印刷用紙:A4縦 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):82   −−以下 指導案本文−−   第4学年国語科学習指導案                    日時 平成8年9月11日(水)公開授業2校時                    児童 2組  男子17名 女子17名   計34名                    授業者 菊地 一隆 1.単元名 場面をくらべて (教材名「一つの花」) 2.単元について (1)教材について    第4学年の「理解」に関する目標は、「内容の要点や中心点を正確に押さえながら話を聞   いたり、段落相互の関係を考えて中心点を正確に把握しながら文章を読んだりすることがで   きるようにするとともに、読書の範囲を広げるようにする。」である。    本単元の主たる指導事項は、「文章の叙述に即して内容を正しく読み取ること」「人物の   気持ちの変化や場面の移り変わりを想像しながら読むこと」である。これらを受けて、文章   の細部に気をつけながら、事柄の意味、場面の様子、人物の気持ちの変化などを叙述に即し   て読むことをねらいとした。    本教材は、戦争中から戦争後にかけての時代が大きく移り変わる中で、社会の様子と、懸   命に生きる、ゆみ子の家族の姿とが交互に描かれている物語である。この物語は、@「一つ   だけちょうだい。」という言葉を最初に覚えたゆみ子 Aゆみ子の将来を心配する両親 B   最後のひとときを過ごす家族 C一輪のコスモスをゆみ子に渡す父 D十年後、ささやかな   生活を送るゆみ子と母 の5つの場面より構成されている。    戦争という状況の中で生きる、父・母・娘の三人の気持ちを考えさせながら、一人一人の   心情の変化を読み取る学習を通して、「平和の尊さ、悲しみを乗り越えて生き続ける人間の   強さや美しさ」という主題について、考えを深めていくことができる教材である。 (2)児童について    子どもたちは、これまで「ガオーッ」や「白いぼうし」の物語教材の学習を行なってきた。   4年生になってから初めての教材「ガオーッ」では、登場人物の気持ちを考えながら、読む   楽しさを、音読を重視しながら行なった。そして、相手を思いやる気持ちの大切さについて   も触れた。また「白いぼうし」では、登場人物の気持ちや場面の様子の描写に気をつけなが   らの読み取りを行なった。子どもたちの主な活動は、音読・サイドライン・視写・書き込み   であった。これらの活動を通しての成果としては、ほとんどの子が、粗筋や学習課題に対す   る重要部分を見つけられるようになったことが挙げられる。しかしながら、情景を表す言葉   に着目したり、叙述に即したりといった、表現の細部にまで気付く子は少ない。そのため、   表面的な読みで終わってしまい、読みの深まりが不十分である。    このような状況を踏まえ、これからの学習では、自分の考えを、根拠を明らかにして話す   力や、みんなの考えを聞きながら、自分の考えと比べたりするための聞く力をよりよい方向   へ仕向けていきたいと考えている。 (3)指導について    指導にあたっては、戦争という暗く悲惨な状況の中で、父母のゆみ子の幸せを願う、やり   きれない思いと、父母の愛情に包まれながら、明るくけなげに育ってゆく、ゆみ子の姿の読   み取りを中心に進めていきたい。    子どもたちは、3年生の時、「ちいちゃんのかげおくり」という物語教材を通して、ある   程度、戦争というものを意識できたように思うが、まだ、表面的な共感しか味わうことが出   来ていなかったように感じる。それは多分、現在の子どもたちが、平和で物の豊かな時代の   中で成長したためであると考えられる。そのため、戦争の中にある、非人間的なものや戦争   のもたらす様々な苦痛、物質的な窮乏などを、なかなか実感しにくい。けれども、昨年より   も様々な経験を積んできた子どもたちにとって、「一つの花」のような戦争中と戦争後のあ   まり時間のたっていない時期とを比較的に描いた作品に触れながら、人間としての在り方や   生き方などを考えさせることはよいことであろう。そこで、一人読みの段階では、叙述に即   した読みをしながら、登場人物の言動から心情を考えていくだけでなく、周りの情景からも   心情を考えていきたい。また、学び合いの段階では、自分の考えとみんなの考えを比べ、子   どもたち一人一人の考えを深めさせるとともに、戦争というイメージを更に広げ、戦争の悲   惨さ、平和の大切さということについての深まりを大切にしていきたい。 3.単元の目標 (1)関心・意欲・態度     各場面において、登場人物の気持ちに関心を持ちながら読み進めるとともに、意欲的に    自分の考えを表現しようとする。 (2)表現     人物の行動や場面の状況などから、自分の感想を更に深め、考えを明確にしながら、文    章をまとめることができるようにする。 (3)理解     戦争中と戦争後の様子が書かれている場面を比べながら、平和の大切さやゆみ子と家族    一人一人の気持ちを読み取ることができるようにする。 (4)言語     語句の意味を理解し、文章表現、指示語、接続語、ダッシュなどの働きについての理解    を深めることができるようにする。 4.指導計画(13時間扱い) 第1次 全文を読んで、学習計画を立てる。・・・・・・・・・・・・・・・・4時間    ・全文を読んで、粗筋をとらえ、感想をまとめる。          (1)    ・新出漢字・難語句を調べる。                   (1)    ・個々の学習課題づくりをする。                  (1)    ・個々の学習課題から、共通の学習課題を決め、学習計画を立てる。  (1) 第2次 場面ごとの学習課題の解決を図る。・・・・・・・・・・・・・・・・6時間    ・「一つだけちょうだい。」というゆみ子を取り巻く状況について読み取る。                                     (2)    ・ゆみ子をめちゃくちゃに高い高いする、父の心情を読み取る。    (1)    ・戦争に行く父と、夫を見送る母の心情を、戦争に行く日の情景から読み取る。                                     (1)    ・父親が、ゆみ子に渡した、一輪のコスモスの花に託した思いを読み取る。 (1)本時    ・戦争中と戦争後十年の暮らしを比べて読み、ゆみ子と母の心情を読み取る。                                     (1) 第3次 まとめをする。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2時間    ・学習を振り返り、感想をまとめる。                (1)    ・登場人物の気持ちや情景が表現できるように音読する。       (1) 第4次 発展する。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間    ・同一作者の関連作品を読み、感想を話し合う。           (1) 5.本時の指導 (1)本時の目標     ゆみ子に、明るく強く生きていってほしいとの願いを、一輪のコスモスに託した、    お父さんの気持ちを読み取ることができるようにする。 (2)本時の展開 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |段階 学習活動 ○主発問 | 教師の支援 ☆評価 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |1.前時の学習を想起する。 |・家族で、最後のひとときを過ごす、三人| | | | の様子について想起する。 | | |2.学習課題を把握する。 | | |導| +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | |お父さんは、どんな思いで、ゆみ子に一輪のコスモスをわたしたのだろう。| | | +−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+| |入|3.学習方法を確認する。 |・お父さんの言動を表す文や語句に着目し| | | | て、考えていくことを確認する。 | | | |☆学習課題をとらえ、読みの見通しを持つ| | | | ことができたか。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |4.本時の学習場面を音読する。 |・サイドラインを引きながら黙読させ、重| | | (P.12L5〜P.15L2) | 要文や重要語句を自分なりにおさえる。| | | |・一文読みで、学習内容が分かるように、| 正しく音読する。 ☆正しくはっきり音読できたか。 | |5.ゆみ子の口ぐせである、「一つ|・ゆみ子を泣かせまいとする父とゆみ子を| | | だけちょうだい。」が始まった| 一生懸命なだめている母の様子や気持ち| | | ときの両親の様子や気持ちを読| をおさえる。 | | | み取る。 |☆お父さんやお母さんの様子や気持ちを読| | | ○ゆみ子の口ぐせである、「一つ| み取ることができたか。 | | | だけちょうだい。」が始まった| | | | とき、お父さんやお母さんは、| | |展| どんな気持ちだったのだろう。| | | |6.ゆみ子に、一輪のコスモスを手|・「ゆみ。さあ、一つだけあげよう。一つ| | | 渡す、お父さんの気持ちについ| だけのお花、大事にするんだよう。」を| | | て読み取る。 <一人読み>| 視写し、ゆみ子に対するお父さんの気持| | | ○お父さんは、どんな気持ちで、| ちを考えさせる。 | | | ゆみ子に一輪のコスモスをあげ|☆正しく視写し、自分なりの考えを書き込| |開| たのだろう。 | むことができたか。 | | |7.ゆみ子に、一輪のコスモスを手|・ゆみ子に明るく、そして力強く生きてい| | | 渡す、お父さんの気持ちについ| ってほしいと心から願い、一輪のコスモ| | | て話し合う。 <学び合い>| スに自分の思いを託した、お父さんの気| | | ○書き込んだことをもとに、お父| 持ちを読み取らせたい。 | | | さんの気持ちについて話し合っ|☆自分の考えをもとに話し合うことができ| | | てみよう。 | たか。 | | |8.お父さんの気持ちをまとめる。|☆学習を振り返り、お父さんの気持ちをノ| | | | ートにまとめることができたか。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |9.まとめの音読をする。 |・形式段落読みで、お父さんの気持ちが表| |終| | れるように、音読する。 | | | |☆お父さんの気持ちが表れるように音読で| |末| | きたか。 | | |10.次時の予告をする。 |・次時の学習内容を確認する。 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+