印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角文字で):80 −− 以下 指導案 本文 −− 第 3 学 年  国 語 科 学 習 指 導 案  日 時 平成7年9月8日(金) 5校時 児 童 3年 男子13名 女子23名 計36名 指導者 餘  目   陽  子 1.単元名 人物の気持ちを思いうかべながら読もう(光村図書 3年上) 2.教材名 「三年とうげ」 3.教材について (1)学年発達段階から見た指導事項 第3学年の理解領域における重点目標は、「内容の要点を押さえながら話を聞いた  り、内容の要点を正しく理解しながら文章を読んだりすることができるようにすると  ともに、いろいろな読み物を読もうとする態度を育てる。」ことである。この目標を  達成するためには、話の要点を聞き取り、自分の立場からまとめてみる力や、文章の  要点を正しく理解しながら、内容を読み取る力、文章の叙述に即して内容を正しく読  み取る力や、人物の性格や場面の情景を想像しながら読む力などを培っていく必要が  ある。 本単元では、「人物の性格や場面の情景を想像しながら読むことができる。」こと  を主なねらいとする。 (2)教材観 教材文「三年とうげ」は、三年とうげで転んだおじいさんが、トルトリの知恵によ  り生きる楽しみをみつけ、前向きな生き方をするという朝鮮の民話である。この教材  は、変化やスリルにあふれ、楽しみながら読むことができる物語であり、外国の人達  の考えや願いに触れることができる内容であるので子供たちの心を引き付ける教材で  ある。                                      物語は5つの場面で構成されている。  1)三年とうげの様子と言い伝え(はじめ〜P82L9) 2)三年とうげで転び、病気になったおじいさん(P82L10〜P85L10)   3)トルトリから新しいいわれを聞いたおじいさん(P86L1〜P87L10)  4)トルトリの知恵で元気になったおじいさん(P88L1〜P91L1)   5)読み手への問いかけ(P91L2〜おわり)    1)舞台の紹介 2)事件の始まり 3)新しい解釈 4)トルトリの機転 5)読者への    問いかけ                                   本教材の表現上の特色は、次のようなことが挙げられる。               1.変化を伴って発展する反復によって、大事なことを読者に印象づけ、理解させ     ることができる。                               2.名詞止めによる余韻の効果から、更にいろいろな草花が咲いていることを想像     させることができる。                             3.民話特有の語り口調であり、言い伝えと歌の部分は、リズミカルに音読するこ     とができ、その意味をとらえさせることができる。    4.擬態語を多用することで、気持ちの軽やかさを表現している。                                                (3)児童観                                     児童は、これまでに、民話作品の系列として、第二学年で「スーホの白い馬」を   学習してきている。物語文の学習としては、第三学年の第一単元「かげを見つけた   カンガルーぼうや」で、主人公が母親と一緒に考え成長していく過程を視写と音読   を中心に、第五単元「つり橋わたれ」で、主人公の気持ちの移り変わりを、視写、   書き込み、話し合いを中心に学習してきている。                   話し合いの実態については、発問に対してすばやく反応し、挙手をする児童と、   発問をなかなかのみ込めずに思考をとどめてしまい挙手できない児童などがいるた   め、話し合いが成立しにくい状態であった。そのため、発問を吟味することはもち   ろんだが、視写や書き込みなどの時間を十分確保し、自分の考えを持ってから発表   させるように心がけて指導してきた。自分の考えを発表しようとする子はふえてき   ている。他の子の発表を聞いてつなげて発表することはできてきているが、他の子   の考えから自分の考えを深めたり、ふくらませて発表したりすることはまだまだで   あると考える。                                                                      (4)指導観                                     指導にあたっては、叙述に即して人物への共感や思いやり、疑問または自分の生   活との比較など、いくつもの切り口から豊かに感想を持ち、人物の気持ちを思い浮   べて主体的に読み取らせていきたい。そのために、場面の様子を表す文や文章を手   がかりにして、美しいとうげの景色を豊かに想像させること、くり返し出てくる文   や文章の意味を考えたり音読したりして文章のリズムの快さに浸らせること、登場   人物の行動や気持ちを表す文や文章から心の動きや変化を想像させることに重点を   置いて指導する。話し合い活動を通して、一人一人が考えを持ち、たくさんの考え   を交流することにより、読みを深められない子の読みを助けたり、いろいろな考え   方があることに気づかせたりする。その中で、問い合い、認め合うような話し合い   をさせることによって、読みを深めさせ、お互いの意見のすばらしさに気づかせて   いきたいと考える。                                