印刷用紙:B4縦 1ページの行数:56 1行の文字数(半角で):100 第 3 学 年 国 語 科 学 習 指 導 案   盛岡市立城北小学校   教諭  早 坂 真 1 単元名 「感想を大切に」   教材名 「モチモチの木」 2 教材について この教材では、夜になると家の前に立っているモチモチの木を恐がって1人では外へも出られないほど臆 病になる豆太が1人で夜道を医者様のところまで行ったのは、じさまを思うやさしさからだったのだという ことが主題となっている。 物語は、夜のモチモチの木と臆病な豆太、モチモチの木と豆太の関係、豆太に対するじさまの願いとそれ に対する豆太の反応、真夜中に医者様を迎えに行った豆太、じさまの話を聞く豆太という5つの場面から構 成されている。創作民話としていかにも民話調にあふれた語り口とモチモチの木の描写によって、叙情的な 味わいをよく出しているため、子供たちも工夫をしながら楽しんで音読ができると思われる。そして、人物 や情景の描写がはっきりしており、子供たちが行動や会話に着目して読みを深めるのに適当な教材となって いる。さらにじさまが元気になると相変わらず夜に起こすような豆太に共感しながら学習する子供も多いと 思われる。また、随所に語り手の豆太に対する思いが表れており、豆太に対する語り手の考えに自分の考え を重ね合わせていくことによって、子供たちの読みを、作品の主題へ迫る読みへと発展させる方向付けの役 目を持っている教材とも言える。 第3学年の理解領域の指導目標は、「内容の要点を押さえながら話を聞いたり、内容の要点を正しく理解 しながら文章を読んだりすることができるようにするとともに、いろいろな読み物を読もうとする態度を育 てる。」である。子供たちは、これまでに「かげを見つけたカンガルーぼうや」と「つり橋わたれ」を学習 してきた。「かげを見つけたカンガルーぼうや」では、カンガルーぼうやの会話や行動から気持ちを読み取 り、「つり橋わたれ」では、主人公のトッコの会話や行動からトッコの気持ちの移り変わりを読み取ってき た。これらの学習を通して、子供たちは主人公の会話や行動から気持ちの変化を読み取ることができるよう になってきている。しかし、自分の考えを発表しても、他の子の考えの良いところを取り入れてまとめたり するまでは出来ていない子が多い。 指導にあたっては、主題への迫り方が実感を伴わない概念的なものにならないように、豆太のじさまに対 する思いを確実に読み取るようにさせたい。そのために、豆太の会話や行動に着目させ、場面毎の豆太の気 持ちを読み取らせていく。また、話し合いの中で友達の読み取りの良さを見つけ自分の学習のまとめに取り 入れるようにさせたい。 3 指導目標 (1) 場面の情景や、じさまと豆太との心情を想像しながら内容を読み取り、感想をまとめることができる (2) 登場人物やモチモチの木の生き生きとした様子が分かるように工夫して音読することができる (3) 優れた表現の部分や心に残った言葉を視写したり聴写したりして、いろいろな表現の仕方があることを理 解することができる 4 指導計画(11時限) 第1次 全文を読み感想を持たせ学習計画を立てる−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−3時限 ・ 全文を読み初発の感想をもつ (1) ・ 語句の意味や進出漢字について学習しながらあらすじをつかむ (1) ・ 場面分けをし学習計画を立てる (1) 第2次 学習計画にそって豆太の気持ちの変化を読み取りあんなに臆病な豆太を行動さ     せたものがじさまに対する「やさしさ」だったのだということを読み取る−−−−−−−−−−6時限 ・ 豆太の境遇と憶病な性格を読み取る (1) ・ 豆太がモチモチ木をどう思っているかを読み取る (1) ・ じさまの話を聞いて揺れ動く豆太の気持ちを読み取る (1) ・ 豆太の勇気ある行動からじいさまへの思いを読み取る (2)本時 1/2 ・ 豆太がどうして元の憶病者に戻ったかを読み取る (1) 第3次 学習のまとめをする−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−3時限 ・ 感想を書いて発表する (2) ・ 学習のまとめをする (1) 5 本時の指導 (1) ねらい 夜になると1人で外へ出るのを恐がっていた豆太が、どんな気持ちで山道を走り下りたかを読み 取り、まとめることができる (2) 展 開 +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ |段| | |時| | | |  