印刷用紙:B4縦 1ページの行数:60 1行の文字数(半角で):116             第3学年  国語科学習指導案                         日 時  平成6年9月14日(水)1校時                         児 童  3年1組 31名(男子15名 女子16名)                         指導者  瀬  川  典  子 1,単元名  人物の気持ちを思いうかべながら読もう       教材名  三年とうげ   (光村 3年上) 2,教材について  ア,3年生の理解に関する目標は、「内容の要点を押さえながら話を聞いたり、内容の要点を正しく理解しながら文章を読んだ りすることができるようにするとともに、いろいろな読み物を読もうとする態度を育てる」ことである。    本単元は、「登場人物の心の動きや場面の情景を豊かに想像しながら話のおもしろさを読み取り、音読することができる」 ことを主目標にする。    教材「三年とうげ」は、言い伝えを信じて病気になったおじいさんが元気になっていく様子が、明るくリズミカルに伝わっ てくる作品である。三年とうげの言い伝えとは、「三年とうげで転ぶと三年しか生きられない」ということである。春と秋、 美しい花が咲き乱れる三年とうげで、反物を売りに行ったおじいさんが転がってしまうのである。真っ青になり、がたがた 奮え三年の命だと信じ込み、おばあさんがいくら看病しても治らない重い病気になってしまう。その病気を水車屋のトルト リが機転をきかして、あっという間に治してしまう話である。    おじいさんだけでなくみんなが信じていた言い伝えをトルトリは発想を180度転換し、全く逆の視点で見るのである。 つまり「三年きりしか生きられない」ことを「三年生きる」と考える。一回転ぶと三年生きる。二回転ぶと六年生きる。だ から転ぶほどうんと生きるはずだと言うのである。トルトリの話を納得したおじいさんはわざとひっくり返って転び、木の かげから聞こえてくる歌を聞くとますますうれしくなり、ころりん、ころりん、すってんころりんと夢中で転がっていく。    子ども達は、おじいさんの言動に一喜一憂しながら読み進めることで、心情の変化や信じやすく底ぬけに明るい人柄を読み 取るであろう。また、トルトリの機知に富んだ考えや行動から、一つの考えにとらわれて悲しんでばかりいてはいけない。 物事にはいろいろの見方、考え方ができる。よい方に考えて生きていくことが大切であることにも気づいていける教材であ ると考える。  イ,この教材は、(一)、三年とうげの美しい情景とそこに伝わる言い伝え、(二)、とうげで転び病気になるおじいさん、 (三)、トルトリの考えにうなずくおじいさん、(四)、すっかり元気になるおじいさん、(五)、読者への問いかけ、の5 つの場面から構成されている民話形式の物語文である。    物語の中の言い伝えやおもしろい歌は「〜ぬ」「〜ならば」など語り口調で書かれていて、くり返しが多く使われてリズミ カルな文章になっている。花が咲き乱れるとうげの様子は、ふでりんどう。ぬるでの葉。などと名詞止めになっていてさら 豊かな情景を引き起こすことができる。「おいおい」「ころりん」などの擬声語や「がたがた」「うっとり」などの擬態語 がおじいさんの様子を表す言葉として多く使われている。これらの語感の面白さを音読を通して読み進めることができる。    文末表現では、「〜ぬ」という文語的表現がある。これは口語に直し意味を把握させることが必要である。4の場面の最後 の文は「〜ということです」と伝聞になっているので物語の終わりを告げ、五の場面で語り手が顔を出し読み手に問いかけ ていることに気づいていくであろう。    また、おじいさんが転んでしまった場面では、「真っ青になり」「がたがたふるえ」「すっとんでいき」「しがみつき」 「おいおいなき」のことばや「ああ、どうしよう。どうしよう。」の会話文から、言い伝えを信じ込み恐怖におののき悲しみ にくれとうとう重い病気になるおじいさんの気持ちを読み取ることができる。うれしくなりとうげで転ぶ場面では、おもし ろい歌や「ころりん、ころりん」と転がるようす、「けろっとした顔で」などの文から、長生きできることを喜んでいるお じいさんの気持ちを感じ取らせながら読み進めていきたい。  ウ,教材構造図            別    紙 3,児童について    3年生になって物語文の学習は3つ目である。「かげを見つけたカンガル−ぼうや」や「つり橋わたれ」では、場面の情景 や登場人物の様子・気持ちを考える学習をしてきた。しかし、興味ある部分にのみこだわったり、話の筋のおもしろさにひ かれてあら筋だけをとらえたりしている児童も多い。情景描写の文から回りの様子を想像したり、行動が書かれている文か ら登場人物の気持ちを考えたりすることは大切なことであるが、その文章を指摘できない子や、指摘できても様子や気持ち を考えれない子、指摘された文章を捜すのにも多くの時間がかかる子など個人差は大きい。これは、文に着目することがで きなかったり、さらにどのことばに着目すれば読み取っていけるかが分からないでいるためと思われる。    また、意識調査から、国語の学習は好きな子が多いが、書くことや考えることが苦手な子、学習の仕方が分からなく自分の 考えを積極的に発表できずにいる子が多く、友だちの発表は聞きみんなと一緒に勉強して良かったと思っている反面、あき てしまい持続力に欠けることが分かった。    そこでこれらの実態から、まず情景が想像できる文章を捜させ、その中から言葉に着目させて場面の把握をさせたい。つぎ におじいさんの行動が表れている文を捉えさせ、様子を表す言葉として擬声語や擬態語に着目させたり、気持ちの表れてい る文としておじいさんの会話文を捜し、そこからどんな気持ちが伝わってくるのかを考え書き込みをさせたり、音読をさせ たりしながら自分の考えを持たせていきたい。 