小学校6年 国語(文章の要旨を確実に) 指導案 緑が丘小学校 用紙は A4 縦  1行 106字(半角) 1ページ 49行に設定してください。          第6学年国語科学習指導案                                日 時 平成元年6月15日(木) 3校時                        学 級 6年3組(男21 女21 計42名)                      指導者 教 諭  菅原 浩          1 単元名 文章の要旨を確実に(説明文)                              教材名 ノグチゲラの住む森                         2 教材について                                     (1)内容面                                       今からおよそ100年前、沖縄島の北部の山原と呼ばれる広い森林地帯で新種のキツツキが  発見され、ノグチゲラと命名された。ノグチゲラは、密集した樹間にある枯れた木や枯れかか  った木に毎年新しい巣穴を作り、それらの木々を住みかとする虫をつつき出して食べている。  そのことによって森の中の枯れ木処理を手伝い、木々の密集を防ぎ、森が若返るのを助けてる  る。逆に森はノグチゲラに食物を提供し、その生活を守っている。ノグチゲラに限らずたくさ  んの動物たちは、森と共存しながら山原の自然を成り立たせている。              本来、人類は地球上の生物の一員であり、生物たちを鎖のようにつなぐ生態系の中に組み込  まれた存在であった。しかし、いつのまにか人類だけが地球の生態系から離脱し、独立した存  在になってしまっている。このような一方の立場からだけ自然を見、人類にとって有益・有害  ということだけを追求していくことが進むと、自然の仕組みを無視した人間本位の考え方が生  まれたりする。「ノグチゲラの住む森」を学ぶことによって、自然を総合的にながめて、その  仕組みを考えながら、貴重な山原の森をノグチゲラとともに大切にしていかなければならない  ということに共感させたい。                               (2)技能面                                       6年生の指導内容(理解)には、「カ、事象と感想、意見の判別(要旨と事例)」「 ク、文  章の内容の再構成」「コ、書き手の表現の工夫」がある。それに沿って本教材は、事象の説明  と筆者の意見の関わり方に注意しながら文章の構成を考え、要旨をとらえさせることをねらい  としている。本文は8つの形式段落からなる比較的短い文章で、内容もそれほどとらえにくく  はない。論理の展開は、問題提起→事例提示→結論という尾括型構成となっている。読み進め  るに当たっては、中心文や重要語句を手がかりに要点をおさえていくとともに、段落相互の関  係を明らかにしながら要旨を確実にとらえていきたい。                  3 児童について                                      子供たちは、5年生のときに「西之島新島」「大陸は動く」「ねむりについて」等で説明文  の学習をしてきている。特に「西之島新島」では、話題文→問題提起→事例→結論という論理  の展開について学んでいる。また、中心文や重要語句を見つけながら要点をとらえることもや  ってきている。しかし、形式段落の数が多くなったり、文そのものが長くなり内容が複雑にな  ってくると、中心文や要点をとらえる力はまだ不十分である。そのため、文章全体がどのよう  な工夫のうえで構成されているかを読み取ることはまだ難しく、要旨のとらえ方も思うように  いかない子が多い。そこで比較的短い本教材で指示語や接続語の働きに注目させ、小見出し等  を活用しながら段落相互の関係をとらえる力を確実なものにさせていきたい。また結論となる  段落をもとに、根拠となる段落を考えさせながら、筆者の論の展開について文章全体から分か  らせたい。そして、不必要な部分を削ったり、必要な部分を組み合わせていくことを学習しな  がら、要旨をまとめあげていく力を養っていきたい。特に事例提示の部分と結論の関係から、  ノグチゲラと森の関係を浮かびあがらせ、自然の仕組みを「共存」という言葉で表現した筆者  の意図、論点を読み取らせたい。「ノグチゲラの住む森」で表現の工夫を理解し、要旨のとら  えが確実になるならば、次の「自然を守る」でそれが生かされ、内容の理解がより効率的に行  われるはずである。 4 指導目標                                       ◎事象の説明と筆者の意見のかかわり方に注意し、文章の構成を考え「ノグチゲラが森と共存   しながら山原の自然を成り立たせている」という要旨を読み取ることができる。       〇文章の要旨をまとめて書いたり、感想を書いたりすることができる。            〇文章の構成について理解を深めるとともに言葉の意味を辞書を引いて調べ、使い方に注意す   ることができる。                                   ◎意味の切れ目や、言葉の強調、適切な読みの速さなどを工夫し、聞き手によく分かるように   朗読できる。                                                                                5 指導計画(5時間)                                  ア 意識化    全文を読み、印象深く感じたところや疑問に思ったところを                 中心に初発の感想を書く。それをもとに学習の見通しを持つ。  1時間  イ 焦点化    小段落を4つの大段落に分け、まとまりごとに小見出しをつける。