印刷用紙:B5縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角文字で):80 −− 以下 指導案 本文 −− 第 2 学 年   国 語 科 学 習 指 導 案  日 時 平成7年9月8日(金) 5校時              児 童 2年 男子22名 女子15名 計37名 指導者 根 反  正  樹 1.単元名 気もちを考えて読もう(光村図書 2年下) 2.教材名 「お手紙」 3.教材について (1)学年発達段階から見た指導事項 第2学年の理解領域における重点目標は、「事柄の順序を考えながら話を聞いたり  事柄の順序や場面の様子の移り変わりなどに注意しながら文章を読んだりすることが  できるようにするとともに、易しい読み物を進んで読もうとする意欲を高める。」こ とである。この目標を達成するためには、話を最後まで内容正しく聞き取る力や、事  がらの順序と場面の様子を考えながら内容を読み取る力や、叙述に則して内容を正し  く読み取ろうとする態度や、人物の気持ちと場面の様子を想像しながら読む力などを  培っていく必要がある。   本単元では、「場面の様子をとらえながら読み、人物の気持ちの移り変わり、心の  触れ合いをとらえることができる。」ことを主なねらいとする。 (2)教材観 教材文「お手紙」は、かえるくんとがまくんの心の触れ合いが、ほのぼのと伝わっ  てくる作品である。まだ一度も手紙をもらったことのないがまくんが、何とか喜ばせ  てあげたいとこっそり手紙を書いてあげるかえるくんの優しさを通して、すぐ近くに  すばらしい親友がいたことに気づき手紙をもらう喜びに浸ることができるのである。  そして、手紙を配達する人物としてのかたつむりくんの登場が、この作品に時間的、  空間的なゆったりとした広がりを与えるとともに、ユ−モラスな味を加えている。    物語は、5つの場面で構成されている。 1..悲しい気分でいるがまくんとかえるくん(最初〜P7L3)           2..大急ぎで手紙を書くかえるくん (P7L4〜P9L1)    3..手紙を待つかえるくんとその気がないがまくん(P9L2〜P12L5)     4..幸せな気持ちになるかえるくんとがまくん(P12L6〜P15L3)  5..手紙をもらってよろこぶがまくん(P15L4〜最後)   また「ふたりとも、かなしい気分で、げんかんの前にこしを下ろしていました。」   から「ふたりとも、とてもしあわせな気もちで、そこにすわっていました。」まで   の二人の会話と気持ちの移り変わりの推移が中心に構成されている。 本教材の表現上の特色は、次のようなことが挙げられる。               1、全体的に簡潔で分かりやすく、一文も平均して短いこと。         2、かえるくんとがまくんの会話が中心に話が展開され、その中にそれぞれの人      柄が現れていること。    3、挿絵が豊富で、それぞれの場面の情景を思い描きやすくなっていること。  4、同一人物の会話と会話との間に、「〇〇がいいました。」の一文があること      により間ができ、作品にリズムを作っていること。               5、がまくんとかえるくんの対比が繰り返されることで、リズムを生み出し、い  つの間にか心にしみ込んでくること。 6、場面の対比が明らかであること。    7、反対語、類義語、気持ちを表す言葉、繰り返しの技法、「。」の使い方、ゴ チック体、二重かぎかっこが効果的であること。 8、「くん」という呼称によって、親しみのある人物設定になっていること。 9、会話文の文末表現が親しみやすいこと。   10、たたみかける表現があることで、かえるくんの行動や気持ちが良く表れてい ること。  以上のことから、本教材は、児童にとって、興味を持ってぐんぐん読み進めること  ができ、単元の目標を達成するのに適材である。 (3)児童観 児童は、これまでに、「スイミ−」では、幻想的な描写から場面の情景や人物の心  情を、「王さまでかけましょう」では、スト−リ−のおもしろさから場面の移り変わ  りを学習してきており、物語を読むことの楽しさは、児童の心のうちに豊かに蓄積さ  れている。しかし、話の筋のおもしろさには興味を引かれるが、文や言葉に着目して  様子や気持ちを豊かに読み取ることは不十分である。また音読からは、確かな読み取 りをしたうえでの表現ではなく、何となく雰囲気で読んでいるという感じを受ける。  そこで、挿絵を利用して読んだり、会話や様子を補ったり、人物の会話から様子を補  ったりしながら、読む力をつけていく必要がある。また子供たちが進んで様子を考え  て読もうとする姿や、音読や視写などを意欲的に取り組む姿を大切にしていきたい。   話し合いの実態については、一年生のときには、自分の考えを発表することだけに  終始していたが、少しずつ、他の子の発表を聞いてつなげて、発表しようとする子が  増えてきた。しかし、発表する子が固定化されつつあり、内向的な子は、恥ずかしさ  からなかなか挙手できないでいるのが実態である。話し合いをふくらませるためには  たくさんの子に発表する力をつけたいと考える。そこで、みんなに聞こえる声で話す  こと、話す人を見て聞くこと、発表の仕方、ハンドサインなどを工夫して指導してき  た。しかし、まだまだであり、深まりがないのが実態である。 (4)指導観  指導にあたっては、書くことを取り入れながら正確にはっきりと読ませることを通 して、一人ひとりのイメ−ジをふくらませ、読みを交流していきたいと考える。場面  ごとの読み取りにおいて、言葉に着目しながら、内容の理解を確実にしていくために  吹き出しに書く活動や視写や書き込みを位置付けていく。