印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):92   −−以下 指導案本文−−                第3学年道徳学習指導案                     日 時 平成8年11月26日(火)1校時                     学 級 3 年 1 組男10名 女12名 計22名                     授業者 千 葉 郁 子 1.主題名   あやまちを改める (1−2思慮・反省) 2.資料名   「まどガラスと魚」(文溪堂「3年生のどうとく」) 3.主題設定の理由 (1)価値について     中学年の内容項目1−2は、「よく考えて行動し、過ちは素直に改める。」とあり、自分を振    り返り、よく考えて行動することのできる児童を育てようとするものである。低学年の内容項目    1ー1「節度・節制、自立」とつながりをもち、高学年の内容項目1ー1「思慮・反省、節度・    節制」における指導に発展的に統合されていく内容項目であり、中学年で特に重点化されている    内容であるといえる。     人は、他の人とかかわりながら生きている。そのかかわりの根底に相互信頼がなければならな    い。そうした信頼関係をより強くしていくものは、その人らしい誠実な生き方である。人に認め    られようと認められまいと、自分自身の良心に従ってせいいっぱい生きることこそ、誠実な生き    方である。そしてこうした生き方が、他に対して共感を呼び、より深い信頼関係を築いていくの    である。     誠実な生き方をするためには、自らの行為に対して自ら自己を見つめること、すなわち自分の    行為に対する思慮・反省がなくてはならない。常に自分の行為を振り返り、過ったことをしたと    気づいたなら、「自分としてこのままでよいのか。」と良心に対して呼びかけを行いながら、過    ちを改めていくことが大切である。     また、自己の確立にとっても自分を客観的に見つめ、内省することは不可欠な要素である。中    学年ごろから認識能力が向上してくるので、他の人の行為を見て自分を振り返り反省することが    できるようになる。そして徐々に生活全体の中に反映され、主体性のある自己が形成されていく。     本主題では、過ちはだれにでもあることで、大切なのはそのことに気づいた時の態度であると    いう視点に立ち、自分の行いを振り返り、過った行為をしたと気づいたならば、良心に従って素    直に改めていこうとする態度を育てることをねらいとする。 (2)児童の実態について     学級の児童は、明るく素直であり活動的である。自分中心の見方、考え方から、自分の行動と    他の人の行動を相互に見れるようになり、自分の行動の善悪についても、ある程度反省しながら    把握できるようになってきた。しかしながら、友達とトラブルを起こした時などには、自分の感    情や行動を最優先に考える傾向が多く見られる。自分に悪い点があってもそれを素直に認めよう    とせず、相手の行動ばかりを攻めたり、自分を正当化しようとしたり、あげくの果てにはうそを    ついたりしてしまうこともある。     どの児童も心の中では今よりもっと良い自分になりたいという願いを持っている。それゆえ、    自分が悪いということは頭でわかっていても、悪いことを認めることは願いに反して自分が悪い    子になるようで、なかなか認めたくないという心情もある。以上のような実態から、自分の行い    を振り返り、過ちを犯したときには、素直に改めようとすることが人間として大切であることに    気づかせていたい。 (3)資料について     千一郎は、自分の投げたボールで窓ガラスを割ってしまうが、そのまま逃げ出してしまう。そ    の後、気になり何度も窓ガラスを割った家の前に足を運ぶ。しかし、結局自分から言い出すこと    ができず心を重くする。ところが飼い猫のしたことを謝る山田さんのおねえさんの誠実な態度に    触れ、自分の過ちを反省し謝りに行くという内容である。     過ってガラスを割るということは、日常の生活の中でありうることである。殊に本校の校舎に    はガラスが多く使われているので、児童はガラスが割られた場面を何度か見ているし、児童の中    にはガラスを割ってしまった経験をもつものもいる。したがって、自分の経験と重ね合わせて考    えられる資料である。また、物の違いはあれ、児童は日常何かを壊したり割ったりし、その中で    心の葛藤をさまざま味わっているので、より主人公の心情に共感できると考えられる。     指導にあたっては、ガラスをこわした罪の意識、謝らなければいけないとはわかっていても、    素直に行動できない千一郎の心の内を推し量ることによって、人間のもっている弱さに十分共感    させたい。そして、過ちをそのままにしておくことが自分を苦しめることにつながることにも気    づかせたい。