印刷用紙:B5縦 1ページの行数:36 1行の文字数(半角で):76   −−以下 指導案本文−−       第3学年国語科学習指導案                  日 時 平成8年10月22日(火)1校時               児 童 3年1組 男20名 女11名 計31名               指導者 伊藤 裕子 1 単元名  五 想像をふくらませて(光村3年下)     教材名      「たから物をさがしに」 2 単元について   3年生の作文指導の目標は、「要点がわかる文章を書く力」を育てることにあ  る。そのためには、次のような力を育てていかなければならない。  ・文章に書く必要のある事柄を選んで整理する力  ・書く順序、くわしく書くところを決める力  ・事柄と事柄の続き方を考えながら、語と語や文と文の続き方に注意してくわし   く書く力  ・事柄ごとの区切りや中心を考えて書く力  ・読み返して、間違いやわかりにくいところを直す力   本単元の指導においては、「事柄ごとの区切りや中心を考えて書く力」を育て  ることに重点を置く。そのために、段落を意識して文章を書いたり、書く目的や  事柄をはっきりさせてわかりやすく書く力を身につけさせる。   教材「たから物をさがしに」は、『たから島の地図』の絵と作文例で構成され  ている。『たから島の地図』には、中央に宝物の絵、そして、その宝物を取り囲  むようにいく通りもの道やさまざまな動物たちが描かれており、自然に探検した  くなるような雰囲気をもっている。冒険好きであり、空想の中で自分が主人公に  なって活躍することを夢見るこの時期の子供たちにとって、この地図は、さまざ  まな想像をかきたてられるにちがいない。書きたいという意欲をもち、子供たち  が主体的に取り組むことのできる地図である。さらに、宝物を探しに行く物語を  作るという目的がはっきりしており、宝物を探すまでに出会う動物ごとに場面を  区切って書くことができる。また作文例から、@こわそうな動物の様子A登場人  物の様子や気持ちB危険を乗り越える工夫の書き方を学ぶ。それをもとに、登場  人物がどんな動物と出会い、どのようにして困難や危険を乗り越え宝物を手に入  れるのか、書く事柄をはっきりさせ、読み手にもわかるように工夫して書いてい  くことができる。これらのことから事柄ごとの区切りや中心を考えて書く力をつ  けていくために適した教材であると考える。   2年生の「絵本を作ろう」で本作りは経験しているものの、創作文の本格的な  学習はこの単元がはじめてである。1学期の短作文「音の世界で遊ぼう」で、身  につけた「書く順序、くわしく書くところを決める力」−くわしく書くために五  感を使って書く−と、作文単元「書きたいことの中心をくわしく」の教材「ヤモ  リをつかまえた」で身につけた「文章に書く必要のある事柄を選んで整理する力」  と、「中心を押さえてくわしく書く力」を、本単元で生かし、さらに、本単元で  はさらに、「事柄ごとの区切りや、事柄と事柄の続き方、中心を考えて書く力」  を養うことになる。その力が、学年最後の総合単元「紙しばいを作ろう」につな  がる。 3 児童の実態 子供たちはこれまでに、音から想像して一つのストーリーを五感を使って書く  学習や、体験したことや見たことの中から題材を選び書き表すことを経験してき  ている。単元「三書きたいことの中心をくわしく」の教材「ヤモリをつかまえた」  では、取材メモを集め、その中からどこをくわしく書けばよいかを考えもう一度  メモの見直しをすること(再取材)、組み立てたメモから文章に書き直していく  ことを学習してきた。   これらの学習を通して、書くためにはたくさんメモを集めその中から選ぶ必要  があること、メモの組み立てがしっかりしていなければならないことは理解して  いる。また、身のまわりの出来事や経験したことを楽しんで書こうとする態度が  身についてきており、行事作文や日記を見ても「書くこと」に抵抗のある子はず  いぶん少なくなってきている。さらに、読み手に自分の思いを伝えるために、会  話文や五感を使って工夫しながら作文を書くことなどができるようになってきて  いる。   しかし、くわしく書こうとして区切りなくだらだらと書き連ねてしまい、焦点  がはっきりしない文章になってしまうことが多いのも実態である。書きたいとい  う意欲が先行し、思いつくままに書いてしまうために中心のはっきりしない作文  になってしまうのではないかと思われる。また、書いている本人にだけわかるも  のとなってしまうことが多く、読み手を意識した作文が書ける子は少ない。