この話し合い活動を活発化させるために、サイドライン・視写・書き込みの自己   活動を一連の活動として捉え、誰もが自分の考えをもてるようにさせたい。大事だ   と思う語句にサイドラインを引いたり、視写したりすることによって、文や文章を   正しく読もうとする心構えを持ち、それらの文や文章に自分の想像したことを書き   込み、発表することによって自分の考えを正しく表現することができるようにさせ   たい。   4.指導目標 (1)関心・意欲・態度                               ○登場人物の気持ちや場面の情景を豊かに想像しながら読み、自分の意見をはっき    り話したり、友達の言いたいことを最後まで聞いたりして、話し合いに参加しよ    うとする。                                (2)理解                                     ○言い伝えを信じていたおじいさんのところに、トルトリが登場することによって    言い伝えを前向きに受け止め、生きていくおもしろさを読み取ることができる。 (3)表現                                     ○場面の情景や登場人物の言動などに着目して読み調べることによって、人物の心    の動きを想像して書くことができるようにする。               (4)言語                                     ○様子を表す言葉、動きを表す言葉について理解し、語句の性質や役割に気づくこ    とができる。                               5.指導計画(13時間扱い) |−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | 学 習 内 容 と 時 間 |  話 し 合 い の 内 容 | |−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |第|○題名と冒頭部分から内容を予想して、| | |一|全文を読み、話の大体をつかむ。(1)| | |次|○読めない漢字や難語句を調べる。(1) | | |・|○全文を通読し、心に残ったことを中心| | |四|に感想を書く。 (1)| | |時|○感想を基に読みのめあてを決める。 |・心に残ったこと、みんなで話し合っ| |間| (1)|てみたいことを基にめあてを話しあう| |−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |第|○「三年とうげ」の景色や様子を想像し|・「三年とうげ」の春と秋の様子を比| |二|たり、言い伝えの内容を理解する。(1) |べながら想像し、話し合う。 | |次|○「三年とうげ」で転んでしまい、言い|・「三年とうげ」で転んでしまい、病| |・|伝えを信じて病気になったおじいさんの|気になったおじいさんの行動から、気| |五|様子や気持ちを読み取る。   (1)|持ちを想像し、話し合う。  | |時|○トルトリの言葉を信じるようになった|・トルトリの話を聞いていくうちに変| |間|たおじいさんの気持ちを読み取る。 |っていくおじいさんの気持ちを想像し| | |  本時 (1)|話し合う。   | | |○病気が治ってうれしいおじいさんの気|・とうげを転がり落ちていくおじいさ| | |持ちを読み取る。  (1)|んの様子から、気持ちを想像し、話し| | |                  |合う。  | | |○言い伝えと歌の違いを考える。(1)|・言い伝えと歌の違いについて考え、| | | |話し合う。  | |−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |第|○グループ毎に役割を分担し、音読の場| | |三|面を決めて練習し、発表会をする。 | | |次| (2)| | |・| | | |二| | | |時| | | |間| | | |−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |第|○おもしろかったことや良かったことを| | |四|感想文としてまとめる。    (1)| | |次|○様子を表す言葉、動きを表す言葉につ| | |・|いて理解し、語句の性質や役割について| | |二|考える。           (1)| | |時|                  | | |間|                  | | |−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 6.本時の指導               (1)目標                ○おじいさんとトルトリの会話や、おじいさんの動きを表す言葉から、おじいさん    の気持ちを想像し、意欲的に話そうとする。      (関心・意欲・態度)   ○おじいさんとトルトリの会話や、おじいさんの動きを表す言葉から、おじいさん    の気持ちの変化を読み取り、想像することができる。        (理解) (2)展開 |−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |段階| 学   習   活   動 | 留   意   点 | |−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |つ |1.