印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):82   −−以下 指導案本文−−   第2学年 国語科学習指導案 日 時 平成8年9月11日(水)公開授業2校時 児 童 2組 男子19名 女子18名 計37名 指導者 平 田 敬 子 1 単元名 気持ちを考えて読もう(教材名「お手紙」) 2 単元について (1)教材について    第2学年の「理解」に関する目標は、「事柄の順序を考えながら話を聞いたり、事   柄の順序や場面の様子の移り変わりなどに注意しながら文章を読んだりすることがで   きるようにするとともに、易しい読み物を進んで読もうとする意欲を高める。」であ る。    本単元は、「場面の様子や人物の気持ちを読み取り、心の触れ合いをとらえること ができる。」ことを主目標とする。    本教材は、かえるくんとがまくんの心の触れ合いが、ほのぼのと伝わってくる物語   であり、二人の登場人物がどこにでもいそうな身近な人物として親しみのもてる物語   である。がまくんが来るあてのない手紙を待つ悲しさは、友達を求める心であり、人   との触れ合いを望んでいる心である。かえるくんは、そのがまくんの心を知り、がま   くんに内緒でお手紙を書く。このかえるくんのお手紙によって、がまくんはすぐそば   にすばらしい親友がいたことに気づき、お手紙をもらう喜びに浸ることができる。さ   らにかえるくんは、がまくんの喜びを自分の喜びとして、ともに手紙を待つ。悲しん   でいる友達を思い、さり気ない優しさで喜ばせようとする素朴な人間愛の中に見られ る善意とほのぼのとした温かい友情が作品の主題である。    この作品は、@がまくんの悲しみと、その姿を見て心を痛めるかえるくんA大急ぎ   で家に帰って手紙を書くかえるくんと、張り切っているかたつむりくんB手紙が着く   のを心待ちにしているかえるくんと悲観的になっているがまくんCかえるくんからお   手紙のことを聞いて感激するがまくんD手紙をもらって幸せな思いに満たされるがま   くん、の五つの場面からなり、「ふたりとも、かなしい気分で、げんかんの前にこし   を下ろしていました。」から、「ふたりとも、とてもしあわせな気もちで、そこにす   わっていました。」になるまでの推移が中心に構成されている。それぞれの場面には 作者自身による挿絵も効果的に配され、読み手を引きつける。    文章表現は、全体的に簡潔でわかりやすい。一文も平均して短く、特に、大急ぎで   家に帰ったかえるくんが手紙を書く場面では、たたみかけるように、次々と動作が短   文で描かれている。また、かえるくんとがまくんの会話が中心に話が展開されていて   その中にそれぞれの人柄が表れているのも、この作品の特色である。    以上のことから、「お手紙」は人物の気持ちや場面の様子を豊かに想像しながら読 み進めていくのに適した教材であると考える。 (2)児童について    児童は2年生になって、「スイミー」や「えいっ」で場面の様子や登場人物の気持   ちを読み取ることを学習してきた。これらの学習で、話の筋のおもしろさに興味を持   ち、挿し絵と結び付けながら人物の言動に目を向けて、場面の様子を読み取ることは   できてきている。しかし、文や言葉に着目して、場面の様子や人物の気持ちを豊かに   読み取る力は十分ではなく、個人差も大きい。特に、「人物の気持ちの移り変わり、   心の触れ合い」の読み取りは、まだ断片的な理解に終わっている児童も少なくない。   本教材は、会話を中心に話が進められている。気持ちを読み取る際、会話文に着目   できる児童は大半を占めるが、言葉に着目して気持ちを読み取ることができる児童は   少数である。誰が誰に言っているのかはっきりつかめずに読んでしまう児童も数名い る。    書く活動については、視写、吹き出し、書き込みを行ってきた。書き込みは1学期   の後半に取り組み始めたため、自分で読み取った心情や様子を書き込める児童は少な   く、視写のみに終わっている児童も見られる。吹き出しに書く事については、どの子 もその人物の気持ちを考えて自分なりに書くことができてきている。    話し合いでは、自分の考えと友達の考えを比べながら聞くことができるように取り   組んできた。友達の発表を受けて、自分の考えと同じか違うかを意思表示したり、付   け加えて発表したりできるようになってきているが、まだ,根拠を明らかにしながら 話すまでには至っていない。    音読への取り組みは、1年生の時からの家庭での音読練習や音読大会を行いながら   より上手に音読し、意欲を高められるように行ってきた。