そこ  で、一番書きたい事柄を意識させ読み手にもわかるように書く力を育てなければ  ならない。一方では、書こうとする事柄を広い範囲から取材できないために、内  容が深められない子もいる。また、一文ごとに改行してしまう子もいる。こうし  たことから、内容を事柄ごとにまとめ、段落を意識して書く力をつけていく必要  がある。 4 指導にあたって 子供たちが楽しく学習を進め、事柄ごとの区切りや中心がはっきりした創作文  を書けるようにするために、次の点に留意しながら指導にあたりたい。  1題材について   一枚の地図から、未知の世界に飛び込み、途中にあるさまざまな障害、抵抗に  打ち勝ちながら目的地にたどり着くという基本的な筋書きをもとに、それぞれの  想像力を十分に生かし、表現させたい。   生活文が、過去に体験したことや見聞したことの中から題材を選び、時間的な  順序にしたがって表現するのに対して、本単元の創作文の題材は教科書の紙面そ  のもの−『たから島の地図』−が書く材料になっている。物語のスタート(二人  の子供が宝物を探しに出かける)と、ゴール(宝物を手に入れる)はおおよそ同  じ流れになるだろう。しかし、展開はさまざまである。登場人物のたどるコース、  動物の描写、主人公が難関を切り抜ける方法など多様に考え出すことができる。  同じような発想で始まりながら、構想の立て方でいろいろ変化する筋立てを作り  出すおもしろさが、この教材の魅力である。   想像して書く際の手がかりとして、一枚の『たから島の地図』が用意されてい  る。その地図には、宝物までの道筋と途中に待ち構えていたり宝物を守っていた  りする動物たちが描かれている。その地図を見て想像の世界を広げることから学  習に入る。道筋や動物の中で自分が気づいたことや想像したことを発表し合う。  子供たちは、現実にはありえないような出来事や、ハラハラドキドキするような  冒険など、生活文では表現できないようなことまで想像することができるであろ  う。  2参考資料・参考作文について   「構成」の段階では、区切りや中心を意識させる参考資料として、構成するた  めに必要な要素の入った構成メモ(お話メモ)の例と、そうでない構成メモの例  を示し、比較させる。   参考作文は、「記述」の段階で用いたい。  ・構成メモをもとに記述へのふくらませ方について学び合うための参考作文。  ・読み手をひきつけるような書き出しの工夫をしているもの。  ・登場人物が危険や困難を乗り越える知恵の工夫。  ・場面と場面のお話のながれがつながっている。  ・まわりの様子を五感を使って書き表しているもの。  ・お話をおもしろくするための工夫。  ・気持ちがわかるような会話文。  などが考えられるが、構成メモが完成した段階でどの項目の指導が必要かを押さ  え、AとBを比較させる方法、足りないものに付け足していく方法、すぐれたも  のから学ぶ方法などを取り入れていく。  4評価について   どの学習活動でも子供が書き留めたものには目を通し、褒めたり励ましたりし  て子供の思いを受け止める。とくに、事柄の羅列になってしまうと思われる子や  書けないと予想される子については、個別指導をしてめあてに達成できるように  支援していく。また、1時間ごとの個のめあてをはっきりさせ、自己評価を行い、  次時への意欲やめあてに結びつけていきたい。自己評価の観点は、本単元のねら  いである「事柄ごとの区切りや中心を考えて書く」ことについての具体的な項目  を示したい。   となり同士やグループでの学習も取り入れ、協力し合いながら学習を進める相  互評価も考える。友だちの書いたメモや文などからよいところを見つけ、自分で  も取り入れたり全体に広めたりしてさらに高まっていくようにさせる。   単元の一番最後の学習には、友だちの物語を読んだ感想を書き入れるコーナー  を設けて、これまで以上の満足感や成就感を味わわせ、書き終えた喜びと次に作 文を書くときの意欲へとつなげたい。 5 指導目標  1関心・意欲・態度   ・一枚の地図をもとに、豊かに想像を広げて構成を考えながら物語を書き、楽    しんで物語の本を作ろうとする。  2技能目標   ・事柄ごとの区切りや中心を考えて文章を書くことができる。   ・自分の書いた文章を読み返して、間違いを正したり、よくわかるように書き    直したりすることができる。  3言語目標   ・主語と述語との関係を理解し、修飾語を加えて主述の整った文を書くことが    できる。 6 指導計画(全15時間) +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |段階 学 習 内 容  |時 間| +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |つ|◎単元のめあてを知り、学習計画を立てる。 | | |か| 1 教材文を読み、お話を書いて物語を作るという見通しを| | |む| もち、たから島の地図から想像したことを話し合い、気づ| | |1| いたことをメモする。 |1 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |学|◎教科書の作文例をもとに、書き方を学ぶ。 | | |ぶ| 1 作文例を観点に沿ってくわしく読み深める。 |1 | | | 2 作文例を読み、場面や登場人物の様子などを調べ、創作| | |2| 文の書き方を学ぶ。 |1 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ | |◎物語の構想を練り、構成を考え、構成メモを作る。 | | | | 1 物語の大筋を決める。出会う動物について簡単なカード| | | | にまとめる。 |1 | | | 2 道筋を決め、場面ごとに出来事の展開・登場人物・動物| | | | ・まわりの様子などの構成メモを作る。(3つの場面) |1 | |つ|◎各場面ごとに集材する。 | | | | 1 構成メモをもとに、楽しいお話になるように出来事の展| | |く| 開・登場人物・動物・まわりの様子のメモを吟味する。 | | | | (3つの場面) |3 | |る|◎メモをもとに、筋の展開、人物の行動や気持ち、場面の様子| | | | がよくわかるように書き表し方を工夫しながら、物語を書く| | |11| ・1の場面(初めの場面)。 |1 | | | ・2の場面(中の場面)。 |1(本時) | | ・3の場面(終わりの場面)。 |1 | | |◎推敲し、清書してお話の本を作る。 | | | | 1 書いた物語を読み返し、推敲の観点に従って作文を推敲| | | | する。 |1 | | | 2 清書し、物語の本作りをする。 |2 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |まと ◎発表会を開く。 | | |める 1 お話発表会をする。 |1 | |1| | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ 7 本時の指導  1 目 標  ・読み手を意識しながら、楽しいお話にするためにどんな工夫をすればよいかを  進んで考えようとする。  ・筋の展開や、人物の行動や気持ち、場面の様子がよくわかるように書き表し方   を工夫して書くことができる。  2 指導にあたって   「学ぶ」の段階では、「少し工夫すればもっとよくわかるようになる」ことに  気づかせる参考作文を提示し、どんなところをくわしく書けばよいのか、くわく  書くとはどうすることかを考えさせる。「自分だったらこうする。」と思い思い  に発表させた後で、気持ちがよくわかるためには会話文や思ったことを書き加え  るとよいこと、様子がよくわかるためには五感を使って表現すればよいことをつ  かませる。   また、楽しいお話の展開にするために、@物語の中に、登場人物が危険や困難  に出会い、知恵を働かせてそれを乗り越える工夫があるA場面ごとにまとまりが  あるB場面と場面がつながっている、の3点についてはどの段階でも指導してい  くわけであるが、本時においてもふれる。   「個に返す」時間を設定し、記述前のくわしく書くところをどこにするか、ど  んな工夫をするのかについて個のめあてを決めるようにする。「まとめる」の段  階ではめあてについて振り返り、自己評価をさせる。 +−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ |段階 学習内容 | 教師の働きかけと予想される児童の反応 教師の支援・評価 +−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | |1.1の場面を書いた感 ○1の場面を書いた感想 ・前時の学習の成果をほ | |想を発表する。 |を発表しましょう。 |めることにより、意欲を| |つ| |・地図を手に入れたきっ|高めながら導入する。 | | | | かけを工夫した。 | | | | |・動物をこわそうに書け| | |か| | た。 | | | | |・出来事があまりくわし| | | | | く書けなかった。… | | |む| |・ | | | |2.学習の課題をつ|+−−−−−−−−−+|・楽しいお話にするため| | |かむ。 || 読む人にも様子が||の観点を確かめる。 | |3| ||よくわかるような楽|| ○くわしく書く工夫。| |分| ||しいお話を書きまし|| ・登場人物の様子。| | | ||ょう。(2の場面)|| 会話文、気持ち| | | |+−−−−−−−−−+| ・まわりの様子。 | | | | | 五感を使って | +−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | |3.楽しいお話にす|○どちらの作文の方が楽|・つけ加えるともっと楽| | |るためにどんな工|しさが伝わってきますか|しいお話になるのにな、| | |夫をすればよいか|・Bの方。 |と子供が感じるような参| | |を参考作文を使っ|〓それはなぜですか。 |考作文を提示する。 | | |て考える。 |・出来事をくわしく書い|・発表し合うことによっ| | | | ているから。 |て、本時の記述の観点を| | | |・人物が何をしたか順序|確認させる。 | | | | よく書いているから。|・AとBを比較させ、な| |学| |・知恵を働かせたところ|ぜBの方が楽しいお話な| | | | がよくわかる。 |のかを考えさせる。 | | | |・どうやって危機を乗り|+−−−−−−−−−+| |ぶ| | 越えたかがくわしい。|| 楽しいお話にする|| | | | ||ためにどんな工夫を|| | |4.自分のめあてを|〓どんなお話を書くのか||すればよいかを考え|| |15|もつ。 |な。 ||ようとしているか。|| |分| |・魔法を使って動物を眠|| (関心・意欲・態度)-話し合い- | | | らせる。 |+−−−−−−−−−+| | | |・動物を仲間にしていっ| | | | | しょに宝探しに行く。| | | | | … | | | | |〓特にどこをくわしく書|・どこにどんな表現の工| | | |きたいですか。 |夫を入れたらよいか考え| | | |・危機一髪のところ… |させる。 | | | |○どんな工夫をしますか| | | | |・会話文を入れる。 | | | | |・音を入れる。… | | | | |・したことと、どうなっ| | | | | たかを順番に書く。 | | | | | | | +−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | |5.お話メモをもと|○お話メモをもとに、読|・たから島の地図と構成| | |に物語を書く。 |む人にも様子がわかる楽|表を見ながら一気に書か| | | |しいお話を書きましょう|せる。 | |つ| | |・困っている子や迷って| | | | |いる子には、観点に沿っ| |く| | |て質問し、書かせたい。| | | | |+−−−−−−−−−+| |る| | || 自分のめあてを意|| | | | ||識しながら、様子が|| |23| | ||わかるような楽しい|| |分| | ||作文を書くことがで|| | | | ||きたか(技能)-作文-| | | | |+−−−−−−−−−+| +−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | |6.自己評価をする|○自分がくわしく書きた|・自分の学習を振り返り| | | |かったところをがんばり|自己評価をさせる。 | | | |ましたか。 |・挙手させる。 | | | |〓どんな工夫をしました|・発表させる。 | |ま| |か。 | | | | |・会話文を入れた。 | | |と| |・こわがっている様子が| | | | | わかる言葉を入れた。| | |め| |・まわりの様子を恐ろし| | | | | そうにした。 | | |る| | | | | |7.相互評価をする|〓友だちのお話を読み、|・となり同士で記述の観| | | |よいところを見つけて教|点に沿って読み合い、お| |4| |えてあげましょう。 |互いのよさを認めたい。| | | | | | |分|8.次時の学習内容|〓次の時間は、3の場面|・学習のがんばりをほめ| | |を知る。 |を書きましょう。 |次時への意欲を高めるよ| | | | |うにする。 | | | | | | +−+−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+ | 次 時 の 学 習 内 容 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |◎構成表をもとに、3の場面について様子がよくわかるように物語を書く | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+