印刷用紙:B4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):110   −−以下 指導案本文−−                 第一学年 国語科学習指導案                               日 時 平成八年十月二日(水)二校時                               対 象 一年三組 男十八名 女十三名 計三十一名                               指導者 高橋 由紀子 一、単元名  こえにだしてよもう  教材名 「くじらぐも」 二、単元について (一)教材について  第一学年の理解における目標は、「粗筋をつかみながら話を聞いたり、書かれている事柄の大体を理解しながら文章を読 んだりすることができるようにするとともに、易しい読み物を楽しんで読もうとする態度を育てる。」である。これを受け て、本単元では、「場面ごとの様子を思い浮かべながら、はっきりした声で音読したり、人物に同化して読み方を工夫した りすることができる。」を主目標としている。  子供達は、これまでに「だれにあえるかな」「大きななかぶ」で、登場人物によって場面の転換がある繰り返しのおもし ろさを味わいながら、登場人物の気持ちや場面の様子を想像して読み取る学習をしてきた。また、「おむすびころりん」で は、散文詩の形式で構成された文をリズミカルな調子で読み、音読を中心にして登場人物の気持ちを想像する学習をしてき た。本単元では、対比のおもしろさに気付き、文章を声に出して読むことで場面の様子をより豊かに想像し読みを深めるこ とをねらっている。そして、次の「たぬきの糸車」では、登場人物の気持ちや行動に十分共感させ自由な想像の世界を広げ ていく学習へとつなげていく。  本教材は、空に現れた大きな雲のくじらと子供達との心のふれ合いを明るく楽しく描いた作品である。五つの場面で構成 されているが、冒頭の二文で場面が明白にされ、重要な登場人物が次々に登場し、これから起こることへの興味をわきたた せてくれる。また、場面の転換がダイナミックで動きのある作品である。体操の時間という現実から、くじらぐもにのって 旅をするという空想の世界に飛び込み、またジャングルジムに降りて現実に戻るという展開のおもしろさがあり、さらに、 青い空に浮かぶまっ白い雲にのって旅してみたいという夢が物語の中で現実のものになっている。現実と空想が入り交じり 、読み手である子供達を楽しく豊かな世界に誘い込んでくれるだろう。吹き出しを書いて気持ちを考えたり、会話文の読み 方を工夫したりして繰り返し声に出して読んでいくうちに、子供達は登場人物に同化して、ファンタジックな世界に浸り、 読むことの楽しさを味わえる教材であると考える。 (二)子供の実態について     子供達はこれまでに、挿絵と文を結び付けながら場面の様子を想像したり、登場人物の気持ちを吹き出しに書いたりする 活動によって、読み取りの学習をしてきた。様子や登場人物の気持ちを読み取らせるために、手掛かりとなる語句、文を見 つけてサイドラインを引いたり視写したりする学習をしてきたが、自分の力だけでできない子もいるので、グループ学習を 取り入れながら進めている。  一人学びでの吹き出しは、まだ教師の支援を必要とする子はあるものの、全体的には、想像を広げて書くことができるよ うになってきた。学び合いでは、吹き出しに書いたものを発表し合い、それを聞いて同意、相違の考えを徐々に発表できる ようになってきている。また、友達の発表のいいところを見つけさせたりもしているが、発表の内容を評価するまでは至っ ていない。  音読は、音読カードを活用することによって子供達は、意欲的に取り組んでいる。その結果、ずいぶん調子よく読めるよ うになってきているが、まだ拾い読みの子もいる。また、口の開け方や句読点での休み方、気持ちや様子が表われるような 読みについて、今後も引き続き指導していきたい。 (三)指導にあたって  単元名「こえにだしてよもう」をふまえ、音読を通して想像を広げ、読みを確かなものにしていきたい。随所に音読の活 動を設定し、はっきりした声で読めるようにした上で会話文の読み方の工夫や役割読みを取り入れるようにしたい。そうす ることで、子供達は作中人物に同化し、場面の様子をより豊かに想像することができるであろう。また、一人学びでくじら ぐもや子供たちの気持ちを想像して吹き出しに書くことにより物語の世界に浸らせ、喜びや発見を豊かに表現させながら楽 しく学習を進めていきたい。学び合いでは、吹き出しに書いたことを発表し合い、自分と友達の考えを比べながら、さらに 自分の考えを深められるようにしていきたい。  この教材文は、主語、述語が省略されている部分がある。場面の様子や人物の気持ちを読み取る上で重要なので、省略さ れた部分を補わせるなどして丁寧に扱いたい。と同時に、「・・・も」という叙述をとらえさせ、子供達とくじらぐもとの 対応を正しく読み取らせたい。 