印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):92   −−以下 指導案本文−−                 第5学年道徳学習指導案                            日 時 平成8年9月20日(金)2校時 学 級 5年2組                                男12名・女11名・計23名 授業者 佐 藤 公 一 1 主題名 本当の自由 (1−3 自由・規律) 2 資料名 「きまりはないけれど」(「小学校道徳指導細案5年」明治図書) 3 主題設定の理由 1 価値について     高学年の内容項目1−3は「自由を大切にし、規律ある行動をする」であり、自由と規律を大切   にする児童を育てようとする内容項目である。     自己を高めていくには何ものにもとらわれない自由な考え方や行動が大切である。また、人は誰    からも束縛されず自由に生きたいと願う。しかし、人は集団の中で生活しているのであるから、そ    れぞれが勝手気ままな行動をしたのでは社会生活は成立しない。そこで、社会的なきまりや秩序を    守るための一定のルール(規律)が必要になってくる。互いが自由であるためには、わがままや自    己本位な行動をするのでなく、規律ある行動をとることが大切である。自分の自由な意志によって    おおらかに生きながらも、そこにはけじめがあり、内から自覚された責任ある規律が伴っていなけ   ればならないのである。     この期の児童は、わがまま勝手に自由に行動していたのでは社会生活は成り立たず、規律ある行    動が集団の一員として大切であるということはある程度の理解はしている。しかし、自我の高まり    や自己本位の感情から自分勝手な自由を振り回し、友達とトラブルを起こしたり、迷惑をかけてし    まうことがしばしば見られる。     そこで本主題では、互いが自由を享受し、よりよく生きるためには、一定のルール(規律)に基    づいた行動が大切であることに気付かせていく機会としたい。 2 児童の実態について     子どもたちにとっての自由とは、「何の束縛も強制もない思うがままの状態」を意味しているこ   とが多いようである。子どもたちにとっての自由という考え方で特に気にかかるのは、本資料のよ    うなメンバー構成の決め方である。子どもたちが席替えをしたいというとき、その決め方はできる    なら自由がいいと要望する。好きな者同士が隣り合った席になったり、同じ班になったりすること    を望む。体育のゲームなどでのチーム編成も気にいった者同士で組みたいという願望が強い。そう    いう場面になるごとに、担任としては、本当にそれでいいのか、嫌な思いをする者はいないのかと    いう疑問を常に投げかけてきた。子どもたちにとって、担任の反応は既に予想済みで、理屈の上で    は屈せざるをえず、そのときはしぶしぶ引き下がるだが、依然として「いつの日にか」という思い   は強い。それは、無理もないことではある。     しかし、よりよい集団生活をめざす立場に立てば、自由は単なるわがままであってはならない。     秩序ある生活を営んでいくためには、自由についてじっくり考える機会が何度か必要である。     そういう意味からも、本主題を取り上げ、自由のよさとともにそれに付随すべき、あるいはそれ   を支えるところのルール(規律)の必要性について考えていきたい。 3 資料について     健一たちの学級では、お楽しみ会としてバスケットボールの試合をすることになる。そのチーム   編成の仕方で2つの考え方が問題となる。健一と武、文男の三人は、バスケットボールクラブに所   属する仲良し三人組だが、メンバーの決め方は自由という学級会の話し合い結果をもとに、武が三   人一緒に同じチームを組もうと言い出す。一方、文男は、いくら自由でも別れたほうがいいのでは   ないかとつぶやく。健一は二人の相反する考えに、自分はどうしたらいいか考え込んでしまうとい   う内容である。本資料は、子どもたちにとって日常生活の中で起きうる身近な問題を取り上げてお   り、資料の中にひたりながら自分たちのこととして考えやすい内容といえる。     指導に当っては、まず、導入で自分たちにとっての自由のイメージを発表させ、それぞれが感じ   るよさについて出し合わせる。     展開前段では、武と文男の相反する2つの考え方について、ディベート的な形式を取り入れて話   し合いを進めていく。役割交代も取り入れながら互いの立場に立ってじっくり考えさせることで、   多様な考え方にふれさせ、本当の自由について考えさせていきたい。そして、その後で「健一は、   どうすべきか」という判断を促す発問を通して、本当の自由とはどういうものかをめいめいにつか   ませていきたい。 4 本時の指導 1 ねらい     真の自由は、ルール(規律)によって支えられていることに気付かせ、秩序ある生活を送るた めの判断力を養う。 2 展 開 +−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |過 程|学習活動(教師の働きかけ)| 期待される児童の反応 | 指導上の留意点 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |導|問|1 自由のよさについて発表| |・自由だと感じるときや、| | |題| しあう。 | | 自由を望む事象は、人に| | |の| ○ 今までに、自由にでき| | よってさまざまであり、| | |意| てよかったと思うことや| | 自由に対する考え方がそ| |入|識| 自由になればいいなあと| | れぞれに違うことに気付| | |化| 思うことを発表してくだ| | かせることで、価値への| |5| | さい。 | | 方向付けを図る。 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | | |2 資料を読み、話し合う。| | | | | | | | | | | | @ 自由にチームを決める|<武の立場> |・きまりもないし、自由な| | | | ときの武や文男のそれぞ|・自由ということなのだか| のだから、好きにチーム| | | | れの立場について考えて| ら、好きなチームを作っ| を組んでよいとする武の| | | | みよう。 | ても構わない。 | 立場と、いくら自由でも| | |問| |・好きなチームを作れない| バスケットクラブの人は| | | | | なら、それは自由という| 別れたほうがいいのでは| |展| | | ことにはならない。 | ないかという文男の立場| | |題| |・みんなの話し合いで自由| との違いを確認し、ディ| | | | | と決めたのだから、何も| ベート的な形式で話し合| | | | | 悪いところはない。 | いを進めていく。また、| | |の| |・おかしいというなら、学| 途中で立場を交代し、同| | | | | 級会でもう一度話し合う| じように話し合いを進め| | | | | べきだ。 | ることで、互いの考え方| |開|具| | | やその違いについて深く| | | | |<文男の立場> | 理解させたい。 | | | | |・いくら自由でも、強いチ| | | |現| | ームが一つだけできてし|・話し合いの論点は、主に| | | | | まうと、勝敗がはっきり| 強さの差が顕著にくるこ| | | | | してしまって、みんなが| とと好きな人ばかりで組| | |化| | 楽しめない。 | もうとすると嫌な思いを| | | | |・好きな人同士でチームを| する友達がでてくるとい| |前| | | 決めると、嫌な思いをす| う2点とおさえ、それで| | |・| | る人が出てくるかもしれ| みんなが楽しむことがで| | | | | ない。 | きるのかということにつ| | | | |・みんなのことを考えて、| いて話し合いを進めたい。 | |価| | チームを作ったほうがよ| | | | | | い。 | | | | | |・自由といっても、みんな| | | |値| | が楽しむためには、ルー| | |段| | | ルがある。 | | | | | | | | | |の| A 健一は、どうしたらい|・自由なのだから、強いチ|・健一を通して、バスケッ| | | | いのでしょう。 | ームに入って楽しくやり| トクラブの人が一緒にな| | | | | ればよい。 | ってもいいのか、別れた| | |追| |・いくら自由でも、強いチ| ほうがいいのかを理由を| | | | | ームが一つだけできてし| 明確にさせながら個々に| | | | | まうとみんなが楽しめな| 判断させる。 | | |求| | いから、二人とは別のチ|・道徳シートに、自分の考| | | | | ームに入ればよい。 | えとその理由について書| | | | | | かせてから発表させる。| | | | | |・理由を出し合う中で、本| | | | | | 当の自由とは単なるわが| | | | | | ままであってはならず、| | | | | | 周囲のことも配慮するも| | | | | | のでなければならないこ| | | | | | とを理解させて、ねらい| | | | | | とする価値に迫りたい。| +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | | |3 自分たちの生活の中での| | | | |価| 自由について振り返る。 | | | |展| | | | | | |値| ○ 自由が許された場面で| |・道徳シートに書かせる。| | | | きまりはないけれどもみ| |・さまざまな経験を発表し| |開|の| んなのことを考えて行動| | 合うことを通して、集団| | | | できたこと、あるいは、| | で生活する上での自由は| | |主| きまりがないからといっ| | 周囲にも配慮しながら、| |後| | てみんなのことを考えな| | 自分勝手な行動を慎まな| | |体| いで行動してしまったこ| | ければならないことを確| | | | とはありませんか。 | | かめ合う。 | |段|的| | |・直ちに想起できない児童| | | | | | に対しては、今日の授業| | |自| | | の感想等、価値を自覚さ| | | | | | せるための手だての幅を| |7|覚| | | 持たせるようにする。 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |終|学|4 友だちの発表を聞く。 | | | | |習| ○ 自分の経験を発表して| | | | |の| 下さい。 | | | | |整| | | | | |理| | | | |末|・| | | | | |ま| | | | | |と| | | | |3|め| | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ 3 板書計画 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | 自 由 | | | |+−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−+ | ||「みんなが楽しめる会+−−−+自由にチームを決められる| | || になるように」 | +−−−−−−−−−−−−+ | |+−−−−−−−−−−+ ・好きな人と組める −+み | | ・強いチームを組める−+し | | 楽 | | | | +−−−+ | | | 武 | −+ | | +−−−+ | | | |間| | |仲| | |の| | +−−−+ |ブ| |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+健 一| |ラ| | +−−−+ |ク| | |ト| | |ッ| | |ケ| | +−−−+ |ス| | |文 男| −+バ| | +−−−+ | | | | | | 本当の自由 | | | | みんなのことも考える | | 見えないルールがある | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 道徳学習シート 月 日 氏名 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 資料名 「きまりはないけれど」 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 1 今までに、「自由にしてよい」と言われ、その通り自由にできて(やれて)よかっ たと思ったことには、どんなことがありますか。 また、「こういうことが自由になればいいいのになあ」と思うのは、どんなことで すか。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2 いったい健一はどうすればよいと思いますか。(武の考えにしたほうがいいのか、 それとも、文男の考えにしたほうがいいのか)その理由も考えてください。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 3 A 自由が許されたとき、きまりはないけれどみんなのことを考えて行動したこと B 自由が許されたとき、きまりがないからといってついみんなのことを考えない で行動してしまったこと C 今日の学習の感想(自由ということで思ったことなど) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−