印刷用紙:B5縦 1ページの行数:33 1行の文字数(半角で):78   −−以下 指導案本文−−   第5学年国語科学習指導案 日時 平成8年10月22日(火)  2校時 児童 5年2組 男15名 女18名 計33名               指導者 齊 藤  智 彦 1  単元名  調査したことを (光村5年下)     教材名     「みんなの読書生活」 2  単元について  5年生の作文指導の指導目標は、「主題や要旨のはっきりした文章を書く力」を育て ることにある。そのためには、次のような力を育てていかなければならない。  「主題や要旨を考えて事柄を選び、観点ごとに整理する力」  「主題や要旨が明確になる構成を考える力」  「段落相互の関係を考えて書く力」  「事象と感想、意見などとを区別して書く力」  「読み返して、記述の仕方について工夫する力」  本単元の指導においては、「事象と感想、意見などとを区別して書く力」を育てるこ とに重点を置く。  単元「調査したことを」は生活の中から興味ある課題を見つけだし、グループでテー マ・調査方法を話し合って、調査した結果を報告文にまとめる学習である。教材「みん なの読書生活」は、読書生活について調査し、その結果をもとに考察したことを報告し ている。身の回りには、研究したい事柄がいろいろと存在する。取り上げた話題につい てグループで調査し、まとめるということは児童にとって楽しい学習だと思われる。グ ループで工夫しながら調べたり、助け合ったりする場面が多くなると考えられる。  教科書教材には、グループの話し合いの仕方の例と児童の作文例が載っている。話し 合いの仕方の例では、研究をまとめるためにどんな内容について調査したらいいか、ま た、その調査をするためにはどんな方法がいいか、話し合っている場面が紹介されてい る。この例をもとに、取材の仕方について考えることができる。児童の作文例は、段落 構成がはっきりしており、分かりやすい。また、調べた結果、分かったこと、考えたこ とを区別して書いていることに着目させることにより、本単元の重点に迫ることができ る。  この教材は、この時期の子どもたちの興味・関心に応え、活動的な学習ができる教材 であり、単元のねらいから見ても適材である。  本単元は、一学期の作文単元「こんな学校ならいいな」、二学期の複合単元「みんな で考えよう」での意見文を書く学習の後に位置づけられている。前単元までは、主に「 主題や要旨が明確になる構成を考える力」を養ってきた。本単元では、今まで培ってき た力を生かして、調査したことを作文に表す報告文を書くことが主なねらいとなる。   3 児童の実態  児童はこれまでに、単元「毎日をより楽しく」で、初めて意見文を書く活動を経験し 、次の単元「みんなで考えよう」では、地球環境について資料で調べ、作文に書いた。 こうした作文学習を通して、意見文の書き方が少しずつつかめてきた。しかし、学校内 での調査活動が体験不足なため、結果について考えを深めたり、事象と感想、意見など とを区別することを自ら意識できる子は少ない。また、個人差もあり、原稿用紙を与え たときに鉛筆がなかなか進まない子や、原稿用紙の使い方や表記上のさまざまな約束事 等の理解がまだ不十分な子供も数名いる。  本学級では、日常指導において一言日記、日直作文を継続し、作文指導を続けている。 その活動を通して、毎日の出来事の中から心に残ったこと、考えたことなどをその子な りに書き続ける習慣がついてきた。だが、記述されている内容を見ていると、生活を振 り返って意見をもつ子はわずかで、その作文も事象に対しての感想にとどまっている。  こうした実態を踏まえ、今回の作文指導を通して事象、意見のそれぞれの書き表し方 を学び、事象と意見などとを区別して書く力を育てていく必要がある。 4  指導にあたって  指導にあたっては、次の四点に留意していく。 1 題材について  子供たちにとって調査することは興味のある活動である。どのような事柄をどのよう な方法で調査するかを考えることは、それだけで楽しいことである。  題材選択は個人ごとにさせ、同じ題材同士の子供が集まってグループを作るようにす る。グループは4、5人程度の組にする。  題材は、主に身近な学校生活や家庭生活の中から決めさせる。題材選択の際は、限ら れた時間と活動範囲の中で取り組める題材や、内容の広がりが見込める題材が望ましい ことを考慮に入れさせたい。 2 調査の仕方  調査方法の基本的なものとして、資料・アンケート・インタビューなどがあげられる。 これらの中から、自分の目的に合わせて調査方法を選択しなければならない。  調査する段階で子供たちに確認しておきたいことは、何の目的で調査するのか主題意 識をもち、調査や取材活動が有効に展開していくようにすることである。  資料は家にある資料だけではなく、学校の図書館、場合によっては地域の図書館など の施設を積極的に利用させ、適切な資料を見つける経験を積ませたい。書物をもとにし た信憑性の高い情報は、文末表現を断定の形にしてよいことを知らせる。 