口の開け方が小さく、発音   がはっきりしない児童も数名いるが、音読練習はどの児童も意欲的に取り組んでいる (3)指導について    本教材の読み取りの中心は、「ふたりともかなしい気分で・・・。」から「ふたり   ともしあわせな気もちで・・・。」に至るまでの心情の推移である。しかし、児童の   実態からするとこの推移を読み取ることは、容易なことではないと思われる。そこで   二人の会話や行動に着目して、心情を対比させながら読み進めていけばよいことを視 点として与えたい。    また、二人の気持ちの移り変わりや心の触れ合いを読み取るために「かなしい〜」 「まだ〜」「しあわせな〜」などの修飾語に着目させていきたい。   音読を工夫させて人物の気持ちを確かめたり、気持ちが表れるように役割音読を取 り入れたり、動作化等の活動を生かしていきたい。    一人読みとしては会話文を視写したり、人物に対して呼びかけや教えてあげたいこ   とを書いたり、人物の気持ちを書くなどの活動を取り入れていきたい。その際、机間   巡視をして、なかなか書けない児童や早く書き終わった児童に助言していき、学習意 欲を持続させていきたい。    学び合いでは、書いたことをもとに自分の考えをたくさん発表させたい。更に、友   達の考えを自分の考えと比べながら聞き、友達の考えの良いところに気付いていける   ように学習を進めていきたい。そのために、机間巡視の際に把握した児童の一人読み   の状況をもとに、お互いに考えを補い合えるように教師が導きながら話し合わせて、 児童の考えを深めていきたい。 3、単元の目標 (1)関心・意欲・態度    かえるくんとがまくんの気持ちや場面の様子を意欲的に読むとともに、アーノル ド=ローベルの他の作品を楽しんで読むことができる。 (2)表現    正しく視写したり、登場人物の気持ちを吹き出しに書いたり、登場人物に手紙を 書くことができるようにする。 (3)理解    場面の様子を想像しながら、人物の気持ちの移り変わりや心のふれあいを読み取 ることができるようにする。 (4)言語事項    かぎの使い方を理解し、主述、修飾・被修飾の関係に注意して読み書きできるよ うにする。 4 指導計画(15時間扱い) 第1次 全文を読んで感想をまとめるための読み・・・・・・・・・・・・4時間   ・全文を通読して感想を書き、発表し合う。 (1)   ・新出漢字、読み替え漢字の学習をする。 (1)   ・場面分けをし、小見出しをつける。 (1)   ・学習計画を立てる。 (1) 第2次 課題を追求するための読み・・・・・・・・・・・・・・・・・・7時間 ・がまくんの悲しみと、その姿を見て心を痛めるかえるくんの様子や気持 ちを読み取る。 (1) ・大急ぎで家に帰って手紙を書くかえるくんと、はりきっているかたつむ りくんの様子を読み取る。 (1) ・手紙が着くのを心待ちにしているかえるくんと、悲観的になっているが まくんの気持ちを読み取る。 (1) ・あきらめの気持ちを強めるがまくんをなんとか励まそうとするかえるく んの気持ちを読み取る。 (1)   ・かえるくんとがまくんが幸せな気持ちになっていく様子を読み取る。 (1)本時 ・四日間、幸せな気持ちで待ち続ける二人の様子や、お手紙を手にしたが まくんの喜びを想像する。 (1)   ・がまくんになってかえるくんに返事を書く。 (1) 第3次 まとめのための読み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2時間   ・心に残ったところを中心に感想を書く。 (1)   ・音読発表会をする。 (1) 第4次 練習と評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間   ・指示語や語句、漢字の正しい使い方を学習する。 (1) 第5次 読書へ発展・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間   ・アーノルド=ローベルのほかの作品を読み、本の紹介をする。 (1) 5、本時の指導 (1)目標    かえるくんからお手紙のことを聞き感激するがまくんの気持ちと、幸せな二人の 姿を読み取ることができるようにする。 (2)展開 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | 学 習 活 動 ○主発問 | 教 師 の 支 援 ☆評 価 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |1、前時の学習を想起する。 |・挿絵を見ながら、短時間で二人の気持ち| | | ○ベットでお昼寝をしていたがま| の違いをつかませたい。 | |導| くんは、どんな気持ちでいました| | | | か。 | | | | ○かえるくんはどんな気持ちでい| | | | ましたか。 | | | |2、学習課題を確認する。 | | | |+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| |入|| ふたりとも、とてもしあわせな気もちになったのは、どうしてだろうか。|| | |+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |☆本時の学習課題をつかむことができたか| +−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |3、本時の学習場面を音読する。 |・指名読み。 | | | ○ふたりの会話文に注意しながら|・口形や声の大きさに気をつけて、はっき| | | 気持ちを考えて読みましょう。 | り音読させる。 | | | |☆口を大きく開けて、はっきり音読するこ| | | | とができたか。 | | |4、手紙を書いたことを打ち明ける|・会話文を手がかりに考えさせたい。 | | | かえるくんと、「きみが。」と言| | | | ったがまくんの気持ちを読み取る| | | | ○かえるくんはどうして、「ぼく|・ふてくされているがまくんを見て、打ち| |展| がきみにお手紙出したんだもの。| 明けずにはいられなくなったかえるくん| | | と言ってしまったのでしょう。 | の心情を読み取らせたい。 | | | ○「きみが。」という言葉を、が| | | | まくんはどんな気持ちで言ったの| | | | でしょう。 | | | |5、かえるくんが書いた手紙文の読|・「親愛なる」「親友」の言葉の意味をし| | | み取りをする。 | っかり理解させたい。また、大好きな友| | | ○かえるくんは、どんな気持ちで| 達を思いやるかえるくんの優しい気持ち| | | 手紙を書いたのでしょう。 | をつかませたい。 | | | | | | | | | | |6、手紙の内容を知り感激するがま|・二人の気持ちを吹き出しに書かせる。 | | | くんと、それを見て自分も友情が| | | | 深まったと思うかえるくんの気持| | | | ちを吹き出しに書く。(一人読み) | | | | ○「ああ。」や、「とてもいいお|・驚きから感激へと変わっていくがまくん| | | 手紙だ。」と言ったがまくんと、| の気持ちをつかませたい。 | | | 喜んでいるがまくんを見て、かえ| | | | るくんはどんな気持ちになったの|☆自分なりの考えを、吹き出しに書くこと| |開| でしょう。 | ができたか。 | | |7、かえるくんからお手紙をだした|・吹き出しに書かせたことを発表させ、 | | | ことを聞いて喜ぶがまくんと、ふ| 互いに思いやる気持ちや心の通い合いに| | | たりともとても幸せな気もちにな| 気付かせることによって、ふたりがとて| | | ったわけを話し合う。(学び合い)| もしあわせな気もちになっていったこと| | | ○かえるくんとがまくんが、とて| をおさえさせたい。 | | | もしあわせな気もちになったのは|☆自分の考えをもとに話し合うことができ| | | どうしてでしょう。 | たか。 | | |8、学習のまとめをする。 |・がまくんは、かえるくんの優しさを感じ| | | ○ふたりともとてもしあわせにな| て幸せになり、かえるくんは、がまくん| | | ったわけをまとめましょう。 | の喜ぶ姿を見て幸せになったことをまと| | | | めさせたい。 | | | |・課題と照らし合わせて書くようにさせた| | | | い。 | | | |☆課題に対するまとめを、自分なりの言葉| | | | で書くことができたか。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |9、まとめの音読をする。 |・かえるくん、がまくんの気持ちが分かる| |終| | ように、役割り読みをさせたい。 | | | |・「ああ。」や「とてもいいお手紙だ。」| | | | に特に注意させたい。 | | | |☆かえるくんとがまくんの気持ちが分かる| |末| | ように音読することができたか。 | | |10、次時の予告をする。 |・次時の学習内容を確かめ、意欲付けをす| | | | る。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+