印刷用紙:B4縦 1ページの行数:62 1行の文字数(半角で):100 第1学年 国語科学習指導案 日 時 平成6年9月14日(水) 1校時 児 童 1年1組 33名(男子15名、女子18名) 指導者 川 村 節 子 1.単元名 こえにだして よもう 教材名 くじらぐも (光村 1年下) 2.教材について ア.1年生の理解に関する目標は、「事柄の大体を理解して文章を読んだり、粗筋をつかんで話を聞いたりす ることができる」ことである。本教材では、「場面毎の様子を思い浮かべながら、はっきりした声で音読 することができる」ことを主目標とする。 教材「くじらぐも」は、空に現れた大きな真っ白い雲のくじらと子供たちの楽しいやりとり、そしてくじ らに飛びのって青い空を自由に旅する様子を楽しく描いたファンタジー作品である。 四時間目のこと。一年二組の子供たちが体操をしていると、空に大きなくじらが現れる。それは、真っ白 い雲のくじらだった。子供たちがすることを真似するユーモラスなくじら。みんなの呼びかけにも答える くじら。「よしきた。くものくじらにとびのろう。」とみんなは張り切って、手をつなぎ丸くなる。「天ま でとどけ、一、二、三。」とジャンプするが、なかなかあがれない。それを「もっとたかく。もっとたかく。」 と応援するくじら。そのとき、いきなりの風がみんなをくじらぐもに乗せてくれる。「さあ、およぐぞ。」 と、青い青い空の中を元気一杯に進むくじらぐもは、海へ、村ヘ、町へとみんなを連れていく。歌を歌っ たりして楽しいひとときを過ごす子供たち。最後に、くじらぐもは、子供たちをジャングルジムの上にお ろすと、また、元気よく、青い空の中へ帰っていくのである。 子供たちは、文章の中の子供たちと同化して、動作や言葉を真似するくじらに喜んだり、雲のくじらに乗 っているかのように、いろいろな体験を豊かに想像することができるだろう。そして、くじらぐもとの心 の交流を通して、クラスの友達みんなで同じ体験をする楽しさ、ほのぼのとしたくじらぐもとの素敵な想 像の世界に浸ることができるであろう。 イ.この物語は、5つの場面から構成されている。(1)の場面では、体操をする子供たちとくじらとの出会い (2) の場面では、子供たちとくじらとのやりとり。(3)の場面では、くじらぐもに飛び乗ろうとする子 供たちとくじらぐもの様子、(4)の場面では、くじらぐもに乗って楽しい空の旅をする子供たちの様子、 最後の(5)の場面では、くじらぐもが子供たちをジャングルジムに下ろし、別れていく様子が描かれてい る。 子供たちの日常会話がそのまま取り入れられている。「くじらも」からは、くじらぐもが子供たちの様子 をじっと見ている様子が分かり、「みんなが〜すると、くじらも〜しました。」の文型を繰り返すことで、 真似をするユーモラスなくじらぐもの姿が対比されている。そして、助詞「〜も」の使い方を意識させて いくことができる。また、繰り返すことによって、音読にリズミカルな調子を持たせている。読み進めな がら動作化し、動作化することによって読みを深め、さらに音読を工夫することができるだろう。また、 片仮名の濁音、半濁音が新出の教材だが、ジャンプ、ジャングルジムといった耳慣れた言葉が使われてい る。 以上のことから、場面ごとの様子を思い浮かべながら音読したり、気持ちを想像したりする学習に適した 教材であると言える。 ウ.教材構造図 別 紙 3.児童について 1年生になって4度目の物語教材である。「おおきなかぶ」では、繰り返される、人物の行動の面白さを場 面ごとに、音読したり動作化したりして話の筋の大体を読み取り、表現の面白さを声に出して読み味わった。 音読に喜んで取り組み学習していたが、言葉に立ち止まって十分に様子を想像するまでには、いたらなかっ た。また、字の読み書きが未定着な子、発表の声が低い子もおり、個人差は大きい。意識調査からは、ほと んどの児童は国語が好きだが、音読が苦手だと思っている子や挙手できずに困っている子も、数名見られる ことが分かった。そこで、これらの実態から、次のような点に留意して指導したい。   1音読を多様に取り入れ、場面の様子を考える手がかりにしていく。特に会話文では、みんなとくじらの、 同じ言葉の繰り返しの面白さや、くじらに乗ろうとするみんなとそれを応援するくじらのやりとりの面 白さを十分に感じ取れるように工夫していく。 2主述の照応をして、だれの行動なのかをはっきりさせていく。それにより、誰のどんな行動の様子を読み 取っていくのかを明確させていきたい。 3動作化を効果的に学習に取り入れていく。子供たちの体操をくじらぐもが真似をする場面や、手をつない でジャンプする場面などでは、実際に動作することでさらに文章の子供たちに同化できるようにし、その 時々の様子や気持ちを読み取らせていきたい。 4一人読みとしてサイドラインや視写をしていく。そうして、読み取った気持ちを吹き出しに書く活動で、 一人ひとりの考えをまとめさせていきたい。4単元の目標 《価値目標》 ◎くじらぐもと子供たちの様子を読み取り、気持ちを想像する活動を通して、空想の世界でくじらぐもと 心の交流をする楽しさや、みんなで遊んだり同じ体験をする楽しさを感じ取ることができる。 《技能目標》 ◎場面毎の様子を思い浮かべながら、はっきりした声で音読したり、子供の気持ちを吹きだしに書いたり することができる。 (理解ウエオ・表現エ・音読ア(ア)(イ)) ○「〜も」の使い方に注意して視写・聴写し、対比する表現の仕方が理解できる。 (表現キ) ○片仮名を正しく読んだり書いたりできるようにするとともに、語句の意味を正しくとらえ、その使い方 を理解できる。 (言語ウ(ア)) 5.