印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):86   −−以下 指導案本文−−          第3学年国語科学習指導案                 日 時  平成8年9月11日(水)公開授業1校時                 児 童  2組 男子19名 女子17名 計36名                 授業者  新 山  順 1、単元名 場面の様子に気をつけて(教材名「ちいちゃんのかげおくり」) 2、単元について  (1)教材について     第3学年の「理解」に関する目標は、「内容の要点を押さえながら話を聞いたり、    内容の要点を正しく理解しながら文章を読んだりすることができるようにするとと    もに、いろいろな読み物を読もうとする態度を育てる」である。     本単元の主たる指導事項は、「文章の叙述に即して内容を正しく読み取ること」    「人物の性格や場面の情景を想像しながら読むこと」である。大事な語句や文に着    目しながら事柄の意味内容を読み取り、人物の性格や場面の情景を想像しながら内    容を読み深めていくことを主なねらいとしている。     本教材は、空襲によって一人取り残されたちいちゃんが、家族をしのびながらか    げおくりをする哀しい姿を通して、温かな家族の絆の尊さを描いた物語である。こ    の物語は、@家族とかげおくりを楽しむちいちゃん Aお母さんとはぐれてしまう    ちいちゃん B防空壕でお母さんを待ち続けるちいちゃん C空に迎えられるちい    ちゃん D平和になったちいちゃんの町 の五場面で構成されている。@からBの    場面は、空襲によって一人取り残されたちいちゃんが、母と兄の帰りをひたすら防    空壕で待ち続ける姿を通して、ちいちゃんの家族の絆の強さが描かれている。さら    にCのかげおくりの場面は@の場面と、Dの平和になったちいちゃんの町で遊ぶ子    どもたちの様子は、それまでのちいちゃんの様子と対比されて描かれており、家族    が一緒に暮らすことのできる幸せや家族の絆の尊さが感じ取れるような構成となっ    ている。     主人公ちいちゃんの気持ちに十分共感させながら、ちいちゃんの言動や各場面の    様子を表す語句に着目し心情を読み取る学習を通して、家族の絆や平和の尊さとい    う主題について考えを深めていくことができる教材である。  (2)児童について     児童はこれまで、「森に生きる」の学習を通し、一年間の学習のめあてを理解し、    国語学習への興味や関心を持てるようになった。また、「つり橋わたれ」の学習を    通して、空想的、幻想的な作品を楽しみながら、いろいろな出来事に出会って揺れ    動く主人公の気持ちを、他の登場人物と関連づけて読むことができるようになって    きた。さらに、「三年とうげ」では、登場人物の心の動きや場面の情景を豊かに想    像しながら音読することを学習した。     この中で特に、「つり橋わたれ」では、主人公の心情や言動を表した文、場面の    情景を表した文をもとにして、主人公の気持ちを想像することを中心に学習してき    た。具体的には、サイドライン・視写・書き込みなどの書く活動を取り上げて行っ    た。その結果、児童はヒントとなる文に着目して自分の考えを書き込み、進んで発    表しようとする態度が育ってきている。しかし、文の中の言葉(キ−ワ−ド)に着    目し、イメ−ジを広げて書くことのできる児童はまだ少ない。また、互いの発言を    聞き合おうとする態度は育ってきているが、他の児童の考えを自分の考えに取り入    れ、学習のまとめのできる児童はまだ少ないのが現状である。  (3)指導について     この作品は、戦争の悲惨さを直接に生々しく訴えた作品ではないが、戦争の意味    も知らない、全く戦争に責任のない子ども(ちいちゃん)や家族の命だけでなく、    平和で幸せな未来までも奪い去ったという意味で、戦争の残酷さや非人間的な本質    を読み取ることのできる作品である。家族の絆の大切さや、それを根こそぎ破壊し    てしまう戦争の残酷さを十分に感じ取らせるとともに、今の平和な生活の尊さ認識    させていきたい。     児童はこの作品を読みながら、「ちいちゃん」と一緒に「かげおくり」をしたり、    お母さんとはぐれた「ちいちゃん」の姿に涙したり、まさに「ちいちゃん」に自分    を重ね合わせて読み進めることができるであろう。生き生きと描写された人物の言    動、場面の様子との関連のもとに、「ちいちゃん」の気持ちを中心に登場人物の心    情を豊かに想像させたい。ただ、戦争という時代背景や、児童にとって理解が困難    な語句については、必要最小限に説明を与えていきたい。     また、この作品を読んでいくうちに、児童は「かげおくり」について自然に関心    を持ち、どんな遊びなのかやってみようとすることが予想される。そのような児童    の興味を大切にしながら、「ちいちゃん」が家族みんなでやった「かげおくり」と、    「ちいちゃん」一人でやった「かげおくり」との共通点や相違点に気づかせ、視写    や音読をさせたりしながら、人物への感想を引き出したい。     音読に関しては、「ました」で淡々と重ねていく過去形の文末表現のなかに時お    り用いられる、「〜しています」という現在形の表現が、読者の視点を「ちいちゃ    ん」の視点と重ね合わせる効果を生み出していることに気づかせ、表現に生かして    いけるようにしたい。一人読みの段階では、できるだけ叙述に即して重要な語句や    文にサイドラインを引かせたり、視写・書き込みをさせたりしながら、語句や文の    持つ意味に気付かせていきたい。学び合いの段階では、一人一人の考えを交流し合    いながら、多様な考えのあることに気付き、叙述にそったより深まった考えに高め    ていけるよう支援していきたい。学習のまとめとしては、心に残った場面や、そこ    から感じたこと、自分と比べてみたことなど、いくつかの観点を示して手紙文を書    かせたい。     そして、ここでの学習を「感想を大切にモチモチの木」の学習へと発展させてい    きたい。 