印刷用紙:B4縦 1ページの行数:62 1行の文字数(半角で):108  第4学年 国語科学習指導案                           日 時  平成6年9月14日(水)2校時 児 童  4年3組 33名(男18名・女15名)                           指導者  中 村  睦 美 1,単元名    考え方をくらべて 教材名    雪国は今   (光村  4年 上) 2,教材について  ア,4年生の理解領域の目標は,「内容の要点や中心点を正確に押さえながら話を聞いたり,段落相互の関係を考え   て中心点を正確に把握しながら文章を読んだりすることができるようにするとともに,読書の範囲を広げるように   する。」ことである。本単元では,「文章に即して段落ごとの要点をとらえたり,段落相互の関係を考えながら,   書かれている内容を正確に読み取ること」を主目標とする。    本教材は,生活に障害をもたらすものと考えられてきた雪の性質を捉え直し,その利点を生かそうと努力してい   る雪国の様子について述べている説明的文章である。    雪国では,雪による苦労が多く,雪は生活に障害をもたらすものと考えられてきた。そこで,雪国に住む人々は   むかしからその障害を乗り越えようと努力を重ねてきた。その結果,雪を取り除くための機械が発明,改良された   り,地域の人々が協力して雪を取り除く体制も整備されるようになってきた。そして,さらに最近では,雪を積極   的に利用する試みも始められている。その一つは「冷たくて,湿度を一定に保つ」という雪の性質を利用して食料   を雪の中に貯蔵することであり,もう一つは,「水のかたまり」という性質を利用して雪ダムをつくろうという計   画である。まだ雪による苦労は絶えないが,雪の性質を進んで生かそうという人々の努力と協力の積み重ねで,雪   国は今,大きく変わろうとしているのである。    子ども達にとって,雪は,スキ−やそりなどができる楽しいものといった捉え方が多いと思われる。したがって,   第2段落にもあるように,雪国の人々にとって,雪は生活に障害をもたらすものであるということをしっかりと押   さえ,その上で,雪国の人々の工夫や努力を読み取っていきたい。そのことによって,雪国の人々が困難からにげ   だしたり,あきらめたりすることなく,逆に困難を発展の契機にしたのだということに気づいていくであろう。  イ,この教材は,話題提示,具体的説明1,具体的説明2,まとめ,といった大きく4つの意味段落で構成されてい   る尾括型の文章である。第一段落では雪による障害について,第二段落ではその雪を取り除く方法,第三段落では   雪を利用する方法について,そして第四段落ではこれまでの展開をまとめ「雪国は今,大きく変わろうとしている   」といった筆者の考えが強く書かれてある。このような文章展開によって,雪に対する見方や考え方の変化を順序   よく読み取ることが可能となってくる。とくに具体的説明では,雪を「取り除く1」「積極的に利用する2」とい   った異なる二つの観点から問題を見,説明を展開しており,次の作文の学習へ生かすことができる。また,各段落   での接続語が効果的に使われている上,キ−ワ−ドがわかりやすい。     以上のことから,文章に即して要点を捉えたり,段落相互の関係を考えながら内容を正確に読み取っていく学習   に適した教材であると考える。  ウ, 教材の構造             別   紙 3, 児童について | 4年生になっての説明文の学習は2回目となる。第1単元「カブトガニ」「キョウリュウをさぐる」で |は,大事な言葉や中心文に気をつけて段落ごとの要点を捉えることを主な目標として学習を進めてきた。 |その中で,子ども達は少しずつ段落の中の大事な言葉に着目しながら読み取ることができるようになって |きている。しかし,文と文,文と段落の関係をおさえた読み取りはまだまだ不十分である。 | また意識調査では,今日は何を学習するのか,何を読み取っていくのか,といった課題意識が低いこと,   |言葉に着目したひとり読みをしようと努力しているがそれを積極的に発表できないでいる子が多いことが |わかった。 | 以上のような実態を踏まえて,指導にあたっては次の点に留意していきたいと考える。    1 何を読み取っていくのか,ねらいを明確にし,学習を進めていく。     初めに持った一人ひとりの疑問や感想を生かしながら学習課題を設定していくことによって,まず課題意識を    しっかりと持たせたい。さらに1時間の授業の中でも「意識を持つ」段階において,何を,どんな視点で読み取    っていくのかを確かめ,見通しを持って学習に臨むことができるようにしていきたい。       2 子ども達の興味や関心を大切にしながら学習を進め,雪国に対する意識を広げていく。     「雪による苦労」「雪を取り除く」「雪を利用する」といった文章構成の展開の中で,これまで子ども達の抱     いていた楽しいだけの雪のイメ−ジを壊し,雪国の人々がいかに考え,工夫し,努力しているのかを読み取ら     せたい。さらに,発展として身近な沢内村での活雪について学習し,他にも「雪氷まつり」等雪国の人々の努     力は続けられており,まさに雪国は,今,変わろうとしていることを実感させたい。       3 一人ひとりに読み取りの場を保証していく。     初発の感想,課題作り,ひとり読み,まとめ,感想といった活動のなかで一人ひとりが自分の考えを持つこと    のできる場を設定する。その際,何をどのようにといった方法を具体的に示すこと。さらに,なかなか一人での    学習が難しい子には,個別指導を行う。(特に,S二,M子,S子,A子)また,学習班を用いたグル−プ学習    によって,発表を苦手としている子どもたちに,小人数の中で自分の考えを発表する場を設け,自信をつけさせ    たい。また自分の考えを深める場ともしていきたい。 4,単元の目標   《価値目標》 雪国では,雪の性質を捉え直し,雪を積極的に利用しようとしている事実を読み取る中で,困難を          克服し,逆に生かしながら生活している人々の努力や工夫を感じ取ることができる。   