印刷用紙:B4縦 1ページの行数:60 1行の文字数(半角で):112   −−以下 指導案本文−−                  第二学年 国語科学習指導案                              日 時 平成八年十月二日(水)一校時                              対 象 二年三組 男二十名 女二十名 計四十名                              指導者 千 代 川 晶 則 一、単元名 気もちを考えて読もう 教材名「お手紙」 二、単元について (一)教材について  第二学年の理解における目標は、「事柄の順序を考えながら話を聞いたり、事柄の順序や場面の様子の移り変わり などに注意しながら文章を読んだりすることができるようにするとともに、易しい読み物を進んで読もうとする意欲を高める 。」ことである。第一学年の、「粗筋をつかみながら話を聞いたり、書かれている事柄の大体を理解しながら文章を読んだり する」学習を一歩進めて、第二学年では、「一層確実に順序立てて内容を理解する」ことを目指している。本単元では、「場 面の様子をとらえながら音読し、人物の気持ちの移り変わりや心の触れ合いを読み取ることができる」ことを主目標としてい る。  これまで、「スイミー」では主人公スイミーに焦点を当て、スイミーの行動や心の動きを場面の移り変わりに即し て読み取ることを、「王さまでかけましょう」では、ストーリーの面白さに目を向け、王様の行動や気持ちの移り変わりを場 面の展開に即して読み取ることを、さらに「えいっ」では、父と子の気持ちや場面の様子を、会話などに注意して順序立てて 読み取り、作品のおもしろいところを見つける学習をしてきた。本単元の、場面の様子をとらえ、人物の気持ちの移り変わり や心の触れ合いについて考えることが、「力太郎」での繰り返しによる場面の変化やストーリー展開のおもしろさを、人物の 行動・言葉を手掛かりに読み取る学習へと発展していく。  本教材は、来るあてのない手紙を待つがまくんと、悲しんでいる友達のために手紙を書き、届けようとするかえる くんの温かくもほほえましい心の通い合いを描いた作品である。教材は五つの場面で構成されている。かえるくんとがまくん の行動が時間的な順序に沿って描かれ、場所の移動と気持ちの変化がはっきりしており、場面の移り変わりがとらえやすい。 また、会話を主として筋が展開しているので、会話を対比させることによって人物の気持ちの違いや変化を想像することがで きる。単元のねらい達成に適した教材である。 (二)子供の実態について  子供達は一年生で、サイドライン、視写、吹き出しなどで、一人学びをしながら読み取りを行なってきた。今年に なってからは、さらに書き込みができるようよう、重要語句を提示し、それを手掛かりに登場人物の心情を理解するうえで大 切なことを自由に書き込むようにしてきた。  「スイミー」ではサイドライン、書き込み、吹き出し、まとめの音読という一連の流れで学習してきたが、一つ一 つの語句に注意して読み取ることができず、一文二文と続けてサイドラインを引いたり、書き込みの視点がはっきりせず、次 の学び合いで意見が噛み合わないなどの問題があり、本単元でも重ねて指導したいところである。「学び合い」では、自分の 意見を話すことで精一杯で、友達の考えを聞き、自分の考えを補っていこうとする子供はまだ少ない。自分の考えと友達の考 えとの違いや同じ点をはっきりさせて発表することを指導しているところである。 (三)指導にあたって 本教材は、がまくんとかえるくんの会話を中心に展開している。会話には、それぞれの人柄が表れており、会話文    を対比させたり読み方を考えさせたりすることで、二人の気持ちの違い、移り変わりを読み取らせたい。    また、「お手紙」という単元だからこそ、ぜひ、「手紙」という表現活動を生かした学習活動を工夫したい。手紙    という伝達の手段を知らせ、自分の言葉で自分の思いを伝える喜びを味わわせたい。               子供たちにとってかえるくんやがまくんはどこにでもいそうな身近な人物として親しみがもてるだろう。共感的に 作品を読み進めながら、人物の気持ちの移り変わり、心の触れ合いをとらえさせ、悲しんでいる友達を思い、さりげ ない優しさで喜ばせようとする素朴な人間愛の中に見られる善意と、ほのぼのとした温かい友情、という主題に気付    かせていきたい。 三、単元の目標   ○関心・意欲・態度     ・かえるくんとがまくんの間に通い合う思いやりの心とほのぼのとした友情の温かさを感じ取ろうとする。   ○表現     ・がまくんになったつもりでかえるくんに手紙を書き、発表することができる。   ○理解     ・場面の様子をとらえながら音読し、人物の気持ちの移り変わりや心の触れ合いを読み取ることができる。   ○言語事項     ・かぎの使い方を理解し、主述、修飾・被修飾の関係に注意して読み書きできる。                         四、学習指導計画(15時間扱い)       本時・・7時間目 +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |段 階 | 学   習   活   動 |    教   師   の   支   援     | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |第一次|1 全文を読み、筋のおおよそをつかみ、簡単な初発|・挿絵から内容を想像させ、興味をもたせるようにする| | | の感想を書く。新出漢字の筆順と意味、使い方を理|      | | | 解する。      |・挿絵を手がかりにあらすじをとらえられるようにする| |   |2 あらすじをつかみ場面分けをする。 |・初発の感想をもとに課題を決められるようにする | |   |3 感想を発表し、場面ごとに学習課題をもつ。 |・誰の会話文かを理解させ、役割読みができるようにす| |   |4 かえるくんの会話とがまくんの会話を確かめ、全| る | |   | 文を音読する。   | | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |第二次|5 手紙をもらったことのないがまくんの悲しみと、|・がまくんが悲しいわけを説明している会話文をてがか| | | それを聞いて心を痛めるかえるくんの悲しい気持ち| りに、かえるくんの心情を想像できるようにする。 | |   | を読み取る。 |・かえるくんの行動が書かれている地の文の表現に注意| |   |6 大急ぎで家に帰って手紙を書くかえるくんの気持| しその心情を読み取れるようにする。 | | | ちと、張り切っているかたつむりくんの様子を読み|・がまくんを励ますかえるくんの言葉や、手紙を心待ち| | | 取る。 | する行動と、それに対するがまくんの反応から二人の| | |7 手紙を心待ちにしているかえるくんと、あきらめ| 心情の相違点に気付くことができるようにする。 | |   | と悲しみを強くしているがまくんの気持ちを読み取|・落ち込んでいるがまくんに手紙を書くことにより、よ| |   | る。         (本時)    | り深く心の触れ合いをとらえることができるようにす| |   |8 悲観的になっているがまくんに励ましの手紙を書| る。 | |   | く。             |・読み方の工夫や役割読みをすることで二人の心情や心| |   |9 手紙を待っている二人のとても幸せな気持ちを読| の触れ合いをとらえることができるようにする。 | | | み取る。 |・四日間の二人の会話について想像を広げることで、喜| | |10 四日間待ち、手紙をもらって喜んでいるがまくん| びに満ちた二人の心を読み取ることができるようにす| | | の満ち足りた気持ちを読み取る。 | る。 | |   |11 がまくんになったつもりでかえるくんに返事の手|・手紙を書く活動を通して、書く楽しさと手紙をもらう| | | 紙を書く。   | 喜びを味わうことができるようにする。 | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |第三次|12 心に残ったところを中心に感想を書く。    |・グループで感想文のよかったことを話し合い、読みを| | |13 音読発表会をする。     | 深めることができるようにする。 | |   |14               |・四人一組のグループで役割読みをするとともに、テー| |   |15 アーノルド=ローベルのほかの作品を読み、本の| プに録音し、読みの工夫について話し合えるにように| |   | 紹介をする。              | する。 | |   |                |・アーノルド=ローベルのほかの作品を読み、本を楽し| |   |                   | んで読もうとするきっかけとする。 | +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 五、本時の指導    (一)ねらい 手紙を心待ちにしながらがまくんを励ますかえるくんと、あきらめと悲しみを強くするがまくんの気持ちを読み取     ることができる。 (二)展開