印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):92   −−以下 指導案本文−−   第 1 学 年 国 語 科 学 習 指 導 案 平成8年9月9日(月) 男12名 女12名 計24名 指導者  中村聡子 1、単元名 『サラダでげんき』(角野栄子) 2、単元について   (1)教材について   本教材は、りっちゃんのお母さんに対する愛情と、それを応援する動物たちの善意が描かれてい る作品である。いつも一緒にいる家族、とりわけ幼い子供にとって一番近い存在である母親が病気 になり、その母親のために子供ながら何かしてあげようと一生懸命考え、サラダを作る主人公「り   っちゃん」の様子や、いろいろな動物たちが「おいしいサラダ」「元気になるサラダ」を作るため   に助言をし、最高傑作のサラダができ上がる様子が繰り返し表現や擬声語などを効果的に使うこと   によって軽快に楽しく表現されている。 物語は大きく次のように分けられる。 一の場面・・・病気のお母さんを元気にしようとあれこれ「いいこと」を考えるりっちゃん。 二の場面・・・サラダを作ってあげることを思いつき、作り始めるりっちゃん。 三の場面・・・のらねこがやって来て、かつおぶしを入れることを教えてくれる。 四の場面・・・隣の犬がやって来て、ハムを入れることを教えてくれる。 五の場面・・・すずめが飛んできて、とうもろこしを入れることを教えてくれる。 六の場面・・・ありが、砂糖をちょっと入れるのがこつであることを教えてくれる。 七の場面・・・馬がにんじんを入れることを教えてくれる。 八の場面・・・白くまが電報でこんぶを入れることを教えてくれる。 九の場面・・・でき上がったと思ったところへ、アフリカ象がやって来て、サラダに油、塩、酢 を入れて混ぜてくれる。 十の場面・・・サラダができ上がり、それを食べたお母さんはたちまち元気になる。 今まで子供達は1学期までにお話の大体をつかむ学習から場面の様子を想像しながら読む学習へ と進んできた。2学期に入り、前単元『大きなかぶ』では叙述に即して場面の様子や登場人物の行   動をおさえ、話のすじを読み取る学習をし、本単元では更に豊かに読み深める(想像する)学習を   進める。第1学年の理解の目標は「粗筋をつかみながら話を聞いたり書かれている事柄の大体を理 解しながら文章を読んだりすることができるようにするとともに、易しい読み物を進んで読もうと   する態度を育てる。」である。そこで、本教材では主人公の他、ねこ、犬すずめ、あり馬・・・・   等たくさんの登場人物が様々な様子で登場し、叙述に即して場面や様子を豊かに読み深めるには適   した教材であると考える。また身近な事柄を題材にしながら夢のあるお話になっているので、読み   手も楽しいお話の世界に引き込まれ、読むことの楽しさも味わえる作品である。   (2)児童について  2学期を迎え、児童の音読の力はずいぶんついてきた。前単元「大きなかぶ」ではお話の楽しさ に引き込まれつつ、かぶをひっぱる人数がだんだん増え、そのひっぱる様子が同じような繰り返し   表現になっているため、「誰が(は)何をどうした」という基本文型の理解が定着してきた。課題 解決学習にも慣れ、一人学びでは主に音読や動作化、課題に迫るための言葉や文にサイドラインを   引くことなどに取り組んできた。 しかしながら、児童の実態としては、人前で自分を表現するのが苦手な子、集中して話を聞かず   何を聞かれているのかすぐに自分の中に入っていかない子、聞かれたことにどう答えたらよいか分   からない子も数人いる。このような子供達には、人前で自由に表現できる学級の雰囲気を作り、学   び合いの中で友達の発表を聞いてまねさせたり、言葉から、それはどんな時に使うのか考えさせた   り、体験から理解を深めるなど工夫したい。また、挿絵を有効に使い、読み取りの手がかりにした   い。    事前テストの結果では、どこが会話文でどこが地の文かは分かるが、様子を表す言葉を探すこと   がまだ難しいようであった。また、『りっちゃんの話した言葉に〜』『アフリカぞうの様子が〜』   という質問で、『りっちゃんはいいました』や『アフリカぞう』に線を引く児童も見られた。問題   文から、その言葉が書かれている箇所を探して線を引くということまではできる子供達であるので   それを手がかりに『読む』という活動を通して聞かれたことに的確に答えられる力を育てていきた   い。更に今までの学習で、気持ちを読み取るためには会話文を見ていけばよいということが身につ   いたようなので、地の文にも目を向けて読み取っていく力も育てていきたい。 (3)指導について 研究主題『意欲的に学び、確かに読み取る力を高める学習のあり方』に関わって、「つかむ」段   階で初発の感想をもとに課題を設定することにより、自分たちが授業に参加しているのだという意   識を持つであろう。この場合、いずれは課題設定を子 ◎場面ごとに様子を想像しながら、話のすじの展開を読み取ることができる。 4、教材分析表(別添) 5、指導計画(13時間扱い) 第1次    ・題名から内容を予想し、前文を通読後、初発の感想を書く。   ・・・・・・・・・(1)    ・挿絵をもとに場面分けをし、初発の感想から学習課題を作る。   ・・・・・・・・・(1)    ・新出漢字、新出かたかなの練習をする。   第2次    ・病気のお母さんのために何かしてあげようと考えるりっちゃんの様子や気持ちを読み取る。        ・・・・・・・・・(1)    ・のらねこや犬がサラダに入れるものを教える様子を音読や動作化で表現する。・・・・・・・・・(1)本時    ・すずめやありがサラダに入れるものを教える様子を音読や動作化で表現する。・・・・・・・・・(1)    ・馬や白くまがサラダに入れるものを教える様子を音読や動作化で表現する。 ・・・・・・・・・(1)    ・アフリカ象の様子や、りっちゃん、お母さんの気持ちを読み取る ・・・・・・・・・(1)   第3次    ・話のすじをまとめ、りっちゃんに手紙を書く。       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)    ・自分ならどんなサラダを作りたいか、文章に書き表す。  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)    ・お話を劇化し、登場人物の心情を理解する。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2) ・角野栄子著の作品を読む。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1) 6、本時の指導 (1)目 標     のらねこやとなりの犬の様子を手がかりに、サラダに入れるものを教える会話文を工夫して表    現する。 (2)一人学びの構想   ○一人学びの見通しの持たせ方。 前時まではりっちゃんがサラダをを作り始め、きゅうり、キャベツ、トマトをお皿にのせた場  面であることをおさえ、本時場面の展開へとつなげる。 課題解決の見通しとしては、のら猫・犬になりきって音読表現することが本時の一人学びであ    ることを確認し、そのためにのら猫や犬の様子が分かる言葉や会話文の語尾を手がかりにするこ    とを気づかせる。 ○一人学びの場における支援の方法     本時の学習場面には、のらねこととなりの犬が登場し、同じような形で話が展開していく。そ    こで、のらねこの場面で様子が分かる言葉からどのように読んでいったらよいかをみんなで話し    合い音読へ入る。のらねこの場面で言葉を手がかりに音読することを身につけた上で、犬の場面    では個々に一人学びで工夫した音読活動に取り組ませたい。 タイプ分けの観点 → 音読による一人学びができるかどうか。