小学校4年 国語(人物の気持ちの動きを) 指導案 用紙は A4 縦  1行 80字(半角) 1ページ 49行に設定してください。             第4学年国語科学習指導案                                        昭和63年10月 6日 (木) 第 2校時                        4 年 4組( 男17名女17名計 34 名 )                        指 導 者   小野寺くに                                              1単元名   人物の気持ちの動きを                                     教材名  ごんぎつね (光村 下 ) 新美 南吉・作    2教材について                                  (1) 孤独なために、いたずらばかりするごんぎつねは、自分のいたずらがもとで、兵    十のおっかあが死んだと思い込み、自分の行為を後悔する。そして、一人ぼっちの    寂しさをよく分かっているごんは、自分と同じ境遇になった兵十に対してひたむき    に償い、自分の行為を認めてもらおうとする。しかし、ごんの好意と存在は、兵十    になかなか認めてもらえず、もどかしさを感ずる。ごんと兵十の心が通じ合うこと    ができたのは、兵十に火縄銃で撃たれてしまうごんの死の直前であった。悲しくも    哀れな物語である。民話的な舞台を背景に繰り広げられるこの物語は、通じ合いた    いと思いながらも通じ合えないごんと兵十の心のすれ違いが、非情な悲しさやむな    しさ、哀れさを生むことを教えている。ごんと兵十の行為や心情を深く読み取らせ    ることをとおして、人と人との心が通じあうことの難しさ、大切さに気づかせ、作    品の内容に迫りたい。児童は、物語の世界と現実の世界とを対応させながら、自分    自身の生活を見つめ直していくようになると思われる。新美南吉の作品は、3学年    での「手ぶくろを買いに」に続く学習である。登場人物も狐であり、人間と動物と    のかかわりの中で描かれた物語であるという点で、児童は、この作品に親しみをも    つと思われる。                                 (2) この物語は、六つの場面で構成され、第一場面から第五場面はごんの立場で、第    六場面は兵十の立場で描かれている。また、起・承・転・結がはっきりとした筋の    とらえやすい構成である。生き生きとした美しい情景描写や行動描写を用いて物語    が展開されており、読み手はイメージ豊かに物語の世界に引き込まれていくものと    思われる。視覚的描写や聴覚的描写、比喩表現、そしてごんや兵十の会話文を手が    かりとして、情景を思いうかばせるとともに、登場人物の心情が表されているとこ    ろに音読を位置づけ、内容の理解を深めながら、心情の移り変わりを読み取らせた    い。                                      (3) 教材の構造( 省略 )                                                                                                                                                        3 指導目標                                    ・心のふれ合いを願う好意が死の直前にしか通じなかったごんと兵十の心の交流を読    み取ることができるようにする。                         ・登場人物の心情に合った音読ができるようにする。                                                         4 学習指導計画( 14 時間 )                            第一次 全文を読んで、初発の感想を書く。              1時間    第二次 感想をもとに学習計画を立てる。               2時間    第三次 学習計画にそって、場面ごとに読み深める。          8時間       ・物語の背景と、孤独でいたずらばかりするごんの様子と                気持ちを読み取る。(2)                              ・兵十に対するいたずらを後悔するごんの気持ちを読み取る。(1)            ・ごんの兵十に対する気持ちの変化と、償いをするごんの気持ちを            読み取る。(2)                                  ・兵十と加助の話に期待をよせるごんの気持ちを読み取る。(1)             ・兵十に自分の好意が通じていないと分かり、がっかりするごんの            気持ちを読み取る。(1)                              ・悲しい結末を迎えたごんと兵十の気持ちを読み取る。(1)    本時      第四次 ごんと兵十の行為や気持ちの変化から主題を確かめ、                 まとめの音読をする。                    1時間    第五次 読後の感想を書き、語句の練習をする。            1時間    第六次 評価をする。                        1時間                                           5 本時の指導(指導計画  第三次  第 8時 )                  (1) 目 標                                      ごんをうってしまった兵十の後悔の気持ちと、うたれてやっと兵十と分かり合え     たごんの哀れさを読み取らせ、ごんや兵十の気持ちが表れるように音読させる。                                            (2) 展 開                                   +---+---------------------------+---------------------------+------------+ |  |   学習活動 ( 主発問 )  |   指導事項 (・反応 )   |  留意点  | +---+---------------------------+---------------------------+------------+ |  | 1 音読で前時の学習を想起す |  償いの気持ちが兵十に分かっ| ・役割読みで| | み|  る。           | てもらえずに、がっかりするご| 行う。   | |  |               | んの気持ちを想起すること。 |       | | と|               |               |       | |  | 2 本時の学習課題をつかむ。 |  学習課題を確認すること。 | ・視点がごん| | お| +-----------------------+ |               | から兵十に変| |  | |  兵十が火なわじゅうをバ| |               | わっているこ| | す| | タリと取り落したのは、ど| |               | とに気づかせ| |  | | うしてか。また、兵十の気| |               | る。    | |  | | 持ちが表れるように音読し| |               |       | |  | | よう。         | |               |       | |  | +-----------------------+ |               |       | |  | 3 本時の学習場面を音読する。