さらに、自分の行動とは相反する山田さんのお姉さんの誠実な態度に触れることで、    謝ろうと決断した千一郎の心の葛藤を謝る千一郎、黙っている千一郎、二人の千一郎の役割演技    を通して考えさせ、一人ひとりの考えを心情図を使って表わさせる。そして、自分の行いを振り    返り、過ちを反省し改めていくことが大切であることに気づかせたい。 価値の自覚の場面では、    千一郎のように自分たちの心の中には常に相反する価値を持つ自分が存在していること、そして    どちらの自分の存在が大きいのかを自覚させながら、自己を見つめさせたい。 4.本時の指導 (1)ねらい   自分の行いを振り返り、過ちは素直に改めようとする態度を育てる。 (2)展開 +−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |過 程| 学習活動(教師の働きかけ)| 期待する児童の反応 | 指導上の留意点 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | |問|1.友だちとけんか別れをし| |・けんかをしたまま別れた| |導|題| てしまった後の心情につい| | 後の心情を話合い、過ち| | |の| て話し合う。 | | の後でいろいろと悩み反| |入|意| ○友だちとけんかをしたま|・気が重い。 | 省していることに気づか| | |識| ま家に帰ったことはあり|・けんかをしなければよか| せ、価値への方向づけを| |5|化| ませんか。その時の気持| ったと後悔する。 | 図る。 | | | | ちを話してください。 |・仲直りをしようと思う。| | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | | |2.資料を聞いて千一郎の気| |・録音テープを流し、資料| | | | 持ちについて話し合う。 | | を提示する。 | | | | | |・資料を三つの部分に分け| |展|問|1資料(ア)の部分を視聴し| | て提示する。 | | | | 話し合う。 | | | | |題| @窓ガラスを割って逃げた|・しまった。大変なことを|・謝らなければという気持| |開| | とき、千一郎はどんな気| した。 | ちはありながら、反射的| | |の| 持ちだったでしょう。 |・どうしよう。 | に逃げてしまった千一郎| | | | |・謝まらなきゃ。 | の気持ちをつかませる。| |前|具| |・文助が言うから逃げよう| | | | | | | | | |現| A窓ガラスを見に行った千|・相手の家の人に悪いこと|・徐々に増してくる不安や| |段| | 一郎は、どんな気持ちに| をした。 | 罪悪感、素直に謝らなけ| | |化| なったでしょう。 |・謝りたい。 | ればと思いながら、張り| | | | |・相手の家の人は怒ってい| 紙が心に重くのしかかり| | |/| | るだろうな。 | 謝れない千一郎の心の迷| | | | |・怒られるのがこわい。 | いをつかませる。 | | |価|2資料(イ)を視聴し、千一| | | | | | 郎の気持ちについて話し合| | | | |値| う。 | | | | | | B千一郎は、どうして謝ろ|・ガラスを割ったことは悪|・千一郎の気持ちの中には| | |の| うという気持ちになった| いことだ。 | 謝ろうとする気持ちと黙| | | | のでしょう。 |・ガラスを割ったのに何も| っていようという気持ち| | |追| | いわず逃げたことは恥ず| があることを確認する。| | | | | かしい。 |・謝る千一郎、黙っている| | |究| |・ぼくのとった行動は間違| 千一郎、二人の千一郎に| | | | | っていた。 | なって役割演技をさせ、| | |・| |・お姉さんのようにきちん| 心の葛藤を考えさせる。| |30| | | と謝ろう。 |・演技は、演技を観る観点| | |把| | | や演じる観点を明確にす| | | | | | る。 | | |握| | |・観衆は二人のやり取りを| | | | | | 聞き、千一郎の心情を心| | | | | | 情図で表示し、一人ひと| | | | | | りの考えを持たせたい。| | | | | |・山田さんのお姉さんの行| | | | | | 動と自分の行動の対比か| | | | | | ら価値をつかませていき| | | | | | たい。 | | | | | | | | | |3.資料(ウ)を聞き、千一| |・謝りに行ったときの相手| | | | 郎が謝りに行ったときのこ| | の態度を予想させてから| | | | とを知る。 | | 語り聞かせる。 | | | | 〇謝りに行って、千一郎は|・怒られた。 |・過ちを素直に改めるよさ| | | | 怒られたでしょうか。 |・許してもらった。 | を感じ取らせたい。 | | | | |・ほめられた。 | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |展| |4.