印刷用紙:B5縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):80   −−以下 指導案本文−−            山田南小学校第4学年 国語科学習指導案                  日 時 平成8年9月10日(火)5校時                  児 童 4年1組(男11名 女14名 計25名)                  指導者 村 上  綾 1 単元名     書きたいことを整理して 2 教材名     ふっくら飛んだパラシュート 3 単元について  (1)教材について      第4学年の表現の目標は「表現する内容の中心点が分かるように,筋道を立     てて話したり,段落相互の関係などを考えて文章を書いたりすることができる     ようにするとともに,内容を整理しながら表現しようとする態度を育てる。」     ということである。      本単元では,身の回りから集めた書きたいと思う材料を整理し,組み立てを     考えて,中心のはっきりした生活文を書くことをねらいとしている。日常の生     活の中で数時間にわたる出来事を上手に切り取り,その中で中心になることを     くわしく書き進めていくわけである。      教材にある「ふっくら飛んだパラシュート」は,日曜日に父親と一緒にパラ     シュート作りをした経験をつづったもので,いつも忙しい父親と一緒に遊ぶこ     とができたという喜びを中心にして書いている。こんなところにも書く価値が     ある題材がある,ということがよくわかるよい例である。      図示されているメモは,筆者がパラシュートを作って遊んだことを思い出し     て,したことや思ったことを書き込んだものである。児童たちはこのカード群     を見て,筆者が書こうとする内容を知ることができる。      このメモをもとに,作文の全体構想を立てるための構成メモを書き,それに     沿って記述をしていくわけである。この手順を踏むことにより,書くことが整     い,書こうとする中心がはっきりとした作文を書き上げることができる。  (2)児童について      5月に学習した,見学メモを生かした見学記録文の書き方では,目で見たこ     と,耳で聞いたこと,感じたことを3色のカードを使って表し,意欲的に取材     メモや構成メモに取り組んだ。また,その構成表を生かして,自分が書こうと     する中心がはっきりとした記録文を書くことができた。      運動会の作文の実態調査でも,中心がほぼはっきりしている児童が24名中     22名とほとんどの児童が中心のはっきりした作文を書くことができている。     このように,児童は,テーマを与えると中心を考えながら書くことができる。      しかし,日記を見ると,普段の生活から題材を見つけられずに,出来事をた     だ羅列するだけの児童も見られる。また一部の児童が,書くことがないという     悩みを持っている。特別な体験がなければ書けないと錯覚しているのである。     そこで自分の生活をもっと見つめ,日常の些細な事柄の中に喜びや悲しみや驚     きなどを再発見し,取材の目を広げていくような指導が必要と思われる。      書字速度は児童によってかなりの差がある。作文実態調査では,20分間で     平均が300字であるが,少ない子で60字,多い子で640字である。その     ため記述の段階では作業速度に個人差があると考えられるので,今回は500     字程度を目標に記述させる。  (3)指導にあたって      まず学習に入る前に,自分の書く作文は,だれに,なんのために書くのか,     目的意識を明確にさせる。そして,読み手によくわかるようにという意識を持     たせ,児童が主体的に作文学習に取り組めるような場を設定する。      題材を見つける段階では,友達との学び合いの中から自然に題材見つけがで     きるように「題材見つけカード」を用いたい。題材を見つけるための期間をあ     る程度確保するのである。題材見つけカードは,児童たちの目にふれやすい所     に,いつでも取れるように用意する。そして,何枚でも見つかったら書いてよ     いこととし,見つけた題材は次々に掲示していくのである。友達のカードを見     ることにより,題材見つけの方法を学びながら,楽しんで題材を見つけられる     ようにさせる。      取材の段階では,書きたいことを,したこと思ったことに色分けしたカード     に書き込んでいく。      構成の段階では,構成表に書きたい順にカードを並べさせ,さらに主題に沿     った選材をさせる。      記述の段階では,構成メモの材料をただ羅列的に書き並べた作文と,会話文     や表情,情景描写などを書き膨らませた二つの文章を提示し,読んだ感じの違     いについて話し合う時間を持つ。そのことにより,取材した材料を膨らませる     ことの大切さに気付かせていきたい。また,中心となる場面では,特に緊張し     た場面をスローモーションのように一コマ一コマを一つの文にしていくように     させ,音・匂い・体で感じたこと・思ったことなどをゆっくり再生するように     書かせていきたい。      推敲の段階では,推敲記号を使ってみんなで例文を推敲してみる。そのこと     で,推敲する方法を一人一人が自分のものとするようにする。また,推敲する     際は,もっとくわしく書くところはないか,段落のまとまりはよいか,という     点に気をつけさせたい。清書して書き上げた作品は,世界に一冊しかない本と     して一冊の本に仕上げ,完成記念パーティーを開き,学習を振り返らせたい。 4 単元の目標   <関心・意欲・態度>     普段,何気なく過ごしている暮らしの中から選んだ事柄を,読み手に分かるよ    うに伝えたいという意欲を持ち,進んで書こうとする。   <表現>     書きたいと思う材料を整理し,組み立てを考えて,中心のはっきりした作文を    書くことができる。   <理解>     中心のはっきりした作文を書くための取材メモや構成メモの書き方がわかる。   <言語事項>     自分の書いた文章を読み返して,段落のまとまりや表記を正しく直し,わかり    やすい文章にすることができる。 5 指導計画(13時間)   第一次(4時間) ◯自分自身の学習課題を持つことができる。 −−−−−−−−−−− (2)     ・単元全体についてのオリエンテーションをする。     ・題材見つけカードから楽しかったこと等について話し合う。 ◯取材や選材の工夫について考えることができる。 −−−−−−−− (2)     ・横山さんの作品を読み,楽しそうだなと思うところを見つける。     ・教材文を参考にして,自分が作文を書くときに生かしたいこと・工夫したい      ことについて話し合う。   第二次(7時間) ◯取材メモから,構成メモを作成することができる。−−−−−−−− (2)     ・取材メモを書く。     ・書く順を決め,構成メモを作成する。 ◯構成メモに沿って作文を書くことができる。−−−−−−−−−−− (3)     ・効果的な書き出し文で、段落を考えながら書き進める。     ・構成メモをを膨らませて書き進める。     ・作文を相互評価する。 ◯書いた作文を推敲し清書することができる。−−−−−−−−−−− (2)     ・書いた作文を観点に沿って推敲する。             <本時>     ・推敲した作文を清書する。   第三次(2時間) ◯本完成記念パーティーを計画し,実行することができる。−−−−− (2)     ・本を作成し,本完成記念パーティーの計画について話し合う。     ・パーティーを開き,学習を振り返る。 6 本時の指導  (1)本時の仮説      提示した例文をもっとくわしくするところはないか,段落のまとまりはよい     かという2つの観点を中心に推敲することにより,本時の推敲の観点を理解で     き,意欲的に取り組もうとするのではないか。また,推敲してよりよい作文に     仕上がることにより,表現する喜びを一層味わうことができるのではないか。  (2)目標     <関心・意欲・態度>       友達がくわしく知りたいという場面を進んで推敲しようとする。     <表現>       友達がくわしく知りたいという場面をスローモーションのように書き表す      ことができる。     <理解>       推敲の観点を理解し,推敲のよさに気づく事ができる。  (3)展開 +−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 前時の学習内容 | 「読者は何を知りたいか」という課題で,友達の作品を読| | |み,もっとくわしく知りたいところに印をつけた。 | +−+−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ | | 学 習 活 動 | 主発問と指示・予想される反応 |支援と評価の工夫| +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ |つ|1 前時の想起 | | | | |2 学習課題の把握 | +−−−−−−−−−−−+ | | |か| | |読者のねがいをかなえて| | | | | | |あげよう! | | | |む| | +−−−−−−−−−−−+ | | | | |●今日は,読者がもっと知りたい| | |3| | と言ったところをくわしく書い| | |分| | てあげよう。 | | +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ |見|3 推敲するための |◎この作文はどこを直したらよい|・例文を推敲する| | | 観点を知る。 | でしょうか。 | ことにより観点| |通| | ・もっとくわしく書ける。 | を理解し,それ| | | | ・段落に分ける。 | に従って,自分| |す| | ・漢字に直せる。 | の作文を推敲し| | | | | ていく学習であ| | | | | ることを知らせ| |10| | | る。(評価B) | |分| | | | +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ |ふ|4 自分の作文の推敲|●もっとくわしく書く所はないか|・書き直す際には| | | をする。 | 段落のまとまりはよいかの2つ| 学級内の推敲記| |か| | の点に注意して自分の作品を推| 号を用い赤ペン| | | | 敲しましょう。 | を使用させる。| |め| | ◇直し方がわからない。 |・掲示してある推| | | | | 敲記号表で確認| |る| | | させる。 | | | | ◇くわしくできない。 |・指示カードで,| | | | | 考えを進めさせ| | | | | る。 | | | | |・個別指導する。| | | | ◇早く終わってしまった。 |・指示カードで推| | | | | 敲のチェックを| |20| | | させ清書へ進ま| |分| | | せる 。(評価@A) +−+−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ |ま|5 推敲した作文を発|●推敲前の作文と,推敲後の作文|・OHPを使い児| | | 表する。 | を比べてみましょう。 | 童の作文を見せ| |と| | | 推敲のよさに気| | | |●気付いた事を発表して下さい。| づかせる。 | |め| | ・推敲をしたら,くわしくなっ| | | | | て分かりやすくなった。 | | |る| |●学習カードを記入しましょう。|・自己評価カード| | | | | に自己評価を書| | | | | かせる。 | |12|6 次時の予告 |●明日は,推敲した作文を清書し| (評価@AB)| |分| | ます。 | | +−+−−−−−−−+−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−+ |次時の学習内容 |読者が読みたくなるように,イラストを入れて清書する。 | +−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+        (◎主発問  ●指示  ・予想される反応  ◇支援対象児)  (4)評価     @友達がくわしく知りたいという場面を進んで推敲しようとしたか。                                 (観察・自己評価)     A友達がくわしく知りたいという場面をスローモーションのように書き表す事      ができたか。                     (作文・自己評価)     B推敲の観点を理解し,推敲のよさに気づく事ができたか。 (観察・自己評価)