印刷用紙:B4縦 1ページの行数:55 1行の文字数(半角で):100 第 5 学 年 国 語 科 学 習 指 導 案   盛岡市立城北小学校   教諭  加 藤 正 樹 1 単元名 「情景を思いうかべて」    教材名 「大造じいさんとガン」 2 教材について    この教材は、ガンの群れの頭領である残雪をたかが鳥とは思っていたが、残雪の命がけで仲間を救う勇気   ある行動や頭領たる威厳に満ちた様子にただの鳥とは思えなくなっていく狩人大造じいさんの心の変容が描   かれている。    この物語は、前書きと、うなぎつりばりの特別な仕掛けに失敗する大造じいさん、タニシ作戦の策略にも   再び見破られて失敗する大造じいさん、頭領らしい残雪の態度に強く心を打たれる大造じいさん、残雪を空   へ放す大造じいさん、の4つの場面からなり、起承転結が明確な文章構成になっている。場面ごとに一年ご   との事件として読み進められ、4つの場面がうまく結びついたドラマチックな作品である。この作品には、   「にぎりしめる」「かけつけた」などの動きを表す語、「東の空が真っ赤に燃えて」などの情景を表す表現、   「くれない」「白い花弁」などの色彩語の他、「感嘆の声をもらす」「目にもの見せてくれる」などの慣用   的な表現などが使われているが、これらは作品の文体や表現上の特徴を理解する手がかりだけでなく、人物   の心情を深く読み取るための手がかりともなっている。また、大造じいさんの視点で語り進められているの   で、大造じいさんの気持ちの変化を読み取っていくのにふさわしい作品である。    第5学年の理解領域の目標は、「話し手の意図をつかみながら聞いたり、主題や要旨を理解しながら文章   を読んだりすることができるようにするとともに、読書を通して考えを深めるようにする。」である。子供   たちは、5年生になって、「子ねこをだいて」では主人公の心の変化を主人公の行動や会話の他に、他にめ   ぐり会った人物の行動や会話にも目を向けながら読み取ってきた。また、「さよならの学校」では、中心人   物の行動や会話からだけでなく、中心人物に関わった人物の行動や会話からも中心人物の気持ちの変化をと   らえ、主題に迫る学習をしてきた。この学習を通して、語句や文に着目して、人物の気持ちを読み取ったり   情景を想像することができるようになっている。人物の気持ちでは、中心人物から読み取った子と、それに   関わった人物やまわりの状況の観点からも読み取る子の考えを出し合うことによって中心人物の気持ちが豊   かにとらえられることができることも分かってきている。しかし、お互いの観点からの読み取りについて発   表するものの、主体的に話し合いに参加し別な観点の読み取りの良さを取り入れて読み深めていくことは、   まだまだである。    指導に当たっては、中心人物である大造じいさんの行動・心内語の観点の他に好敵手である残雪の行動・   様子や情景描写などの観点も入れて、大造じいさんの心情の変化をとらさせていく。一人読みでは大造じい   さんだけでなく、残雪や情景描写の観点からも考えることが、より大造じいさんの心情の変化をとらえられ   ることに気づかせ、話し合いでは,お互いの観点の読み取りを出し合い、自分の考えと友達の考えを比べさ   せながら自分の読み取りにはない良さに気づかせ読み取りが深まるようにしていきたい。 3 指導目標                                             (1) 場面が移り変わるとともに、人物の関係や気持ちが変化する様子を読み取ることができる (2) 主題を考えながら感想をまとめ、整理して文章に書くことができる (3) 相手の話の内容を細部まで注意して正確に聞き取り、自分の意見をさらに深めて話し合うことができる (4) 読み取った情景や気持ちが聞き手にも分かるように、音量や速さなどを工夫して朗読することができる (5) 慣用的な表現や、熟語、あるいは、動きを表す語、様子を表す語、色彩語等について理解を深め、自分の   文章に使うことができる 4 指導計画(11時限)  第1次 題名と前書きから自分の読みと感想をまとめる視点を生み出し、作品の主題を     読み深める学習計画を立てる−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−3時限  第2次 残雪の行動、情景描写、大造じいさん行動や心内語に着目し、大造じいさんの     残雪への気持ちの移り変りと関係を読み深める−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−6時限   ・ 残雪の説明・行動、情景描写,大造じいさんの行動・心内語からつりばり作戦に    失敗する大造じいさんの気持ちを読み取る                      (2)   ・ 残雪の行動、情景描写、大造じいさんの行動・独白から再び失敗してしまう大造    じいさんの気持ちを読み取る  (1)   ・ 残雪の行動、情景描写、大造じいさんの行動・独白から残雪の姿に心を強く打た    れる大造じさんの気持ちを読み取る  (2)本時 2/2  ・ 残雪の行動、情景描写、大造じいさんの行動・会話文から残雪と対等に戦おうと    する大造じいさんの気持ちを読み取る  (1)  第3次 残雪に対する気持ちの移り変りをもとに「大造じいさんとガン」の関係を読み     まとめ、初めの読み取りと感想を読み直し、書きまとめる−−−−−−−−−−−−−−−−−2時限 5 本時の指導 (1) ねらい 残雪の行動や大造じいさんの行動を表す描写を手がかりとし、残雪の命がけで仲間を救う勇気あ       る行動や頭領たる威厳に満ちた様子を読み取り、大造じいさんの心情をまとめることができる (2) 展 開 +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ |段| | |時| | | |  学習活動・・・・・・・・・・ |   教師の働きかけ・・・・・・・・ | | 指導上の留意点・・・・・・ | |階|      |   |間| | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |1 学習課題の把握    |・ 前時の学習の課題のまとめの|3|・ あの残雪めの「め」にこめ| | | ・ 前時で学習した大造じ| 文を読ませる        | | られた執念の強さを確認する| | |  いさんの今年こそは残雪|               | | ようにする        | |導|  を仕留めようという執念|               | |・ おとりのガンをおそうハヤ| | |  の高まりを想起させた上|               | | ブサの出現の場面から本時に| | |  で本時の学習課題を確認|               | | 入ることもつけ加える   | | |  する         |               | |              | | |        +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−+ | | |        | 大造じいさんは残雪のどんな姿に強く心を打たれたのだろ|         | | |        |うか |         | | |      +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−+ | | |2 読み取りの観点を決める|・ 自分の読み取りの観点が決ま|3|・ 残雪にだけ集中したときは| |入| ・ 観点としては,大造じ| ったらもう一つの観点の方にも| | 