印刷用紙:B4縦 1ページの行数:63 1行の文字数(半角で):110   −−以下 指導案本文−−        第五学年 国語科学習指導案                               日 時  平成八年十月二日(水)一校時 対 象  五年二組 男十九名 女十三名 計三十二名                               指導者  青 笹 範 子 一、単元名  人物の結び付きを  教材名「大造じいさんとガン」 二、単元について  (一)教材について  第五学年の理解領域における目標は「話し手の意図をつかみながら聞いたり、主題や要旨を理解しながら文章 を読んだりすることができるようにするとともに、読書を通して考えを深めるようにする」である。本単元では 「場面が移り変るとともに、人物の結び付きや気持ちが変化する様子を読み取り、読み取った情景や気持ちが聞 き手によく分かるように音量や速さなどを工夫して朗読することができる。」ことを主目標としている。  これまでに子供たちは、「ヤドカリ探険隊」でノート作りや読み取ったことを全体で深める学習、「麦畑」で は人物の気持ちを考えながら美しい情景描写を読み味わい、作品の主題に迫り感想を持つ学習をしてきた。また 「いたいいたい虫」では主人公が先生との交流を通して本当の強さや本当の優しさに気づいたことを読み取り、 自分を振り返る学習をしてきた。本単元では、これらの学習をさらに発展させ、情景の中に描かれた人物の気持 ちやその変化を読み取り主人公の人間味あふれる姿、すばらしいものに感動する心をとらえさせていきたい。情 景描写から心情を確実にたどることは、次の「わらぐつの中の神様」での、主人公の変容と主題の読み取りにつ ながっていく。  本教材は、物語の世界に自然に誘い込まれるような前書きから始まり、ガンの頭領である残雪と対立関係にあ る大造じいさんの心情が憎しみから感動へと変化していく様子を、起ー大造じいさんと残雪の戦いの始まり、 承ー二度目の策略の失敗、転ーはやぶさの出現、結ー残雪を放つじいさんの四場面による構成で劇的に生き生き と描かれている。捕まえる方法が「うなぎつりばり」「タニシ」「おとり」と変わっていきそれにつれて苦しい 状況に追い込まれていくじいさんの焦りや意欲を、情景の中から読み取ることができる。また、ハヤブサの出現 は、大造じいさんの心情が憎しみから感動へ変化していくきっかけにもなり、主人公の心の動きについて読み取 ることができる。さらには残雪を放すことから正々堂々と物事に立ち向かっていく人間の生き方について考える こともできる。本教材は、叙述に即して情景を読み取る力を付けたり、たとえ鳥ではあってもすばらしいと思っ たことに感動する心を育てたりするのに適した教材であると考える。 (二)子供の実態について  学習に対して内に秘めた意欲があり、できるかぎりのところまではやろうとする根気強い態度が見られる子供 たちである。  「一人学び」は、視写、書き込み、心情曲線、抜き書き等今までに身につけた方法で行い、自分なりに考えを 持とうとするようになってきている。しかし、ノート作りそのものに熱中し課題からそれる子や、取りかかりが 遅くなかなか自分なりの考えを持つことができない子供もいる。また、全体的にじっくりと語句に着目して文章 を読む力がまだ十分とは言えないので、この教材でさらに語句に着目する力をつけさせていきたい。  「学び合い」は、グループでの学び合いにやっと慣れてきたところである。分からないことがあると「ここが 分からない」と素直に言える子供たちなので、グループでの深まりがでてきつつある。全体での話し合いになる と意見を交流し合えるのは少人数になる。みんなが意見を出し合って、全体の力で学習を深める学び合いを目指 して指導中である。  (三)指導にあたって  四つの場面が起承転結の形で展開されている。一・二場面で大造じいさんの執念を確実に捕らえさせることに よって、三場面での大造じいさんの心の動きや、四場面での大造じいさんの行動に深い感銘を与えさせることが できるものと思われる。そのために、熟語や色彩語などの語句に着目させながら情景描写の中に表されている大 造じいさんの心情や状況の変化を読み取らせていきたい。また、読み取ったことをイメージ豊かに想像させなが ら読み味わわせるようにしたい。  教師の支援としては、自力で課題解決できるように、「見通し」においては視点をはっきりさせ、スムーズに 一人学びができるようしたい。また、「一人学び」では、それぞれの方法で自分なりに課題に迫り、自分なりの 考えがもてるように机間指導で助言したり励ましたりしていきたい。「学び合い」においては、子供たちが個々 の考えを出し合い、活発な意見交換の中で考えを深めたり比較したりすることができるように導いていきたい。 三、単元の目標    ○関心・意欲・態度        ・一人学びにおいて自分なりの考えを持ち、学び合いで自分と友達の考えの類似点・相違点をはっきりさせてさ       らに自分の考えを深めようとする。    ○理解              ・残雪の知恵や頭領らしい勇気と責任感を感じさせる行動・態度に感動する大造じいさんの心の動きを通して、       美しいもの、すばらしいものに感動する心を読み取ることができる。    ○表現      ・主題を考えながら感想をまとめ、整理して文章に書くことができる。    ○言語           ・慣用的表現、熟語、擬声語、擬態語、色彩語などの効果が分かる。 四、学習指導計画   (11時間扱い)   本時…………8時間目       学習活動 教師の支援  第 一 次 1、前書きから、大造じいさんの人物像と物語の背景をおさえる。                      2、全文を通読し、初発の感想を書く。                      3、話のあらすじをとらえ、キーワードをつかむ。                      4、学習課題を作り、計画を立てる。                       ・語句からイメージすることを豊かに話し合わせ物語の雰囲気に浸れるよ                         うにする。                        ・情景と大造じいさんの言動に着目することを確認する。                        ・読んだ感想を話し合わせ、違いや疑問を元に学習計画を立てれるよう                         にする。 第 二 次  5、残雪にしてやられた大造じいさんの気持ちを読み取る。                      6、またしても残雪にしてやられた大造じいさんの気持ちを読み取る。                      7、残雪との対決が大造じいさんの思惑と異なり、意外な方向へ変わっていく                        様子を読み取る。                      8、残雪に対する気持ちが感動へと変わる大造じいさんの気持ちの変化を読み                        取る。(本時) 9、飛び去っていく残雪の姿を見守る大造じいさんの心情を読み取る。                     10、主題について話し合い、読後の感想をまとめる。                        ・「たかが鳥」に関連づけて、大造じいさんの余裕を読み取れるようにす                         る。                        ・一場面の「ううむ」と比較して、二場面の「ううん」から余裕のなくな                         った大造じいさんの気持ちを読み取れるようにする。                        ・おとりを使うことや情景から大造じいさんの意気込みを読み取ったり、                         ハヤブサの出現で様子が変化したことを読み取れるようにする。                        ・「駆け付ける」「手をのばす」「ただの鳥ではない」などの語句に着目                         して、残雪の行動を見て変わった大造じいさんの心情を読み取れるよう                         にする。                        ・「見守る」という言葉や残雪への呼びかけから大造じいさんの思いを考                         えられるようにする。                       ・個々の読みを大切にしながら、話し合えるようにする。       第  三  次   11、発展読書として、他の椋鳩十の作品を読む。                        ・椋鳩十の作品を紹介し、読書の意欲付けを図る 五、本時の指導 (一)ねらい     残雪の頭領らしい姿に心を打たれ、ただの鳥ではないと思うようになった大造じいさんの心の変化を読み取る。 (二)展開