印刷用紙:B4縦 1ページの行数:57 1行の文字数(半角で):114   −−以下 指導案本文−−         第四学年 国語科学習指導案                               日 時  平成八年十月二日(水)一校時                               対 象  四年一組 男十六名 女十五名 計三十一名                               指導者  北條 和晴 一 単元名 場面をくらべて  教材名 「一つの花」 二 単元について (一)教材について  第四学年の理解における目標は「内容の要点や中心点を正確に押さえながら話を聞いたり、段落相互の関係を考えて 中心点を正確に把握しながら文章を読んだりすることができるようにするとともに、読書の範囲を広げるようにする。」 である。それをうけ本単元では、「人物の気持ちや行動と場面の状況とを結びつけながら深く読み取り、自分の感想を まとめる。」ことを主目標とする。  これまでに子供達は、「ガオーッ」では、登場人物の様子や気持ちの変化を想像し、聞き手に伝わるように音読する ことを、「白いぼうし」では、人物の気持ちや場面の情景をイメージ豊かに読み取ることを学習してきた。また、「ア ナトール、工場へ行く」では、ストーリーの展開にそって人物の行動や気持ちを想像し、そのおもしろさを味わいなが ら学習をしてきている。本単元では、これらを受けて、状況の変化と密接に関連して推移する人物の気持ちを読み取ら せ、自分の感想を持たせようとするものであり、「ごんぎつね」の人物の様子や気持ちの変化を読み取る学習へと発展、 深化するものである。  この教材は、戦中から戦後にかけての時代を背景に、状況に押し流されていく一家の悲劇、父母の幼いゆみ子に向け る限りない情愛、平和への願いをうたいあげた作品である。場面は戦中と戦後の二つに大きく分かれており、「一つ」 という語が主題に迫るキーワードとして全編を貫いている。ゆみ子の言う「一つだけ」、母親の言う「一つだけ」、父 親の言う「一つだけ」は、それぞれその語にこめられた気持ちが異なっている。特に、ゆみ子の場合は食べ物について の物質的、刹那的な意味であるのに対して、父親は精神的な意味をこそ込めて発しているという点で、その違いは大き い。父親の別れに際して、自分の願いを託した「一つの花」と、戦後、ゆみ子の家を包む「いっぱいのコスモスの花」 とを対比することで主題が浮かび上がってくる。戦後を背景とした社会の様子や親子の絆、気持ちの交流が簡潔な文体 で描かれているので、戦争という、子供達から全くかけ離れた状況ではあっても、読み進めていく中で子供達に深い感 動を呼び起こすであろう。このようなことから、人物の気持ちや行動を場面の状況と結び付けながら読み取らせるため にふさわしい教材である。 (二)子供の実態について  これまでに子供達は、物語文において、中心になっている言葉に着目し、視写、抜き書き、書き込み、心情曲線を学 習方法として用い、登場人物の行動、様子、気持ちや場面の様子を教材の特徴をつかみながら読み取ってきた。  子供達は、国語の学習に意欲的に取り組もうとしてきており、「見通し」において、読みの視点が明確になると、「 一人学び」では、ほとんどの子供が自分の考えを書き表し、「学び合い」においても、考えを発表することができる。 しかし、一つの考えに集中しがちであり、いろいろな考えを学び合う段階には達していない。  そこで、「見通し」における発問を工夫することにより、「一人学び」で子供達がいろいろな考えを書き、「学び合 い」の中で自分の考えをもとにして話し合いを深められるようにしたい。 (三)指導にあたって  この作品の主題に迫るための読みの視点として対比を大事にしていきたい。何もわからないゆみ子と何もかも見えて いる世界を持つ父親との心情のずれ、一輪のコスモスといっぱいのコスモス、駅でのにぎやかな周囲とプラットホーム のはずれのゆみ子たち等を対比することによって、一輪の花に託した父親の心情にふれたり、命や平和の尊さに気付か せたり、主題に迫ることができると考える。  戦争の悲惨さについては、あくまでも作品に描かれている事象と両親の内面的葛藤や戦中と戦後の比較等を通してと らえさせることを基本とするが、「配給」「軍歌」「ばくだん」等、情景や心情の読み取りに必要な語句については適 宜説明を加える。  「見通し」では、家族の別れに際したお母さんのお父さんに対する思いにふれ、駅の周囲の人々とゆみ子の家族の対 比を挿絵を用いて考えさせたい。そして、「一人学び」において、自分の考えをプリントに書き込ませ、その考えをも とに、「学び合い」では、友達の考えを認め合う雰囲気を話し合いのなかから作り上げたい。 三 単元の目標  ○関心・意欲・態度    ・作品に描かれている状況に関心を持ち、進んで場面ごとの様子や気持ちを読み取ろうとする。  ○表現    ・「一つの花」という題名について、人物の行動や場面の状況から自分の感想をさらに深め、考えを明確にして文章     にまとめることができる。  ○理解    ・両親の気持ちや行動と場面の状況とを結び付けながら、「一つの花」に込められたゆみ子の幸せを願う両親の深い     愛情を読み取ることができる。  ○言語事項    ・語句の意味を理解し、文末表現、指示語、接続語、ダッシュなどの働きについて理解を深めることができる。 四 学習指導計画( 時間扱い) 本時・・・8時間目    学 習 活 動      教 師 の 支 援 第一次 1全文を読み、初発の感想を書く。                  2物語の展開を大まかに理解し、全体の構成をつかむ。                   ・新出漢字の練習、語句調べをする。                  3場面分けをし、学習課題を作る。                  4                   ・前学年で学習した「ちいちゃんのかげおくり」を想起させ戦争についてふれる。                   ・感想を発表し合い、読み深めたいことや疑問などをもとに課題づくりができるようにす                    る。                   ・個人課題をもとに、話し合いを通して共通課題が作れるように支援する。 第二次 5戦争中の世の中の様子と、ゆみ子が最初に覚えた                  6言葉の意味を読み取る。                  7ゆみ子をめちゃくちゃに高い高いする父親の行動と心情を読み取る。                 8戦争に行く日の情景から、両親の心情を読み取る。  (本時)                 9父親が、ゆみ子に渡した一輪のコスモスの花に託した思いを読み取る。 戦争中と戦争 後十年の暮らしを比べて読み、母親の心情を読み取る。                   ・この物語の背景になっている戦時中の社会状況・生活をとらえることができるようにす                    る。                   ・会話や行動から、父親の切ない思いを読み取ることができるようにする。                   ・戦争に行くということは、どういうことかをおさえ、会話や行動から両親の心情を読み                    取ることができるようにする。                   ・場面の様子、父の行動、ゆみ子への言葉に着目させ、父親の切ない心情や、一つの花に                    託す強い願いを考えることができるようにする。                   ・戦争の激しかったころの様子や会話と、十年後の様子や会話を対比させて考えることが                   できるようにする。     第三次  「一つの花」の意味を作品全体からとらえ、主題を考える。  まとめの感想を書                   き、発表し合う。                   ・「一つ|||」に関連して出てきた文に着目させ、ゆみ子の言う「一つだけ」、母親の                   言う「一つだけ」、父親の言う「一つだけ」を比較する中で、主題にせまることができ                   るようにする。                   ・友達の感想を読み、それぞれの感想のちがいに気付いたり、さらに自分の考えを深めた                    り、広めたりできるようにする。 五 本時の指導 (一)ねらい お父さんが戦争に行く日の情景と、お父さんとお母さんの行動から、泣き顔で別れたくないお父さんの気持ちを読み取ることができる。 (二)展開