3、単元の目標  (1)関心・意欲・態度   ・ 各場面におけるちいちゃんの気持ちに関心を持ちながら読み、意欲的に主題につ    いて考えようとすると共に、あまんきみこの他の作品を進んで読もうとする態度を    育てる。  (2)表現   ・ ちいちゃんの運命について一人一人が自分の感想を持ち、表現することができる    ようにする。  (3)理解   ・ 場面の移り変わりを押さえながら、会話文に気をつけて読み、情景や人物の気持    ち豊かに想像することができるようにする。  (4)言語事項   ・ 同じ行動を表すにもいろいろな言い表し方があることを理解し、自分の表現に使    うことができるようにする。 4、指導計画(13時間扱い) 第1次 全文を読んで感想をまとめるための読み−−−−−−−−−−− 2時間      ・全文を読んで感想をまとめる。              (1)      ・場面わけをし、小見出しをつけ、学習計画を立てる。    (1) 第2次 課題を追及するための読み−−−−−−−−−−−−−−−−− 7時間      ・家族とかげおくりを楽しむちいちゃんの気持ちを読み取る。 (2)      ・お母さんとはぐれてしまうちいちゃんの気持ちを読み取る。 (1)      ・防空壕でお母さんを待ち続けるちいちゃんの気持ちを読み取る。(1)      ・死の間際で家族の幻影を見て、空に迎えられるちいちゃんの気       持ちをよみとる。                    (2)本時(前半)      ・平和になったちいちゃんの町の様子を読み取る。      (1) 第3次 まとめのための読み−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2時間      ・学習を振り返り、感想をまとめる。            (1)      ・登場人物の気持ちや情景が表れるよう、音読の工夫をする。 (1) 第4次 練習と評価−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1時間      ・作品の優れた表現、新出漢字等について学習する。     (1) 第5次 読書へ発展−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1時間      ・他の作品を読み、感想を発表し合う。           (1) 5、本時の指導  (1)目標     ひとりぼっちでかげおくりをするちいちゃんの様子から、家族と一緒にいたいと    いうちいちゃんのつよい願いを読み取ることができる。  (2)展開 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | 学 習 活 動 ○主発問 | 教 師 の 支 援 ☆評価 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |1、前時の学習を想起する。 |・家族に会いたい一心で防空ごうで過 | | | | ごすちいちゃんの気持ちを想起させ | | | | たい。 | |導|2、学習課題を把握する。 | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | | | | 家族のかげにむかってよんだ、ちいちゃんの気持ちを考えよう。| | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | |入|3、学習方法を確認する。 |・ちいちゃんの言動や気持ち表す文や | | | |語句に注目して考えていくことを確認 | | | |したい。 | | | |☆学習課題をとらえ、読みの見通しを | | | |持つことができたか。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |4、本時の学習場面を音読する。 |・指名読み(3名)をし、音読を通し | | | (P15L9〜P17L13) |て読みの見通しを持たせる。 | | | |・学習内容がわかるように正しくはっ | | | |きりと読ませたい。 | | | |☆正しくはっきり音読できたか。 | | |5、ちいちゃんの体が衰弱していること |・「暑いような寒いような」や、「ひ | | | を読み取る。 |どくのどがかわいて」などからちいち | | | ○ちいちゃんの体が弱っていることが |ゃんの体が衰弱していることを読み取 | | | どの表現からわかるだろう。 |らせたい。 | |展| |☆ちいちゃんのからだが衰弱している | | | |ことを読み取れたか。 | | |6、ちいちゃんの家族に会いたいという |・「青い空に〜お兄ちゃん」までを視 | | | 願いを読み取る。〈一人読み〉 |写し、その時のちいちゃんの気持ちを | | | ○ちいちゃんが、白いかげに向かって |一人一人に考えさせたい。 | |開| 呼んだときの気持ちを考えて、ノ−ト |☆正しく視写し、自分の考えを書き込 | | | に書き込もう。 |むことができたか。 | | |7、ちいちゃんの家族に会いたいという |・家族と会いたいという強い願いから | | | 願いについて話し合う。〈学び合い〉 |ちいちゃんが幻影を見ていることを読 | | | ○書き込んだ自分の考えをもとに、ち |み取らせたい。 | | | いちゃんの気持ちを話し合おう。 |☆ちいちゃんの家族と会いたいという | | | |強い気持ちに気づけたか。 | | |8、ちいちゃんの家族と会いたいという |☆学習を振り返り、ちいちゃんの家族 | | | 気持ちをまとめる。 |と会いたいという強い気持ちをノ−ト | | | |にまとめることができたか。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |9、まとめの音読をする。 |・読み取ったちいちゃんの気持ちが表 | |終| |れるように音読させたい。(3名) | | | |☆ちいちゃんの家族と会いたいという | |末| |願いが表れるように音読できたか。 | | |10、次時の予告をする。 |・次時の学習内容を確認する。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+