それは、言葉に目を向け、  言葉に沿って読み取っていく姿勢を育てていきたいからである。音読については、子  供たちが、かえるくんやがまくんの気持ちについて読み取ったことや自分なりのイメ  −ジを自己表現して、楽しく作品に浸らせたい。   話し合い活動は、子供たちの読みの交流をすることにより、読みの深められない子  の読みを助けたり、いろいろな考え方があるのが分かることである。しかし、子供た  ちだけで読みを交流し合うことはまだ難しいので、全体に投げかけたり問い返したり  しながら、個々の読みをかかわらせ、その良さを全体に広げていくようにする。そし  て、考えを交流する前には、自分の読みを視写文に書き込みしたり、吹き出しに書い  たり、まず音読してみたりする自己活動が大切になる。自分の読みを持ち、それを発  表する良さや、友達の読みのおもしろさに触れながら、多様な読みがあることに気づ  かせていきたいと思う。    4.指導目標 (1)関心意欲態度目標 〇 ほのぼのとした友情の温かさを読み取ることにより、物語に関心を持ち、進ん    で読書しようとする態度を育てる。   (2)表現目標                     〇 視写や書き込みをしたり、登場人物の気持ちを吹き出しに書いたり、登場人物    に教えてあげたいことを書いたりすることができる。             (3)理解目標 〇 かえるくんとがまくんの間の通い合う思いやりの心と、ほのぼのとした友情の    温かさを読み取ることができる。     (4)言語目標 〇かぎの使い方を理解し、主述、修飾・被修飾の関係に注意して読み書きできる。   5、指導計画(18時間扱い) |−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |  学 習 内 容 と 時 間 |  話 し 合 い の 内 容 | |−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |〇 題名や挿絵を手がかりに話の内容| | |第| を予想し、全文を読んで話の大体を| | |一| つかむ。         (1)|  | |次|〇 新出漢字、読み替え漢字の学習を| | |・| する。 (1)| | |五|〇 場面や粗筋をつかみ、音読練習を| | |時| する。 (1)| | |間|〇 全文を通読し、思ったことや心に|・書いたものを元に発表し交流する。 | | | 残ったことを中心に感想を書く。 | | | |    (1)| | | |〇 感想をもとに、読みの目当てを決|・もっと知りたいこと、聞いてみたいこ| | | める。  (1)| とを元に、目当てを話し合う。 | |−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |〇 かえるくんの会話の部分とがまく| | | | んの会話の部分を確かめる。(1)| | |第|〇 悲しい気分でいるがまくんとかえ|・どうして、ふたりとも悲しい気分なの| |二| るくんの気持ちや様子を読み取る。| か、話し合う。 | |次| (1)| | |・|〇 大急ぎで家に帰って手紙を書くか|・大急ぎで家に帰り、手紙を書くかえる| |七| えるくんと、はりきっているかたつ| くんの様子が分かるところに書き込み| |時| むりくんの様子を読み取る。(1)| をし、話し合う。         | |間|〇 手紙を心待ちにしているかえるく|・がまくんを思うかえるくんの気持ちを| | | んと、悲観的になっているがまくん| 話し合う。    | | | の気持ちを読み取る。   (1)| | | |〇 かえるくんの気持ちとは対照的に|・「かたつむりくんは、まだやってきま| | | ますますあきらめと悲しみを強くす| せん。」が3回あるわけを話し合う。| | | るがまくんの気持ちを読み取る。 |    | | | (1)| | | |〇 かえるくんとがまくんが幸せな気|・どうして、ふたりともしあわせな気持| | | 持ちになっていく様子を読み取る | ちなのか、話し合う。 | | | (1)本時| | | |〇 お手紙を手にしたがまくんの喜ぶ|・お手紙をもらったがまくんの気持ちを| | | 様子を想像する。  (1)| 話し合う。 | |−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |第|〇 場面の様子や登場人物の気持ちを|・感想を発表しあう。 | |三| 考えながら音読し感想をまとめる。| | |次|              (2)| | |四|〇 音読発表会をする。   (2)|・音読を聞き感想を発表し合う。 | |時|  | | |間|                 | | |−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |第|〇 語句の正しい使い方を理解し、ア| | |四| −ノルド=ロ−ベルの作品を読む。| | |次|              (1)| | |二|〇 単元のまとめと評価をする。 | | |時| (1)| | |間| | | |−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 6.本時の指導 (1)目標 〇 かえるくんとがまくんの気持ちを想像して、意欲的に話そうとしている。 (関心意欲態度目標) 〇 かえるくんから手紙のことを聞いて感激するがまくんの気持ちと、幸せなふた    りの姿を読み取ることができる。