印刷用紙:B5縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):80   −−以下 指導案本文−−           山田南小学校第6学年 国語科学習指導案                 日 時 平成8年9月10日 (火) 5校時                 児 童 6年1組(男16名 女11名 計27名)                 指導者 阿 部 拓 也 1 単元名    十二歳の記録 2 教材名    今,わたしは,わたしたちは 3 単元について (1)教材について 第6学年の表現領域の目標は,「目的や意図に応じた表現をするため,全 体を見通して適切に話したり組立の効果を考えて文章を書いたりすることが できるようにするとともに,適切で効果的な表現をしようとする態度を育て る。」ということである。  本単元は, 6月の作文単元「生活を見直して」で身近な生活の諸問題ついて 多様な調査方法の結果をもとに自分の生活を見直して作文を書くという学習 をもとに十二歳になっている今,児童の頭の中を巡るあらゆる事に話題を広 げ,今の自分を振り返ったり,将来のことを想像しながらさまざまな方法で 効果的に表現することをねらいとしている。 この単元は二つのステップから成り立っており,一つは,クラスの記録の 残し方について話し合って記録文集の内容や構成を考え,読み手に分かりや すい内容の構成を考えるものである。もう一つは,決まった内容に合った原 稿を書き,全体の構成を考えて記録文集にまとめ上げることである。  それを受けて,教科書では@今の自分の考えや心に残る出来事,Aこの1年 間の行事や出来事,Bみんなの好きな言葉とその思い出,C未来の自分,D 好きな物ベストテン,Eわたしの宝物などの話題を提示し,表現方法につい ても個人の作品や共同での作品を織り交ぜたり,又,表現内容については, イラストや表・図,寄せ書きなどを入れるなど表現の工夫を提示することに より,意欲を持って取り組めるような学習内容となっている。 (2)児童について 子どもたちは今までに取材メモを使った作文の学習を積み重ねてきた。4 月の小教材「今年の作文計画」の学習では,1年間の見通しを立ててどのよ うにまとめていくか計画し,行事をテーマにした作文や新聞作りに取り組ん でいる。また,6月の作文教材「生活を見直して」では,身近にある諸問題 に目を向け,調査の結果をもとに自分の考えを読み手を意識して確かに伝え られるような表現をしようという意欲や工夫が見られるようになってきてい る。  意欲面では,週2〜3回,日常生活の中から心に残ったことやその日の出来 事・テ−マを与えてそのテーマに対する自分の思いなどを日記に書く活動を 続けているが,日記を書くのを好きな子が多く,ほとんどの子が500字〜600 字程度の日記を書いてくる。しかし,何を書いていいか分からない・長くか けないという子も4名ほどいる。  作文技能面では,5月に「私の宝物」で取材の観点を与えて書かせたところ ,読み手に自分の思いがはっきりと伝わる文章を書くことができた。しかし, 日常の日記などでは内容を見てみると個人差があり,構成を工夫して自分の 思いを上手に表現できる子もいるが,ほとんどの子は出来事に対する思いは 書いているものの,まとまりがはっきりせずに言いたいことがぼやけてしま ったりしている。また, 出来事だけを羅列している子も3名ほどいる。推敲 については, 表記上の推敲はある程度自分でできるが,表現上の推敲を行う ことについては相互評価等により少しずつはできるようになってきているが, 今後の課題である。 (3)指導にあたって 6年生という一つの節目の時期にある子供たちにとって漠然と過ごしてい る生活の中で今自分が思っていることを深く考え直したり,自分の将来につい て考えることは, 意義深いことである。 そこで, 文集に載せる個人作文とし て「今,思うこと」や「未来のぼくやわたし」を題材として作文を書く活動を 通して, 今の自分を振り返り, これからの生き方を考えさせる場とさせたい。  取材の段階では,ただ漠然と自分の思っていることや将来の夢をつづるとい うのではなく,取材の観点(@今自分が考えていること・将来の夢,Aその 考えのきっかけとなった出来事,B自分のこれからの生き方への努力や決意) を与え,今現在漠然ととらえている思いや夢についてきっかけとなる出来事 をはっきりさせ,根拠をもとにした確かな考えへと深めさせていきたい。  