印刷用紙:B4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):104   −−以下 指導案本文−−               第五学年 国語科学習指導案                         児 童 五年一組 男十七名女十八名 計三十五名                         指導者    根   田   牧   子 一、単元名  人物の結び付きを    教材名 「大造じいさんとガン」 二、単元について    作品は、前書きと四つの場面からなる。前書きは、大造じいさんの人物紹介とともに、この物語成立の   背景を語っており、読み手を物語の世界へと誘い込んでいく効果を果たしている。三の場面の前半までは、   大造じいさんと残雪との駆け引きによって話が展開し、狩人としての経験をもとに計略をめぐらす大造じ   いさんと、それを見事に見破る残雪の知恵との戦いが繰り広げられる。思いもかけないハヤブサの襲来に   より物語は一転する。仲間の危機を察し、命がけで戦う残雪。瀕死の傷を負いながらも、なお大造じいさ   んに立ち向かおうとする残雪の頭領らしい堂々とした態度に、大造じいさんは強く心を打たれ「ただの鳥   に対しているような気がしなかった」のである。四の場面では、傷の癒えた残雪を解き放し、晴れ晴れと   した顔つきで見守る大造じいさんが描かれ、新たな発展と期待を余韻として残している。自らも頭領とし   ての誇りを持って生き、敵対する相手であっても頭領らしい行動や態度には素直に感動し、それを傷つけ   ることなく解き放す大造じいさんの人間味あふれる姿、美しいもの・すばらしいものに感動する心を主題   として押さえたい。    作品は、一年間という単位の中で一つずつの出来事を丹念に描き、それを次の伏線として設定し、その   上に次の年の出来事を積み上げていくという形式をとっている。五年生にも構成上の特色が理解しやすい   し、このような構成によって強められたドラマ性が最後まで子供たちを引き付けるものと思われる。    したがって、場面の移り変わりとともに変化する人物の気持ちや結び付きを読み取り、主題をとらえる   学習に適した教材であると考える。 三、学習指導目標 (一)関心・意欲・態度   ・残雪の行動や態度にふれ、尊敬へと変化していく大造じいさんの気持ちを読み取ろうとする。 (二)表現   ・大造じいさんの心の動きについて話し合い、自分の考えを友達の考えと関連づけて話すことができる。   ・読み取った気持ちや情景が聞き手にもよく分かるように、音量や速さ、抑揚などを工夫して朗読するこ    とができる。 (三)理解     ・場面が移り変わるとともに人物の気持ちや結び付きが変化することを読み取り、主題を考えることがで    きる。 (四)言語事項     ・慣用的な表現や熟語、動きや様子を表す語、色彩語について理解を深め、使い方を知ることができる。 四、音声言語指導 (一)児童の実態     児童は、「ヤドカリ探検隊」で、好きな場面を見つけ、一つ一つの叙述に注意して登場人物が体験し    たことを想像しながら読み取る学習をしてきた。作品のおもしろさについて、自分の読み取ったことと    友達の読み取ったことを比べて話し合う学習をした。「麦畑」では、文章の表現の細かいところまで注    意しながら人物の気持ちやそれと響き合う情景を読み取り、主題を考える学習をしてきた。このような    学習を通して、叙述に即して主題を読み取ろうとする意欲は育ってきている。しかし、その読み取りは    部分的で、根拠となる言葉や語句を絞り切れずにいる児童が三分の一程いる。また、前の場面と関連づ    けたり、言葉と言葉とを関連づけたりして主題を読み取ろうとする児童は、十名程である。     学習の中心となる話し合いでは、ハンドサインも使いながら友達の話と関連づけて話そうと意識する    ようになってきたが、自分の考えを話すだけで精一杯の児童が八名いる。話し方については、スピーチ    などでは、話の内容が分かりやすいように短文を意識し、結論を先に話す児童がほとんどである。しか    し、授業中の話し合いになると、内容を考えることに意識がいくため、話す文が長くなり、内容が相手    に伝わりにくいことが少なくない。意識調査から、「友達の話を聞いていろいろな考えがあることを知    ることは楽しい」と感じている児童が多いことがうかがえたので、一人一人に話す内容を持たせ、それ    らを適時に発表させることで話し合いを深めていきたい。 (二)教材の特性     この作品の表現には、大造じいさんや残雪の行動を表す語(「もぐりこむ」「にぎりしめる」「着陸    する」など)、様子を表わす語(「ほおがびりびりするほど」「晴れ晴れとした」「ぐっと、急角度に」    など)、色彩語(「白い」「くれない」など)が多く使われている。また、情景描写が各場面に配され、    場面を鮮やかに想像することができるとともに、大造じいさんの気持ちを読み取る有力な手がかりにな    っている。さらに、「感嘆の声をもらす」「目にもの見せてくれる」「してやられる」などのような気    持ちを表す慣用的な表現も文章の中から見つけやすいので、これらの叙述をもとに大造じいさんの気持    ちを読み取り、話し合う時の根拠にできる教材である。 (三)音声言語活動   ア 聞く・話す活動      本単元では、次のような音声言語活動を意図的に組み入れ、ねらいに迫りたい。一つ目は、大造じ     いさんの心情を理解するために根拠を明らかにして話し合う活動を位置付けることである。自分の考     えの根拠となる表現を指摘しながら話し合うことで、自分の読みを確かめ、より深い読み取りができ     ると考える。また、聞き手も、述べられた根拠に着目して自分の考えと比べながら聞き、話し合いに     参加することができる。そのために、大造じいさんの残雪に対する行動の変化、心内語(会話文)の     変化、呼称の変化、文末表現や強調の表現に着目して一人学びさせ、一人一人が自信を持って話し合     いに参加できるようにさせたい。二つ目は、大造じいさんの気持ちを朗読で表現する活動である。正     しく読むためには、語句を調べ、表現を細部まで正しく読むことが必要になる。朗読することにより     理解と表現の一体化を図り、一層大造じいさんの気持ちを深めることができる。   イ 聞く・話す活動と「楽しさ」との関わり     ・一人学びをもとに、根拠となる叙述を見つけ出し自分なりの考えを話す楽しさを味わわせたい。      (自分を表す楽しさ)     ・友達の考えを聞き、自分の考えと違う考えや新しい考えを知る楽しさを味わわせたい。(新しいこ      とを知る楽しさ)     ・話し合いの中で、自分の考えがよりはっきりしたり、深まったり、変わっていったりする楽しさを      味わわせたい。(自分の考えを深めることができる楽しさ) 五、学習指導計画(十一時間扱い) +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |階| | | | | | |時| 学習活動 | 指導内容 | 評 価 | |段| | | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |す| |○全文を読んで感想をまとめる。|・全文を音読して感想をまとめる。 |・感想を持ち、読みの視| |お|3| | | 点を押さえることがで| |と| |○感想をもとに学習計画を立てる|・学習課題を設定し、学習計画を立て| きたか。 | |み| | | ること。 | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+ | |5|〇場面ごとに詳しく読む。 |○残雪に対する大造じいさんの | | | | | | | 気持ちの移り変わりと両者の | | | | | | | 関係を読み取る。 | | | | |@|1つりばりをしかける方法を見破|・残雪の知恵のすばらしさを改 | |・残雪の知恵に感嘆の声| | | | られた大造じいさんの気持ちを| めて思い知らされ、大造じい | | をもらした大造じいさ| | | | 読み取る。 | さんの驚く気持ちを読み取る。| | んの驚く気持ちを読み| |る| | | | | 取ることができたか。| | +−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−+ | | |2タニシをまく方法にも失敗した|・夏のうちから心がけた作戦も |う|・「ううん」とうなって| | |A| 大造じいさんの気持ちを読み取| 見破られ、「ううん」とうな |合| しまった大造じいさん| | |時| る。 | ってしまった大造じいさんの |し| のくやしい気持ちを読| |め|本| | くやしい気持ちを読み取る。 |話| み取ることができたか| | +−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+て+−−−−−−−−−−−+ | | |3おとりを使う作戦に踏み切った|・おとりを使う作戦に踏み切っ |し|・おとり作戦にかける大| | |B| 大造じいさんの気持ちを読み取| た大造じいさんの執念にも似 |に| 造じいさんのくやしい| | | | る。 | たくやしい気持ちを読み取る。|か| 気持ちを読み取ること| |か| | | |ら| ができたか。 | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+明+−−−−−−−−−−−+ | | |4残雪の行動や態度を通して、尊|・残雪の行動や態度に心を打た |を|・大造じいさんの残雪か| | |C| 敬へと変わる大造じいさんの気| れ、尊敬へと変わる大造じい |拠| ら受けた感動を読み取| | | | 持ちを読み取る。 | さんの気持ちを読み取る。 |根| ることができたか。 | |ふ+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−+ | | |5残雪を見守る大造じいさんの気|・いつまでも残雪を見守る大造 | |・大造じいさんの気持ち| | |D| 持ちを読み取る。 | じいさんの晴れ晴れとした気 | | の変容を読み取ること| | | | | 持ちを読み取る。 | | ができたか。 | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−+ | | |○主題を考え、主題について話し|・残雪に対する大造じいさんの | |・主題について考え、話| | |2| 合う。 | 気持ちの移り変わりを読み取 | | し合うことができた| | | | | り、主題を考える。 | | か。 | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−+ |る| |○人物の気持ちの移り変わりや情|・自分が読み取った人物の気持ちや情|・読み取ったことを生か| |め|1| 景を考えながら朗読する。 | 景が聞き手に伝わるように朗読す | して朗読できたか。 | |と| | | る。 | | |ま| | | | | +−+−+−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ 六、本時の指導 (一)目標   ◎タニシをまく方法も失敗に終わり、くやしい思いをつのらせる大造じいさんの気持ちを読み取ることが    できる。   ○大造じいさんの気持ちを、根拠となる叙述を挙げながら話し合うことができる。 (二)展開 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ |階| |間| ●音声言語活動 | | | | 学習活動 (・主発問) | | 教師の関わり | 評 価 | |段| |時| 主たる音声言語指導| | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ | |一、前時の学習を想起する。 | |○予想を越えた残雪の知恵と「たかが鳥」| | | | ・大造じいさんは残雪をどう思ってい| | と思っていた考えの甘さを思い知らされ| | |す| ましたか。 | | た大造じいさんの姿を想起させる。 | | | |二、学習課題を確認し、見通しを持つ。| | | | |お| +−−−−−−−−−−−−−−−+|5| | | | | | 大造じいさんは、どんな気持ち|| |○課題に対して自分なりの考えを持たせ、| | |と| |から「ううん」とうなったのだろ|| | 学習への意欲付けを図りたい。 | | | | |う。 || |○タニシ作戦をしかける気持ち、残雪を待| | |み| +−−−−−−−−−−−−−−−+| | つ気持ち、残雪の行動を考えていけばよ| | | | ・どんなことに気をつけて読んでいっ| | いことに気付かせる。 | | | | たらよいでしょう。 | | | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ | |三、本時学習場面を音読する。 | |○大造じいさんの気持ちが表れている言葉| | | | (P L1〜P L2) | | にサイドラインを引きながら読ませる。| | | | | |・指名読3名 | | | | | | | | | |四、大造じいさんの気持ちを一人学びす|1| | | |る| る。 |1|+−−−−−−−−−−−−−−−−−+| | | | ・大造じいさんの気持ちが表れている| ||●行動や様子を表す言葉や文「夏のう|| | | | 言葉を書き抜き、気持ちを考えてい| || ちから心がけて」「会心のえみをも|| | | | きましょう。 | || らす」「ほおがびりびりするほど」|| | |め| | || 「してやられて」、会話文「しめた|| | | |五、大造じいさんの気持ちを読み取り、| || …目にもの見せてくれるぞ。」をも||・友達の話| | | 話し合う。 | || とに話し合う。 || に関連づ| | | ・大造じいさんは、どんな気持ちから| ||●友達の考えと自分の考えを比べなが|| けて、根| |か| 「ううん」とうなったのでしょう。| || ら聞き、友達の考えのよさに気づい|| 拠を明ら| | | | || たり、自分の考えをはっきりさせた|| かにしな| | | | || りして話す。 || がらくや| | | |2|+−−−−−−−−−−−−−−−−−+| しい気持| |ふ| |2|○タニシ作戦にかける期待感の強さを、情| ちを話し| | | | | 景描写にもつなげながら読み取らせたい| 合うこと| | | | |○残雪に対する思いを一の場面と比べて考| ができた| | | | | えることで、大造じいさんの気持ちを読| か。 | | | | | み深めさせたい。 | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+ | |六、本時の学習のまとめをする。 | |●大造じいさんの立場で話させ、本時のま|・大造じい| | | ・「ううん」とうなった大造じいさん| | とめとしたい。どの子も話すことができ| さんの気| |る| の気持ちを発表してまとめよう。 | | るように、二人組みで発表し合う活動を| 持ちの変| |め| |7| 組みたい。 | 化をおさ| |と|七、本時の学習について自己評価する。| |○根拠を明らかにして話し合いができたか| えて話す| |ま| | | 自己評価させたい。 | ことがで| | | | | | きたか。| | |八、次時の学習について確かめる。 | |○次時の学習内容を確かめる。 | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−+