印刷用紙:A4縦 1ぺ―ジの行数:49 1行の文字数(半角で):92 第5・6学年国語科複式学習指導案 対 象 花巻市立前田小学校 第5学年4名、第6学年12名 1 第5学年教材  (東書5) 1 第6学年教材 (教出6) +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 雑 草 の う た | | イ ナ ゴ | |    鶴岡 千代子 | |      まど みちお | | せっかく 花を さかせても | | はっぱにとまった | | せっかく 葉っぱを ひろげても | | イナゴの目に | | ふりむいていく 人はない | | 一てん |  |     それでも平気さ みんなして | | もえている夕やけ | | むんむん草むら つくってく | | | | | | | | どんなに のどが かわいても | | でも イナゴは | | どんなに ほこりを かぶっても | | ぼくしか見ていないのだ | | 水など くれる 人はない | | エンジンをかけたまま | | それでも平気さ 上むいて | | いつでもにげられるしせいで‥‥ | | のびたいほうだい のびていく | | | | | | | | オオバコ ハコベ ヒメジョオン | | ああ 強い生きものと | | ちゃんと 名前が ついてても | | よわい生きもののあいだを | | よびかけてくる 人はない | | 川のように流れる | | それでも平気さ いつだって | | イネのにおい! | | きらきらしながら 生きていく | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 2 教材について              2 教材について   この詩は3連で構成されており、擬人法 |  この詩は3連で構成されており、一人称  と定型詩的な反復の効果を全篇に配し、力 | 「ぼく」の視点で描かれている。平易な文  強くたくましい生命力を強調している。  | 体であるが、比喩・倒置法・体言止め等を  第1連では、美しさを誰にも振り向いても | 使い存在感や生命感を強調している。  らえない雑草が、それでも盛んな勢いで広 |  第1連はイナゴの様子が何げなく描かれ  がっていく様子が浮かんでくる。     | ているが、その目に一てん夕やけが赤く燃   第2連は、生長の糧である水をもらえな | えているのを、ぼくは見ている。そこには  くても、自らの力で伸び育っていく雑草の | 静止した時間に張り付いた、イナゴの生命  たくましさが感じられる。        | 感と同時にはっとするような危機感が漂っ   第3連は、一つ一つ名前を読んでもらえ | ている。  なくても、立派に輝きながら生きていく雑 |  第2連に入ると、「ぼく」の目を通し、  草の力強さ、生命の充実感が伝わってくる。| イナゴの危機からの脱出の姿勢が、臨場感   各連とも、はじめの3行には雑草として | をもって読者に迫り、生命への強い執着を  の運命が、あとの2行には強くたくましく | 感じさせる。  生きる雑草の意志が描かれている。    |  第3連では、第2連の「ぼく」対「イナ   全連に配された「それでも平気さ」の反 | ゴ」の対峙が、弱者と強者として一般化し  復は、生きることの強さ、したたかさを感 | て描かれている。「川のように流れるイネ  じさせる。また、最後に象徴される「きら | のにおい」は、相入れない両者を隔てる深  きらしながら生きていく」の抽象性は、人 | いはざまであり、永遠に歩み寄ることので  生教訓的な示唆を与えるものである。   | きない生きものの宿命を表しており、無情   この詩は、普段見慣れている雑草の姿を | を感じさせる。  モチーフにしており、雑草の生命力を表す |  現在ではイナゴはあまり見られなくなっ  比喩は、日常的な経験を通じてすでに認識 | たが、児童にとっては生活環境とのかかわ  されていることと思われるので、児童にと | りから、詩に描かれた情景は十分理解でき  っては十分理解できる内容であり、共感を | るものと考える。  得られる作品であると考える。  | 3 教材の分析 雑 草 の う た (第5学年)       リズム(75調) +−せっかく 花を さかせても−−−+  −+    75、85、75、85、85 | |対句 | | せっかく 葉っぱを ひろげても−+ a |   | 技 法 A  ふりむいていく 人はない −+ | ・擬人法 |    それでも平気さ みんなして −+ |   b   ・反 復 +− むんむん草むら つくってく −+ ・対 句 (生長の盛んな勢い) +−どんなに のどが かわいても −+ −+    各連A−雑草の宿命・運命 | |対句 | | どんなに ほこりを かぶっても−+ a | |   各連B−力強く生きようとする意志 B 水など くれる 人はない −+ | |   それでも平気さ 上むいて   −+ | b    +−−+ +− のびたいほうだい のびていく −+   |主題|−誰にも気にもとめられず、振り     +−−+ (自力で伸びるたくましさ)   向いてももらえなくても、自らの +−オオバコ ハコベ ヒメジョオン   −+   力で輝きながら生きている雑草の | | | ちゃんと 名前が ついてても    a        うた。 | | +−−+ C よびかけてくる 人はない   −+   |願い|−どんなに厳しい宿命のもとに育 | +−−+ | それでも平気さ いつだって −+       っても、その厳しさを乗り越え、 | b +− きらきらしながら 生きていく −+        充実した生き方をしてほしい。 (輝きながら生きる生命の充実感) イ ナ ゴ +−はっぱにとまった |  技法 | イナゴの目に  +−−+ A   |1連|   ・倒置法 | 一てん −+  +−−+ | |倒置法   |   ・比 喩 もえている +−もえている夕やけ−+  ↓  ぼくの外の目と         エンジンを〜   (日常性、命、生きる)  内の目の対比     川のように +−でも イナゴは   | |   ↓ ・体言止 夕やけ におい | ぼくしか見ていないのだ −+ +−−+ B  | |2連|     ・感嘆詞(符)  ああ ! | エンジンをかけたまま |倒置法 +−−+ | | | +−−+ +−いつでもにげられるしせいで‥‥−+‥ |   |主題|−ぼくとは相入れない危機 ↓ +−−+ (ぼく対イナゴ→特殊、徹底した警戒) 内の目の発展  的状況の中から脱出し生き | +−ああ 強い生きものと |   ようとするイナゴの存在。 | ↓ +−−+ | よわい生きもののあいだを +−−+ |願い|−自然界における強者と弱 C  |3連| +−−+ | 川のように流れる −+ +−−+    者の間には、生き方におい | |倒置法 +−イネのにおい! −+ て宿命的な差がある。そん   (強者対弱者→一般、平行線)   な中で弱者の存在を見詰め                                  直してほしい。 4 指導目標  (共 通) ア ことばをてがかりとして、描かれている情景や思いを理解させる。   イ 正確な音読と豊かな朗読をさせる。   ウ 自己学習の方法を身につけさせる。  (第5学年)                |(第6学年) ・ 雑草の生命力や生き方に共感させる。 | ・ 弱者の存在感、生物界の宿命、その無   ・ 詩のリズムをとらえた朗読をさせる。  | 情を感得させる。 5 指導計画(単元の展開案) +−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |段|指 導|        指  導  内  容 | | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |階|過 程|   第 5 学 年    |形 態|    第 6 学 年 | |−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | 《教材名:雑草のうた》 |  | 《教材名:イナゴ》 | | |1 音 読|・各自に音読練習をさせる。 |共 通|・各自に音読練習をさせる。 | |全| |・指名音読をさせる。 | |・指名音読をさせる。 |↑ |体|2 題 の|・題に書き込みをさせる。 |個 別|・題に書き込みをさせる。 || |を| 研 究|−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−|| |概|   |・題から、考えられることを |直|間|・初めの感想を書かせる。 || |観|  | 発表させる。 |接|接| || |す| |−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−|| |る|3 初めの|・初めの感想を書かせる。 |間|直|・題から考えられること、初め || |段| 感 想| |接|接| の感想を発表させる。 || |階| |−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−|| | | |・感想を発表させる。 |直|間|・学習課題についてグループで || | |4 学 習|・学習課題について話し合わ | | | 話し合わせる。 |第 | | 課 題| せる。 |接|接| |一 | | |−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−|時 | | |・学習計画をたてさせる。 |共 通|・学習計画をたてさせる。 || |−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−|| | |1 各連の|・第1連の音読をさせる。  |共 通|・第1連の音読をさせる。  || | | 音 読+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−|| | |    |・各自課題解決に向け、文脈に | 個 |・各自課題解決に向け、文脈に || | |   | 沿って書き込み等をしながら | | 沿って書き込み等をしながら || | |2 各連ご| 読み進めさせる。 | 別 | 読み進めさせる。 || | | との事|−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−|| |部| 象及び|・個別学習でとらえたことを中 |直|間|・グループを中心にして、お互 || |分| 心象の| 心に発表させ、話し合いなが | | | い個別学習でとらえたことを || |を| 追 求| ら課題を追求させる。 | | | 発表させ、話し合いながら課 || |精|    |   |接|接| 題を追求させる。 |↓ |査| |−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−| |す| |・第2・3連の音読をさせる。 |共 通|・第2・3連の音読をさせる。 |↑ |る| |−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−|| |段| |・第1連と同様に各自で読み進 | 個 |・第1連と同様に各自で読み進 || |階|    | めさせる。       | 別 | めさせる。 || | | |−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−|| | | |・グループを中心にして、 書き |間|直|・個別学習でとらえたことを中 |第 | | | 込みをもとに個別学習でとら | | | 心に発表させ、話し合いなが |二 | | | えたことを中心に話し合わせ、| | | ら課題を追求させる。 |時 | | | 課題を追求させる。 |接|接| |: | | |−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−|本 | | |・話し合ったことをもとにさら |直|間|・課題追求で不足な部分への書 |時 | | | に課題を追求させる。 |接|接| き足しや各連をまとめさせる。|: | | |−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−|| | |3 各連の|・それぞれの連について、解決 | 個 |・それぞれの連について、解決 || | | まとめ| したことをふまえて、意味を | | したことをふまえて、意味を || | | | まとめさせる。 | 別 | まとめさせる。 |↓ |−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−| | |1 主 題|・各連の意味を構造的に考えさ |直|間|・各連の意味を構造的にまとめ |↑ |全| 把 握| せ、 主題を追求させる。 |接|接| ながら、 主題を追求させる。 || |体| |−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−|| |を|2 主題作|・主題をもとに、主題及び作者 | 個 |・主題をもとに、主題及び作者 || |総| 者観の| の言いたいことを、主題文と | 別 | の言いたいことを、 主題文と |第 |合| まとめ| して作文させる。 +−−−+ して作文させ発表させる。 |三 |す|    |・主題文を発表させる。 |共 通|・主題文を発表させる。  |時 |る| |−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−−−|| |段|3 全体の|・朗読の工夫をさせる。 | 共 |・朗読の工夫をさせる。 || |階| 朗 読| 全篇の朗読をさせる。(暗誦)| |・全篇の朗読をさせる。(暗誦)|| | | |・朗読の評価をさせる。 | 通 |・朗読の評価をさせる。 |↓ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 6 本時の展開 (1) 指導目標    (共 通)   ア ことばをてがかりとして、第2・3連の情景や思いを理解させる。 イ 読み取った情景や思いをとらえ、気持ちを込めて読ませる。 ウ 書き込みの方法を身につけさせる。 (第5学年) | (第6学年) ・ 自らの力で伸び育っていく雑草の力 |  ・ 弱者であるイナゴの様子と、弱者と 強さ、たくましさを読み取らせる。 | 強者の宿命を読み取らせる。 (2) 展 開 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |段| 第 5 学 年    |   第 6 学 年 |      | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 指導上の留意点 | |階| 学 習 内 容 と 活 動  |形 態|  学 習 内 容 と 活 動 |    | |−+−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−| | | 《雑草のうた》  |共 通| 《イナゴ》 | | |概|1 全篇の音読 +−−−+ |<個別指導> | |観| 各自で音読をする。 | 遅れぎみの児童及| |段|2 学習課題の把握 |び精査段階イが間接| |階| +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |指導の第5学年を中| | |   | 第2・3連の情景や思いを詳しく読み取ろう。| |心に指導する。 | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |       | | | +−−−−−−−−−+ | +−−−−−−−−−+ | | | |  |読 み の 課 題| | |読 み の 課 題| |        | | | +−−−−−−−−−+ | +−−−−−−−−−+ | | |−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| | | |3 課題の追求 | |3 課題の追求 |<ことばの指導> | |精|ア 各自第2・3連について| 個 |ア 各自第2・3連について| 以下のことばに書| |査| 文脈に沿って書き込み、書| | 文脈に沿って書き込み、書|き込み等をさせる。| |段| き足し等をしながら読み進| 別 | き足し等をしながら読み進|(全篇) | |階| める。         | | める。 |・雑草 の うた | | |−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−|・せっかく | | |イ グループで、お互い書き| | |イ 書き込んだことをもとに|・むんむん | | | 込んだことをもとに話し合|間|直| 話し合いながら、課題を追|・平気さ | | | いながら課題を追求する。| | | 求し、 解決していく。 |・のびたいほうだい| | | | | |・「でも]は何に対してか。|・きらきらしながら| |精| | | |・イナゴの様子や思いは。 | | | | | | |・川の流れ、イネのにおいの| | | | |接|接| 意味するものは。 |・イナゴ | | | | | |ウ 2・3連の音読をする。|・一てん | |査|−−−−−−−−−−−−−+−+−+−−−−−−−−−−−−−|・もえている | | |ウ 話し合ったことをもとに| | |エ 第2・3連の意味をそれ|・夕やけ | | | さらに課題を追求し、解決|直|間| ぞれまとめて書く。 |・でも | | | していく。 | | | |・ぼくしか | |段|・雑草の運命は。 | | |・書き込んだことばを使って|・エンジンを | | |・のびたいほうだいの雑草の| | | まとめる。  |・かけたまま | | | 思いは。 | | |・第2連では、ぼくとイナゴ|・ああ | | |・きらきらしながら生きてい| | | の対峙からイナゴの危機的|・川のように流れる| |階| くとはどんな生き方か。 |接|接| 状況をとらえてまとめる。|・イネのにおい | | |エ 2・3連の音読をする。| | |・第3連では、強者と弱者の| | | | | | | 宿命をとらえてまとめる。| | | |−−−−−−−−−−−−−+−−−| | | | |オ 雑草の生き方をまとめて| 個 |            |<まとめの指導> | | | 書く。 | 別 | | 板書の用語をつな| | |−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−|いで考えさせまとめ| | |カ まとめた事を発表する。|共 通|オ まとめた事を発表する。|させる。 | |−+−−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−−−−−−−−| | | | |共 通| |<朗読指導> | |総|4 全篇の朗読(まとめ) +−−−+ | 読み取った情景や| |合|   朗読の練習をする。     |思いをとらえて朗読| |段|   朗読及び暗誦をする。(指名読) |させる。     | |階| | | | |5 次時の予告 | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 7 評 価 ア 詩に描かれている情景や思いを理解できたか。 イ 正確な音読と豊かな朗読をすることができたか。 ウ ことばをてがかりとした読み方ができ、自己学習の方法が理解できたか。