構成の段階では,取材でメモしたことの中から観点に沿って自分の考えや夢 に対して一番影響を与えているメモを選材し,自分の思いが読み手に強く伝 わるような構成を考えさせたい。  記述の段階では,教材文を参考にさせながら, 読み手を引きつけるための書 き出し文の工夫や,事実と感想・意見が区別できるような文末表現に気をつ けさせることにより読み手に自分の言いたいことが分かりやすく伝わる文章 になるよう記述の工夫をさせたい。また,記録文集ということもあり字数制 限があるので,長い作品がよい作品なのではなく,自分の意見・思いを読み やすく,分かりやすい文体で明瞭に表すことに気をつけさせたい。 推敲の段階では,表記や指示語,接続語などの誤りを見直させることはも とより,文章の内容が読み手によく伝わるように叙述が工夫されているかど うかも確かめ清書させたい。 4 単元の目標 <関心・意欲・態度> 1年間の出来事を振り返ったり,今の自分を見つめたり,将来のことを想 像したりしながら,文集作りへ向けて要旨のはっきりした文章を書こうとする。 <表現> 書こうとする題材について種類や目的に応じ,文章・イラスト・図・表など を取り入れて読み手に分かりやすい構成の表現方法で書くことができる。 <理解> 題材について自分の意見や思いを種類や目的に応じて表現方法を工夫する ことの大切さを理解することができる。 <言語事項> 書いた文章を読み返して,表記や指示語,接続語の誤りを正すとともに,効 果的な文章になるよう,文章を練り直すことができる。 5 指導計画 (11時間) 単元時数11時間を前半と後半に分割して指導することとする。 (前半…第一次〜第二次―――9月) 第一次(3時間) ○教材文を読み,どんな記録集を作ろうとしているか話し合う。――(1) ・学級の記録として必要なもの。 ○教材文を参考に,効果的な表現方法について話し合う。―――――(1) ・用紙の使い方やイラストの効果。 ○自分たちの学級の文集として,どのような内容にしていくか話し 合う。―――――――――――――――――――――――――――(1) ・学級文集に載せる題材を決定する。 第二次(3時間) ○個人で書くものを工夫して記録する。―――――――――――――(1) ・「心に残った言葉」,「未来のぼく・わたし」を読み,効果的な 文章構成について考え,自分の題材を決定する。 ○個人で書く内容を,教材文や参考作文を参考にしながら, 表現の工 夫をしながら書く。――――――――――――――――――――- (2) ・「心に残った言葉」,「未来のぼく・わたし」を書くための材料 を集め構成を考える。 ・構成メモをもとに,教材文を参考にしながら作文を書く。<本時2/2> (後半…第三次〜第四次―――11月) 第三次(3時間) ○個人で書く内容を,教材文や参考作文を参考にしながら,表現の工 夫をしながら書く。――――――――――――――――――――- (2) ・その他の個人作品を表現を工夫して書く。 ・個人作文を見直し,表記上及び表現上の推敲を行い清書する。 ○全体のページを話し合った方向で取材し,表現の工夫をして記録す る。――――――――――――――――――――――――――――(1) ・取材内容がいきるような表現の工夫をする。 ・効果的なレイアウトの工夫をする。 第四次(2時間) ○印刷された紙を製本する。――――――――――――――――― (2) ・白紙を挟み込んだり,表紙をつけたりして,体裁を整える。 6 本時の指導 (1)本時の仮説 題材について構成メモをもとに教材文の表現を参考にさせたり,カードに よる支援をすることにより,子供たちは書き出しを工夫したり,事実や意見 ・感想を区別した文末表現を工夫することができ,自分が今考えていること や将来の夢に対する思いをより分かりやすく伝える文章を書くことができる のではないか。 (2)目標 <関心・意欲・態度> 構成メモをもとにして表現の工夫を考え,意欲的に作文を書こうとする。 <表現> 将来の夢について,自分の意見や思いを読み手に分かりやすく効果的に表 現することができる。 <理解> 教材文の表現の工夫(書き出し文の工夫,事実と考えを区別した書き方) のよさを理解する。 (3)展開 +−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 前時の学習内容 |自分の夢に対する自分の意見や思いを読み手に分かりやすく伝え| | |るための構成を考え,構成表にまとめた。 | +−+−−−−−++−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−++ | |学習活動 主発問と指示・予想される反応 支援と評価の工夫 | +−+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | |1 今日の学習|今までの学習をもとに今日はどん| | |つ|内容を確認する|なことを学習するのですか。 | | | | 。 |構成表をもとに作文を書きます。| | |か| | | | | | | |どんな作文にするのかを確| |む|2 学習課題を| |認する。 | | | つかむ。 | | | | | | | | | | | | | | | | | | |5| | | | |分| | | | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |見|3教材文の表現 |・阿部さんの作文では、構成表か|・教材文を参考にさせなが| |通|の工夫を確認す|ら作文にするときにどんな表現の|らメモを分かりやすく文章| | |る |工夫がされていましたか。 |にしていることを確認させ| |7| |書き出し文 |る。 | |分| |事象と感想・意見の区別 | (評価B)| | | |結論を具体的に(自分の決意) | | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |見|3 教材文の表|◎教材文「心に残った言葉」「心も |教材文を参考にさせながら| | |現の工夫を確認|救える医者に」では,作文にする |,メモを分かりやすく文章| |通| する。 |ときにどんな表現の工夫がされて|にしていることを確認させ| | | |いましたか。 | る。 | |す| | | (評価B)| | | | 書き出し文 | | | | | 事象と感想・意見の区別 | | | | | 結論を具体的に(自分の決意) |   | | | | |   | |7| | |  | |分| | |  | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |ふ|構成表をもとに|●構成表をもとに読み手によく伝| | |か|作文を書く。 |わるように表現を工夫して作文を| | |め| | 書きましょう。 | | |る| | | | | | | | | | | |◇何を書いていいか分からない。|・教材文や指示カードの | | | | |「お助けヒント」を参考 | | | | |にさせる。 | | | | | | | | |◇メモの羅列で終わっている。 |・教材文を参考にさせる。| | | | | | | | | | | | | |◇早く終わってしまった。 |・終わった子どうしでよ | |25| | |い点を認め合う。 | |分| | | (評価@・A) | | | | | | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | |5 学習のまと|●出来上がった友達の作文のよい|相互評価をさせることに | | | めをする。 |点を見つけましょう。 |より,友達のよい点を自分| |ま| | |の作品にも生かすようにさ| |と| | |せたい。 | |め| | | (評価A) | |る| | | | | | | ●今日の感想を書きましょう。 |・自己評価カードに記入さ| | | | | せる。 | | | | | (評価@) | |6| 次時の学習 |●次の時間には他の個人カードを| | | | 内容を知る。 |教材文を参考に絵や図・表などを| | | | |入れて,表現を工夫したカード作| | | | |りをしましょう。 | | | | | | | |8| | | | |分| | | | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ |次時の学習内容 | 他の個人作品(カード)を工夫して書き上げる。 | +−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ (◎主発問  ●指示  ・予想される反応  ◇支援対象児) (4)評価 @構成表をもとにして,意欲的に表現の工夫をし,作文を書こうとしていたか。                            (観察,自己評価) A将来自分の夢について自分の意見や思いを読み手に分かりやすく効果的に表現 することができたか。                          (作文,自己評価) B教材文の表現のよさ(書き出し文,事象と感想・意見の区別)を理解すること ができたか。                         (観察,挙手)