印刷用紙:B4縦 1ページの行数:48 1行の文字数(半角で):120   −−以下 指導案本文−−   第三学年 国語科学習指導案 日 時 平成八年十月二日(水) 一校時 対 象 三年一組 男子十七名 女子十八名 計三十五名 指導者 佐 々 木 裕 二 一、単元名 場面の様子に気をつけて 教材名「ちいちゃんのかげおくり」 二、単元について (一)教材について  第三学年の理解における目標は、「内容の要点を押さえながら話を聞いたり、内容の要点を正しく理解しながら文章を読ん だりすることができるようにするとともに、いろいろな読み物を読もうとする態度を育てる。」である。本単元は、「場面の移り変わ りを押さえながら、会話文に気をつけて読み、情景や人物の気持ちを豊かに想像し、文学など読み物に対する関心を深めることができ る」ことを主目標としている。  本単元は、人物の行動が生き生きと描写されているので、その行動を支える心情もとらえやすい。また、場面設定も明確で あり、場面の様子との関連の元に人物の心情を豊かに想像することができる。子供たちは、第五単元「気持ちのうつりかわりを」(教 材名『つり橋わたれ』)で負けず嫌いなトッコがかすりの着物を着た不思議な男の子との出会いによって、つり橋も渡ることができ、 山の子供たちとも遊ぶことができるようになるまでの気持ちの変化を読み味わってきた。その学習活動では、課題解決に向かってどん な言葉に気をつけ、どんな学習方法をすればよいか、そして、「学び合い」で読みをさらに深めるための学習態度を身につけてきた。  本教材は、子供たちにとって初めての戦争をモチーフにした作品である。戦争の悲惨さを直接に生々しく訴えた作品ではな く、また、戦争反対を声高に叫ぶ作品でもない。しかし、家族への愛情や思いが強く感じられ、それと同時に大切なものを奪い去って しまう戦争の悲惨さを痛感させられる。子供には、戦争中の時代背景について理解できない部分もあると思われるので、語句について 、適切に説明が必要になると思われる。 (二)子供の実態について  これまでの国語の学習やふだんの生活における言語活動を観察していると、学級の子供たちは文章を読んだり聞いたりして 、内容を正確に理解する力は全体的に高まってきている。したがって、場面の描写について、記述を元に読み取っていくことは、比較 的容易にできるのではないかと思われる。しかしながら、そこから、人物の気持ちや情景を想像したり、想像したことを自分なりの言 葉で表現したりする力はまだ十分とは言えない。  書く活動を中心とする「一人学び」では、まだ、ノートに視写すること自体に抵抗を感じながら学習している子供も何人か いるが、「見通し」で話し合われた事柄をもとに意欲的に読み取ろうとする子供たちが多い。また、教師の助言なく適切な視点をもっ て活動できるようになってきた。  「学び合い」では、一部の子供ではあるが、自分で想像したことを自分なりの根拠をもって発言したり、自分の考えと比較 しながら人の発言を聞いたりすることができるようになってきた子供もおり、全体に広がりを見せてきている。しかしながら、今のと ころ積極的に自分の意見を発表できない子供の方が多く、学習の形態もいろいろな工夫を要する。 (三)指導にあたって  この作品では、二つのかげおくりの間の様子が対照的に描かれている。両親にとっては万感の思いのこもる「記念写真」で あったかげおくりも、ちいちゃんたち兄弟には大きな喜びを与えてくれる「遊び」との出会いであった。初めてのかげおくりで兄弟が 発した「すごぅい」という感想を、子供が共有することによって、後にたった一人で行ったかげおくりの心情を、そのときの感動と対 比して想像させていきたい。  また、お母さんたちとはぐれてしまい独りぼっちになってしまったちいちゃんの気持ちをしっかりと押さえさせ、空から迎 えに来た家族との再会を喜ぶちいちゃんの気持ちへとつなげていきたい。また、その場面では、「家族と会えてよかった」だけに止ま らず、そのような形でしか再会ができなかった、そして、それをちいちゃんは「きらきらかがやく」ほどに喜んでいることの悲しさも 話し合わせたいと考える。 「一人学び」は、主として視写が適すると思われるが、子供の実態からあまり長い部分ではなく、短い中でちいちゃんの心 情を読み深めさせていきたいと考える。そして、「学び合い」では、子供相互の意見の違いを話し合いの手掛かりにしていきたい。  学習のまとめとして、ちいちゃんへの手紙を書くこととし、心に残った場面や、そこから感じたことなどを書きまとめさせ るとともに、平和な今日を生きている自分たちの生活を改めて考える機会としたい。 三、単元の目標 〇関心・意欲・態度        ・視写や書き込みなど、言葉に着目した活動に意欲的に取り組み、想像したちいちゃんの気持ちを発表したり、発         表を聞いて自分の読みを深めようとする。 〇表   現        ・ちいちゃんの運命について一人一人が自分の感想を表現することができる。 〇理   解        ・場面の移り変わりを押さえながら、会話文に気をつけ、情景や人物の気持ちを豊かに想像することができる。 〇言 語 事 項        ・同じ行動を表すにもいろいろな言い表し方があることを理解し、自分の表現に使うことができる。