学習活動・・・・・・・・・・ |   教師の働きかけ・・・・・・・・ | | 指導上の留意点・・・・・・ | |階|      |   |間| | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |1 学習課題の把握をする | |2| | | | ・ 前時までに読み取った|・ 豆太が、どんな恐がり方をし| |・ 前時までの読み取りから、| | | 臆病な豆太と比べながら| ているか、思い出させる  | | 豆太がとても臆病な子だとい| |導| 本時の学習課題を確認す|・ 夜に1人で外に出ることだけ| | うことを、前時のまとめを模| | | るん  | でも恐くてできない豆太に、1| | 造しに書いたものから想起さ| | | | 人で遠くの村まで医者を呼び | | せてから学習課題を把握させ| | | | に行くという変化があったこと| | る  | | | | を確認する  | | | | |       +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−+   | | |       | 恐がっていた夜に、1人だけで医者様をよびに行く豆太の| | | |       |気持ちを読み取ろう。      | | | |       +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−+ | |入|2 読み取りの観点を設定す| |2| | | | る | | | | | | ・ 豆太の行動から読み取|・ 豆太の行動から読み取ってい| |・ 会話は、場面前半のうちの| | | ることを確認する  |くことを知らせる  | | 豆太が家を出る前迄の部分に| | | | | | しか無いので、家の中の状況| | | | | | 把握に使う  | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |3 本時の学習場面の音読を|・ 指名読みをさせ、他の子には|3|・ 子供に読ませた後、読み取| | | する  | 豆太の行動のうちから課題解決| | りの狙いに沿ってサイドライ| | | | につながる読み取りのできそう| | ンが引かれているか、引き忘| | | | な部分にサイドラインを引きな| | れたところがないかなどを確| | | | がら聞くようにさせる  | | かめさせる  | | | | | |・ 下位の子には、サイドライ| | | |☆ 指名読みした子に、読み方に| | ンを引けたことへの賞賛のほ| |展| | ついての賞賛を与える  | | かもし見逃しているところが| | | |☆ サイドラインを引けた子に、| | あれば、ほかに引けるところ| | | | 引けたことへの賞賛を与える | | が無いか探すように励ます | | |4 医者様を呼びに行こうと|・ 豆太の会話「じさまぁっ。」| |・ 「じさまぁっ。」は、豆太| | | 思うまでの豆太の気持ちの| 「じさまっ。」「医者様をよば|7| がまだじさまにいつものよう| | | 移り変わりを読み取る  | なくっちゃ。」の3つを軸に家| | に甘えていることの表れであ| | | ・ 「じさまぁっ。」と言| の中で、最初いつもの様に甘え| | ることを理解させ、じさまに| | | った時の豆太の、じさま| た気持ちで目を覚ました豆太が| | しがみつこうとしたのも甘え| | | に甘えた気持ちを読み取| 次第にじさまが心配でたまらな| | てのことであることに気付か| |開| る  | くなっていく様子を読み取らせ| | せる  | | | ・ 「じさまっ。」と言っ| る  | |・ 「じさまっ。」は、豆太が| | | た時の豆太の、じさまを|☆ じさまに甘えようとする豆太| | 普通と違うじさまの様子に気| | | 心配する気持ちを読み取| の気持ちをとらえた発表の出来| | 付いたことの表れであること| | | る  | た子を賞賛する  | | を理解させ、じさまがどうな| | | |☆ じさまを心配する豆太の気持| | ったのか分からない恐さと驚| | | | ちをとらえて発表の出来た子を| | きからじさまを心配して飛び| | | | 賞賛する  | | ついたことに気付かせる  | | | ・ 「じさまぁっ。」と |・ 「じさまぁっ。」と「じさま| | | | | 「じさまっ。」の違いを| っ。」