大造じいさんから読み取る人| | |  いさん(中心人物)と残| 考えられるとよいことを指示す| | はいないかと投げかけるよう| | |  雪(対象)の2点から選| る             | | にする          | | |  ばせる        |               | |              | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |3 本時の学習場面の音読を|・ 指名読をさせ、他の子には自|4|・ 子供に読ませた後にもう一| | | する          | 分の決めた観点に当てはまる部| | 度自分の観点にそってサイド| | |             | 分にサイドラインを引きながら| | ラインが引かれているか見直| | |             | 聞くようにさせる      | | させ、足りなくないか確かめ| |展|             |☆ 指名読とした子の読み方の良| | させる          | | |             | さについてそれぞれ簡単な賞賛| |              | | |             | を与える          | |              | | |             |               | |              | | |4 一人読み       |・ それぞれの決めた観点にそっ|7|・ 自分の観点での読み取りが| | | ・ それぞれの決めた観点| て大造じいさんが残雪のどんな| | 終わった子に対してはもう一| | |  にそって読み取る   | 姿に心を打たれたかを読み取る| | つの観点でも考えてみるよう| | | ・ 残雪の行動からの大造| のだということを確認してから| | に指示する。予め、つまずき| | |  じいさんの気持ち   | 課題に取り組ませる     | | が予想される子については、| |開| ・ 大造じいさんの行動か|☆ 前時と比べて自力解決できて| | 机間巡視をしながら実際迷っ| | |  らの大造じいさんの気持| いる子を認める       | | ている場合、読みの中心にな| | |  ち          |☆ もう一つの観点を考えて頑張| | っている箇所についてまとめ| | |             | っている子については、その子| | ればよいことを読み取らせた| | |             | の取り組みを認め意欲をほめる| | い内容にそって個別に具体的| +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ |段| | |時| | | |  学習活動・・・・・・・・・・ |   教師の働きかけ・・・・・・・・ | | 指導上の留意点・・・・・・ | |階|      |   |間| | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |             |               | | に示していく       | | |5 学び合い       |・ それぞれの観点で読み取った|17|              | | | ・ 残雪とハヤブサの戦い| ことをもとに話し合わせる  | |              | | |  の場面から大造じいさん|・ 残雪とハヤブサの戦いの場面| |・ 残雪の観点からは、残雪が| | |  が残雪のどんな姿に心を| から、残雪の勇気・仲間を思う| | いきなりハヤブサにぶつかっ| |展|  打たれたのかを読み深め| 姿を考えさせる       | | ていくわけから、大造じいさ| | |  る          |               | | んの観点からは、大造じいさ| | |             |               | | んがかけつけたわけから、残| | |             |               | | 雪の勇気や仲間を思う姿を読| | |             |               | | み取らせていきたい    | | | ・ 残雪の堂々たる様子に|・ 残雪の頭領として威厳に満ち| |・「くれないにそめて」から命| | |  心を打たれた大造じいさ| た堂々たる様子から心を強く打| | がけで戦った勇気を、「ぐっ| | |  んの気持ちの読み取りを| たれた大造じいさんの気持ちを| | と長い首を持ち上げ」「正面| | |  深める        | 考えさせる         | | からにらみつけ」「じたばた| | |             |☆ 似ている考えや自分にない考| | さわがない」から頭領らしい| | |             | えに気づかせていく     | | 堂々たる態度をとらえさせる| | |             |・ ただの鳥に対しているような| |・「大造じいさんが手をのばし| | |             | 気がしない大造じいさんの気持| | ても」から残雪に対して温か| | |             | ちを考えさせる       | | い気持ちに変わっていったこ| | |             |               | | とをとらえさせ、「ただの鳥| | |             |               | | に対しているような気がしな| | |             |               | | い」に変化していった大造じ| | |             |               | | いさんの気持ちの変化をとら| | |             |               | | えさせる         | | |6 自分の読み取りを深める|・ みんなの読み取りをもとにし|6|・ 板書や友達の良い考えをも| |開|             | て,自分なりの学習課題の答え| | とに、命がけで仲間を救った| | |             | をまとめさせる       | | 勇気ある行動や頭領たる堂々| | |             |☆ 自分の読み取りに不足だった| | とした態度にただの鳥以上の| | |             | ものや友達から学んだ読み取り| | ものを感じた大造じいさんの| | |             | の良さを取り入れてまとめられ| | 気持ちについてまとめさせる| | |             | るように指示する      | |              | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |7 まとめの音読をする  |・ 指名読みをさせる     |2|・ 特に残雪の姿に心を打たれ| |終|             |               | | 部分を感動的に読ませる  | | |8 学習を振り返る    |・ 友達や自分の良かった所を書|3|・ 前時との比較も加え、賞賛| | |             | かせる           | | を与える         | | |             |☆ 今日の学習を振り返り、自己| |              | |末|             | 評価させながら自分のがんばり| |              | | |             | を確かめさせる       | |              | +−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+