印刷用紙:B5縦 1ページの行数:33 1行の文字数(半角で):74   −−以下 指導案本文−−          第4学年国語科学習指導案             日 時 平成8年10月22日(火)2校時             児 童 4年4組 男14名 女18名 計32名             指導者 鈴木 直子 1.単元名  二 書きたいことを整理して (光村4年下)   教材名     「ふっくら飛んだパラシュート」 2.単元について   4年生の作文指導の目標は、「段落相互の関係を考えて書くことができるよう  にする。」ことである。そのためには、次のような作文の力を育てていかなけれ  ばならない。   ・自分の考えをはっきりさせたりまとめたりしてから表現する力   ・書く必要のある事柄の順序や軽重を考え、整理してから書くようにする力   ・書こうとすることの中心点が明確になる書き方を考えて文章を書く力   ・段落を考えて書き、また、段落と段落との続き方にも注意して文章を整えて    書く力   ・事象を客観的に文章に書き表す力   ・自分の書いた文章を読み返して間違いなどを正し、分かりやすい文章に直す    力   ・聞いたり読んだりした内容から素材を選び、その表現の仕方を参考にして自    分の表現に生かす力   本単元は、自分が書きたいと思うことを整理して書くことが主なねらいである  そのために、文章に書く内容を取捨選択する力と構成を考えて文章を書く力を身  につけさせる。   教材「ふっくら飛んだパラシュート」は、(1)学習への意欲化を図る呼びか  けと学習内容の明示(2)組み立てメモの紹介(3)作文例(4)身の回りから  題材を見つける視点の紹介 という4つのまとまりから構成されている。   作文例は、日曜日に父親と一緒にパラシュート作りをして楽しかった経験を題  材としており、子供たちにとって身近に感じられるであろう。組み立てを考える  やり方の例として示されている「横山さんの組み立て」は、したことと思ったこ  とがメモの枠によって区別され、書く順序に番号がふられていてとても分かりや  すい。そのうえ、中心となるメモを中央に置いていて、中心となる事柄に沿った  選材をするうえで効果的な形となっている。   この組み立てメモを生かして文章化された作文例は、「楽しい」という直接的  な言葉を使わないで楽しさが読み手に伝わるよう工夫されている。「何度も」繰  り返したという事実や「きれいに」感じたことを述べることによって楽しさを表  現するやり方、会話文による臨場感あふれる書き出し、心内語による気持ちの表  現、「くしゃくしゃ」「ふわふわ」といった擬態語による描写などを学ぶことが  できる。さらに、「ふっくら飛びました。」という作文中の一節から生まれた題  名「ふっくら飛んだパラシュート」も子供たちに新鮮なものとして受けとめられ  るにちがいない。   このように本教材は、自分の生活の中から題材を見つけて取材・選材し、構成  を考えて書き表すという作文の基本的なやり方を学び、整理して書く力をつけて  いくのに適している。   4年生で本格的に生活文を書く学習は、この単元だけである。1学期に単元「  メモを生かして」で学習した箇条書きでメモする技法を使い、取材させる。日常  生活を見つめて取材することは、創作的発想の3学期単元「見る目を変えて」に  つながるものである。 3.児童の実態   4月以来国語の学習の中で心がけてきたことは、「自分の思いを楽しんで表現  できるようにする」ことであった。そのために、多様な感じ方や考え方を認め、  意図的に発表の場を設けて表現する場の雰囲気作りをしてきた。   小教材「言葉を広げて」では、言葉を組み合わせてその場面に合わせた短い文  章を書く学習をした。子供たちは、集めた言葉を組み合わせてイメージをふくら  ませる学習に喜んで取り組み、動物園の光景を楽しく文章に書き表した。また、  「メモを生かして」では、清掃工場見学のとき取ったメモをもとにして初めて見  学記録文を書いた。メモの取り方を学び、意欲的にメモを取ろうとしていた。   このようななかで子供たちには、物事を細かく見ようとする気持ちやひとまと  まりの作文に仕上げようとする意識は少しずつ育ってきている。しかしながら、  何について書こうか迷ってしまったり、取材・構成の段階で意欲をなくしてしま  ったりする子、「楽しかった。」の一言ですませてしまい詳しく書き表すことが  できないでいる子もおり、題材を見つける力や材料を豊富に見つけて「楽しさ」  を表現する力が十分に身についているとはいえない。