学習指導計画 (15時間) ○事前テスト −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1 ○意識を持つ。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−3 ・題名と挿絵からどんな話か想像し、初発の感想を持つことができる。 ・好きな場面を見つけ、絵に書くことができる。 ・新出漢字、片仮名の読み書きができる。 ○見通しを立てる。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1 ・挿し絵や感想を下に、学習計画を立てることができる。 ○深め広げる −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−5 ・くじらぐもと子供たちの出会いの様子を読み取ることができる。 (1) ・くじらぐもと子供たちのやりとりの様子を読み取ることができる。 (1) ・くじらぐもに飛び乗ろうとする子供たちの様子と応援するくじらぐもの様子を読み取る ことができる。 (1)(本時) ・くじらぐもに乗って旅をする子供たちの様子を読み取ることができる。 (1) ・くじらぐもと子供たちが別れる様子を読み取ることができる。 (1) ○まとめ確かめる −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−3 ・楽しく遊んだ様子を振り返ることができる。 ・音読会をする。 ○練習と評価 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−2 ・助詞「も」の使い方、新出漢字、片仮名の使い方を学習・テストをする。 6.本時の指導 ア.本時の到達目標 ◎手をつないだまま、雲のくじらに乗れてうれしいみんなの気持ちを、次のレベルで吹き出しに書くこ とができる。 ・やったあ。やっとくじらぐもにのれたよ。くじらぐもさん、おうえんしてくれてありがとう。 [下位行動目標] 1.風の応援でみんなが雲のくじらに乗れたことを、次の言葉に着目して説明することができる。 ・「いきなり」 ・「ふきとばしました」 ・「あっというまに」 ・「手をつないだまま」 2.どうしても雲のくじらに乗りたいという思いを込めて、3回目のジャンプの音読を工夫できる。 3.2回目のジャンプは、1回目のジャンプより高く跳ぼうとしたことを次のレベルで説明し、音読を工 夫できる。 ・1回目は、30センチぐらいだったけれど、こんどは、50センチぐらいまで跳べた。 ・くじらが応援してくれたから。 4.一生懸命に応援するくじらの様子を、次のレベルで指摘し、説明できる。 ・「もっとたかく。もっとたかく。」→がんばれ、がんばれと大きな声で。 とおうえんしました。 ここまでおいでよ。 5.くじらに乗るために、みんなが1回目にしたことを次のレベルで指摘し、説明できる。 ・手をつないで、まるくなると、 ・「天までとどけ、一、二、三。」とジャンプしました。 6.「そのとき」とは、3回目のジャンプしたときであると指摘できる。 7.主述の照応ができる。 8.言葉の持つ意味を、次のレベルで説明することができる。 ・「いきなり」→きゅうに ・「あっというまに」→おどろくほど、みじかいあいだ。 9.本時学習課題は、「はりきったみんなは、どんなことをしたのだろう。」であると指摘することがで きる。 A.本時の学習段落を音読することができる。 イ、展 開 下位行動目標 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−− |過程 学 習 活 動(○主発問) | 指 導 事 項(●反応) | 指 導 上 の 留 意点 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−− |意|1、前時の学習を想起する。 |○前時の学習を想起させること。 | |・くじらぐもにさそ      | | |われて飛 |識| ○くじらに、なんとさそわれました| ●ここへおいでよう。 | |び乗ることを決心し か。      | | |たのであ |を| | | |り、それが本時の学      | | |習課題に |持| ○みんなは、何と決心しましたか。| ●雲のくじらにとびのろう。 | |つながっていること      | | |を確認さ |つ|2、本時の学習課題を確かめる。 | | |せたい。 | | ○めあては何ですか。 | | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | ||はりきったみんなは、どんなことをしたのだろう。 ||9.| | |+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+| | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−− |見|3、読みの視点を明確にする。 |○課題に迫るための読みの視点を明確| |・読みの方向を明確      | にさせること。 | |にし、視 |通| ○くじらぐもにのることができたで| | |点を「したこと」と しょうか。 | | |する。 |し| | ●とびのれた | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−− | |4、本時の学習場面を読む。 |○読みの視点をおさえながらゆっくり|A.|・指名読 |深| ○みんなのしたことを考えながら読| はっきりと音読させること。 | | |め| みましょう。 | | | |広| | | | |げ|5、ジャンプしたみんなと、応援する|○サイドラインやワークシートに視写| | |る| くじらぐもの様子を読みとる。 | をして、みんながしたことを読み取| | | | (1回目のジャンプ) | らせること。 | | | | ○はりきったみんなは、どんなこと| ●手をつないで、まるい輪になった|5.|・どこを視写するの をしましたか。サイドラインを引| | |か、はっ | | きましょう。 | ●「天までとどけ、一、二、三。」と|7.| きりさせて書かせ | ジャンプしました。 | |たい。 | | | | | | | ○視写しましょう。 |+−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | ||みんなは、手をつないで、まるい|| |+−−−−−−−− | | ||わになると「天までとどけ、一、|| ||意識調査 発表 (正 || || ||の反応率91%) | | ||二、三。」とジャンプしました。 || ||・発表に自信のな || || ||い子には、励ました り、機会を | | |+−−−−−−−−−−−−−−−+| || 与えたりしなが |+−−−−−−−−−−−−−−−+| ||ら、自信を持たせ、 意欲を高め | | ○みんなは、何をしましたか。 | ●手をつないで、丸い輪になった。| || ていきたい。 | | | ●「天までとどけ一、二、三。」とジ| |+−−−−−−−− | | | ャンプした。 | | | | ○みんなでやってみましょう。 | | |・一つの丸い大きな      | | |輪になっ | | | | | てくじらに届くよ      | | |うにジャ | | ○手をつなぐと、どんないいことが| ●高くとべる。 | | ンプしたことを感      | | |じ取らせ | | ありますか。 | ●みんなで飛び乗ることができる。| | たい。 | | ○くじらぐもに届きましたか。 | ●届かない。 | | | | | ●でも、やっと30センチぐらい。| |・「でも」「やっと」      | | |の言葉 | | | ●くじらが応援してくれた。 |4.| から残念な気持ち      | ●もう一度ジャンプをした。 | |を読み取 | | | | らせたい。 | | | | | | | ○みんなは何をしましたか。 | ●「天までとどけ一、二、三。」とジ| | | | (2回目のジャンプ) | ャンプした。 | | | | ○今度は乗れるよう音読しましょう| ●さっきよりもっと跳ぼうとした。|3.|・「こんどは」の言葉      | ●くじらも応援してくれている。 | |から少し | | | ●こんどは、50センチぐらい。 | | 高く跳べるように     | | |なった嬉 | | ○今度は乗れましたか。 | | | しさなども読み取      | | |らせたい | | | | | | ○みんなは、あきらめたのですか。| ●あきらめない。 | | | | (3回目のジャンプ) | ●「天までとどけ、一、二、三。」 | | | | | とジャンプしてもっと頑張った。| | | | | ●くじらも「もっとたかく。もっと| | | | | たかく。」がんばれと、応援した。| | | | ○みんながくもに乗れるように音読| |2.|・声の強弱に変化を しましょう。 | | | 付けなが | | | | | ら、ジャンプの様      | | | 子を音読 | | | | | し、子供たちの頑      | | | 張りやく | |6、風に吹き飛ばされて、くじらに乗|○風に吹き飛ばされたみんなの様子を|1.| じらの応援の高ま るみんなの様子を読み取る。 | 読み取らせること。 | |りを読み | | | | | 取らせたい。 | | ○「そのとき」みんなは、どうなり| ●いきなり、風に吹き飛ばされた。| | | | ましたか。 | ●くものくじらに、乗っていた。 | | | | |6.|・「そのとき」とは、      | | |3回目の | | ○どんなふうに、乗ったのだろう。| ●「いきなり」だから、急に。 | | ジャンプをしたと      | | |きである | | | ●「ふきとばしました」だから、勢い| | ことをおさえさせ |    | よく。 | |る。 | | | | | | | | ●「あっというまに」だから、早く。|8.| | | | ●「手をつないだまま」だから、みん| | | | | なで一緒に。 | | | | | | | | |7、くじらに乗ったみんなの気持ちを|○くじらに乗ったみんなの気持ちにな| | | | 考え、吹き出しにまとめる。 | って、思いをまとめさせること。 | | | | ○くじらに乗ったみんなが、なんと| | |・くじらに乗ったつ      | | |もりで書 | | 言ったのかを書きましょう。 | | | かせたい。 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−− |まと 8、本時の学習をまとめる。 |○まとめ読みをし、本時の学習を振り| | |め| ○今日の学習場面を音読しましょう| 返えること。 | |・役割読 |確か | | | |め| ○学習の様子を振り返りましょう。| | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−− |適|9、次時の学習を確かめる。 |○次時の学習を確認させること。 | | |用| ○次の時間は、鯨に乗ったみんなの| | | |する 気持ちを考えていきましょう。 | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−− ウ、評 価 ○くじらぐもに飛び乗ろうとする子供たちと応援するくじらぐもの様子を読み取ることができたか。