印刷用紙:B4縦 1ページの行数:66 1行の文字数(半角で):88 第6学年 家庭科学習指導案 指導者   河 野 隆 子 T.題材名 調理のくふうをしよう U.題材について  ○第6学年の食物の領域では,第5学年の学習を基礎にして,『栄養を考えた食物のとり方』  『簡単な調理』『会食』の内容を取り上げ,それらに関する基礎的な知識と技能を習得させるこ  とを主な内容としている。そしてこれらの学習を通して,簡単な食事を整える事ができるように  するとともに,家族と協力して,食生活をよりよくしようとする実践的な態度の育成をめざして  いるものである。 6年生になって,1学期の「計画的な食事作りをしよう」の題材で,ご飯とみそ汁の学習と献  立作りについて学習した。本題材はその学習を受けて,じゃがいも料理,魚や肉の加工品を使っ  た料理について,基礎的な知識と技能を習得できるようにするものである。また,「生活時間や  買い物の工夫をしよう」の題材で,JASマークや製造年月日等を見て選ぶのがよいことを学習  しており,近年多く利用されるようになった加工食品について,正しい知識を身につけ,上手な  利用のし方をしていこうとする態度を育てることをねらいとしている。 ○本題材で使うじゃがいもは,年間を通して入手しやすく,保存もしやすい。また,味が淡泊で  調理法の種類が多く,利用価値の高い食品である。ここでは皮むきができるようにするとともに,  ゆでる,いためるなどの手法を用いて簡単な調理法ができるようにさせる。また,魚や肉の加工  品としての水煮やオイル漬けの缶詰類,ハム・ソーセージ類,練製品などは,多くの種類が市販  されており,子どもの日常生活にも比較的多く取り入れられている。ここでは,それらを用いた  簡単な調理ができるようにさせる。その際,魚や肉の加工品を使用するにあたって,その種類,  良さ,問題点,そして品質表示や添加物にまず目を向けさせたい。 ○じゃがいもの皮むきは,4年生でのじゃがいもの収穫祭や5年生の林間学校でのカレーライス  作りを通して,多くの子どもが皮むきの経験を持っている。しかし,上手に皮をむけない子も多  く見受けられる。その他のじゃがいも料理の経験は少ない。魚や肉の加工食品の利用状況を見て  みると,ハム・ソーセージ類や,肉団子・ハンバーグ等温めて食べるものの利用が多く見られる。  購入に当たっては,品質表示や製造年月日等に気をつけている家庭が多く見られる。このような  子どもたちに,じゃがいもの食品的価値に気づかせ,魚や肉の加工食品と組み合わせたじゃがい  もの調理ができるようにさせたい。また,加工食品を購入する際の基礎的な知識を理解させ,正  しい消費者としての実践的な能力を身につけさせたい。   指導にあたっては,基礎的な知識,技能を確実に習得させるために,また,意欲的に課題解決  に取り組ませるために,次の点に留意する。@事前に調査させたり授業のまとめの段階で自己評  価をさせたりすることにより,自己の課題を明確にさせる。A家庭での調査活動をさせることに  より,子どもの日常生活に目を向けさせ,問題意識を高める。B食品添加物の含有についての教  師実験やじゃがいもの皮むきなど,体験的,実践的な活動を多く取り入れる。 V.目標 (1)加工食品の種類や特徴,選び方を理解させ,日常生活の中で良い食品を選んで活用しようと   いう態度を育てる。 (2)じゃがいもに含まれる栄養的特質を理解させ,じゃがいも料理に必要な基礎的知識・技能を   習得させる。 (3)加工食品とじゃがいもの料理を使って,いろいろな料理を工夫し,協力して手順よく作業を   進めることができるようにさせる。 (4)加工食品とじゃがいもの調理法を工夫し,日常生活の中で実践しようとする態度を育てる。 W.指導計画(10時間)  第1次 加工食品と食生活  2時間     ・加工食品の種類と特徴(1時間) 本時     ・加工食品の選び方(1時間)  第2次 じゃがいもと魚や肉の加工食品の調理  8時間     ・いろいろな調理(1時間)     ・じゃがいもの調理(3時間)     ・魚や肉の加工品の調理(1時間)     ・じゃがいもと魚や肉の加工品の調理(3時間) X.本時の指導  1.題材と子ども  (1)日常の食事のための食品にかかわる子どもの実態(7月25日調査 対象29名) @あなたは,日常の食事のための食品の買い物に行きますか。 Aあなたの家庭では,次の食品を利用していますか。 ア.即席めん類 イ. ハム・ソーセージ類 ウ.ハンバーグ・肉団子など温めて食べるもの エ.冷凍食品(家で調理した物を冷凍した物を除く)   オ.缶詰・瓶詰類 Bあなたの家庭では,食品を買うときに気をつけていることがありますか。 C Bで,「物によってある」と「よく気をつけている」と答えた人は,どんなことに気を     つけて買っていますか。(のべ人数の割合) ア.製造年月日や賞味期限 イ.原料,品質,品質表示,使用されている薬等 ウ.大きさ,形,色,硬さ,におい エ.値段 オ.栄養    カ.マーク キ.