印刷用紙:A4縦 1ページの行数:53 1行の文字数(半角で):108   −−以下 指導案本文−−                   第3学年 国語科学習指導案                                日 時 平成8年9月6日(金) 5校時                                学 級 3年4組 男16名 女14名 計30名                                授業者 高 橋 美恵子 1.単元名  民話のおもしろさを味わいながら   (理解−物語文)        「へらない稲束」 (東京書籍 3年上) 2.単元について   (1) 教材について     第3学年の理解の目標は、「内容の要点を押えながら話を聞いたり、内容の要点を正しく理解しながら文章    を読んだりすることができるようにするとともに、いろいろな読み物を読もうとする態度を育てる。」である    これを受けて本単元では、登場人物の行動を読み取り、その気持ちを想像するとともに、おもしろいところや    考えさせられたことについて感想をまとめ、発表することがねらいとなっている。さらに、民話のおもしろさ    を味わい、進んで他の外国民話を読もうとすることもねらっている。この教材は、主人公である二人の兄弟が    仲良く互いに助け合っていくというお話である。実際、子ども達はこの兄弟をどう受け止めるだろうか。普通、    兄弟は反発しあって、兄弟げんかをしているのではないだろうかだから、かえってチョルとトルのような兄弟    をいいなと思うはずである。相手を思いやる気持ち、自分のことよりも、相手に何かしてあげたいという気持    ちを深く読み味わってみたい。また、なめらかで美しい言葉が、民話独特の「語り」の文体で描かれているの    で、繰り返し音読することによって独特のリズムを感じ取らせるようにしたい。   (2) 児童について     子ども達は、物語教材「ニコラス、どこに行ってたの?」では、場面の移り変わりや登場人物の考え方の変    化を読み取る学習をしてきた。ほとんどの子が、登場人物の気持ちの変化を読み取ることができ、さらに、ニ    コラスになりきって「ニコラス日記」を楽しみながら書くことができた。音読は、音読カ−ドを用いて家庭学    習として位置付けているが、気持ちを込めた読みができる子は、半数に満たない。話し合い活動では、リレ−    発言やハンドサインを取り入れているので、はりきって発言する子が増えてきたが、子ども達で深め合うとい    う段階にはまだ至っていない。   (3) 指導について     本教材では、チョルとトルの兄弟が、子供から青年へ成長する過程が描かれている。その中で、二人の暮ら    しぶりや互いを思いやる兄弟愛を読み取っていくことが学習の中心となる。第一場面と第二場面では、二人の    少年時代や成長してからの様子を読み取り、二人の気持ちを想像させたい。     そして、第三場面と第四場面では、チョルとトルのしたことがそれぞれ詳しく描かれているので、それぞれ    どんなことをしたのか、それはどんな気持ちからかを考えさせ、主題である「兄弟が互いに思いやり、仲良く    助け合っていくことのすばらしさ」に迫りたい。一人ひとりを生かすために、次のような手順で課題作りをし    たい。      @場面ごとに一人ひとりが学習課題を作る。      Aそれらをグル−プごとに話し合ってよりよいものを選ぶ。      B各グル−プの学習課題をもとにして全体課題を決める。      C決まった全体課題に対して一人ひとり予想を考えてノ−トに書く。     さらに、全体課題を解決していくにあたっては、解決の視点となるような個人課題や予想を取り上げて生か    すようにしたい。また、サイドラインや書き込みなど書く活動を取り入れ、一人ひとりの読みをはっきりさせ    たい。読み取りを深める段階では、様子を表す言葉を中心に着目させ、そこからどんな気持ちが分かるか話し    合いをさせたい。そのためには、リレ−発言、ハンドサインを使い、友達の発表に付け足しをしたり、自分の    考えを発表したりしながら考えを深め合わせたい。 3.単元の目標    登場人物の気持ちや場面の様子を豊かに想像しながら読み、民話のおもしろさを味わう。 4.単元の観点別評価目標 +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ |国語への関心・意欲・態度| 表現の能力 | 理解の能力 |言語についての 知識・理解・技能 +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ |ア.初発の感想をもとに課|ア.登場人物の気持ちを|ア.場面の移り変わりを|ア.新出漢字の読み書きができ| | 題作りに挑戦しようとす| 想像しながら音読をす| とらえ、登場人物の様| る。 | | る。 | ることができる。 | 子や気持ちを読み取る| | |イ.それぞれの課題につい|イ.外国の民話を読み、| ことができる。 |イ.語句の意味をとらえ、語彙| | て意欲的に考えたり話し| 紹介文を書くことがで| |を増やすことができる。 | | 合おうとする。 | きる。 | | | +−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ 5.