4,単元目標    《価値目標》     ◎ 言い伝えを信じていたおじいさんが元気になっていくまでの気持ちの変化を読み取りながら、発想の転換の面白さや 前向きに生きていこうとすることの大切さに気づくことができる。    《技能目標》     ◎ 登場人物の心の動きや場面の情景を豊かに想像しながら話の面白さを読み取り、音読することができる                   (理ウ・カ・ク)     〇 読み終わって心に残ったことを、文章にまとめることができる。   (表オ・ク)     〇 様子を表す言葉、動きを表す言葉について理解し、語句の性質や役割に関心をもつことができる。                                       (言エ・(ア)(イ)) 5,学習指導計画(12時間)     〇事前テスト−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1     〇意識を持つ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1       ・題名から話の内容を想像し、全文を読み感想を持つことができる。(1)     〇見通しを立てる−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−2       ・あらすじをつかみ、5つの場面に分けることができる  (1)       ・学習課題を立てることができる            (1)     〇深め広げる−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−5       ・三年とうげの美しい情景を想像し言い伝えを読み取り、音読することができる。(1)       ・三年とうげで転び悲しみ、とうとう病気になってしまうおじいさんの気持ちを読        み取り音読することができる。                      (1)       ・トルトリの言い伝えに対する新しい考えと、それを納得し、わざと転んでみるお        じいさんの気持ちを読み取り音読することができる。            (1)       ・歌を聞きうれしさが増し、何度も転び、すっかり元気になったおじいさんの気持        ちを読み取り音読することができる。                   (1)本時       ・歌を歌っていたのは誰か想像し、おじいさんの言い伝えに対する考えの変化をま        とめることができる                           (1)     〇まとめたしかめる−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−2       ・会話や地の文に注意して音読することができる     (1)       ・心に残ったことを中心に感想をまとめることができる  (1)     〇練習と評価−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1       ・新出漢字、難解な語句について、正しく書いたり使うことができるようにする (1) 6,本時の指導  ア,本時の到達目標    ◎,三年とうげでわざとひっくり返って転んだ時のおじいさんのうれしい気持ちを次のレベルで吹き出しに書くことができる。     ・「三年とうげでいっぱい転ぶと、うんと長生きできるぞ。うれしいな。もっともっと転んでうんと長生きしたい。」    [下位行動目標]     1. おじいさんの悲しみがうれしさに変わっていく様子が分かるように、会話文を音読することができる。      ・「ばかな、もっと早くしねというのか。」(悲しい気持ち)       「うん、なるほど、なるほど。」(うれしい気持ち)     2. トルトリの考えがわかったので、元気になったおじいさんの様子は次の分にあると指摘し視写することができる。      ・ふとんからはね起きると、三年とうげに行き、わざとひっくり返り、転びました。     3. しばらく考えていた時のおじいさんの気持ちを次のレベルで説明できる。      ・三年とうげで転ぶほど、うんと長生きできるんだ。     4. トルトリの考えが分かった時のおじいさんの様子は次の文にあると指摘し視写できる。      ・おじいさんは、しばらく考えていましたが、うなずきました。「うん、なるほど、なるほど。」     5. トルトリの考えはどんな内容なのかを次のレベルで説明することができる。      ・一度転ぶと三年しか生きられないこととは違い、一度転ぶと三年も生きられる。だから何度も転ぶとうんと長生きできる。     6. トルトリの考えを指摘し音読することができる。     7. 学習課題を次のレベルで指摘できる。      ・「わざとひっくり返ったおじいさんは、どんな気持ちだっただろうか。」     8. 本時の学習場面を音読できる。  イ,展開 +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−− |過程|  学 習 活 動(〇主発問) |   指 導 事 項(・反応) 行動 指 導 上 の 留 意 点 +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−− | 意 1,本時の学習場面と学習課題を確かめ|〇本時の学習課題と学習場面を確かめる|7.|・どの子にもおじいさんがふと | 識 |る。 | こと | | んからはね起き、わざと転ぶ | を |〇今日はおじいさんがどうなる場面を| | | 場面であることを把握させた | 持 | 学習しますか。学習課題は何ですか。 | | い。 | つ |        | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | ||わざとひっくり返り、転んだ時のおじいさんは、どんな気持ちだったのか。 | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−− |立 見2,読みの視点を明確にする。 |〇読みの視点を明確にすること。 | |・課題にせまるためにはトルト |て 通 〇ふとんからはね起きることができた  ・トルトリの考えが分かった時から | | リの考え方を知ることが大事 |る し  のは、何が分かった時からですか。 | | であることを捉えさせたい。 | を| | | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−− | |3,本時の学習場面を読む。 |〇学習場面を正しくはっきり音読させる|8.|・順番読み4名(段落読み) | |〇口を大きく開けて正しく読もう。 | こと。 | |             | 深 |〇どこにトルトリの考え方が書いてあ|    | | | | るか気をつけて読もう。 | | | | | | | | | め 4,トルトリの考えを視写し、トルトリ|〇トルトリの考えが書いてある文を把握|6.|・課題にせまるためにトルトリ | |の考えを読み取る。 | させること。 | | の考えを把握することが大事 | | | | | なので、どの子にも、しっか | 広 | | | | りとらえさせたい。 | |〇トルトリは三年とうげで転ぶとどう|・一度転ぶと三年生きる。二度転べば六|5.|・トルトリの考えは昔からの言 | | なると言っているのですか。 | 年生きる。三度転ぶと九年。だから何| | い伝えと逆の考えであること | め | | 度も転べばうんと長生きできる。 | | を気づかせたい。 | | |〇昔からの言い伝え→一度転ぶと三年き| | | | | | |+−−−−−−−−−−−−−+ | | | りしかいきられない。 | ||事前調査:トルトリの考え20%| | る | | トルトリの考え→一度転ぶと三年生き| ||紙板書を使い、トルトリの新| | | | れる。 | ||しい考えをはっきりさせる。| | | | | |+−−−−−−−−−−−−−+ | |〇トルトリはなぜ昔からの言い伝えと|・おじいさんが元気になって欲しい。 | | | | 違うことを言ったのでしょうか。 |・おじいさんの病気を治してあげたい。| |・トルトリは機知に富んだ新し | | |・おじいさんを安心させたい。 | | い考え方でおじいさんを元気 | | | | | づけようとしていることを気 | | | | | づかせたい。 | | | | | | | | | |+−−−−−−−−−−−−−+ | 5,トルトリの話を聞いた時のおじいさ|〇おじいさんの様子が現れている言葉や| ||事前調査:様子の読み取り(正 |     | | ||答率18%) | |んの様子を読み取り、元気になってい| 音読を通して、ふとんからはね起き、| ||おじいさんの行動に着目させ| | |くおじいさんの気持ちを考えながら音| うきうきするおじいさんの気持ちを読| ||文の中からやったことを一つ| | |読する。 | み取らせる。 | ||ひとつ丁寧に見つけさせる。| | | | | |+−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |  | | | | |+−−−−−−−−−−−−−+ | |〇トルトリの考えが分かった後におじ|・しばらく考えていた。 |4.||事前調査:持続力(正の反応率 | | | || 54%) | | いさんはどんなことをしましたか。|・「うん、なるほど、なるほど。」とう| ||おじいさんの様子を動作化さ| | | | なずいた。 | ||せながら、より分かりやすく| | | |・三年とうげに行き、わざとひっくり返| ||飽きないで授業に参加させる| | | | って転んだ。 | ||ようにする。 | | | | | |+−−−−−−−−−−−−−+ | |〇おじいさんは「しばらく」何を考え|・トルトリの言ったこと。 |3.| | | ていたのでしょう。 |・三年とうげで一度転ぶと三年生きるか| | | | | ら、いっぱい転ぶほど長生きできるの| | | | | じゃな。 | | | |〇悲しみにくれていたおじいさんが、|〇トルトリがおじいさんを元気づけよう|2.|・3人組を作り、おじいさん、 | | うれしくなっていく気持ちが表れる| とする様子と、トルトリの考えを納得| | トルトリ、地の文に分かれ音 | | ように3の段落を音読しましょう。| しうきうきした楽しい気分になる、お| | 読させる。 | | | じいさんの気持ちが伝わるように音読| |  | | | させる。 | | | | | | | | 6,三年とうげでわざとひっくり返って|・三年とうげでいっぱい転ぼう。 |1.| | |転んだ時のおじいさんの気持ちを吹き| うんと長生きできるわい。 | | | |出しに書く。 | | | | |〇おじいさんの気持ちを吹き出しに書| | | | | こう。 | | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−− |確 ま7,本時の学習のまとめをする。 |・板書をもとにして学習課題についてま| |・学習の成果を自覚させ、次時 |か と 〇まとめ読みをしよう。 | とめ、カ−ドに自己評価をさせる。 | | への意欲づけとする。 |め め 〇カ−ドに自己評価をしよう。 | | | |る | | | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−− |す 敵8,次時の学習予告をする。 |〇次の学習課題を確認すること。   | | |る 用 〇次の場面の学習課題は何でしょうか。 | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−  ウ,評価     ふとんからはね起きてわざと転び、元気になっていくおじいさんの気持ちを考え音読することができたか。