製造会社や出荷地方先 ・比較的頻繁に日常の食事のための食品を買いに行く子どもは,三分の一だけである。このこと から,日常口にする食品のほとんどは,家の人が選んで購入していることがわかる。  ・加工食品の利用度について見てみると,ハム・ソーセージ類,ハンバーグ・肉団子類,冷凍食  品が多い。このことから,魚や肉の加工食品の利用度が高いことがわかる。 ・食品購入時に気をつけている点については,製造年月日等や添加物を含めた品質についてと答  えた子が非常に多い。質問@の結果と関連させて考えると,子どもたちは食品購入時の知識を意  外と持っているということがわかる。中でも,添加物,着色料,薬等と具体的に答えた子がのべ  5名おり,家の人やマスコミの影響があったと考えられる。 このような子どもたちに調査活動や教師実験等の体験的,実践的活動を通して加工食品に対す  る正しい知識を身につけさせ日常生活に生かしていくようにさせたい。 (2)正しい知識を身につけ,実践化をはかるための指導過程 事前の調査活動      自分の家で利用している加工食                               品について調べる。 1.どんな加工食品が食べられているか発表する。 加工食品の種類を知る。   2.学習課題を設定する。      加工食品にはどんな良い点や問                               題点があるだろう。 3.加工食品を利用しているわけについて話し合う。 加工食品の良さを理解する。  4.加工食品だけを利用していないわけについて考える。 食品添加物や栄養面について着                               目する。 5.加工食品は,どんなものからできているか調べる。 品質表示の見方を知る。 6.食品添加物について考える。      食品添加物が使われているわけ                               と問題点を理解する。 7.学習を振り返り,まとめる。            加工食品の良さや問題点につい                               てわかり実生活に目を向ける。 事後の調査活動     自分の家で利用した加工食品の良い                             点と問題点を考えて書いて来る。 2.本時のねらい 日常利用している加工食品の種類や, 良い点, 問題点について理解させ, 食品添加物への関 心を深めさせる。  3.本時の展開 指導過程 学 習 活 動・学 習 内 容    指 導 上 の 留 意 点 資 料 生活をみ 1.日常利用されている加工 ・自分の家庭で利用されている加工食品に 事前調査 つめる 食品の種類について話し合 ついて, 調べて来たことを発表させる。 用紙 う。 ・発表された物を分類しながら, また, 実 分類表 ・乾物 ・漬物類 ・燻製品 物をいくつか用意して, 加工食品の種類 加工食品の ・練り製品 ・缶詰.びん詰 について分からせる。   実物 ・発酵品 ・レトルト食品 ・冷凍食品 問題をつ 2.学習課題を確認する。 学習プリ かむ 加工食品には,どんな良い点や問題点があるだろうか。 ント 課題を追 3.加工食品のよい点につい ・自分の家庭ではどうしてそれを利用した 事前調査 究する て話し合う。 のか, 調べて来たことをもとに考えさせ 用紙 ・保存がきく る。 Bグループの子に発表させる。         ・調理が簡単 ・昔から行われて来た保存の方法に触れ, ・見栄えが良い 人間の知恵を感じとらせたい。 ・手に入りやすい 等 4.加工食品の問題点につい ・子どもを対象とした事前調査の結果から, て話し合う。 食品添加物についてすぐ出るとおもわれ ・栄養がかたよる るが, 栄養の面や値がはる等にも目を向 ・お金がかかる けさせる。 Aグループの子に特に考えさ ・食品添加物が入っている せたい。 確かめる 5.食品添加物について考え ・事前調査用紙に貼ってきた物の中から, ハムやソー る。 ハムやソーセージの品質表示をとりあげ セージの品 ・品質表示の見方 て, 品質表示の見方ができるようにする。 質表示部分 ・食品添加物のはたらき ・食品添加物のはたらきについて分からせ ・食品添加物の問題点 た上で, 大量に摂取した場合の有害性の 品質表示 ・発色剤の検出実験 可能性について触れて行く。 の例 ・発色剤の検出を教師実験し, 食品添加物 G.R法亜硝 の有無を実感させる。(ハムを細かく切り, 酸試薬 ビーカーに入れて水に浸けて置く。 アル 実験用具 コールランプで温め, 耳かき1杯程度の ハム2種類 試薬を入れてガラス棒でかきまぜる。発 色剤が入っていると赤色に変色する。) 学習を振 6.本時の学習を振り返り, ・学習の成果や今後の生活への生かし方な 学習プリ り返る 自己評価をする。 どを学習プリントにまとめさせる。 ント ・わかったこと ・家で利用する加工食品について, 良い点 事後調査 ・生活に生かしていきたい や問題点と思われることを書いてくるこ 用紙 こと等    とを確認する。