印刷用紙:A4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角文字で):92                 第4学年国語科学習指導案                        日 時 平成7年9月29日(金)〜10月19日(木)                        場 所 盛岡市立月が丘小学校  4年3組                        授業者 紀   瑞  子(長期研修生)                        児童数 男子12名 女子19名 計31名 1 単元名・教材名 『考え方をくらべて』「雪国は今・・・」「くらべて考え,くらべて表す」 2 単元について  (1) 教材について    本単元は,説明文「雪国は今・・」と作文「くらべて考え,くらべて表す」の二つの教材で構成   された複合単元である。    小学校4学年における説明文学習の目標は,段落相互の関係を考えて,文章の中心的事柄を読み  取ることである。そのために,本教材「雪国は今・・」では,第4単元『段落に気をつけて』での  接続語や指示語の働きを押さえて段落と段落の流れをとらえる学習を受けて,さらに文章全体をと   おして段落どうしのまとまりをつかむことをねらいとしている。   また,小学校4学年における作文学習の目標は,中心点がわかるように内容を整理しながら表現  する態度を養うことである。そのために,小教材「作文ノート」では,日常生活から題材を探し出  す方法を,第3単元『メモを生かして』では,一つの題材について書く材料を豊富に見つけるため  に細部に目を向けた取材の仕方を学習する。本教材「くらべて考え,くらべて表す」では,これら  の学習の発展として,ものの見方・考え方を変えて新しい題材を発見して取材する視点と記述の方   法を学習することをねらいとしている。   教材「雪国は今・・」は,雪をじゃまなものとして取り除こうとする考え方と雪の性質を積極的  に生かそうとする考え方とをくらべながら,抽象的・包括的な説明から具体的な説明という展開を  している。また,接続語・指示語などが適切に使われていて,段落相互の関係の把握を容易にして  いる。対象を対比的にとらえる逆転の発想を受けて,教材「くらべて考え,くらべて表す」では,  新しいものの見方・考え方を身に付け,自分の考えを明確に表現することのできる単元であると考   える。  (2) 児童の実態   児童にとって,複合単元は第3学年第7単元「たしかめながら」以来の学習であり,説明的文章  を読み取り,筆者の表現の仕方を学んで自分の文章に生かすことのできる力は十分ではない。また  これまでの作文単元の学において,取材メモを作成し,事柄の順序や軽重を考えて整理することは  できるようになってきているものの,書き上げた文章を見ると,中心となる段落に内容のまとまり  がなかったり,最も強く伝えたい考えがはっきりしていなかったりする児童が少なくない。これは  提示された教材文と似た構成になるように取材や選材をしてしまい,自分の最も強く言いたい考え  を伝えのに必要なもの,という視点で書く事柄を選んではいない傾向があったためと考えられる。 (3) 指導にあたって   本単元の指導にあたっては,教材「雪国は今・・」から筆者のものごとをくらべる見方のおもし  ろさを読み取らせ,見方を変えることによって身近なものごとが題材となることに気付かせ,取材  の視野を広げさせたい。また,内容理解のあとで,なぜ筆者がそのような説明の仕方をしているか  を考えさせ,それを自分の表現に取り入れることができるようにしたい。教材「くらべて考え,く  らべて表す」では,主題設定段階で自分が最も強く読み手に伝えたい考えは何かはっきりとらえさ  せ,その考えにそった取材をさせたい。そのために,書こうとする事柄を話し,その内容を確かめ  る口頭表現活動を取り入れ,最も強く伝えたい考えを常に意識し,どのように表現すれば読み手に  とってわかりやすいかを考えさせ,中心点を明確に表現する力を育てていくようにしたい。 3 学習指導目標  (1) 関心・意欲・態度   ものごとの利点と欠点とを比較して考えることに興味をもち,身近な生活の中から具体的な事例    を選んで説明する文章を書こうとする。  (2) 理解  段落の要点をおさえ,段落どうしのまとまりに気を付けて説明の内容を正確に読み取ることがで    きる。  (3) 表現    日常生活の中から適切な材料を選び,書く必要のある事柄を整理して書くことができる。  (4) 言語事項    文と文,段落と段落の関係を考えて,指示語や接続語を使うことができる。 4 学習指導計画(15時間)   第一次 単元目標の把握 …………………………………………………………………………… 1時間   第二次 説明文「雪国は今・・」の読み取り …………………………………………………… 7時間   第三次 共通題材による「くらべて考え,くらべて表す」作文の書き方の確認 …………… 3時間   第四次 「くらべて考え,くらべて表す」作文 ………………………………………………… 4時間 5 本時の学習指導  (1) 共通題材による作文「くらべて考え,くらべて表す」作文の書き方の確認 第2時   ア 目 標   ○ものごとの利点と欠点とを比較して考えることに興味をもち,これまでの経験を広く思い出し     て,くらべて考えようとする。(関心・意欲・態度)    ・身近なものごとをちがった角度でとらえることができる。(表現)    ・文と文との意味のつながりを考えながら,接続語を適切に使うことができる。(言語事項)   イ 展 開 +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |段階|      学習内容・学習活動      |       指導上の留意点       | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |  |1 前時の学習を想起する         |・「雪国は今・・」の中で直接くらべて表現| | 導 |・一つのものごとに対するちがった考え方を| している文を提示する。        | |  | くらべて作文を書くこと。       |・「〜もありますが,〜も多い」「〜だけで| |  |2 本時の課題をつかむ          | なく,〜も始められている」という言い方 |  | +−−−−−−−−−−−−−−−−−+| のできるものごとであることに気付かせる |  | | 入 | ・ちがった見方のできるものごとをさが・|                    | |  | ・そう。 ・|                    | | 5 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−+|                    | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |  |3 教材文を参考にして,ものごとのとらえ方|・一つのものごとについてのちがった二つの| |  | を確かめる              | 考えにサイドラインを引かせる。    | |  | 1)わかっていてもなかなかできないこと |・黒板にワークシートと同様に整理し,くら| |  | 2)困ったことが,ぎゃくによい結果になっ| べていることを明確にする。      | |  |  たこと               |                    | |  | 3)正反対の見方ができるもの      |                    | | 展 |4 ちがった見方のできるものごとを探す  |・いくつか思い浮かんだ児童にものごとだけ |  |・思い浮かべたものごとと考え方をワークシ| 発表させてから取り組ませたい。    | |  | ートにメモする。           |                    | |  |5 メモしたものごとを口頭で表現し,ちがっ|*文型を示し,それにそって表現させる。 | |  | た見方を確かめ,思い浮かべる経験の視野|+−−−−+  +−−−−−+     | |  | を広げる               ||ものごと|は,|考え方・1|であるが,| |  | 1)メモをもとにして口頭で表現する。  |+−−−−+  +−−−−−+     | |  |                    |+−−−−−+             | | 開 |                    ||考え方・2|でもある。        | |  |                    |+−−−−−+             | |  | 2)友達の見方や考え方を聞き,共感できる|*同じものごとでも,人によって考え方がち| |  |  ものや新たに思い浮かべたものをメモす| がうことや,探した経験がちがっているこ| |  |  る。                | とに気付かせる。           | |  |                    |*ちがった見方になっていないものごとにつ| |  |                    | いて,学級全体で修正し,見方を確かにさ| | 35 |                    | せる。                | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 終 |6 本時の学習をまとめる         |                    | |  |・本時の感想を書き,自己評価をする。  |                    | | 末 |7 次時の学習について確かめる      |・「漫画」を取り上げて共通取材することを| | 5 |                    | 知らせる。              | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ (注1)○印は,本時の主目標を示している。 (注2)*印は,口頭表現活動にかかわる指導を表す。  (2) 「くらべて考え,くらべて表す」作文 第1時   ア 目 標   ・ものごとをよい面とよくない面,両方から見直し,いろいろな考え方ができることに関心をも     とうとする。(関心・意欲・態度)   ○ちがった見方のできる題材を選び,それについて自分の考えをまとめることができる。(表現)    ・文と文との意味のつながりを考えながら,接続語を適切に使うことができる。(言語事項)   イ 展 開 +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |段階|      学習内容・学習活動      |       指導上の留意点       | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |  |1 前時の学習を想起する         |・共通取材した「漫画」の取材メモを提示し, | 導 |・主題設定・取材の仕方         | これからの学習を概観させる。      | 入 |2 本時の課題をつかむ          |                     | 導 |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+|・第三次2時に学習したちがった見方のでき| | 入 |・作文に書くものごとを決め,自分の考え・| るものごとを提示し,題材を選ぶ手がかり| | 10 |・をまとめよう。 ・| にさせる。              | |  |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+|                    | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |  |3 題材を選び,自分の考えをもつ     |                     |  | 1)取材の手順を確かめる。       |・「漫画」での取材を順を追って示す。   | |  |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+          | |  ||ア 題材を決める。                    |          | |  ||イ 大きく「よい点」と「悪い点」に分けて見方を考える。  |・エでは,かかわりの| |  ||ウ どちらの面を強く言いたいか決め,中心となる考えを選ぶ。| ある考えが適してい| |  ||エ 中心となる考えとくらべる考えを選ぶ。         | ることをおさえる。| |  ||オ 自分の考えをまとめる。                |          | |  |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+          | | 展 | 2)選んだ題材とそれについての考えをワー|                    | |  |  クシートにメモする。        |                    | |  |4 自分の考えを口頭で表現し,くらべた考え|                    | |  | 方になっているか確かめる       |*4人グループで活動させる。      | |  | 1)メモをもとにして口頭で表現する。  |*文章を示し,それにそって表現させる。 | |  |                    |          +−−−−+    | |  |                    |わたしが書きたいのは|ものごと|です。強| |  |                    |          +−−−−+    | | 開 |                    |        +−−+   +−−+ | |  |                    |く言いたい考えは|  |です。・   |と| |  |                    |        +−−+   +−−+ | |  |                    |         +−−+       | |  |                    |いう考えとくらべて・   |と考えました。| |  |                    |         +−−+       | |  | 2)友達の考えを,くらべた考え方になって|*まだ決まっていない部分やわからないとき| |  |  いるかに注意して聞く。       | には,グループで意見を出し合うようにさ| |  |                    | せる。                | |  | 3)口頭表現活動をもとにして,自分の考え|                    | | 30 |  をまとめ,ワークシートに書く。   |                    | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 終 |5 本時の学習をまとめる         |                    | |  |・本時の感想を書き,自己評価をする。  |                    | | 末 |6 次時の学習について確かめる      |・自分の考えが読み手にわかるような例やわ| | 5 |                    | けを取材することを知らせる。     | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+  (3) 「くらべて考え,くらべて表す」作文 第2時   ア 目 標    ・自分の考えを,これまでの経験を事例や理由にして,読み手に伝えようとする。                                     (関心・意欲・態度)  ○自分の考えを読み手にわかりやすく説明できる事例や理由を考え,取材メモを作ることができ    る。(表現)    ・文の構成について,いつ,どこで,だれが,なにを,などの関係を理解することができる。                                        (言語事項)   イ 展 開 +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |段階|      学習内容・学習活動      |       指導上の留意点       | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |  |1 前時の学習を想起する         |                     | 導 |・題材を決め,自分の考えをまとめたこと |                    | |  |2 本時の課題をつかむ          |・前時学習とのつながりをはっきりさせ,作| |  |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| 文を読んだ人に,自分の考えを納得しても| | 入 |・読み手にわかりやすい例や理由を考えよ・| らえるように例や理由を考えることを意識| |  |・う。 ・| させる。               | | 5 |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+|                    | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |  |3 自分の考えを読み手に伝えるための事例や|・「漫画」で取材した事例や理由を提示しこ| |  | 理由を考える             | れまでに実際に経験したことや事実が例と| |  | 1)どんな事例や理由がわかりやすいかを確| してわかりやすいことに気付かせる。  | |  |  かめる。              |                    | |  | 2)強く言いたい考えについて事例や理由を|                    | | 展 |  考え,ワークシートにメモする。   |                    | |  |4 事例や理由を口頭で表現し,読み手にとっ|*なるべく同じ題材の児童で構成した4人グ |  | てわかりやすいか確かめる       | ループで活動させる。         | |  | 1)メモをもとにして口頭で表現する。  |*文章を示し,それにそって表現させる。 | |  |                    |         +−−+       | |  |                    |強く言いたい考えは|  |です。    | |  |                    |         +−−+       | | 開 |                    |  +−−+      +−−+    | |  |                    |例は|  |です。わけは|  |です。 | |  |                    |  +−−+      +−−+    | |  | 2)友達の事例や理由で,強く言いたい考え|*聞いている人にわかるように,必要な言葉| |  |  が伝わるか,注意して聞く。     | や説明を付け加えて話すようにさせる。 | |  |                    |*友達の事例や理由が不十分なときは,グル| | 35 |                    | ープで意見を出し合うようにさせる。  | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 終 |5 本時の学習をまとめる         |                    | |  |・本時の感想を書き,自己評価をする。  |                    | | 末 |6 次時の学習について確かめる      |・文章の構成を確かめ,書き出しと結びを考| | 5 |                    | えることを知らせる。         | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+