|  正しく、はっきりと読めるよ|       | |  | (1)一人一文リレー     | うに、全体や個人で音読の練習|       | |  | (2)自由音読        | をすること。        |       | |  | (3)役割読み        |               | ・読み方練習| |  |               |               | カードで自己| |  |               |               | ・他者評価を| |  | 4 明くる日もくりを持って兵十|  ひたむきに償うごんの様子か| させる。  | |  |  のうちに出かけたごんの気持| ら気持ちを想像すること。  |       | | ふ|  ちを読み取る。      |               |       | |  |               |               |       | | か|   うら口から、こっそり入る| ・目は―周りを気にするように|       | |  |  ごんの様子や気持ちを想像し|      キョロキョロと  |       | | め|  よう。          | ・耳は―音が聞こえないかと耳|       | |  |               |      をピンと立てて  |       | | る|               | ・顔つきは--真剣に、怖そうに|       | |  |               | ・足はこびは--音を立てないよ|       | |  |               |        うに、そうっと|       | |  |               |               |       | |  | 5 音読を工夫しながら、兵十の|  前後の表現との関係をおさえ|       | |  |  ごんに対する憎しみの気持ち| ながら、兵十の会話について音|       | |  |  から後悔するまでの気持ちの| 読の工夫をし、兵十の気持ちの|       | |  |  移り変わりを読み取る。  | 移り変わりを読み取ること。 | ・音読の工夫| |  |               |               | を学習シート| |  |   兵十の会話文をどのように|               | に書き込ませ| | ふ|  読んだらよいか、音読を工夫|               | る。    | |  |  し、そのときの兵十の気持ち|               |       | |  |  を考えて、シートに書こう。|               |       | |  |               |               |       | |  | 6 工夫した音読を発表し、兵十|  工夫した音読を発表し合うこ|       | |  |  の気持ちについて話し合う。| とによって、違いに気づかせ、|       | | か|               | 兵十の気持ちを読み取ること。| 《評価》  | |  | - 「ようし。」       | - 低く・力強く…憎しみの気持| A:読み方と| |  |               |         ちが分かる。| 気持ちの両方| |  | - 「おや。」        | - 小さく・つぶやくように  | ができる。 | |  |               |    …不思議だという気持ち| B:読み方と| |  |               |     がわかる。     | 気持ちのうち| | め| - 「ごん、お前だったのか、い| - 力なく・弱々しく     | のどちらか一| |  |   つも、くりをくれたのは。|    …知らずに大変なことを| 方ができる。| |  |               |     してしまったと後悔す| C:読み方と| |  |               |     る気持ちがわかる。 | 気持ちの両方| |  |               |               | ともできな | |  | 7 ぐったりと目をつぶったま |  死を前にして兵十にやっとわ| い。    | |  |  ま、うなずくごんの気持ちを| っかてもらえたごんの気持ちを|       | | る|  想像する。        | 想像すること。       |       | |  |               |               |       | |  |  うなずくごんは、どんなこと|               |       | |  |  を思っていただろうか。  | ・くりをあげたのが、俺だと兵|       | |  |               | 十に分かってもらえてよかっ |       | |  |               | た。            |       | |  |               | ・兵十と友達になって、一緒に|       | |  |               | 遊びたかった。       |       | |  | 8 火なわじゅうをバタリと取り|  兵十の行動から、知らずにご|       | |  |  落す兵十の心の中を想像す | んを撃ってしまったことの後悔|       | |  |  る。           | の気持ちを想像すること。  | ・兵十の後悔| |  |   バタリとじゅうを取り落し|               | の気持ちをお| |  |  たとき、兵十は心の中でどん|               | さえさせる。| |  |  なことを思っていただろう | ・ごん、お前だとは知らずに |       | |  |  か。           | 撃ってしまった。許しておく |       | |  |               | れ。            |       | |  |               | ・今迄気がつかなかったおれが|       | |  |               |  悪かった。        |       | |  | 9 音読の練習をする。    |  皆で工夫したところに気をつ|       | | ま|               | けて音読の練習をすること。 |       | |  |   皆で工夫した読み方を大切|               |       | | と|  にしながら、音読の練習をし|               |       | |  |  よう。          |               |       | | め| 10本時の学習を音読でまとめ |  兵十やごんの気持ちが表れる| ・指名読1名| |  |  る。           | ように音読すること。    |       | | る|               |               |       | |  | 11次時の学習内容を確かめる。|  次時は場面ごとの読み取りを|       | |  |               | もとに、主題を確かめる学習で|       | |  |               | あることを知ること。    |       | |  |               |               |       | +---+---------------------------+---------------------------+------------+ (3)評 価                                      ・死の直前に分かり合えた兵十とごんの気持ちを読み取ることができたか。       ・兵十とごんの気持ちが表れるように音読できたか。