案                                       日時  平成8年10月25日(火)5校時                                       児童  6年1組男22名女17名計39名                                       指導者 及川 美香子 1、主題名  命のとうとさ(3−A生命尊重) 2、資料名  猛火の中で (みんなの道徳 6年学研) 3、主題設定の理由   (1) 価値について    本主題3−Aは、生命尊重であるが、高学年においては生命は尊いもの、かけがえのないものとのみ知るのではなく、自他   の生命をも尊重する点では低学年や中学年とは少し異なる。    人として授かった「 生命」 は、 人間存在の根本としてなにものにもかえがたく厳粛で尊いものである。 だが、 最近では、 生   命の尊厳さを忘れ、 危険な環境に自らを平気でおいてしまったり、 衝動的な行為で他人を傷つけてしまうことが少なくない。    そこで、 生命尊重の精神を強く認識し、 生命を慈しむ心を持ち続けることがとても大切なのである。  (2)児童について    子供たちは、生命は大切なものだということは言葉の上ではほとんどの児童がわかっている。実際に児童の行動を観察して   みると、 傷ついた小鳥を一生懸命看病したり、 萎れそうな花に水をかけてあげたりする行為は生命を尊ぶものだろう。 しかし、   中には友達が傷つく言葉を平気で言ってみたり、 言葉で問題解決できず平気でたたいてみたりすることもある。 また、登下校   のときなど理解しているはずの交通ルールを守らないこともあり、 自他の生命を危険にさらしていることも少なくない。    また、道徳性検査の結果からも「自然や崇高なものとのかかわり」の面が落ち込みを見せている。内容を見ると、生命尊重   もその一つに入っており、これについては落ち込みが大きい。    このような実態の児童に今こそ、 生命の尊さを実感させ、 多くの人が自他の生命を守るため努力していることを知らせる必   要があると考える。   (3) 資料について    主人公である龍太郎が工場の仲間とともに、工場の消火にあたる場面では、 家族のことを心配する気持ちと、 自分と同じよう   に妻子ある仲間が消火にあたる姿を見て自分もやらなければならないという気持ちが、複雑に入り混じっていることに気づかせ   たい。 気づかせた上で、 家族は無事に避難したにちがいないと自分に言い聞かせながら、消火作業を続けた龍太郎の姿をとらえ   させる。 次に、 自分も疲れて船に避難しようとしたとき、 助けを求める声が聞こえてくる場面では、 自分の命を失いたくないと   いう思いと、 でも助けを求める人をほおってはおけない、 助けなければならないという思いで大きく葛藤する龍太郎の気持ちを   深く考えさせたい。 考えさせた上で、 自分のからだにむちうって、再び助けに行った龍太郎の気持ちをとらえさせ、かけがえの   ない命を救った満足感と生きている喜びを味わわせたい。    尚、主人公である龍太郎のおかれている状況を実感として理解することが龍太郎の気持ちを捉えていく上で必要である。そこ   で、火災や逃げまどう人々の様子がイメージできるような効果音を聞かせ考えさせたい。 4、本時について (1) 本時のねらい    命のかけがえのなさを自覚し、自他の生命を大切にしようとする心情を育てる。 (2)展開 −−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ 過程| 教師の働きかけ | 予想される児童の反応 | 指導上の留意点 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ |価| | | | 導値|1、価値への方向づけ | | | |へ|○生命を粗末にしている新聞記事を見 | | | |の|て話し合う。 | | | |方| | | | 入向|・新聞記事を見て、どんなことを感じ |・ 生命は一つしかない大切なものなのに、 ・ 生命は大切ものということに気づ| |づ|ましたか。 |なぜ、 生命を粗末にするのだろう。 |き、ねらいとする価値に関心が持て| |け| | |るようにする。 | +++−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ ||| | | | |||2、資料を読み、主人公の気持ちについ| | | |||て話し合う。 | | | ||| | | | |価|(1)状況把握 | | | |||○なぜ、龍太郎は、妻やまだ小学生の |・ 関東大震災により、建物がくずれ、火|・猛火(家や人もほのおにつつまれ| 展||息子が気になっていたのだろうか。 |災があちこちの家から起き、風によりそ|るほどの火の勢い)、建物もくずれ| ||| |の火が猛火となっているから、家族は無|ているというまわりの様子をおさえ| |値| |事でいるのか気になっていた。 |る。( 効果音) | ||| |・ 数千人もの人が逃げているから、家族|・ 人々は非難しているが家族は安全| ||| |のことが気になった。 |な所に非難したか気になっていた龍| ||| | |太郎をおさえる。 | |||○消火する動きがにぶったとき、 龍太 |・ 家に帰りたい。そして家族を助けたい。 ・家族のもとへかけつけたい気持ち| |||郎はどんなことを考えていただろう。 |いっそ逃げようか。 |と一緒にがんばっている仲間への思| |の| |・ ここにいたら、 家族ともう会えないか|いなど龍太郎の複雑な旨の内に共感| ||| |も知れない。 逃げたい。 |させる。 | ||| |・ 他の仲間もがんばっているのに逃げ出| | ||| |すわけにはいかない。 |・「言い聞かせた」 という言葉に着目| |追| | |させ、ほのおに立ち向かっていった| ||| | | |龍太郎についておさえる。 | |||(2) 価値把握 | | | | ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | ||| 龍太郎は、 自分も船にのがれようと||・ 今、 助けたら、 自分もおぼれ死ぬかもし・自分の身の安全を図るか、他人の| |求| したとき、 また「 助けて」 と叫ぶ声が聞れない。 だから、 助けに行くのはやめよう。 生命を救うかでゆれる龍太郎の心情 ||| こえてきた。 そのとき龍太郎は心の中|・ どうしようか。助けに行けばおぼれ死|を考えさせる。 | ||| でどんなことを考えただろう。 ||ぬかもしれない。 でも、 助けを求めている・「つかれきったからだにむちうっ| ||+−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | ||| |人を見捨てるわけにはいかない。 |て再び助けにいった」という言葉を| |把| |・助けに行こう。苦しんでいる人をほお|おさえ、力を尽くしてかけがえのな| ||| |っておけない。 |い命を助け出しに行った龍太郎の気| ||| | |持ちを考えさせる。 | 開握|○龍太郎は、船の中に横たわっている |・あのとき、見捨てずに助けて本当によ|・力を尽くして、かけがえのない命| |||人たちをどんな気持ちで見つめただろ |かった。 |を助け出した満足感と、生きている| ||| | | −+ |||う。 |・多くの人が助かってよかった。 |ことの喜びを感じとらせる。 | ||| |・生きていてよかった。 | | |++−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ |内|( 3) 主体的自覚 | | | | | | | −+ |省|○今まで生命はかけがえのないものだ | |・人間だけに限らず動植物の場合も| |化|と考えたことはありませんでしたか。 | |あることを考えさせる。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ 終ま|3、終末 | | | |と|○子供の作文から | |・命の尊さとそれが多くの人に守ら| 末め| | |れていることを印象づける。 | −−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+ 資料分析 +−−−−+ +−−−−−−−+ +−−−−+ +−−+ |主な場面| |主人公の意識 | |基本発問| |価値| +−−−−+ +−−−−−−−+ +−−−−+ +−−+ −−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−+ 龍太郎のつとめている工場に人々が| |・地震によって建物がくずれ、その後に| | なぜ、龍太郎のつとめている工場に | |生命尊重| +−−−−−−−−+ +−−−−−−−+ +−−+ | 悲鳴をあげながら、しかも夢中でにげ| |火災があちらこちらの家から起き、同時| |数千人の人々が悲鳴をあげながら、し | |驚き | こんできた。 | |に風が吹き出して猛火になり、人々が追| |かも夢中で逃げ込んできたのだろうか。| |あせり | −−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−+ | |われ、 レンガ造りの工場ににげこんできた | | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | −−−−−−−−+−−−−−−−−+ −−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−−+ 家や家族のことを心配して一人去り| ・家に帰りたい。そして家族を助けたい。 | | 消火する動きがにぶったとき、 龍太郎| |使命感 | −+−−−−−−−−+ +−−−−−−−+ +−−+ | ふたり去りして残ったのは龍太郎ほか| |いっそ逃げようか。 | |はどんなことを考えていただろう。 | |家族愛 | 数名になっても消火活動につとめたが| ・ここにいたら、 家族ともう会えないかも| | | | | | | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−−+ 龍太郎の消火する動きはにぶった。 | |しれない。 逃げたい。 | | −−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | ・他の仲間もがんばっているのに逃げ出 | | | すわけにはいかない。 | | | −−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | | | | −−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−−+ 龍太郎は、おぼれそうになっている| |・今、助けたら、自分もおぼれ死ぬかも| | 龍太郎は自分も船にのがれようとし | |生命尊重 | 人を助けあげたが、ついに自分も疲れ| |しれない。だから、助けに行くのはやめ| |たとき、また「助けて」と叫ぶ声が聞 | |決断 | +−−−−−−−−+ +−−−−−−−+ +−−+ | て船にのがれようとしたとき、また、| |よう。 | |こえてきた。そのとき、龍太郎は心の | | | | | | | | +−−−−−−+ 「助けて」とさけぶ声が聞こえた。龍| |・どうしようか。助けにいけばおぼれ死| |中でどんなことを考えただろう。 | | | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ 太郎は船べりに手をかけたまま迷った。 |ぬかもしれない。でも、助けを求めてい| | −−−−−−−−+−−−−−−−−− | | | | |る人を見捨てるわけにはいかない。 | | | |・助けに行こう。苦しんでいる人をほお| | | |ってはおけない。 | | | +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | −−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−+ 龍太郎は、船の中に横たわっている| |・あのとき、見捨てずに助けて本当によ| | 龍太郎は、船の中に横たわっている | |生命尊重 | +−−−−−−−−+ +−−−−−−−+ +−−+ | 人たちを見つめながら、あの猛火の中| |かった。 | |人たちをどんな気持ちで見つめただろ | |満足感 | でよく助けられたものだと静かに思い| |・多くの人が助かってよかった。 | |う。 | |安堵感 | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−+ かえしていた。 | |・生きていてよかった。 | −−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+