《技能目標》◎文章に即して段落ごとの要点を捉えたり,段落相互の関係を考えながら書かれている内容を正確に          読み取ることができる。(理解 エオク)         ○物事を対比的観点から捉え,新しい考えや中心となる点をはっきりさせることができる。 (表現 オキ)   ○文章における段落相互の関係を理解したり,文と文との意味のつながりを考えながら指示語          や接続語を適切に使うことができる。(言語 オ(ア)(イ)) 5,学習指導計画(18時間) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ○事前テスト 1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ○意識をもつ 1 ・題名のダッシュ()に続く内容について考え,全文を読み,初発の感想をまとめることができる。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ○見通しを立てる 2     ・形式段落ごとに内容のあらましをつかみ,意味のまとまりをおさえることができる。     ・初発の感想をもとに,学習課題をつくることができる。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ○深め広げる 5    ・1の段落 雪国の生活の中での,雪のもたらす障害を読み取ることができる。       1    ・2の段落 雪を取り除くための方法を読み取ることができる。              1    ・3の段落1雪を利用する試みの一つ目として,食料を貯蔵する方法を読み取ることができる。1 本時    ・ ; 2雪を利用する試みの二つ目として,雪ダムの計画を読み取ることができる。   1    ・4の段落 雪国は今大きく変わろうとしているという筆者の考えを読み取ることができる。 1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ○まとめ確かめる 2     ・段落相互の関係を考えながら文章全体の組み立てを捉え,筆者の言いたいことをまとめることができる。     ・筆者のものの見方や発想,表現の仕方などを作文を書くときの手がかりとしてまとめることができる。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ○発展 6     ・同じ岩手県内でも,沢内村で活雪の試みをしていることを知り感想を書くことができる。 1     ・物事を比べる見方や考え方を生かして,文章を書くことができる。           5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ○練習と評価 1     ・漢字や語句の練習をし,事後テストをする。 6,本時の指導  ア,本時の到達目標   ◎雪を積極的に利用する一つ目の試みを,次のレベルでまとめることができる。     ・「冷たくて,湿度を一定にたもつ」という雪のせいしつを利用して,食料を雪の中に貯ぞうし,雪国を日本      全体の大冷蔵庫にしようとしている。  [下位行動目標]   1.筆者が強く伝えようとしているのは,現在作られている雪むろ(第7.段落)であることを指摘することができる。   2.昔から作られていた雪むろと現在作られている雪むろとの違いを次のレベルで指摘することができる。 +−−−+−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−− | 昔  小さい|わらなどで囲われている |半地下方式ではない |雪国の中で利用 +−−−+−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−− | 現在 大きい断熱シ−トでおおわれている半地下方式になっている雪国の中に運び,雪国から送り出す +−−−+−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−   3.昔から作られていた雪むろと現在作られている雪むろの共通点を次のレベルで指摘することができる。     ・どちらも「冷たくて,湿度を一定にたもつ」という雪の性質を利用している。   4.昔から雪むろが作られてきた理由を,次の2つの雪むろの性質と関連づけてひとり読みをすることができる。     ・温度がいつも低くたもたれている。     ・中がかんそうしてくると,周囲の雪のかべから水分がじょう発してくるので,湿度がいつも一定にたもたれて    いる。   5.接続語「つまり」に着目し,以下の文でまとめて述べていることを指摘することができる。   6.「せいしつ」の持つ意味を,次のレベルで説明することができる。     ・もとからもっている特ちょう。とくにめだつところ   7.本時学習課題は,「雪を積極的に利用する一つ目の試みとは何か。」であると指摘することができる。   8.本時学習段落を音読することができる。  イ,展 開 +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ |過程 学習活動(○主発問) | 指導事項(●反応)  |下位 指導上の留意点 | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |1,前時の学習を想起する |○前時の学習を想起させること | |・前段落とは,雪に対しての考| |意| ○前の段落では,雪をどうす| ●雪を取り除く方法。 | | え方が異なるということを明| |識|  る方法について書かれてあ| | | 確にさせたい。 | |を|  りましたか。 | | |+−−−−−−−−−−−−+| |持|2,本時の学習課題を確かめる|○本時の学習課題を確認させること|7.||意識調査 4 課題意識 (正の反応率/4     | | ||1%) |つ|+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | || 今日は何を学習していくのか,何を めざしていくの           −−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | ||かを意識させる。 | ||  雪を積極的に利用する一つ目の試みとは何か。 | | || || | |+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | |+−−−−−−−−−−−−+| +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | 見 3,読みの視点を確かめる |○課題に迫るための読みの視点を明| |・5.6.7.段落の大まかな関係を| |立通 | 確にさせること | | 位置づけ,どこを詳しく読み| |てし  ○どんなことに気をつけて読 ●何に利用されているのか。 | | 取っていくのか捉えさせたい| |るを   んでいけばいいですか。 |●どのように利用されているのか。| | | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |4,本時の学習段落を読む |○視点について考えさせながら,読|8.|・指名読み  4名 | | | ○雪をどのように利用してい| ませること | | | | |  るのか気をつけて読みまし| | | | | |  ょう。 | | | | | |5,昔から作られている雪むろ|○昔から作られている雪むろについ| |・ひとり読みを苦手としている| | | についてひとり読みをし,話| てひとり読みをし,話し合わせる| | 子には個別指導を行い,自分| | | し合う。 | こと | | の考えをしっかり持たせたい| | | ○昔から作られている雪むろ|●6.段落 | |    (M子/S二/S子)| | |  について書かれているのは|●5.段落の後半 | | | | |  何段落でしょう。 | | | | | | ○なぜ昔の人々は雪むろを作|●雪むろの性質が野菜をみずみずし|4.|・雪むろの中では,生野菜をい| |深|  ったのか自分の力で読み取| いまま蓄えるのに適しているから| | つまでもみずみずしいまま蓄| | |  ってみましょう。 |●温度がいつも低くたもたれている|6.| えておくことができるのだと| | | |●湿度がいつも一定にたもたれてい| | いうことを雪むろの性質と関| | | | る。 | | 連づけておさえたい。 | | | |●中がかんそうしてくると周囲の雪| |・雪むろは,雪の性質を利用し| |め| | のかべから水分が蒸発してくるの| | ているのだということをしっ| | | | で,湿度は一定。 | | かり捉えさせたい。 | | |6,現在作られている雪むろに|○現在作られている雪むろについて| | | | | ついて,これまでのものと比| これまでのものと比較しながら読| |・学習班単位での学び合いを行| | | べながら読み取る。 | み取らせること | | い,考えを出し合わせる。 | |広| ○これまでの雪むろと現在作|●前はわらだけど,今は断熱シ−ト|2.| (意識調査 5 積極発表(正の反応率/ | | |79%)) | |  られている雪むろの違いは| を使っている。 | |・違いを比較することで「現代| | |  どこでしょう |●今の雪むろの方が大きい | | のぎじゅつ」を明らかにさせ| | | |●現在の雪むろは半地下方式になっ| | たい。その際,挿し絵にも着| | | | ている。 | | 目させ,イメ−ジを持たせた| |げ| |●今の雪むろは柱やかべのようなも| | い。 | | | | のがある。 | | | | | ○何のためにつくられたので|●たくさんとれて安いときに野菜を| |・何のために作られたのかをお| | |  しょう。 | 雪国に運んで雪むろを使ってたく| | さえることで,より積極的な| | | | わえておいて,野菜が少なくなっ| | 利用なのだという伏線とした| |る| | たら送り出そうとしている。 | | い。 | | | |●雪国を日本全体の大冷蔵庫にしよ|5.|・雪国の中だけでなく,さらに| | | | うとしている。 | | 大きな視野で考えているのだ| | | ○昔から作られていた雪むろ|●中に野菜をたくわえている。 |3.| ということに気づかせたい。| | |  と現在作られている雪むろ|●どちらも雪を使っている。 | |・雪の性質にふれ,利用価値の| | |  の同じ点は何でしょう。 |●どちらも雪の性質を利用している| | 大きさに気づかせたい。 | | | |●「冷たくて湿度を一定にたもつ」| |・課題(第4.段落)に返り「積| | | | という雪の性質を利用している。| | 極的に」「始められて」とい| | | ○筆者が一番伝えたいのはど|●7.段落 | | う言葉から7.段落を強調して| | | の段落なのでしょう。 |●7.段落を説明するために昔からの| | いるのだということに気づか| | | | 雪むろの説明をしている。 |1.| せたい。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ | |7,雪を積極的に利用する一つ|○課題に返り雪を積極的に利用する|◎|・もう一度学習課題に返り,視| |ま| 目の試みをノ−トにまとめる| 試みをノ−トにまとめさせること|到達  点を明らかにしてから,ノ− |と| ○課題についてノ−トにまと|●「冷たくて,湿度を一定にたもつ|目標  トにまとめさせる。 | |め|  めましょう。 | 」という雪のせいしつを利用して| | | |る| | 食料を雪の中に貯ぞうし,雪国を| | | | | ○今日の学習を振り返りまし| 日本全体の大冷蔵庫にしようとし| |・感想も含め,学習班の中での| | |  ょう。 | ている。 | | 学習の振り返りを行いたい。| +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ |す適 8,次時の学習課題を確かめる ○次時の学習課題を確認すること | | | |る用 |●雪を積極的に利用する二つ目の試| | | | | | みとは何か。 | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−+ ウ,評 価   ・雪を積極的に利用する一つ目の試みをまとめることができたか。