印刷用紙:B4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):102   −−以下 指導案本文−−   第一学年国語科学習指導案                             児 童 一年一組 男十三名 女九名 計二十二名 指導者 石 橋 す み 子 一、教材名 「大きなかぶ」 二、教材について   本教材は、老農夫「おじいさん」が「あまいあまいおおきなおおきなかぶになれ」と蒔いたかぶの種が、願い通  りあまいおおきなかぶに育ち、収穫するという話である。一人や二人でもかぶは抜けず、みんなで協力しながら抜  いたことにより「収穫の喜び」「協力の大切さ」と小さなねずみの力が加わることにより抜けたことから「小さな  者の力の大切さ」を教えてくれる作品である。   本教材は、九つの場面から構成されている。一の場面で、おじいさんは「甘くておおきなかぶになれ」と言いな  がらかぶの種をまく。これは、単なる呼びかけではなく、農民の豊かな収穫を願う期待の言葉であり祈りでもある。  二から七の場面では、とてつもなく大きく育ったかぶを抜くために、協力者が一人ずつ加わっていく。その行為の  繰り返しとともに言葉の繰り返しの楽しさを味わいながら、協力して一つのことを成し遂げるすばらしさを感ずる  ことができる。八、九の場面では、どうしても抜けなかったかぶが、小さな小さなねずみが協力者となることによ  り、とうとう抜けたといううれしい結末を迎える。情景描写や心理描写もほとんどなく行動の描写だけで展開して  いく単純な作品であるが、子供たちを引きつけて離さない楽しい作品である。 三、学習指導目標 (一)関心・意欲・態度     小さな者の力を大切にしながら協力しあって大きなかぶを抜くことができた喜びを感じ取り、お話を楽 しんで読もうとする。 (二)表現    ・ 場面の様子を思い浮かべ、リズム感や繰り返しのおもしろさに気付き、語や文のまとまりを考えて正し い発音ではっきりと音読することができる。 ・ 尋ねられたことに答えたり、登場人物の気持ちや場面の様子を想像して進んで話すことができる。 ・ 場面ごとに変化する言葉の使い方に注意して、視写・聴写をすることができる。 (三)理解 ・文章や挿絵から、大きなかぶを収穫するまでのみんなの気持ちや様子を想像し、協力することのすばらし さを読み取ることができる。 ・ 話し手を見て、話の内容の大体を聞き取ることができる。 (四)言語事項 ・口形・声の大きさに気を付けて、はっきりと発音することができる。 ・漢字に興味を持ち、正しく読んだり書いたりすることができる。 四、音声言語指導 (一)児童の実態     子供たちは、「はなのみち」「おむすびころりん」などで挿絵や言葉を手がかりにして登場人物の行動 気持ち、場面の様子を想像して話したり、音読したりして読み進める学習をしてきた。その結果、約半数 の子供たちは、言葉に対する感覚も鋭くなり、それをもとに想像したことを進んで話すことができるよう になってきた。尋ねられたことに的確に答えたり、語尾までしっかり話すことができる子供は、六割程度 である。しかし、順序を考えて話すことのできる子供は、少数である。声の大きさや口形に気を付け、語 や文のまとまりを考え、一語一語正しい発音ではっきり音読したりすることのできる子供は、四割程度で ある。また、話し手を見て聞くことができ、話の内容の大体を聞き取ることのできる子供は、半数程度で ある。 (二)教材の特性     本教材には、次のような特性がある。    一つ目は、単純明快な展開になっているということである。長文ではあるが、起・承・転・結が明確で子供たち   には、あらましがとらえやすく大きな一つの文章として読み取ることができるようになっている。    二つ目は、行為のおもしろさと一体となって、何回も繰り返される言葉のおもしろさがあげられる。しかもこの   繰り返しの中には、小さく意外な協力者が加わるなどの小さな変化が組まれている。繰り返すものと変化するもの   に気付かせていくことが、本教材のもつおもしろさを読むことにつながっていくととらえる。   三つ目は、五音・七音という言葉のリズムが繰り返しの多い内容にぴったりとあっていることである。敬体の基   本文型、掛け声、そして「とうとう」に至る表現は、詩のリフレインと同じ効果をもたらしている。    四つ目は、読み取りを助け、子供たちが豊かにイメージ化できるような効果的な挿絵が使用されていることであ   る。登場人物の様子、表情、かぶの様子や大きさなど豊かに描かれている。    以上のような特性をもつ本教材は、楽しく音読したり、場面の様子や登場人物の気持ちを想像して進んで話した   り、劇化したりと多様な音声言語活動を取り入れて学習することに適した教材である。 (三)音声言語活動 ア、聞く・話す活動    話し手をしっかりと見て聞き、その内容を受けて、自分の考えも話すという活動を常に取り入れながら、子供た   ちの聞く力を育てていきたい。かぶを引っ張っているみんなの気持ちを話し合う場では、相手の話を最後まで聞く   ことや友達の話した内容の大体を聞き取ることを指導していく。   かぶを引っ張るみんなの気持ちを進んで発表できるために、一人学びで音読をし、かぶが抜けた時の喜びを進ん   で話すために対話で一人学びをし、自分の考えを持たせていく。