印刷用紙:B4横 1ページの行数:47 1行の文字数(半角で):108   −−以下 指導案本文−−   第三学年国語科学習指導案                                   日 時 平成八年九月二十七日(金)             児童数 男九名 女五名 計十四名           指導者 山 本 公 恵 一、単元名    七.くらべて考える(説明文) 二、教材名  「たこたこあがれ」 広井 力 三、単元について  (一)教材について 説明文教材「たこたこあがれ」は、地域の行事として伝統的に楽しまれてきた「たこあげ」について、そのた     こにこめられた願いや、人と人との心を結びつける役割があることを述べている。  この教材は、七つの形式段落からなり、意味段落一で「どんなたこがあるか、どんなねがいがこめられている     か」という全体を貫く二つの問題を提示している。そして、それに答える文章を意味段落二で展開し、意味段落     三では、それまでの内容を一般化、普遍化し、筆者のたこに対する思いを述べるという構成になっている。した     がって、本単元では、この問いに即して読み進めていくことになるが、たこのいろいろをいくつかの観点から分     類し、児童の思考を助ける「比べる」活動を通して「要点の把握」をむりなく行う事を目的としている。観点と     して挙げられるのは、地域、たこの名前、大きさ、形、えがかれた絵(文字)作り方、揚げる目的、揚げる人数     などがある。これらに即して文章をまとめることが、そのまま要点の把握につながることになる。   三年生になって説明文の学習は、この教材が二度目になる。一学期で学習したように、「まとまりごとのだい     じなこと」として要点を読み取り、つなげていくことで要旨の指導としたい。  (二)児童について  これまでに児童は、説明文単元の「ヤドカリのすみかえ」「ありの行列」で、一人学びの時間を有効に使いな     がら、段落ごとに大事な文に線引きをし、それを全体で練り合い、要点をまとめる学習をしてきた。特に、要点 をまとめる学習では、自分の力でまとめたものに、友達の意見を聞きながら、つけたしたり、削ったりという活 動を繰り返し、自分なりのまとめができるようになってきている。      音読は、音読カードを使って、毎日の家庭学習の中に取り入れているが、それだけでは不十分なので、帰り読     みとして帰る前に一度読むように習慣づけている。ほとんどの子が大きな声で、はっきり、自信を持って読める     ようになってきたので、今は、リズムにのって、すらすら読めるように指導しているところである。    また、音読と併せて、発表する時の声や話し方についても、明るくはっきり言えるように、朝の会、帰りの会     での連絡、発表など日常的なことから練習をしている。        (三)指導について   「たこたこあがれ」という教材文の題名は、説明文としては独特なものである。なぜ「たこたこあがれ」なの     か、もちろんその答えはひと通りではないが、この問いについて考えることは、筆者の存在を実感し、筆者のお     もいに迫ることができるであろう。そして、この問いについて話し合うことで、意欲づけを図りたい。      一人学びについては、それぞれのたこの特徴を整理する作業を通して、事例部分の要点をまとめ、それを比べ     ることによって読み取りを深めさせたい。その際、個に応じての活動目標や援助の手立てを確かにし、観点を決     めた読みを通して要点を把握する力を育てたい。 さらに、「たこ」というと正月の遊び、または行事的なイメージを持つ児童が日本の伝統的なたこについて読     み深めることにより、たこにこめられてきた人々の願いや受け継がれてきた伝統があることを知り、今までと違 っ    た見方で自分たちの地域のたこあげに接することができるようになることを期待したい。 四、単元の目標 ◎いろいろなたこについて、作っている地方とその特徴、こめられた願いについて読み取ろうとする。 (関心・意欲・態度)   ◎筆者が説明するたこあげの行事のいろいろについて、それぞれの特徴を比べて読むことができる。         (理解エオキク) ○地域ごと、国ごとのたこあげの行事について興味を広げ、進んで調べたりまとめたりすることができる。                   (表現ウエ  理解ク) ○たこを作ったり、揚げたり、見たりした体験を文章にまとめることができる。                                       (表現カク  言語オ アイ) 五、指導計画(十五時間扱い) 第一次 「たこたこあがれ」の全文を読み通し、学習計画を立てる。       三時間 ・ 題名について話し合ったり、全文を読んで感想を書くいたりする。−−−−−−−−−−−−@ ・ 新出漢字や、難語句を確かめ、感想をもとに話し合う。−−−−−−−−−−−−−−−−−@ ・ 意味段落に分け、たこの種類を確認する。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−@ 第二次 「たこたこあがれ」の各段落の要点を詳しく読み取る。 六時間 ・ 第一段落を読み、全体の文章構成をとらえる。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−@ ・「一文てんぐばた」について知る。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−@ ・「おにようず」について知る。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−@ ・「大だこ」について知る。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−@本時 ・本文に出てくるたこについて短い説明を書く。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−@ ・たこ揚げが地域の行事として根づき、今も楽しまれているわけを読み取る。 −−−−−−−−@   第三次 教材文の書き方を生かして、たこの説明を書く。        五時間   ・ 見たり揚げたりしたたこの中から、説明を書くたこをきめる。−−−−−−−−−−−−−−@ ・ 教材文を読み直し、書き方の工夫を知る。−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−@ ・自分の書こうとするたこについて取材する。