指導計画(12時間扱い) +−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |段 階| 目 標 | 評 価 計 画 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |1.全文を通読し、初発の感想を書くことができる。 |〇感じたことや思ったことをノ−トに書こうと| |第|つ| | する。(関ア) | | | |2.さし絵をもとに場面分けをすることができる。 |〇物語のあらすじをつかみ、場面分けをするこ| |一|か| | とができたか。 (理ア) | | | |3.感想をもとに学習課題を考えて話し合うことができ|〇学習課題を考えたり、友達と話し合おうとす| |次|む| る。 | る。 (関イ) | | | |4.それぞれの学習課題に対して自分なりの予想を立て|〇自分なりの予想を立てようとする。 | | | | ることができる。 | (関イ) | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |5.少年時代のチョルとトルの様子を読み取ることがで|〇チョルとトルの様子を読み取ることができた| |第|ふ| きる。 | か。 (理ア) | | | |6.青年に成長した二人の様子を読み取ることができる|〇父親が元気なころと、父親が死んでからの二| | |か| | 人の様子を読み取ることができたか。 | |二| | | (理ア) | | |め|7.互いに稲束を運ぶ二人の様子をとらえ、その気持ち|〇二人が稲束を運ぶ様子をとらえ、その気持ち| | | | を読み取ることができる。 (本時) | を読み取ることができたか。 (理ア) | |次|る|8.稲が減らない理由が分かったときの二人の気持ちを|〇二人がばったりと会ったときの気持ちと、け| | | | 読み取ることができる。 | んかをしているときの気持ちを読み取ること| | | | | ができたか。(理ア) | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |9.音読発表会をすることができる。 |〇音読発表会に意欲を持って参加し、工夫して| |第|ま| | 音読することができたか。 | | | | | (表ア) | | |と|10. 外国の民話を読んで感想や紹介文を書くことができ|〇進んで外国の民話を読み、紹介文をまとめる| |三| | る。 | ことができたか。 (表イ) | | |め|11. 外国の民話を紹介することができる。 |〇外国の民話を効果的に紹介することができた| | | | | か。 (表イ) | |次|る|12. 漢字・語句の練習をし、まとめのテストをすること|〇新出漢字の読み書きができたか。(言アイ)| | | | ができる。 | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+  6 本時の指導  1) 目 標 互いに稲束を運ぶトルとチョルの兄弟の様子をとらえ、互いに相手を思いやるその気持ちを読み取        ることができる。  2) 本時教材のよさ      ・「兄弟が互いに思いやり、仲良く助け合っていくことのすばらしさ」が、本教材の主題とすると、決し       て稲束が余っているわけではないのに、稲束を相手に分からないようにこっそり運び込むこの場面は、       物語の山場である。子ども達は、自分自身と比べ、この兄弟を「いいな。」「うらやましいな。」と感       じるに違いない。      ・「すくすく」「ざくざく」「とっぷりと」「ずっしりと」「そうっと」「こっそり」など様子を表す言       葉が随所にあり、イメ−ジ化が図りやすい。      ・兄と弟の行動が対比的に描かれており、おもしろみがあって分かりやすい。  3) 本時指導の工夫      ・本時は、弟思いの兄と兄思いの弟が、互いに稲束をこっそり運び込む場面である。したがって、それぞ       れがどんな様子やどんな気持ちでそうしたのかを読み取ることが学習の中心になる。さらに、偶然にも       兄も弟も同じ気持ちだったというこの民話のおもしろさにも気づくようにしたい。 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ @|サイドラインや書き込みによって一人ひとりを生かす手だて| +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+       全体課題を解決していくにあたり、解決の視点となるような個人課題や予想を取り上げて、一人ひとり      のよさを生かしたい。また、サイドラインや書き込みなど書く活動も取り入れ、一人ひとりの読みをはっ      きりさせたい。 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ A|話し合い活動によって読み取りを深める手だて| +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+       深める段階では、様子を表す言葉を中心に着目させて話し合いをさせ、一人ひとりの読みをさらに深め      合わせたい。そのためには、話し合いの仕方のル−ルを定着させ、自分の考えと友だちの考えを比較させ      るようにしたい。  4) 展 開 +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |段階| 学 習 内 容 ・ 活 動 | 子どものよさを生かす工夫 (〇:評価) |備 考| +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |つ |1.