また、音読に生かすための話し合いや読み取りの   ための話し合いでは、尋ねられたことに的確に答えていくことを聞く活動と関連させながら、指導していきたい。   口形や大きさに気を付け、みんなに聞こえる声で話す指導もしていく。   ねずみも加えて、かぶを引っ張る時のみんなの気持ちに合わせ、声の大きさを工夫しながら掛け声を音読させたい。    また、最後の一文の音読では、二から七の場面の学習を振り返らせ、「間」に気を付けながら音読させたい。 イ、聞く・話す活動と「楽しさ」との関わり   ・かぶを引っ張るおじいさんの気持ちに合わせて音読し、それを表現する楽しさを味わわせたい (自分を表す楽し    さ)   ・自分が話したり音読したりしたことを認めてもらう楽しさを感じ取らせたい (自分を認めてもらう楽しさ) 五、学習指導計画(十時間扱い) +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |段階 時 学 習 活 動 | 指 導 内 容 (−− は音声言語活動 ) 評価 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |す| |○全文を通読し、初発の感想を発|○全文の範読を聞き、初発の感想+−−+|○初発の感想を| |お|2| 表し、学習計画をたてる。 | を発表したり、対話形式であら| ||発表したり、話| |と| | | ましをとらえ読みの見通しをも| ||の大体を捉える| |み| | | つ。 +−−+|ことができたか| +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | | |○場面毎に詳しく読む。 |○各場面の様子や登場人物の気持 +−+|○おじいさんの| | | | 1かぶの種をまき、願い通りに| ちを想像したり、読み取ったり | ||願いやそれがか| |る| | あまい大きなかぶに育ったの| する。 | ||なった時のおじ| | |1| を見た時のおじいさんの喜び|・主述の関係を押さえ、おじいさ | ||いさんの喜びを| | | | を読み取る。 | んの願いや喜びを読み取る。 | ||読み取ることが| | | | | | ||できたか。 | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−| 読 +−−−−−−−+ | | | 2かぶを抜こうとするおじいさ|○掛け声や挿絵からかぶを引っ張 | ||○かぶを抜こう| | | | んとおばあさんの様子や抜け| る様子や気持ちを想像し、動作 | ||とする様子や気| | |1| なくて困っている二人の気持| 化したり、音読したりする。 | ||持ちを想像でき| | | | ちを読み取る。 | | ||たか。 | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−− い |+−−−−−−−+ |め| | 3まごや犬を加わえてかぶを抜|○まごや犬までも呼んできたおじ 合音 |○みんなの願い| | |1| こうとするみんなの様子や抜| いさんたちの願いを想像し、副 し ||や落胆の気持ち| | | | けなかった時の気持ちを言葉| 詞の用法を考えながら落胆の気 話 ||を読み取ること| | | | や挿絵を手がかりにして読み| 持ちを考え、ふきだしに書く。 の ||ができたか。 | | | | 取る。 | て・ | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−− け |+−−−−−−−+ | | | 4ねこを加わえて、かぶを抜こ|○ねこも呼んできてぬこうとした 受化 |○会話を補いな| |か|1| うとするみんなの気持ちや抜| みんなの様子や抜けなかった時 を ||がら、落胆の気| | | | けなかった時の気持ちや様子| の様子を想像し、寸劇に表し落 体 ||持ちを読み取れ| | | | を読み取る。 | 胆の気持ちを読み取る。 大 ||たか。 | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−− の劇 +−−−−−−−+ | | | 5ねずみも加わりかぶが抜けた|○音読や対話・話し合いを通して 話 ||○収穫の喜びや| | |1| 喜びを音読などを通して読み| 収穫の喜びを読み取る。 | ||協力・小さな力| | | | 取る。 | | ||の大切さを読み| |ふ|時| | | 寸 |取ることができ| | |本| | +−+|たか。 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |る| |○学習のまとめをする。 |○これまでの学習をもとに全体の +−+|○色々な発表を| | | | ・これまでの学習を生かしなが| まとめをする。 化表 |交流しあい協力| |め| | ら、グループで劇化など自分| ・全文を通して、これまでの学 | 発 |・小さな力の大| | |3| 達の好きな方法で練習し発表| 習を再構成し、劇などの方法 | 想 |切さなどを読み| |と| | 会をする。 | で発表会をし交流し遭う。 劇感 |取ることができ| | | | | ・漢字や言葉の使い方を理解す +−+|たか。言葉の理| |ま| | ・言葉の学習をする。 | ること。 |解ができたか。| | | | | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ 六、本時の学習指導(「ふかめる」段階の五時間目) 一 目標 ◎ねずみも加わえ、力を合わせてかぶを抜いた時のみんなの喜びを読み取ることができる。 ○声の大きさや口形に気を付けながら進んで話したり、音読したりすることができる。 二 展開 +−+−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |段階 学 習 活 動(・主発問) 時間 教師の関わり(●音声言語活動主たる音声言語指導) 評 価 | +−+−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | |一、前時を想起する。 | |○かぶが抜けなかった時のみんなの落胆の気持ち| | | | かぶが抜けなかった時のみ| | と再挑戦の気持ちを想起させて、本時のめあて| | |す| んなの気持ちを思い出そう| | につなげたい。 | | | |二、本時学習のめあてを把握| | | | |お| し、学習の見通しを持つ| |○本時学習のめあてをとらえさせ、読みの見通し| | | |+−−−−−−−−−−−+|5| を持たせる。 | | |と||ねずみもはいって、かぶ|| |・教科書には、みんなの言葉は書かれていないが| | | ||がぬけたとき、みんなは|| | かぶを引っ張る様子や気持ちを考えながら学習| | |み||なんといったでしょう。|| | していくことをとらえさせる。 | | | |+−−−−−−−−−−−+| | | | +−+−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ |る|三、本時学習場面を音読する|5|○口形に気を付け、はっきり音読させる。 | | | | | | | | | |四、力を合わせてかぶを引っ| |○ねずみも加わり力を合わせてかぶを抜こうとし| | | | 張るみんなの様子や気持ち| | ている様子や気持ちを挿絵や文から読み取らせ| | | | を読み取る。 | | る。 | | | | | | | | | |・ねずみがきたときみんなは| |・かぶを抜く前のみんなのねずみに対する気持ち| | | | 何と言ったでしょう。 | | を明確にし、抜けた時の気持ちへの伏線とする| | | | | | | | |め|・かぶを引っ張っている時み| |・ねずみが加わったことで再びみんなの士気が高| | | | んなは何といったでしょう| | まっていることをおさえ、「大きく(強く)」 | | | | | | 音読していくことが望ましいことを話し合いを| | | | | | 通して気付かせたい。 | | | |・みんなの気持ちに合わせて| | | | | | 「うんとこしょ・・・」を一人 |5|−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | で音読したり、みんなで音|1|●声の大きさに気を付けながら、一語一語はっき|○どのように音| | | 読してみましょう。どう読| | りと音読させたい。 |読したいかを話| | | みたいかも言ってみましょ| |●「みんなの気持ち」「それに合わせてどう音読し |し、声の大きさ| | | う。 | | たいか」という順で、声の大きさに気を付け話 |に気を付け、音| | | | | させる。 |読できたか。 | | | | |●話をする人や音読をする人をよく見て最後まで| | | | | | 聞かせる。 | | | | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |か|五、かぶが抜けた時のみんな| | | | | | の喜びを読み取る。 | | | | | |・「とうとう・・・」を読んでみ | |・最後の一文と壁板書の文の対比音読や話し合い| | | | ましょう。 | | を通して「とうとう」の意味をとらえさせたい。| | | | |5|●語のまとまりを考え、はっきり音読させる。 | | | |・かぶが抜けた時、みんなは|1|・二人組で対話し、みんなが話したことを考えさ|○協力・小さい| | | なんと言ったでしょうか。| | せる。 |者の力・収穫の| | | 発表しましょう。 | |・内容は、協力・小さい者の力・収穫の喜びのど|喜びのどれかに| | | | | れか一つにふれたものであればよいこととする|ふれたことを考| |ふ| | |●友達の発表の大体を聞き取り、それを受けて自|え、進んで発表| | |・みんなで読みましょう。 | | 分の考えを進んで話させたい。 |できたか。 | +−+−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+ | |六、本時学習のまとめをする| |○本時の学習を音読を通して振り返らせる。 | | |る|・かぶを引っ張り、抜いたみ| |・ふりかえりカードに書き、自己評価させる。 | | |め| んなの気持ちを考え音読し| | | | |と| ましょう。 |5| | | |ま|七、次時の学習内容を確かめ| |○次時は、劇を作るための話し合いの学習である| | | | る。 | |ことを確認させる。 | | +−+−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−+