三、単元の目標  ○関心・意欲・態度                                             くじらぐもと子供達に親しみを持ち、空想の世界を楽しみながら、場面の様子や登場人物の気持ちを読み取ろうとする。  ○表  現  子供達の夢が実現したお礼として、句読点やかぎかっこの使い方に注意して、くじらぐもにお手紙を書くことができる。  ○理  解  場面の様子、人物の気持ちを思い浮かべながら、はっきりした声で音読したり、読み方を工夫したりすることができる。  ○言語事項  片仮名を正しく読んだり書いたりできると同時に、語句の意味を正しくとらえ、その使い方を理解できる。 四、学習指導計画  (14時間扱い) 本時…9時間目 +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 段階 | 学  習  活  動 | 教  師  の  支  援 | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |第一次|1 全文を読み、感想を持つ。      |・面白かったことを中心に感想を持つことができるよう| | |2 新出漢字、片仮名の学習をする。 | にする。 | |   |3 粗筋をつかみ、場面分けをする。       |・くじらぐもや子供達のしたことに着目して、場面分け| |   |4 場面ごとに読みのめあてをもつ。       | ができるようにする。 | |   |          |・個々の感想をもとに、読みのめあてをもてるようにす| |   |            | る。 | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |第二次|5 くじらぐもと子供達の出会いの場面を読み取る。|・くじらぐもがまねをしていたことをとらえさせるため| | |6 くじらぐもと子供達の交流を読み取る。 | 「くじらも」の「も」に着目させるようにする。 | |   |7 くじらぐもに飛び乗ろうとする子供達と応援する|・くじらぐもと子供達の会話を照応させ、心の通い合っ| |   |  くじらぐもの様子を読み取る。 | ていく様子を音読を通して読み取ることができるよう| |   |8 くじらぐもに飛び乗ったときの子供達の様子や気| にする。 | |   | 持ちを読み取る。 |・くじらぐもや子供達の行動や会話から気持ちを読み取| | |9 楽しい空の旅を想像する。(本時) | らせ、会話文の音読を工夫できるようにする。 | | |10 学校に帰るまでの様子を読み取る。 |・「いきなり」「あっというま」「のっていました」と| | |11 くじらぐもと子供達が別れる様子を読み取る。 | いう表現から、子供達の様子を想像できるようにする| |   |           |・「さあ、およぐぞ」「げんきいっぱい」という表現か| |   |           | らくじらぐもの張り切る様子をつかませ、空から見え| |   |           | たものを想像してくじらぐもと子供達の気持ちを吹き| |   |           | 出しに書くことができるようにする。 | |   |           |・時間の経過を読み取らせ、くじらぐもと子供達の気持| |   |           | ちを想像して吹き出しに書くことができるようにする| |   |           |・「さようなら」の続きの台詞を考えて吹き出しに書き| |   |           | 気持ちを考えながら音読できるようにする。 | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |第三次|12 各場面の様子や気持ちを考えながら、全文を音読|・読み取ったことをもとに個人やグループで音読の工夫| |   | したり、音読発表会をしたりする       | ができるようにする。 | | |13 くじらぐもにお礼の手紙を書く。 |・よいところを発表し合い、認め合うことができるよう| |   |             | にする。 | |   |            |・手紙形式で書かせ、感想をまとめることができるよう| |   |             | にする。 | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |第四次|14 助詞「も」の使い方を練習する。       |・短文作りをしながら、言葉の使い方について理解する| |   |            | ことができるようにする。 | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 五、本時の指導 (一)ねらい 雲の上から見える景色はどんな様子かを考えたり、くじらぐもや子供達が話したことを想像したりしながら、く    じらぐもと子供達の空を旅する楽しい気持ちを読み取ることができる。 (二)展開