印刷用紙:B4縦 1ページの行数:50 1行の文字数(半角で):84   −−以下 指導案本文−−           第五学年国語科学習指導案                      児童  五年二組男十七名女十九名計三十六名                      指導者     久  保  紀  子 一、単元名     詩を読もう       教材名   「ふるさと」 二、単元について   本単元の教材「ふるさと」は、「小景異情ーその二ー」などで有名な室生犀星の作品である  作者室生犀星のふるさと金沢は、冬が厳しい。その雪に閉ざされたふるさとに春が訪れた浮き  立つような喜びとともに、作者の心まで開かれていくような開放感がこの詩には満ち満ちてい  る。   一行目の「とけにけり」と、二行目の「融けゆけり」の微妙な変化で、客観視した風景とし  ての雪融けから作者の心を揺り動かす躍動する情景へと読者は自然に誘われていく。それは、  生命の流れる時間としての春への展開であるともいえる。   そして、その生命の象徴ともいえる木の芽に息を吹きかける犀星の思いは、終わりの繰り返  しの四行で勢いよくあふれだすのである。「もえよ」という呼びかけは、木の芽へと同時に自  分自身への呼びかけでもある。その喜びは七音と五音の繰り返しによる文語詩のリズムによっ  てより鮮やかに表現されている。   したがって、情景を生き生きと想像しながら読み、作者の思いを感じ取りながら、工夫して  朗読表現することを楽しむことができる作品である。 三、学習指導目標 (一)関心・意欲・態度   ・情景を想像しながら、詩を読む楽しさを味わおうとする。 (二)表現   ・詩のリズムや表現の工夫をとらえ、情景や作者の思いを理解しながら、工夫して群読を    することができる。 (三)理解   ・情景を生き生きと想像しながら読み、作者の思いを読み味わうことができる。 (四)言語事項   ・詩的表現の工夫について知るとともに、文語詩のリズムに親しむことができる。 四、音声言語指導 (一)児童の実態   四月当初、つかえずにすらすらと音読できてはいるが、全体としてトーンが低く、感情の  こもらない読み方をする児童が多いという印象を受けた。そのため、音読やスピーチ、日常  的な発表の機会を通して聞き手に快く受け入れられる(伝えられる)手段の一つとして、は  っきり、高いトーンで話したり読んだりすることを意識づけてきた。その結果、トーンの高  さと同時に、相手によりよく自分の思いを伝える話し方をしようという意識が高まってきて  いる。しかし、具体的に話し方にあらわれている児童は、まだ三分の二程度である。   また、表現することの楽しさを味わわせるため、スピーチ大会・劇などさまざまな形態の  発表会を行い、相互評価を繰り返してきたが、それによって、自分の表現と他の児童の表現  のしかたを比較して感想を持てるようになってきた。しかし、まだ自分の発表に精一杯で他  の児童の表現に関心を持てない児童も五名いる。   群読については、群読作りの経験は一学期の「われは草なり」で人数をかえて読むという  経験をした程度であるが、「そよかぜ集会」によって群読表現への関心は高い。 (二)教材の特性   本教材は、文語詩独特のリズムがあり、生命の躍動や喜びの心と重ねあわせて、リズミカ  ルな表現を楽しむことができる。また、「とけにけり」「融けゆけり」「ふきかけり」の脚  韻や「もえよ 木の芽のうすみどり」の繰り返しといったような朗読の工夫をしてみたくな  る要素が多く含まれている。   また、内容的にも作者の喜びに共感しやすく、読み取ったことを工夫して表現するのに適  していると言える。 (三)音声言語活動 ア、聞く・話す活動   視写・書き込みとそれをもとにした話し合いによって「ふるさと」の情景と作者の思いを  読み取り、本時は、読み取ったことをよりよく伝える手段として班ごとの群読作りを行う。  自分がとくに伝えたい部分を中心として、声の強弱、間、それぞれの役割(声の質に合わせ  て・人数を考えて)について班ごとに工夫をさせていく。これまでの経験から、ことばを繰  り返して読みたい班や、輪唱などの高度な技巧を取り入れたいと希望する班があると思われ  るが、それも児童の希望にそって自由に表現させていきたい。この活動に主体的に取り組め  るように、前半にひとり学びを取り入れたい。 イ、聞く・話す活動と「楽しさ」との関わり  ・自分が感じ取った作者の思いが伝わるように、「声の強弱」「間の取り方」「ひとりひ   とりの役割」を工夫して、群読表現する楽しさを味わわせたい。(自分を表す楽しさ)  ・班内で根拠を持って意見交流しながら、群読を作り上げていく楽しさを味わわせたい。          (自分の考えを深めることができる楽しさ・聞き合う、話し合う楽しさ) 五、指導計画(三時間扱い) +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−+ |段階 時間 学 習 活 動   指 導 内 容 |音声言語活動 評価 +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−+ |す| |○「ふるさと」の詩を、情|○「ふるさと」を読み、ひ|と合 |○詩の表現を| |お| |景を想像しながら読み作者|とつひとつのことばから情|もし |根拠に作者の| |と|1|の思いを読み味わう。 |景を想像し、ふるさとに対|を話と|思いについて| |み| | |する作者の思いを考え、話|拠 こ|考えることが| | | | |し合う。 |根にう|できたか。 | +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−+−−−−−−+ |る| |○「ふるさと」にこめられ|○作者の喜びを聞き手に伝| |○聞き手を意| |め|時|た、作者の思いが伝わるよ|えられるように工夫しなが|て表||識しながら、| |か|本|うに工夫して群読を作る。|ら、班で群読を作る。 |し発||工夫して群読| |ふ| | | |識 ||を作ることが| | |1| | |意り |できたか。 | +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+を作と+−−−−−−+ |る|1|○群読発表会をし、お互い|○お互いの表現方法の違い|手をこ|○表現の仕方| |め| |の良さを聞き合う。 |に着目し、より良い表現に|き読る|の良さを聞き| |と| | |ついて考える。 |聞群す|合うことがで| |ま| | | | |きたか。 | +−+−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−++−−+−−−−−−+ 六、本時の指導 (一)目標   ◎読み取った作者の思いが伝わるように班内で意見交流しながら、工夫して群読を作り上    げることができる。   ○ふるさとの雪融けを喜ぶ作者の思いを豊かに読み取ることができる。 (二)展開 +−+−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |階| 学 習 活 動   |間|教師の関わり●音声言語活動| 評 価 | |段| (・主発問) |時|−−− 主たる音声言語指導| | +−+−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | |一、前時の想起をする。 | | | | | |・「ふるさと」では、どの| |○自分の思いを伝えるために| | |す|ことばのどんな思いを最も| |表現するということを大切に| | | |伝えたいと思いましたか。| |するためにしっかり確認させ| | |お| |5|たい。 | | | |二、学習課題を確認する。| |○作者の思いをよりよく伝え| | |と|+−−−−−−−−−−+| |られるように工夫することを| | | || 作者の思いがよく伝|| |確認して、活動に入るように| | |み||わるように「ふるさと|| |する。 | | | ||の群読を考えよう。 || | | | | |+−−−−−−−−−−+| | | | +−+−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ | |三、音読記号を書き込む。| |○ひとり学びによって、それ| | | |・ひとりで群読の仕方を考|5|ぞれに自分の考えを持って、| | | |えてみましょう。 | |話し合いに入れるようにする| | | | | |+−−−−−−−−−−−+| | | |四、班ごとに群読を作る。| ||●技巧に走った群読作り||○作者の思いをより| |る|・班で、情景や作者の思い|7||にならないように各班で||よく伝えるように考| | |が伝わるような群読を作り|1||表現したいことをはっき||えて、表現の工夫に| | |ましょう。 | ||りさせ、焦点を絞って工||ついて活発に意見交| |め| | ||夫させたい。 ||流をすることができ| | | | |+−−−−−−−−−−−+|たか。 | | |五、発表を聞いて、感想を| |●表現の工夫を、読み取りと|○お互いの表現の工| |か| 交流する。 | |からめて話してから群読させ|夫(強弱、間、それ| | |・二つの班に発表してもら|3|る。聞き手の感想もそれに基|ぞれの役割など)に| | |いましょう。どんなところ|1|づいて話すようにさせたい。|ついて積極的に感想| |ふ|がよく工夫してあるか気を| | |交流できたか。 | | |つけて聞き、感想を言いま| | | | | |しょう。 | | | | | | | | | | +−+−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+ |る|七、本時の学習を振り返る| |○同じことを表現するのにも| | |め|・今日の学習を通して感じ| |さまざまな方法があることに| | |と|たことを振り返りカードに|5|気付かせ、より良い表現への| | |ま|書き込みましょう。 | |意欲を持たせてまとめとした| | | | | |い。 | | +−+−−−−−−−−−−−−+−+−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−+