(理解目標)  (2)展開                                 |−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |段階|  学  習  活  動 |  留   意   点 | |−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |  |1、前時の学習を想起する。 |・手紙を心待ちにしているかえるくんと| |つ | ※ 昨日まで勉強したところを読| 悲観的になっているがまくんの気持ち| |  |  みましょう。 | を想起させる。       | |か | |   | |  |2、本時の目当てを確認する。 | | |む | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+     | |  | |ふたりとも、とてもしあわせな気もちで、| | |  | |そこにすわっていたのは、なぜでしょう。| | |5 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |  |3、本時の学習場面を音読する。 |・本時の学習場面を確かめさせる。 | |見 |  (P12L6〜P15L3) |・がまくんとかえるくんの気持ちを考え| |  | ※ がまくんとかえるくんの気持| ながら、役割読みをさせる。 | |通 |  ちを考えながら聞こう。  | | |  | | | |す |4、読み取りのための順序性の確認|・お手紙のことを話すふたり、手紙文、 | | | をする。 | 幸せな気持ちで座っているふたりに着| | | | 目するようにする。 | |5 | | | | |5、読み取りのためのスキルの選択|・読み深めたい言葉に、書き込みをしな| | | をする。 | がら学習をしていくことを確認する。| |−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |6、お手紙のことを話してしまうか|・「かえるくん、どうして、きみ、ずっ| |  | えるくんと驚くがまくんの気持ち| とまどの外を見ているの。」でがまく| |広 | を読み取る。 | んの態度や言葉が違うことに気づかせ| |  | ※ かえるくんは、どうしてお手| たい。       | |  |  紙を出したことをがまくんに言|・すっかり手紙をあきらめ、投げやりに| |げ |  ってしまったのでしょう。 | なっているがまくんを見ていられずつ| |  | ※ かえるくんとがまくんの気持| いに本当のことを言ってしまうかえる| |・ |  ちが表れるように読もう。  | くんと、その話を聞いて驚くがまくん| |  | | の気持ちを想像させる。  | |深 | | | |  |7、かえるくんが書いた手紙の内容| | |め | を読み取る。 | | |  | ※ かえるくんが出した手紙文に|・「親あいなる」「親友」の言葉の意味| |る |  書き込みをし、手紙の内容を考| をしっかり理解させ、手紙文の主述を| |  |  えよう。 | 明確に捕らえさせたい。また、大好き| |27| ※ かえるくんは、どんな気持ち| な友達を思い遣るかえるくんの優しい| | |  でがまくんに手紙を書いたので| 気持ちに迫らせたい。       | | |  しょう。 |                  | | |               |                  | | |8.幸せな気持ちですわっているふ|・手紙文のいいと思うところを考えるこ| | | たりの気持ちを話し合う。   | とにより、今まで手紙をくれるような| | | ※ がまくんは、この手紙のどこ| 友達がいないと思っていたがまくんに| | |  がとてもいいと思ったのでしょ| かえるくんという親友がいることが分| | |  う。            | かり感激するがまくんの気持ちをとら| | |  | えさせたい。 | | | |・今までのかえるくんの行動を振り返り| | | | ながら、かえるくんの優しさを捕らえ| | | | させたい。            | | |+−−−−−−−−−−−−−−+|・かえるくんの思いやりを感じているが| | ||※ かえるくんは、なぜ幸せな|| まくんの幸せや、がまくんの喜ぶ姿を| | || 気持ちになったのでしょう。|| 見ているかえるくんの幸せを捕らえさ| | |+−−−−−−−−−−−−−−+| せたい。 | |−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |ま |9、まとめをする。 |                  | |  | ※ がまくんやかえるくんの気持|・会話文に気をつけて読ませる。 | |と |  ちになって音読しましょう。 | | |  | ※ ふたりは、心の中で何といっ|・板書をもとに学習課題についてまとめ| |め |  ているのか、吹き出しに書きま| る。 | |  |  しょう。 | | |る | |    | |  |10、本時の学習の自己評価をする。|・ノ−トにマ−クを記入させる。 | |8 | |・子供たちの活動を評価する。 | | |11、次時の学習予定を確認する。 |・次時は、最後の場面を学習することを| | | | 予告する。 | |−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 7,評価  〇 かえるくんとがまくんの気持ちを想像して、意欲的に話そうとしていたか。 (関心意欲態度目標)    〇 かえるくんから手紙のことを聞いて感激するがまくんの気持ちと、幸せなふた   りの姿を読み取ることができたか。(理解目標)