前時の学習を想起する。 |・三年とうげで転んでしまい、病気に| |  | | なったおじいさんについて想起させ| |  | | る。 | |か | | | | |2.本時のめあてを確認する。 | | | | | | |む | トルトリの話を聞いていておじいさ|の気持ちはどう変わっていったで | | | しょう。 | | | 3| | | |−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |見 |3.本時の学習場面を音読する。 |・本時の学習場面を確かめさせる。 | |  | (P86L1〜P87L10) | | |  | ※聞く人はおじいさんの気持ちに気|・おじいさんの気持ち表す言葉に着目| |通 |  をつけながら聞きましょう。 | しながら聞かせる。 | |  |4.おじいさんの気持ちが表れている|・「ふとんから顔を出しました。」「| |  |  叙述にサイドラインを引く。  | 「ばかな。わしに、〜。」「しばら| |す | ※おじいさんの気持ちが分かりそう| く考えていましたが、うなずきまし| | |  なところにサイドラインを引きま| た。」「うん、なるほど、なるほど| | |  しょう。   | 。」「ふとんからはね起きると〜わ| | | | ざとひっくり返り、転びました。」| | |                 | などにサイドラインを引かせたい。| | |5.サイドラインを引いた所を発表す|・みんなで確認させる。 | | |  る。             | | | | ※サイドラインを引いた所を発表し|  | | 5|  て下さい。 | | |−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |広 |6.視写・書き込みをする。    |・発表で出た中から、自分で選んだ箇| |  | ※自分で選んだところを視写して、| 所を視写し、書き込みをする。おじ| |げ |  想像したことを書き込みしましょ| いさんが言ったことや、したことな| | |  う。        (ノート)| どから、おじいさんの気持ちを想像| |・ | | して書くことにより、おじいさんの| | |                 | 気持ちが変わってきていることに気| |深 |                 | づかせたい。          | |  |7.書き込んだことを発表する。  |・「〜さんと同じで・・・」「〜さん| |め | ※おじいさんの気持ちについて書き| と少しにていて・・・」などの言葉| |  |  込んだことを発表して下さい。 | を使って自分の考えを積極的に発表| |る |                 | させたい。           | | |8.発表を基に話し合う。 |・発表したことを基におじいさんの気| | | | 持ちが変化してきていることを中心| | | | にして話し合う。 | | | ※トルトリの話を聞いているうち |・言い伝えを信じておびえていた時と| | | に、おじいさんはどんな気持ちに | わざとひっくり返り、転んだ時のお| | | なってきたでしょう。 | じいさんの気持ちを比べながら考え| | | | させたい。 | | | |・「うなずきました。」「なるほど、| | | | なるほど。」「はね起きると」「わ| | | | ざと」などの言葉を中心に考えさせ| |27| | たい。 | |−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |ま |9.課題についてのまとめをする。 |・話し合ったことを基に、変わってき| |  | ※トルトリの話を聞いて、おじいさ| たおじいさんの気持ちを、自分の言| |と |  んはどんな気持ちになってきたか| 葉でまとめさせたい。      | |  |  考えをノ−ト書きましょう。  |                 | |め |            (ノート)|                 | |  |10.本時の学習の自己評価をする。|・本時の感想(友達の発表からこんな| |る |            (ノート)| ことがわかったなども)を自由に書| | | | かせたい。           | | |11.次時の学習予定を確認する。 |・次時は、病気が治ってうれしいおじ| | | | いさんについての学習であることを| |10| | 予告する。 | |−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 7.評価                                     ○おじいさんとトルトリの会話や、おじいさんの動きを表す言葉から、おじいさんの気  持ちを想像し、意欲的に話そうとしていたか。       (関心・意欲・態度) ○おじいさんとトルトリの会話や、おじいさんの動きを表す言葉から、おじいさんの気  持ちの変化を読み取り、想像することができたか。           (理解) 8.板書計画 ○ 想 像 し な が ら 読 む た め の ヒ ン ト カ ー ド +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |登 場 人 物 の 気 持 ち を 想 像 す る | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+