さらに、事柄ごとの区切り  や中心がぼやけてしまう、段落を意識できない、などのつまずきもみられ、選材  して構成を考え中心をはっきりさせて書く力もつけていく必要がある。 4.指導にあたって   題材決定→取材→選材→構成→記述→推敲という作文の基本的な書き方を理解  させ、それに沿って作文を書かせる。「何のために」「だれに向かって」書くの  かという目的意識・相手意識を明確に持たせ、意欲を大切にして指導していく。  1 題材について  「書くことがない」「何を書いてよいかわからない」という子供は、身の回りに  ある作文の題材を見つけることができずにいるものと思われる。自分の生活をも  っとよく見つめ、そこに揺れ動く心の変化に気づかせるため、取材カードを持た  せる。ただ漠然と無意識のうちに暮らしていた毎日において意識を要所要所でと  め、それを書きためさせていく。そして、書きためた中から作文の題材を選ばせ  る。   取材カードを活用して作文を書く経験を通して、子供たちに五感をはたらかせ  よく見つめてみれば日常生活の中にも題材はたくさんあることに気づかせたい。  2 参考資料・参考作文について   取材・選材の段階では、「横山さんの組み立て」を参考資料として活用する。  何についての作文を書くのか中央に書き、思い出したことを書いたメモをその周  りに置かせる。メモ用紙は、したことと思ったことが区別できるように色分けす  る。書きたいことの中心からずれているものはないか選材した後、作文に書く順  序に番号をつけ構成を考えさせる。   記述に入る前には、メモをもとに書き膨らませることの大切さを強く意識づけ  るため、参考作文を提示する。参考作文は、構成表の中のメモに「見たこと」「  話したこと」などを加えて書き膨らませたものを使い、自分の思いを表現する具  体的なやり方をとらえさせる。  3 評価について   組み立てメモや構想表など、そのつど手元に集め、十分に書き足りている者、  不十分な者、誤りのある者などに類別し、できるだけその場で書き直させたり、  書き加えさせたりする。また、指導の過程の中で生まれる小さなつまずきについ  ては個別指導していくが、多数のつまずきについては全体への指導の手立てを講  ずる。   グル−プでの読み合わせによる相互評価を取り入れたり、評価基準を具体的に  明確に示すことによって自己評価をさせたりしながら、自己の表現や友達の表現  に目を向けさせる。そのとき、結果だけの評価ではなく、立ち向かった努力に触  れる評価を心がけ、書く意欲へとつなげていきたい。 5.指導目標  1関心・意欲・態度   ・日常生活の中で心動かされた出来事を、意欲的に作文に表そうとする。  2技能目標   ・身近な出来事から題材を選び、書く事柄を整理して中心のはっきりした文章    を書くことができる。  3言語事項  ・文の構成について初歩的な理解をもつことができる。 6.指導計画 (全14時間) +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |段階 学  習  内  容 | 時間 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |つ|◎学習のめあてを持ち、題材を見つける。 | | |か| 1 教材文を読んで単元の全体像を把握し、最近心に残ったこ| | |む| とやいちばん友達に伝えたいことについて話し合う。 | 1 | |1| | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ | |◎教材文をもとにして、組み立てメモと作文例との関連をとらえ| | |学| る。 | | | | 1 「横山さんの組み立て」をもとに、書くことの中心がはっ| | |ぶ| きりした作文の取材・選材のやり方を理解する。 | 1 | | | 2 作文例「ふっくら飛んだパラシュ−ト」を読み、一番書き| | | | たいことがどのように書き表されているか話し合い、自分の| | |3| 作文に生かしていけるようにする。 | 2 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ | |◎主題に沿って取材し、作文を書く。 | | |つ| 1 題材を決めて材料を集め、組み立てメモを作る。 | 1 | |く| 2 組み立てメモをもとにして選材し、書く順序を決めて、構| | |る| 成メモを作る。 | 2 | | | 3 構成メモに沿って作文を書く。 | 2 | | | | 本時1/2 |7| 4 推敲し、清書する。 | 2 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |ま|◎作文発表会を開く。 | | |と| 1 友達の書いた作文を読み合い、一口感想を書き合う。 | 1 | |め| 2 作文発表会の計画を立て、発表の練習をする。 | 1 | |る| 3 作文発表会を開き、互いのがんばりを認め合い学習を振り| | |3| 返る。 | 1 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ 7.本時の指導  1 目標  ・読む人に思いが伝わるように表現するやり方を考え、積極的に自         分の作文に取り入れていこうとする。        ・五感を働かせてメモに書き加え、様子や気持ちを詳しく書き表す         ことができる。  2 指導にあたって   自分の思いが読む人に伝わるように表現するために「したこと」「見たこと」  「話したこと」「聞いたこと」「思ったこと」などをメモにつけ加えて詳しく書  いていくことを再度意識づける。そのために、メモとメモを書き膨らませた作文  の一部を提示し、思いが伝わるようにするためになされている表現上の工夫に気  づかせる。そして、自分はどんなことに気をつけて書いていきたいのか考えさせ  たうえで、記述に入る。   学習のまとめとして、自分のめあてに向かって表現できたところに印をつけさ  せながら、作文を読み返させる。一時間の自分のがんばった点を確かめさせ、自  己評価させる。  3展開 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 前 時 の 学 習 内 容 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |◎作文の構成を考え、題名を決める。 | | ・1番書きたいことを念頭において、「初め」「中」「終わり」にどんなこ| | とを書くのか考える。 | | ・構成メモとして、ワークシートにまとめる。 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ |段階 学習活動 |教師の働きかけと予想される児童の反応 教師の支援・評価 +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | |1 本時の学習|課題 | | | | |+−−−−−−−−−+| | |つ| 課題をつかむ|| 読む人に自分の思|| | | | ||いが伝わるように詳|| | |か| ||しく書こう。 || | | | |+−−−−−−−−−+| | | | |○あなたは、何を友達に|・今までの学習をもとにして| |む| | 伝えたいのでしたか。| いよいよ作文を書いていく| | | | ・助けおにをして楽し| 時間を迎えたことを話し、| | | | かったことです。 | 自分が書き表したい思いは| | | | ・キノコをたくさん採| 何かを確かめさせ、書こう| | | | れてうれしかったこ| という気持ちをもたせる。| |5| | とです。 | | |分| | ・お父さんが病気にな| | | | | り心配したことです| | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | |2 思いを伝え|○自分の思いを伝えるた|・メモとそれをもとにして書| | | るための表現| めに、どんな工夫をし| いた参考作文を提示し、書| | | 上の工夫をと| ていますか。 | き膨らませ方や表現の工夫| | | らえる。 | ・聞こえてきた音から| について考えさせる。 | |学| | 書き始めています。|・表現の工夫を見つけること| | | | ・見たこと、聞いたこ| ができない場合には、「こ| | | | と、思ったことなど| の文は、目・鼻・耳・口・| | | | をメモにつけ加えて| 心のどれを使って書いてい| | | | います。 | ますか。」のように文をし| | | | ・様子がよくわかるよ| ぼり、具体的に問う。 | |ぶ| | うな言葉がつかわれ|・@五感を働かせて書いてい| | | | ています。 | ること | | | | | A書き出しを工夫している| | | | | こと | | | | | B擬態語のように様子を表| +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | | | | す言葉をつかっていること| | | | | の3つの工夫に、気づかせ| | | | | る。 | |学|3 自分のめあ|○これから作文を書いて|・参考作文から学び取らせた| | | てをもつ。 | いくときに、どんなこ| 3つの工夫の中で、特に自| | | | とに気をつけて書いて| 分は何を意識して書いてい| |ぶ| | いこうと思いますか。| くのか考えさせ、書く意欲| | | | ・見たことをたくさん| へとつなげたい。 | | | | 書くようにしたいで|+−−−−−−−−−−−+| | | | || 自分の思いを伝える書|| | | | す。 ||き表し方について進んで|| |15| | ・「 」をつかいたい||考え、取り入れていこう|| |分| | です。 ||としていたか。 || | | | ・書き出しを工夫した||(関心・意欲・態度) || | | | いです。 || −−−話し合い−−−|| | | | |+−−−−−−−−−−−+| +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | |4 メモを書き|○自分の思いが友達に伝|・「初め」「中」「終わり」| | | 膨らませて、| わるように作文を書き| と移るときに行を変え一字| | | 作文を書く。| ましょう。 | 下げていけば、段落のまと| | | | | まりがでてくることを確か| |つ| | | める。 | | | | |・本時は「中」の途中までを| | | | | めざして書くことを話す。| |く| | |・書き出しで、うまく言葉が| | | | | 出てこない子には、書き出| | | | | し文の例として | |る| | | ア、したことから | | | | | イ、話したこと、聞いたことから | | | | ウ、思ったこと、感じたことから | | | | エ、見たことから | | | | | オ、見つけたことから | | | | | などがあることを思い出さ| +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | | | | せ、個別指導する。そのと| |つ| | | き「ア、したことから」が最| | | | | も一般的であり、いつ、ど| |く| | | こで、だれと、何をしたか| | | | | 気負わず書き始めていくよ| |る| | | うに話す。 | | | | |+−−−−−−−−−−−+| | | | || 五感を働かせてメモに|| |20| | ||書き加え、作文を書くこ|| |分| | ||とができたか。 || | | | ||(技能) −−作文−−|| | | | |+−−−−−−−−−−−+| +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | |4 本時の学習|○自分の思いが伝わって|・本時書き上げた分を読み返| |ま| をふり返る。| くるでしょうか。自分| させ、態度・技能両面から| |と| | のめあてに向かってよ| がんばった自分を評価させ| |め| | く書けているなあと思| る。 | |る| | うところに線を引きな|・自分のめあてに向かってよ| | | | がら、読み返してみま| く書けたと思う所を数名に| | | | しょう。 | 紹介させたい。 | | |6 次時の学習|○明日は、作文を最後ま|・本時の学習への取り組み方| |5| 内容を知る。| で書き上げましょう。| で良かった点をほめ、次時| |分| | | は作文を終わりまで書くよ| | | | | う意欲をもたせて学習を終| | | | | える。 | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | 次 時 の 学 習 内 容 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |◎作文の後半を書く | | ・「読む人に楽しさが伝わるように書こう。」という前半を書くときと同じ| | めあてで書き、作文を終わりまで書き上げる。 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ +−−−−−−−−−−−−−−−+ |+−−−−−−−−−−−−+ | ||読む人に楽しさが伝わるよ| | ||うに書こう。 | | |+−−−−−−−−−−−−+ | |+−−−−−−−−−+ | ||参考作文A | | |+−−−−−−−−−+ | |+−−−−−−+ | ||参考作文B |書き出し | || |詳しく | || | | || | | |+−−−−−−+ | |+−−−−−−−−−−−−−+| ||書き出し文の例 || || @ || || A || || B || || C || || D || |+−−−−−−−−−−−−−+| +−−−−−−−−−−−−−−−+