を全員で音読し、豆太の| | | | | 音読で確かめる | 気持ちの違いを耳で感じさせる| | | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ |段| | |時| | | |  学習活動・・・・・・・・・・ |   教師の働きかけ・・・・・・・・ | | 指導上の留意点・・・・・・ | |階|      |   |間| | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |5 1人読みをする |・ サイドラインを引いた部分か|5|・ つまずきの予想される子に| | | ・ 自分がサイドラインを| ら、豆太の気持ちを読み取らせ| | ついては、机間巡視をしなが| | | 引いた部分をノートに視| る  | | ら観察し、実際に迷っている| | | 写し、サイドラインを引|☆ 前時と比べたりして、書き込| | 場合には、具体的な語句を示| | | いて書き込みをしながら| みへの努力を認め、発表に結び| | してやるなどして、そこから| | | 課題に迫るための読み取| 付けるように励ます  | | 読み取る努力をしてみるよう| | | りをする  |☆ もう1つの観点からも考えて| | に励ます  | | | | 頑張っている子に対しては、そ| | | | | | の意欲を認め、賞賛を与える | | | | | | | | | | |6 学び合う |・ 「表戸を体でふっとばして」|15|・ 「ねまきのまんま。はだし | | | ・ 豆太の行動から読み取| から、じさまの様子に驚き、慌| | で。半道もあるふもとの村ま| |展| ったことを、順を追って| てて医者様を呼びに外へ飛び出| | で−。」は「走った。」が省| | | 話し合い、夜道を急いで| した豆太の、自分で何とかしな| | 略されていることをとらえさ| | | 走って行く豆太の気持ち| ければという気持ちを読み取ら| | せる  | | | を読み深める  | せる  | | | | | |・ 「なきなき走った」から、は| |・ 豆太が走った坂道の状況を| | | | だしの足が夜道の霜で冷えて痛| | とらえさせる  | | | | いことと、1人で走るのが恐い| |・ 「霜が足にかみついた」の| | | | 気持ちとを読み取らせる  | | 意味が「足の裏が冷えて痛い| | | | | | 様子」の例えであることおさ| | | |・ 「なきなきふもとの医者様へ| | えさせる  | | | | 走った」から、足の痛さや夜道| | | | | | の恐さよりも、じさまに死なれ| | | | | | る方がもっと恐いと思う豆太の| | | | | | 気持ちを読み取らせる  | | | | | |☆ 発言したことが、話し合いに| | | | | | 役だっているという喜びを得ら| | | | | | れるように評価する  | | | | |7 自分の読み取りを深める| |6| | |開| ・ 学び合いを基にして、|・ みんなの読み取りを基にして| |・ 友達の読み取りの良さとし| | | 自分なりに学習課題に対| 学習課題に対する自分なりの考| | て自分の考えに取り入れた部| | | する考えをまとめる  | えをまとめさせる  | | 分に赤いサイドラインを引か| | | | | | せる  | | | |☆ 医者様を呼びに家の外に飛び| | | | | | 出した豆太が、夜の恐さやはだ| | | | | | しで走る痛みに負けずに走り続| | | | | | けたのは、大好きなじさまを助| | | | | | けたい一心からだったことをと| | | | | | らえられた子を賞賛する  | | | | | |☆ 自分の読み取りに友達の読み| | | | | | 取りの良さを取り入れられた様| | | | | | であればそれを認め、評価する| | | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |8 まとめの音読をする |・ 指名読みをさせる  |5|・ 豆太の気持ちが表れるよう| |終| | | | に工夫をしながら読ませる | | |9 学習を振り返る |・ 自分や友達の良かったところ| |・ 前時までの学習のまとめ方| | | ・ 自己評価し、自分の頑| を書かせる  | | や態度との比較もできれば加| |末| 張りや読み取りの良さを|☆ 自分なりに頑張ったというと| | えて賞賛してやる  | | | 確かめる  | ころを認め励ます | | | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+