前時の学習を想起する |・おとなになっても仲のよいチョルとトルを想起す|さし絵| | | | る。 | | |か |2.本時の学習課題を把握する | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | | |む | |チョルとトルの兄弟は、どんな気持ちで相手の家に稲束を運んだのだ| | | | | |ろう。 | | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−+ | | | | |・個人の学習課題や予想にふれ、読み取りの視点と| | |(5) | | して生かすことを確認する。 | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |見 |3.課題解決の見通しを持つ | | | | |(1)見通しを持つ。 |・チョルとトルが、それぞれどんな気持ちでどんな| | |通 | | ことをしたかをサイドラインを引いたり、書き込| | | | | みをしたりして調べていくことを確認して、音読| | | | | に入る。 | | |す |(2)学習課題の音読をする。 |・指名読みとする。(P62L11〜P65L10) | | | | |〇適切な音量、速さ、会話文と地の文の変化に注意| | |(5) | | して読むことができたか。 | | | | | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |読 |4.各自が読み取る | | | | |(1)チョルとトルの様子や気持ちが分かる|・サイドラインを引いた所に、書き込みをし自分の| | |み | 部分にサイドラインを引く。 | 考えを持つ。 | | | | |・思いを書けない子には、様子を表す言葉を別な言| | |取 |(2)サイドラインを引いた所に、自分が思| 葉に置き換えるよう支援したい。 | | | | ったことや感じたことを書き込む。 |〇チョルとトルの様子が分かる部分にサイドライン| | |る | | を引くことができたか。 | | |(10)| | | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |深 |5.発表し合い、深め合う | | | | |(1)チョルがトルの家に稲束を運んだとき|・時の経過があるので、初めに取り上げる。 |紙板書| | | の様子や気持ちを読み取る。 | 「一服しながら」「日がくれて」 「明くる朝」| | | | ・「そうっと」、「しのばせて」に着目|・おひゃくしょうにとって、稲束はお金と同じくら| | |め | させて、なぜ相手に分からないように| い貴重なものであることを確認する。 | | | | 運んだのか話し合う。 |・チョルの様子から、弟を思う気持ちに気づくこと| | | | | ができるようにしたい。 | | | | |・悪いことをしているわけでもないのに、なぜか。| | | |(2)トルがチョルの家に稲束を運んだとき|・チョルと同様、トルの様子から、兄を思う気持ち| | |合 | の様子や気持ちを読み取る。 | に気づくことができるようにしたい。 | | | | ・「こっそり」に着目させて、なぜ相手| | | | | に分からないように運んだのか話し合| | | | | う。 | | | |う |(3)稲がへっていないことに気づいたのに|・「へらない稲束」という題名と関連させて、二人| | | | なぜまた稲束を運んだのか話し合う。| がどんな兄弟か考えさせたい。 | | | | | | | | |6.課題についてまとめる |〇板書をもとに、二人の気持ちについて考え学習課| | | | | 題のまとめを書くことができたか。 | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | | | | |兄も弟もたがいに相手の気持ちを思いやって稲束を運んだ。| | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | | |(20)| |・早く終わった子には、読み取った感想を書くよう| | | | | に支援する。 | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |振 |7.学習場面の音読をする |〇読み取ったことを生かして音読できたか。 | | | | |・指名読みとする。 | | |り | | | | | |8.本時の学習を振り返る |〇自分や友達のがんばりを発表できたか。 | | |返 | | | | | |・次時の予告をする。 | | | |る | | | | |(5) | | | | +−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 5)評 価 |二人の兄弟が稲束を運ぶ様子をとらえ、その気持ちを読み取ることができる。| +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+    A−二人が互いを思いやっているということを書くことができる。    B−二人がそれぞれ稲束を運んで行ったときの気持ちを書くことができる。    C−二人の様子にサイドラインを引くことができる。・文章構造図は、「岩谷堂小学校指導案C」を参照のこと