1時間  ウ 思考の秩序化 要旨をまとめながら、要旨と文章全体との関わりについて理解す               る。                        (本時)1時間  エ 統合化    要旨をおさえ、要約文を書く。                1時間  オ 適用化    要旨のまとめかたを振り返る。                1時間                                               板書計画                                      +------------------------------------------------------------------------------+ |  要   筆 文           要 +--------+  ど +-------+      文| |  旨   者 章・・・・(3)(2)(1) 旨 |     |  の | と落文|   ノ 章| |  を   の 全   森  ノ  森 の |     |  段 | めを章|   グ の| |  ま   言 体   と  グ  が 予 |  紙  |  落 | よも全|   チ 要| |  と   い に   動  チ  ノ 想 |     |  を | うと体|   ゲ 旨| |  め要←た←渡   物  ゲ  グ    |  板  |  中 |  にの|   ラ を| |  る旨 い っ   は  ラ  チ    |     |  心 |  し中|   の 確| |      こ て   共  が  ゲ   |  書  |  に |  て心| 青 住 実| |      と 述   存  森  ラ   |     |  ↓ |  要と| 柳 む に| |        べ   し  を  を   |     |  G |  旨な|   森  | |        て   て  助  助   |     |  段 |  をる| 昌     | |        あ   い  け  け   |     |  落 |  ま段| 宏     | |        る   る  る  る   +--------+    +------+       | +-----------------------------------------------------------------------------+ 6 本時の指導                                               (1)目標                                                    結びの段落を手がかりとし、文章の構成を考えながら要旨をまとることができる。              (2)展 開                                                +---+------------------------------------+------------------------------------+------------------+ |  |  指 導 内 容 ( 主 発 問 ) |  学 習 活 動(・予想される反応) |  指導上の留意点 | +---+------------------------------------+------------------------------------+------------------+ | 意| 1前時の想起             | 1前時の学習内容を想起する      | ・4つに分けた段落| | 識|   この文章は、大きくいくつの段落に分|  ・山原の森とノグチゲラノ紹介    |  の小見出しを想起| | 化|   かれているか。それぞれの段落は、何|  ・元気な木が一本もないのはノグチゲラ|  させたい。   | |  |   のことについて述べてあるか。   |   のためか。            |          | |  |                    |  ・ノグチゲラの食物の取り方と巣穴の作|          | |  |                    |   り方。              |          | |  |                    |  ・ノグチゲラと山原の森は共存している|          | | 焦| 2学習課題(めあて)の確認      | 2学習課題(めあて)を確認する    | ・今日の学習の目的| | 点|      +-------------------------+-------------------------+      |  をはっきりさせ意| | 化|      | 文章全体の中心となる段落をもとにして要旨をまとめよう。|      |  欲を持たせたい | |  |      +-------------------------+-------------------------+      |          | |  | 3要旨をとらえる           | 3要旨をとらえる           |          | |  | (1)本時学習の中心段落をおさえる   | (1)本時学習の中心段落をおさえる   |          | |  |   今日の課題について調べていくには、|  ・Gの段落。            |          | |  |   どの段落を中心に読み進めていけば |                    |          | |  |   いいだろうか。          |                    |          | |  |   Gの段落を読んでみよう。     |                    |          | | 思|   Gは、文章全体にとって、どのような|  ・結論的に書かれてある段落     | ・結論となる段落の| |  |   役割を持った段落だろうか。    |  ・筆者が一番述べたいことを書いた段落|  部分から要旨に迫| | 考|  ・どうしてそのようなことが言えるのか|  ・問いとその答えをまとめたように書い|  っていきたい。 | |  |                    |   てある。             | ・筆者の叙述の中心| | の|                    |  ・「このように」という接続語で始まっ|  ということから要| |  |                    |   ているので全体をまとめようという感|  旨を探る手がかり| | 秩|                    |   じがする。            |  はGにあることに| |  |                    |                    |  気付かせたい。 | | 序| (2)要旨の予想            | (2)要旨の予想をする         |          | |  |   Gの段落を中心に、要旨を予想して書|  ・山原の森がノグチゲラの生活を守る一| ・一つの文にならな| | 化|   いてみよう。           |   方、ノグチゲラは森が自然林として生|  いで個条書きにな| |  |                    |   き続けるのを助けている。     |  っても、大事だと| |  |   書いたことを発表してみよう。   |  ・山原の森は、ノグチゲラの生活を守っ|  思うことを書かせ| |  |                    |   ている。             |  たい。     | |  |                    |  ・森が生き続けるのを助けている。  |          | |  |                    |  ・森と共存しながら山原の森を助けてき|          | |  |                    |   た。               |          | |  |   なぜこれらの文を要旨にしたのか。 |  ・前の段落で述べてあることをもう一度| ・G段落で要旨にな| |  |                    |   Gの段落で結論のように述べている。|  らない文を見つけ| |  |                    |  ・そのほかの文は、この段落で、初めて|  させ、比べながら| |  |                    |   述べられている内容なので文章全体を|  話し合わせたい。| |  |                    |   まとめたとは言えない。      |          | |  | (3)要旨の根拠            | (3)要旨を確かなものにする      |          | |  |   みんなが今発表した要旨の一文一文は|  ・Gの初めの部分はEの文で詳しく述べ| ・事例の文をもとに| |  |   どの段落でもっと詳しく述べられてい|   ている。             |  して述べられてい| |  |   るのだろう。           |  ・次の文はFの文で詳しく述べてある。|  ることをおさえさ| |  |                    |  ・この二つをGでまとめあげている。 |  せたい。    | |  |  ・ノグチゲラは森を助けているというこ|  ・森がノグチゲラに食物を提供している| ・「山原の自然」と| |  |   とを述べるために、筆者はどんな事例|   こと。              |  いうもっと広い共| |  |   を書いているのか。        |                    |  存についてもふれ| |  |  ・森がノグチゲラを助けているのは、ど|  ・ノグチゲラは森の枯れ木処理を手伝っ|  たい。     | |  |   うか。              |   ていること、自然林として生き続ける|          | |  |  ・共存という言葉は、どんな事実を指し|   のを助けていること。       |          | |  |   ているのか。           |                    |          | |  | 4要旨のまとめ            | 4要旨をまとめる           |          | | 統|   みんなから出された要旨の予想をまと|  ・山原の森は、そこに住むノグチゲラに| ・要旨のとらえ方を| |  |   めてつながった文にしてみよう。  |   食物を提供し、その生活を守る一方、|  学ばせるため、ま| | 合|                    |   ノグチゲラは、食物を取ったり巣穴を|  とめる段階では、| |  |                    |   ほったりすることによって、森の中の|  文章化の方法も指| | 化|                    |   枯れ木処理を手伝い、森が自然林とし|  導したい。   | |  |                    |   生き続けるのを助けている。    |          | | 適| 5次時の予告             | 5次時の学習内容を知り、意欲を持つ。 |          | | 用|   次時は、まとめた要旨を中心にして要|                    |          | | 化|   約文を書く。           |                    |          | +---+------------------------------------+------------------------------------+------------------+ (3)評 価