印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):92   −−以下 指導案本文−−                      第3学年道徳学習指導案                     日 時 平成8年9月11日(水)3校時                     学 級 3 年 1 組男10名 女12名 計22名                     授業者 千 葉 郁 子 1 主題名   正しいことは思いきって (1−4 勇気) 2 資料名   「あと、ひとこと」(「みんなのどうとく」学研) 3 主題設定の理由  1 価値について     中学年の内容項目1−4は、「正しいと思うことは、勇気をもって行う。」とあり、低学年で    「自分がよいと思うことは進んで行う」ことを発展させ、正しいと思うことを勇気をもって、主    体的に取り組める児童を育てようとするものである。そして、高学年になれば自分なりにより高    い目標を立て、その目標を実現させるべく希望と勇気をもってくじけないで努力する内容へと発    展・統合していく。     真の勇気とは不正を憎む心、そしてそれを行動に移せる心の強さである。人が社会生活を営む    中でよりよく生きようとするためには、勇気ある態度で生活するということが大切である。     しかし現実の社会生活の中では、こうすることが正しいと思っても人は出合ったさまざまな課    題に対して自分の周りの条件や利害関係,さまざまな誘惑によって行動が左右されてしまうこと    が多い。だからわかってはいるけれど行動に移せなかったり、ついやってしまったりということ    が生活の中でよく起きるのである。     この期の児童は物事に対して自分なりの判断ができるようになり、徐々に自分や他人の言動を    見つめることができるようになってきている。それで正しいこと正しくないことの判断は、それ    ほど難しくないと考える。     そこで望ましい人間関係を維持し発展させていくために、正しいことと正しくないことを見極    め、誘惑や利害に負けずに勇気をもって行動しようとする態度を育てることをねらいとする。  2 児童の実態について     学級の児童は、明るく素直であり、自分の意志をはっきりと持っている児童が多い。特に女子    の方が判断力があり、自分の考えをはっきりと主張し活発である。友だちを中傷した児童に対し    て何人かの児童が注意を与えたりする場面もみられ、学級の雰囲気として不正を憎み正しい行動    をしなければいけないという意識は育ってきている。     しかし児童一人一人に目を向けると、自分の感情を常に優先する児童、自分なりの判断ができ    ない児童、正しい判断ができても実行できない児童等多様である。そのため主張の強い児童に流    されて追随したり、はっきり嫌だとことわれなかったり、注意してもわかってくれないとあきら    めていたり、生活の場面で友だちとのトラブルが起きている。     以上のような実態から、本主題の学習を通して、児童一人一人が正しいことを見極め、周囲の    雰囲気や誘惑に負けずに勇気をもって行動することの大切さに気づかせていきたい。  3 資料について     木下君は、いっしょに遊んでいた黒田君と中山君に「ぼうけんごっこ」をしないかと誘われる。    となりの家のへいの上を歩くことは家の人に止められていることもあり、悩みながらも断った。    しかし二人から言われた言葉が気になって、一人思い悩みながら家へ帰った。玄関に入るとお母    さんから、二人が大けがをしたことを知らされる。木下君は遊んでいた時のことを母親に話す中    で自分の足りなかったことに気づいていくという内容である。     友だちや周囲の人の反応が気になって、正しいとわかっていてもそれを主張できないことは生    活の中でよくあることである。児童は、木下君の心情に共感できると同時に自分の生活経験と照    らし合わせながら考えやすい資料である。     指導にあたっては、展開前段で資料を読み聞かせによって提示する。そして「ぼうけんごっこ」    をことわった木下君の心情を考えさせ、かろうじてさそいをことわったものの、二人の言動によ    って心の中では葛藤があったことをつかませる。次に自分はまちがっていないとは思いながら、    二人に言われた言葉が気になり思い悩んでいる木下君の心情に共感させる。そして正しいことを    貫き通すことの難しさを感じ取らせたい。木下君の心情を問う発問では心情図を活用して、多様    な考えを引き出していきたい。そして母親が言った「少し足りなかったわね。」という言葉をヒ    ントに木下君と母親の役割演技を通し価値に迫っていきたい。     展開後段では、自分が正しい行動を行っている理想の姿を思い描かせ、現実の自分とよりよく    生きたいと願う自分に気づかせたい。そして実践への意欲づけを図りたい。 4 本時の指導  1 ねらい   正しいと思うことは勇気をもって行う態度を育てる。  2 展 開 +−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |過 程| 学習活動(教師の働きかけ) 期待する児童の反応 | 指導上の留意点 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | |問|1 十円玉をひろっても届け| |・正しい行動を阻むさまざ| | |題| ない理由を発表する。 | | まな理由を共感的に発表| |導|の| ○ 十円玉をひろって届け|・めんどくさい。 | させる。 | | |意| なかったことがあります|・恥ずかしい。 |・どうしたら正しいと思う| |入|識| か。その理由を教えてく|・たった十円だ。 | 行動がとれるのか考える| | |化| ださい。 | | ことを提示し、価値への| |3| | | | 方向づけを図る。 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | | |2 資料を読んで話し合う。| |・読み聞かせによって資料| | |問| | | を提示する。 | | | | | |・木下君の気持ちを考えな| | |題| | | がら聞かせる。 | |展| | @ 木下君はどんな気持ち|・やってみたいけど、家の|・かろうじてさそいを断っ| | |の| で「 ほくは、やっ| 人にとめられている。 | たものの、心の中では葛| | | | ぱりやめとく。」と言っ|・ことわったらおこるかな| 藤があったことをつかま| | |具| たのでしょう。 | でも、できない。 | せる。 | | | | |・あぶないことだから、や|・木下君の心を心情図で表| | |現| | っぱりやめよう。 | 示する。 | | | | |・「やめようよ。」と言い| | |開|化| | たいけれど、言えない。| | | | | | | | | | | A 石ころをけとばしたり|・もどっていっしょにやろ|・正しいことをしたと思い| | |/| たんぽぽの葉っぱをむし| うかな。 | ながらも、二人から言わ| | | | りながら木下君はどんな|・断ったので、もう遊んで| れた言葉が気になり、ゆ| | | | 気持ちで帰っていったで| もらえない。 | れ動く木下君の気持ちに| | | | しょう。 |・ぼくだってそのくらいで| 共感させる。 | |前| | | きるんだ。 |・正しいことを貫き通すこ| | | | |・もっと、はっきり言えば| との難しさを感じ取らせ| | | | | よかった。 | たい。 | | | | |・ぼくは正しいことをした|・木下君の気持ちを自分な| | |価| | んだ。 | りに心情図で表現させる。 | | | | | | | |値| B お母さんが言った「少|・あぶないことだと注意す|・木下君とお母さんになっ| |段| | し足りなかったこと」と| ること。 | て役割演技をさせる。 | | |の| は、何でしょう。 |・はっきりと注意してやめ|・二人がけがをしたという| | | | | させること。 | 事実から、木下君と二人| | |追| |・正しいことをはっきりと| の関わりをふりかえらせ| | | | | 言える大きな勇気。 | 木下君に足りなかったこ| | |究| | | とを気づかせる。 | | | | | |・演技を観ての感想やアド| |32| | | | バイス、演技者の感想等| | | | | | も取り入れていく。 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |展|価|3 自分のあるべき姿を思い| | | | |値| 描く。 | | | |開|の| ○ 今まではできなかった|・きまりを守っていない |・道徳カードに書かせる。| | |内| けれど、もし同じような| 友だちに注意する。 |・理想の姿を思い描くこと| |後|面| ことが起きたら、こんな|・嫌なことは、はっきり | で、現実の自分とよりよ| | |的| ふうにやりたいなあとい| とことわる。 | く生きたいと願う自分に| |段|自| うことを書いてみましょ| | 気づかせる。 | | |覚| う。 | |・実践への意識化も図りた| |7| | | | い。 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | |学|4 書いたものを発表する。| | | | |習| ○ みんなが書いた自分の| |・心情図を用いて発表させ| |終|の| 姿を発表してください。| | る。 | | |整| | |・勇気ある行動の良さを感| | |理| | | じ取らせたい。 | |末|・| | |・発表を聞く中で実践への| | |ま| | | 意欲を高めさせたい。 | | |と| | | | |3|め| | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ 5.(資料分析図)  主題名  正しいことは思いきって    (価値 1−4 勇気)   資料名  あと、ひとこと        (出典 学研)         +−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−− −−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | 木下君は、黒田君と中山君に「ぼうけ| | 木下君、は二人から言われた言葉が気| | 家に帰るとお母さんから、二人がへい| |場 | |んごっこ」をしないかと誘われる。隣の| |になり、石ころをけとばしたりたんぽぽ| |からすべり落ちて大けがをしたことを知| | | |家のへいの上を歩くことは、家の人にと+−−−+の葉っぱをむしりながら、一人家に帰る。 −−−+らされる。木下君が遊んでいた時のこと| | | |められていることもあり、ことわる。 | | | |をお母さんに話し、自分の足りなかった| |面 | | | | | |ことに気づく。 | | | | | | | | | +−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | +−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | 登| |・やってみたいなあ。 | |・ぼくは正しいことをしたんだ。 | |・けがをしてもしかたがない。 | | 場| |・おもしろそうだなあ。 | |・もっとはっきり言えばよかった。 | |・やめてよかった。 | |心人| |・あぶないからやめたほうがいい。 +−−−+・ぼくだってそのくらいできるぞ。 +−−−+・けがは、ひどいのだろうか。 | |の物| |・二人が強く言うからこまったな。 | |・もう遊んでもらえないかなあ。 | |・はっきりと注意してやめさせればよか| |動の| |・ことわったらおこるかな。 | |・いまからもどってやろうかな。 | | った。 | |き | |・家の人に、とめられている。 | | | | | +−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | +−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | |@木下君は、どんな気持ちで「−−ぼく| |A石ころをけとばしたりたんぽぽの葉っ| |Bお母さんが言った「少し足りなかった| |基 | | は、やっぱりやめとく。」と言ったの| | ぱをむしりながら、木下君はどんな気| | こと」とは、何でしょう | |本 | | でしょう。 +−−−+ 持ちで家に帰っていったのでしょう。+−−−+ | |発 | | | | | | | |問 | | | | | | | | | | | | | | | +−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | +−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | 期| |・やってみたいけれど、家の人にとめら| |・断ったのでもう遊んでもらえない。 | |・あぶないことだと二人に注意すること。 |児待| | れている。 | |・ぼくだってそのくらいできるんだ。 | |・はっきりと注意して二人をやめさせる| |童す| |・ことわったらおこるかな。でもできない。 −−+・もっとはっきり言えばよかった。 +−−−+ こと。 | |のる| |・あぶないことだから、やっぱりやめよう。 |・ぼくは正しいことをしたんだ。 | |・二人にどう言われようと正しいことを| |反 | |・「やめようよ。」と言いたいけれど、| | | | はっきりといえる大きな勇気。 | |応 | | 言えない。 | | | | | +−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ |主価値| 勇 気 | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+