今までの自己を振り返る| | | | |価| ○千一郎のようにみんなの| |・道徳シートを使用する。| |開|値| 心の中にも二人の自分が| |・相反する考えをもつ二人| | |の| いると思います。何か悪| | の自分の存在を意識させ| |後|主| いことをしてしまった後| | るために、心情図で自分| | |体| 自分の心の中はどうなっ| | の心の中を表示させる。| |段|的| ているでしょう。 | |・表示した理由を書かせ、| | |自| | | 自己を振り返らせる。 | |7|覚| | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | |学|5.本時のまとめをする。 | | | | |習| ○書いたものを発表しまし| |・それぞれの発表の中で、| | |の| ょう。 | | 相反する二人の存在や体| |終|整| | | 験を全体で共感し、認め| | |理| | | てやりたい。 | |末|・| | | | | |ま| | | | | |と| | | | |3|め| | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ (3)板書計画 5.(資料分析図)  主題名  あやまちを改める    (価値 1−2 思慮・反省)      資料名  まどガラスと魚     (出典 「3年生の どうとく」文溪堂) +−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−− −−−−−−−−+ | | | 千一郎の投げたボールが窓ガラスにあ| | 窓ガラスのことが気になって見に行く| | 山田さんのお姉さんが謝りにきた次の| |場 | |たり、逃げ出す。 | |と、窓に張り紙がしてある。 | |日、千一郎はお母さんに窓ガラスを割っ| | | | +−−−+ +−−−+たことを話し、相手の家へ謝りに行く。| | | | | | | | | |面 | | | | | | | | | | | | | | | +−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | +−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | 登| |・しまった。どうしよう。 | |・窓ガラスはどうなっているだろうか。| |・山田さんのお姉さんは正直だなあ。・| | 場| |・大変なことをした。 | |・ガラスを割って本当に悪かった。 | |・ぼくはガラスを割ったのに何も言わず| |心人| |・謝らなければ。 +−−−+・今から謝ろうか。 +−−−+ 逃げてきた。 | |の物| |・文助が逃げようというから逃げよう。| |・相手の家の人は怒っていそうだ。 | |・ぼくのとった間違っていた。 | |動の| | | |・怒られるのが怖い。 | |・お姉さんのようにきちんと謝ろう。 | |き | | | |・やっぱり言えない。 | | | +−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | +−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | |@窓ガラスを割って逃げたとき、千一郎| |A窓ガラスを見に行った千一郎はどんな| |B千一郎は、どうして謝ろうという気持| |基 | | はどんな気持ちだったでしょう。 | | 気持ちになったでしょう。 | | ちになったのでしょう。 | |本 | | +−−−+ +−−−+ | |発 | | | | | | | |問 | | | | | | | | | | | | | | | +−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | | +−−+ +−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | 期| |・しまった。大変なことをした。 | |・相手の家の人に悪いことをした。 | |・ガラスを割ったことは悪いことだ。 | |児待| |・どうしよう。 | |・謝りたい。 | |・ガラスを割ったのに何も言わず逃げた| |童す| |・謝らなきゃ。 +−−−+・相手の家の人は怒っているだろうな。+−−−+ ことは恥ずかしい。 | |のる| |・文助が言うから逃げよう。 | |・怒られるのが怖い。 | |・ぼくのとった行動は間違っていた。 | |反 | | | | | |・お姉さんのようにきちんと謝ろう。 | |応 | | | | | | | +−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ |主価値| 思 慮・反 省 | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+