印刷用紙:A4縦 1ぺージの行数:40 1行の文字数(半角で):85 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 国語科学習指導案 | | | |1 指導期日 平成6年9月12日(月)〜9月30(金) | |2 指導学級 花巻市立若葉小学校5年□組(男子17名,女子16名,合計33名) | |3 指 導 者 佐々木 篤 | |4 教 科 書 光村図書出版5下 | |5 単 元 名 『事実にそくして』 | |6 教 材 名 「覚えることとわすれること」 | |7 単元設定の理由 | | (1) 教材観 | | 本出版社における本教材は,説明文「覚えることとわすれること」と作文「覚えや| | すいものと覚えにくいもの」の二つの教材で構成された複合教材である。 | | 小学校5年生における「説明文」学習の目標は,その中心が文章の要旨把握に置か| | れいる。そのために,本教科書においては,筆者の文章構成や叙述の工夫に着目して| | 要旨を読み取るための教材として,第4単元において「地図が見せる世界」「大陸は| | 動く」を配置している。また,文章におけるまとまりを意識しながら要旨を読み取る| | 教材として,第7単元「粉と生活」を配置している。本単元は,これまで習得した要| | 旨把握法を駆使して,事実を正確に受け止めることにより,要旨を読み取ることをね| | らいとしている。 | | 教材「覚えることとわすれること」は「覚えること」と「わするること」の関係が| | 大脳皮質中のニューロンとニューロンのつながりの強弱に起因することを「大脳皮質| | の仕組み」「覚えること」及び「わすれること」という三つのまとまりの中で述べ,| | それぞれに理解を助けるための適切な例を挙げながら説明を加えている。このことに| | より,内容への関心は高められるとともに,無理なく内容理解も進み,発達段階に応| | じた要旨把握学習が行える教材であると考えられる。また本教材は,内容の価値にの| | みに留まることなく,さまざまな箇所において,読者の理解を図る表現の工夫が施さ| | れている。一つの事柄を説明するために,筆者がどのようにその対象をとらえ,どの| | ような方法を用いて,どんな言葉を用いて述べているのかを学び取るうえでも,多く| | の学習要素を含んだ教材であると考える。 | | | | (2) 児童観 | | 平成5年度研究では,本校の5年生児童を対象にして児童の実態調査を実施した。| | 本授業実践においては,その調査結果が一般的小学校5年生の実態であるという前提| | にたって,授業にあたることとする。昨年度研究の結果としては,次のことを挙げる| | ことができる。 | | ア 児童の作文記述量の実態には個人差がかなりある。 | | イ 児童の作文記述内容には,推考活動で取り上げるべき記述が含まれている。 | | ウ 推考の素材を量的に求める時,短所指摘学習が受け入れられやすい。 | | エ 推考の素材を質的に求める時,長所指摘学習が受け入れられやすい。 | | オ 語句等の用法に気づかせる段階においては,対比思考が受け入れられやすい。 | | カ 語句等の用法を理解させる段階においては,類比思考が受け入れられやすい。 | | キ 下位児童の指導にあたっては,類比思考の体験を反復させる必要がある。 | | ク 学習方法及び思考方法に対する「関心」において,対比思考を用いた学習は類比| | 思考を用いた学習より好意的に受けとめられる。 | | ケ 学習内容に対する「関心」において,文章を書くことについては,必ずしも好意| | 的状況にない。 | | コ 児童の多くは,自分の文章や文を他人に読まれることに少なからず抵抗を感じて| | いる。 | | | | (3) 指導観 | | 小学校5年生における説明文教材の指導にあたっての目標は,学習指導要領による| | と,次の事柄が掲げられている。 | | ・ 「文章の主題や要旨を考えながら内容を読み取ること」 | | ・ 「文章の叙述に即して,細かい点に注意しながら内容を正確に読み取ること」 | | ・ 「話し手や書き手のものの見方,考え方,感じ方などについて理解すること」 | | これらの観点は,児童の発達段階に応じた目標の設定ということができる。一般的| | に5年生は主観的思考から客観的思考への移行期といわれている。文章全体に点在す| | る中心的事柄を関係づけ,文章を部分としてではなく,全体としてとらえさせるよう| | 配慮する必要があるものと考える。よって,指導にあたっては,常に全体を意識させ| | 部分から全体,全体から部分へと,視点を移動させることにより,客観的思考を促す| | よう努める必要がある。 | | また,表現の指導にあたっての目標は, | | ・ 自分の考えを明確にし,表現することによって更に考えを確かにすること。 | | ・ 主題や要旨を考えて事柄を選び,観点ごとに整理してから書くようにすること。 | | ・ 主題や要旨が明確に表れるように,構成を考えて文章を書くこと。 | | ・段落のはっきりした文章を書き,また段落相互の関係を考えて文章を書くこと。 | | これらの観点は,細部の叙述から脱し,総合的表現力を志向したものといえる。よ| | って,作文記述にあたっては,教材文から学んだことを,自らの作文に生かすという| | 立場からの指導に努める必要がある。 | | | |8 単元の指導目標 | | 文章の構成を考えながら叙述に即して読み取り,要旨を理解することができる。 | | 生活の中における問題を見いだし,事実を述べるとともに,自らの考えを書き表す| | ことができる。 | | 文と文のつながりを考えて,指示語や接続語を使うことができる。また基本的単語| | の品詞を識別できる。 | | | |9 単元の指導計画 | | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | |時 間| 指 導 内 容 || | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | |第1時|文章表記の一括指導 || | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | |第2時|教材文の概観(漢字・語句の抵抗を取り除き,文章のあらましをとらえる)|| | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | |第3時|意味段落1の内容把握,意味段落1に関する一次記述 || | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | |第4時|意味段落1に関する一次記述の推考活動,意味段落1に関する二次記述 || | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | |第5時|意味段落2・3・4の内容把握, || | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | |第6時|意味段落2・3の内容把握,意味段落2・3の表現上の工夫指摘 || | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | |第7時|意味段落4の内容把握,意味段落4の表現上の工夫指摘,意味段落2・3|| | | |・4に関する一次記述 || | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | |第8時|意味段落2・3・4に関する一次記述の推考活動,意味段落2・3・4に|| | | |関する二次記述 || | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | |第9時|意味段落5の内容把握,意味段落5に関する一次記述 || | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | |第10時|意味段落5に関する一次記述の推考活動,意味段落5に関する二次記述 || | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |10 本時授業の構想 | | 本時の授業は,前時に学習した意味段落 の内容把握学習後に記述した,「はじめ」| | の段落の一次記述を教材として,共同推考を位置づけることとする。 | | 本段落は,説明的文章の「はじめ」の段落にあたり,筆者はこれから展開する内容に| | 読者を引き込むために,いくつかの配慮をしている。前時の学習で明らかにした筆者の| | 工夫は以下のとおりである。 | | (1) 読む人を意識して書いている。 | | (2) 課題に徐々に迫っている。 | | (3) 読む人の関心を引き出している。 | | 児童は,これらのことをふまえながら,前時に一次記述を完了している。本時はそれ| | らの記述の中から学習素材として適切なものを含むものを取り上げ,共同推考するもの| | とする。また,共同推考で学び取った事柄を自らの記述に取り入れ,個人推考を行いな| | がら,「はじめ」の段落の記述を完成させるものとする。 | | なお,学習の導入段階ということもあり,学習方法の定着と意欲を喚起するため,共| | 同推考の方法は長所指摘を中心として行い,提示の方法としては対比思考がはたらくよ| | う配慮するものとする。 | | | |11 本時授業の目標 | | (1) 他の児童の一次記述の内容面の長所を指摘できる | | (2) 他の児童の一次記述の叙述面の長所を指摘できる | | (3) 他の児童の一次記述の形式面の長所を指摘できる | | (4) 共同推考で学び取った事柄を生かし二次記述することができる。 | |12 本時授業の展開 | |+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+| || | 指 導 内 容 | 学 習 内 容 | 備 考 || |+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+| || |1 前時学習内容の想起 |1 前の時間の学習内容を思い|・学習に対する有|| || | ○意味段落 の読解 | 出す | 用感を喚起する|| ||導| ○表現上の工夫の確認 | | || || | | | || || |2 本時の学習課題提示 |2 本時の学習課題を確認する| || ||入| +−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | || || | | 「はじめ」の書き方のよい点を友達から学ぶ | |・板書する || || | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | || |+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+| || |3 学習素材の提示参照) |3 特徴(よさ)の指摘 | || || ||発問1−−−−−−−+| ○「では〜」の使用 |・文章の構想の存|| || ||これらの文章に共通し|| ・次段落への引き込み効果| 在に気づかせる|| || ||た特徴はありますか || | || || |+−−−−−−−−−−+| | || || ||発問2−−−−−−−+| | || || ||4つの文章があります|| ○ABとCD |・多様な類別が予|| ||展||が,これらをグループ|| ・相手・目的意識の有無 | 想されるが,導|| || ||に分けて下さい。また|| ・次段落の内容想起 | 入段階であるた|| || ||そのように分けた理由|| ○BとACD | め,学習意欲の|| || ||も発表してください。|| ・対句表現の効果 | 喚起をねらい,|| || |+−−−−−−−−−−+| | 受容的に対応す|| || | | | る || || |4 「はじめ」の段落の2次|4 特徴を生かしての記述 | || || | 記述 | | || || ||指示1−−−−−−−+| | || || ||前の時間に自分が書い|| |・下位児童への机|| || ||た「はじめ」の段落を読|| | 間指導を心がけ|| ||開||み直し,今勉強したこ|| | る || || ||とを生かして,書き直|| | || || ||してみましょう。 || | || || |+−−−−−−−−−−+| | || || |5 学習成果の確認 |5 二次記述の発表 |・出来るだけ多く|| || | | | の児童を指名し|| || | | | 賞揚する || |+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+| ||終|6 本時学習内容の確認 |6 本時学習の流れを想起する| || ||末|7 次時学習内容の予告 |7 次時学習内容を確かめる | || |+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+| +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+