印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):92   −−以下 指導案本文−−    第2学年道徳学習指導案                          日 時 平成8年11月26日(火)2校時                          学 級 2 年男18名 女12名 計30名                          授業者 松 田 貴美子 1 主題名  しょうじきな子どもたち(1−4 誠実・明朗) 2 資料名  「みかんの木のてら」(「みんなのどうとく2ねん」学研) 3 主題設定の理由  1 価値について     低学年の内容項目1−4は「うそをついたりごまかしをしたりしないで、素直に伸び伸びと生活    する」とあり、「児童に積極的で健康的な自己像を描かせるには、さらに自分自身に対する誠実さ    や、明るく楽しい生活を心掛ける姿勢をもたせることが大切である」としている。これを受けて中    学年では1−5「正直に、明るい心で元気よく生活する」に発展し、高学年では1−4「誠実に、    明るい心で楽しく生活する」に発展している。     うそやごまかしをしないで、誠実に行動することは、周りの人たちにとっても、自分自身にとっ    ても気持ちのよいものである。また、それは信頼に基づく人間関係を作るうえで重要なことである。    この期の子ども達はうそやごまかしはいけないことだと知っている。しかし、日常生活の中でさま    ざまな問題の解決をめぐっては、特に損得や利害がからんでくると、自分の都合のいいようにごま    かしてしまうことがある。自分の言動が正しいかどうかや、相手や自分の心を傷つけることになる    かもしれないということについて、あまり考えようとはしない。うそをついたりごまかしたりする    と、相手にも自分にも心の奥に不快な気持ちが残る。     そこで、本主題では明るく誠実にふるまうことの気持ちよさと大切さを考えることを通して、ご    まかしをしないで、明るくのびのびと生活しようとする心情を育てることをねらいとする。  2 児童の実態について     学級の子ども達は明るく元気で、好奇心が旺盛である。事の善悪についての意識はかなりはっき    りしてきている。しかし、まだ自己中心的であるため、とにかく自分の欲求をかなえたいとする傾    向があり、行動が伴わないことが多い。     日常生活の中で、人が見ていなかったり、損得や利害がからんだりしてくると自分の都合のいい    ようにごまかしをすることがある。例えば、仕事を楽にしたいとか、ゲ−ムに勝ちたいとかという    ようなときに自分に都合のいい言動をとっている。また、人に迷惑のかからない個人にのみ関わる    ものも含めれば、かなりの子どもがごまかしをした経験を持っていると思われる。しかも、その多    くが罪悪感を伴っていないため、記憶の中に留まっていないのではないかと思われる。     そこで、意図的に資料の世界にひたり、筋に沿いながら主人公の心情を考える活動を通して、自    分の生活を振り返らせ、ごまかしをせず誠実であることの大切さを感じ取らせていきたい。  3 資料について     本資料は、主人公のいちろうたちがお寺のみかんの木からみかんを取ろうとして、おしょうさん    に叱られ逃げてしまう。みかんの木の下に行くたびに、木には「みかんをとるな」「まだとるな」    「あすまでおまち」と書かれた札が下がっている。次の日行ってみると、みかんがひとつもなくな    っている。しかたなく帰ろうとすると、かごに入ったたくさんのみかんの上に、「みんなでおあが    り」というおしょうさんの手紙を見つけ、自分たちの態度を考えるという内容である。     いちろうたちのこそこそした態度と、お寺のおしょうさんの広い心が対比して表されている。お    しょうさんの手紙の言葉から、その広い心に触れることによってごまかすことの恥ずかしさに気づ    かせ、誠実に行動することの大切さを考えさせるのに適切な資料であると考える。     指導にあたっては、資料を分割して提示する。これはよりいちろうに同化させ、そのときそのと    きのいちろうの気持ちを新鮮に考えさせることをねらいとするものである。     一度叱られながらもまたお寺に集まったいちろうたちは、たとえ札があってもみかんを取ろうと    思えば取ることができたはずである。しかし、取らずに帰っていった。そこには迷いや葛藤があっ    たのではないかと考え、その場面を役割演技させることにより、いちろうたちの迷いをじっくり考    えさせたい。また、「あすまでおまち」と期待させておきながら、その期待が裏切られたと思った    いちろうたちに共感させたい。おしょうさんの手紙の「ぬすんでたべたらすっぱい」の意味を考え    させることで、いちろうたちの行為を振り返り、ねらいとする価値に迫っていきたい。 4 本時の指導  1 ねらい   ごまかしをしないで、明るくのびのびと生活しようとする心情を育てる。  2 展 開 +−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |過 程|学習活動(教師の働きかけ)| 期待する児童の反応 | 指導上の留意点 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | |問|1 みかんについてのイメ−| |・みかんを提示し、資料へ| | |題| ジを想起する | | の興味づけを図る。 | |導|の| ○ このみかんを見てどん|・食べたい。 |・みかんを「食べたい」と| |入|意| なことを思いますか。 |・おいしそう。 | いう思いを抱かせたい。| | |識| | | | |3|化| | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | | |2 資料(ア)の部分を知り| |・情景画を使って語り聞か| | | | いちろうたちの気持ちにつ| | せをする。 | | | | いて話し合う。 | | | |展|問| | | | |開|題| @ こっそりみかんを取ろ|・早く食べたい。 |・みかんを取って食べたい| |前|の| うとしたとき、いちろう|・おいしそうだな。 | といういちろうたちの気| |段|具| たちはどんなことを思っ|・うまく取れるかな。 | 持ちに共感させたい。 | | |現| ていたでしょう。 |・見つかったらどうしよう| | | |化| | | | | |/| A みかんの木に下げられ|・札があっても取ろうよ。|・役割演技でいちろうたち| | |価| た札を見て、いちろうた|・食べたいけどまた見つか| の気持ちを考えさせる。| | |値| ちはどんなことを考えた| るかも。 |・次の日もみかんの木の下| | |の| でしょう。 |・やっぱり取ることはいけ| に集まったことに着目さ| | |追| | ないことだよ。 | せる。 | | |究| |・待てばもらえるかもしれ|・みかんを食べたいという| | |・| | ない。 | 気持ち、いけないという| | |把| | | 良心、おしょうさんへの| | |握| | | 期待など揺れ動く気持ち| | | | | | をとらえさせたい。 | | | |3 資料(イ)の部分を知り| | | | | | 話し合う。 | | | | | | B みかんがひとつもない|・やっぱり、取って食べれ|・期待を裏切られた気持ち| | | | のを見たとき、いちろう| ばよかった。 | や残念がる気持ちに共感| | | | たちはどんなことを思っ|・おしょうさんにだまされ| させたい。 | | | | たでしょう。 | た。 | | | | | | | | | | | | | | | | |4 資料(ウ)の部分を知り| | | | | | 話し合う。 | | | | | | C おしょうさんの手紙を|・こっそり取ろうとして、|・おしょうさんが書いた手| | | | 読んで、いちろうたちは| ごめんなさい。 | 紙を見て、自分たちがと| | | | どんなことを考えたでし|・あのとき取らなくてよか| った行動を振り返らせ、| | | | ょう。 | った。 | ねらいとする価値に迫ら| | | | |・あのとき取らなかったか| せたい。 | | | | | ら、こうしてみかんがも| | | | | | らえたんだ。 | | | | | |・だまって取って食べたら| | |30| | | きっとまずかったと思う| | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | |価|5 自分の生活を振り返る。| | | | |値| ○ ごまかそうとしたけれ|・「宿題はない」と言って|・いちろうくんへの手紙と| |展|の| ど、正直に行動してよか| 遊びに行こうとしたけれ| いう形で自分の生活を振| |開|内| ったと思ったことはあり| ど、宿題をやってから遊| り返らせたり、価値に関| |後|面| ませんか。いちろうくん| んだ。 | わって自分の思いを表現| |段|的| に教えてあげましょう。|・ずるをしてそうじをさぼ| させたりする。 | | |自| | ろうと思ったけれど、や| | |7|覚| | めた。 | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | |学|6 本時のまとめをする。 | | | | |習| ○ 友達の書いた手紙を聞| |・誠実に行動して気持ちよ| |終|の| いてみましょう。 | | かった子どもの話を紹介| | |整| | | し、今後の実践の意欲づ| | |理| | | けを図る。 | |末|・| | | | | |ま| | | | | |と| | | | |5|め| | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ 3 板書計画 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | みかんの木の てら | | ・おいしそう | | ・早く食べたい | | ・見つかったらどうしよう | | | | | | | |つぎの日 | |+−−−−−−−+ | ||みかんをとるな| | ||まだすっぱいぞ| | |+−−−−−−−+ | |そのつぎの日 | |+−−−−−−−+ | ||あと四・五日だ| | ||まだとるな | ・食べたい | |+−−−−−−−+ ・とろうよ | |+−−−−−−−+ ・でも、いけないよ | ||あと一日 | ・くれるかもしれない | ||あすまでおまち| | |+−−−−−−−+ | | みかんが ・だまされた | | ひとつもない ・くやしい | | ・とってたべればよかった | |+−−−−−−−−−−+ | ||おいしくなったよ | ・とろうとしてごめんなさい | || みんなでおあがり| ・とらなくてよかった | ||ぬすんでたべたら | ・ぬすんだらまずかっただろう|  || すっぱい、すっぱい| ・ずるをしてはいけない |  || みかんのきのてらの| |  || おしょう| |  |+−−−−−−−−−−+ |  +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 5 資料分析図 主題名  しょうじきな子どもたち (価値 1−4 誠実・明朗)           資料名  みかんの木のてら    (出典 「みんなのどうとく2ねん」学研)+−−+ +−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−− −−+ +−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−+ | | | お寺の門の中のみかんの実| | 次の日、またお寺に集まる| | 「あすまでおまち。」とい| | みかんがたくさん入ったか| |場 | |を、いちろうたちはこっそり| |と、木に「みかんをとるな。| |う札が掛けられた次の日、お| |ごを見つけ、それには「みん| | | |取って食べようとするが、 | |まだ、すっぱいぞ。」と書か| |寺に行ってみると、みかんは| |なでおあがり。ぬすんでたべ| | | |「こらっ。」という声にみん+−−+れた札が下がっていた。 +−−+ひとつもなかった。 +−−+たらすっぱい、すっぱい。」| |面 | |な逃げてしまう。 | | | | | |というおしょうさんからの手| | | | | | | | | |紙が添えられていた。 | +−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ | | | | +−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ | 登| |・食べたいな。 | |・取ろうかな。 | |・だまされた。 | |・盗んで食べていたら、本当| | 場| |・うまく取れるかな。 | |・やめようかな。 | |・やっぱり、食べてしまえば| | においしくなかっただろう| |心人| |・見つかったらどうしよう。| |・「まだ」ってことは、いつ| | よかった。 | |・おしょうさんは僕たちに教| |の物| |・見つかった。逃げろ。 +−−+ かはいいのかも。 +−−+・取られたくないから、あん+−−+ えてくれたんだ。 | |動の| | | |・明日まで待ってみようかな| | な札を下げたんだ。 | |・ごまかしをしてはいけない| |き | | | | | | | | んだ。 | +−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ | | | | +−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ | | |@ こっそりみかんを取ろう| |A みかんの木に下げられた| |B みかんがひとつもないの| |C おしょうさんの手紙を読| |基 | | としたとき、いちろうたち| | 札を見て、いちろうたちは| | を見たとき、いちろうたち| | んで、いちろうたちはどん| |本 | | はどんなことを思っていた| | どんなことを考えたでしょ| | はどんなことを思ったでし| | なことを考えたでしょう。| |発 | | でしょう。 +−−+ う。 +−−+ ょう。 +−−+ | |問 | | | | | | | | | | | | | | | | | | | +−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ | | | | +−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ | 期| |・早く食べたい。 | |・札があっても取ろうよ。 | |・やっぱり取って食べればよ| |・こっそり取ろうとして、ご| |児待| |・おいしいかな。 | |・食べたいけどまた見つかる| | かった。 | | めんなさい。 | |童す| |・うまく取れるかな。 | | かも。 | |・おしょうさんにだまされた| |・あのとき取らなくてよかっ| |のる| |・見つかったらどうしよう。+−−+・やっぱり取るのはいけない+−−+ +−−+ た。 | |反 | | | | ことだよ。 | | | |・だまって取って食べてたら| |応 | | | |・待てばもらえるかも。 | | | | きっとまずかったと思う。| +−−+ +−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−+−−−−−−+ +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−+ |主価値| 誠実・明朗 | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+