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−@ ・文章を書く。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−@ ・作文を発表し合う。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−@   第四次 単元のまとめと反省をする。                 一時間 ・評価とまとめをする。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−@       六、本時の指導 (一)目 標  第五段落と第六段落を読み、大だこ揚げについての説明を読み取ることができる。  活動目標 大だこ揚げについて詳しく読み取り、他のたこと比べることができる。 活動の目安 A  DE段落から大だこ揚げについて読み取り、大だこの自慢を書くことができる。      B DE段落から大だこ揚げについて読み取り、大だこを揚げるために必要なことをとらえ、自              の言葉で自慢を書くことができる。 C 大だこ揚げについて教師の援助によって読み取り、ほかのたこと違うところを考えながら、              たこの自慢を書くことができる。 (二)展 開 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |段| 学 習 活 動 ・ 主 な 発 問 | 援 助 ・ 評 価 (※) | |階| | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |分|一、前時までの学習内容を想起する。 | | |5| ○筆者の問いかけは何でしたか。 |・問題提示文の確認をする。 | | | ○「一文てんぐばた」はどんなたこか、どんな願いがありまし|どんなたこがあるか、どんな願いがこめられて| |る| たか。 |いるか。 | |え| ○「おにようず」はどんなたこか、どんな願いがありましたか|※前時までの想起ができたか。 | |ら|二、学習課題を確認する。 | | | | +−−−−−−−−−−−−−−+ | | |と| | 大だこあげについて調べよう。| |・一斉読 | | | +−−−−−−−−−−−−−−+ | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |三、本時学習段落を音読する。 | | | | ○どんなたこか、なぜあげるのか考えながら読みましょう。|・指名読み | | | |※大きな声で、はっきりと音読することができ| |分| | たか。 | | |四、課題解決のための一人学びをする。 | | | | ○大だこについて調べましょう。 |・五つの観点で教科書にサイドラインを引く。| |0| ・どこで |・一人学びにおける児童の活動目標 | | | ・いつ |A・B−−−自力でサイドラインが引ける。 | |2| ・どんなたこか |C −−−援助によって言葉を選んでサイドラ| | | ・ねがい | インが引ける。 | | | ・だれが |※大だこについて読み取ることができたか。 | | | |・「たたみ百じょう」の大きさを体感させたい| |る| |・家族の願い−−−町全体の願い | | | ○大だこ揚げの行事について調べましょう。  | | | | ・大だこを作るにはどんな仕事をする人が必要か。 |・ワークシートに書きこみをする。 | |べ| ・大だこを揚げるためにどんなことが必要か。 |・一人学びにおける児童の活動目標 | | | |A・B・C−−必要な仕事のすべてを書くことが| | | | できるとともに、 | |ら| |A−−−−あげるために必要なことについて、| | | | 三つ調べることができる。 | | | |B−−−−あげるために必要なことについて、| |し| | 一つでも書くことができる。 | | | |※作り方、揚げ方に必要なことを書くことがで| | | | きたか。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |五、課題解決のために話し合う。 |・大ぜいの人の協力、力をあわせ、息もぴった| |分| ○大だこ揚げについて考えましょう。 | りということを、動作かさせ、読み取ったこ| |5| | とを深めさせる。 | |1| ○大だこ揚げの行事はどんな役割をはたしてきたのでしょ |・本文の通りでなく、自分の言葉で答えたこと| | | う。 | も認めたい。 | |る| |・一人学びにおける児童の活動目標 | | | ○他のたこと比べて、大だこの自慢を書きましょう。 |A−−−−他のたこと比較し、大だこの自慢が| |め| | かける。 | | | |B−−−−違う点に触れながら、自慢を書くこ| |か| | とができる。 | | | |C−−−−比較するときの書き方のパターンを| |ふ| | 使って、自慢を書くことができる。| | | |※大だこの自慢を書くことができたか。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |5|七、学習課題のまとめをする。 | | |分| ○段落DEを読んで今日のまとめにしましょう。 |・一斉読によって調べたことを確認する。 | |め| | | |と|八、次時の学習内容の確認をする。 | | |ま| ○たこにはどんなよろこびがあるか、考えていきましょう | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ (三)評 価 大だこ揚げの行事について読み取り、他のたこと比べることができたか。 七、板書計画 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | たこたこあがれ | | 広井 力 | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | || 大だこあげについて調べよう | | |+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | たこの様子 | | ・たたみ百じょう | |+−+ | ||方| ・たて十五メートル、横十一メートル、重さ八百キログラム | ||地| ・たこの下の方に一年間に生まれた子どもたちの名前。 | ||東| ・「上組」「下組」にわかれた二まいのたこ | ||関| ・家族のねがいが町全体のねがい | |+−+ | | ・たくさんの人であげる。 −−−− | |《作るには》 | | 竹を切り出す人 | | +−−−−−+ | | 和紙をはる人 |大ぜいの人| | | 絵や文字を書く人 |の協力 | 土地の人々の心を強く | | +−−−−−+ | | 組み立てる人 結びつける役割 | | あげづなを作る人 | |《あげるには》 | | +−−−−−−−++−−−−−++−−−−−−−−−−−+ | | |何十人もの人が、 力を合わせ、 息もぴったりと合わせる| | | +−−−−−−−++−−−−−++−−−−−−−−−−−+ | | | | | | | | 大だこのじまん | | ・ほかのたことちがってぼくは大きいんだぞ。 | | ・みんなの力であがるんだぞ。 | | ・ぼくを作るとみんななかよくなれるんだよ。 | | ・心がひとつになるんだよ。 | | | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 八、教材分析表 「たこたこあがれ」 +−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | 意 味 段 落 | 形 式 段 落 の 要 点 | 語 句 ・ 表 現 等 | +−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ |一|示| たこあげ |@どんなたこがあるか、どんな願いがこ|・たこ | | |提| |められているか。 |・どくとく | | |題| | | | | |話| | | | +−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ |二| |全国にどんなたこがあっ|A東北地方のある町の「一文てんぐばた|・東北地方のある町 | | | |てどんな願いがこめられ|」は、すみでてんぐの顔がかかれたたこ|・一文てんぐばた・小さなたこ| | | |ているか。 |で一年のけんこうと安全のいのりがこめ|・てんぐ | | | | |られている。 | | | |例| |B「おにようず」は、おにの顔がえがか|・中国地方のある島 | | | | |れなみだのふさがつけられる。いきおい|・ようず=たこ | | | | |よくあがる「ようず」のように成長し、|・わざわい | | | | |やさしい心ももつようにねがってつくら|・ふさ | | | | |れる。 | | | | | |Cいさましい武者などをえがいたたこも|・いさましい武者・すこやかな| | |事| |子どものすこやかな成長を願うものだ。|成長 ・五月五日 多いのも | | | | |D一年間に生まれた子供たちの名前を書|・たたみ百じょう・大だこ | | | | |いた紙をはったたたみ百じょうもある大| | | | | |だこが、町全体のねがいとなって、天ま| | | | | |でとどけと力づよくあげられる。 | | | | | |E大だこあげの行事は日本各地にあり、|・切り出す人 | | | | |大だこを作り、あげるなかで土地の人々|・和紙をはる人 | | | | |の心を強くむすびつける役わりをはたし|・ほね組み | | | | |てきた。 |・あげづな | +−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ |三|め|筆者の思い |Fたこには、作る・あげる・見るなどの| | | |と| |よろこびがある。だから昔からたこを大| | | |ま| |事にし、工夫しつづけている。 | | +−+−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ 九、個への指導の構想 +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 本 時 の 目 標 |大だこあげについてくわしく読み取り、ほかのたことくらべることができる。 | +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 学 習  課 題 |大だこあげについて調べよう。 | +−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 一 人 学 び |筆者の二つの問いかけに答えている文を探し、大だこあげの行事について調べ、さらに| | |調べたことをもとに大だこの自慢を書くことができる。 | +−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | 到  達  目  標 |援 助 の 手 だ て | +−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |☆大だこについて五つの観点(どこで・いつ・どん|★約束にしたがってできるよう見守る。 | | | なたこか・ねがい・だれが)にサイドラインを引| | | A | くことができる。 | | | |☆作り方、揚げ方を読み取り、シートに書くことが|★揚げるために必要なことを三つ調べさせる| | | ができる。 |。 | | |☆他のたこと比較し、大だこの自慢を書くことがで|★今までの学習を生かして自力で書くよう見| | | きる。 |守る。 | +−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |☆大だこについて五つの観点(どこで・いつ・どん|★約束にしたがってできるよう見守る。 | | | なたこか・ねがい・だれが)にサイドラインを引| | | | くことができる。 | | | B |☆作るために必要な仕事をすべて書き込み、揚げ方|★揚げるために必要なことがどのあたりに書| | | について必要なことの一つでも読み取ることがで|いてあるか探してから考えさせるよう、手順| | | きる。 |を指示する。 | | |☆他のたことの比較を交えながら、大だこの自慢を|★いままでのたこと違うところを強調させて| | | を書くことができる。 |書けるよう援助する。 | +−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |☆大だこについて言葉を選びながらサイドラインを|★全文に引かないよう注意を促す。 | | | 引くことができる。 | | | C |☆作るために必要な仕事のすべてを書くことができ|★読みおとしがないよう、五つあることに着| | | る。 |目させる。 | | |☆書き方のパターンを使い、大だこの自慢が書ける|★出だしや、言い回しのヒントをあたえる。| +−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+