アンケート の対象はクラスの友達が中心となる。アンケートを記入する人にとって書きやすく、調 べる人にとってまとめやすいような形式を子供たちに提示し、スムーズに書けるように 配慮したい。 インタビューは、何をどのように聞き出すのかという意図をはっきりさせて、構想を 立ててから臨ませなければならない。 特に「質問事項を整理しておくこと。」「相手の話の内容を正確に聞くこと。」「で きるだけていねいな言葉遣いをすること。」に留意させる。 3 参考資料・参考作文について  報告文は、調査したことを分かりやすく相手に伝える文章である。分かりやすく相手 に伝えるためには、読む人が分かりやすいような文章構成にしなければならない。教科 書の作文例は、@グループ・個人テーマ、A調べた方法1、B調べて分かったこと、C 調べた方法2とその結果、Dさらに調べたこと、Eまとめ、のように構成され、記述が 明確である。作文例からは、文章構成をしっかりとつかませ、事実と感想・意見を区別 する文末表現の工夫を学習する。記述の際には子供たちの題材を考慮し、それに近い形 の参考作文を用意したい。そして、その参考作文を通して文末表現を想起させ、記述に 入りたいと考える。その中で自分の取材活動の広がりから、自分なりの工夫をする子供 も出てくるであろう。 4 評価について  学習課題を全体で把握した後、「つくる」の段階の前に個人ごとの重点目標を決めさ せる。それを、「まとめる」の段階で自己評価させたり、相互評価させたりする。単元 の最後の発表会では、作文を発表しあい、友達の作文の良さを認め合うようにさせたい。 5  指導目標 1関心・意欲・態度  ・生活の中から興味のある題材を見つけ、友達と協力して調べ、意欲的に報告文   を書こうとする。 2技能目標  ・要旨を考えて調査し、観点ごとに整理して報告文を書くことができる。   ・事象と感想、意見を区別して書き、相手によく分かる文章にまとめることがで   きる。 3言語事項  ・文と文との意味のつながりを考えながら、指示語や接続語を的確に使うことが   できる。 6  指導計画(全10時間) +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |段階 学習内容 | 時間 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |つ|◎作文を書く目的を明確にし、報告文を書く意欲をもつ。 | | |か| 1教材文を読み、学習のねらいを明確にし、学習の計画を立てる。 1 | |む| | | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ | |◎教科書の作文例をもとに、作文の書き方を知る。 | | |学| 1竹沢さんの作文を読み、調査の進め方、結果の書き表し方につ| 1 | | | いて学ぶ。 | | |ぶ| 2グループで話し合い、調査計画を立て、調査の準備をする。 | 1 | | | 3グループごとに調査する。 | 1 | +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ |つ|◎取材した結果をもとに作文を書く。 | | | | 1取材した結果を交流しあい、構成メモを作成する。 | 1 | |く| 2構成メモに付け加えをして、構成メモを完成させる。 | 1 | | | 3構成メモを生かして作文を書く。 | 2 | |る| (本時1/2) +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−+ | | | | |まと ◎発表会を行う。 | | +める− 1聞く人が分かりやすいように工夫して発表する。 −−−−−+−2−+                                    7  本時の指導 1 本時の目標  ・読み手に良く伝わる作文を書くための工夫を進んで考えようとする。  ・構成メモをもとにして、事象と感想・意見を区別して文章を書くことができる。2  指導にあたって  本時は、構成メモをもとに、報告文を書く時間である。参考作文を用意し、そこから 事象と感想・意見を区別して書くためにはどうすればよいのかに気づかせ、学習を進め ていきたい。  「学ぶ」の段階では、調査した結果を分かりやすく伝えるための表現の工夫が分かる ような参考作文を提示する。そして、「調査結果」と「感想・意見」に区別し、文末表 現を比較することで表現の工夫の仕方をつかませ、記述に入る。この時、一つ一つの調 査結果にそれぞれの感想や意見を付け加えていくと効果的であることにも触れたい。  「まとめる」の段階では、意欲的に作文を書くことができたか、事実と感想・意見を 区別して書くことができたかという二点について振り返らせ、自己評価を行いたい。 3−展開−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | +−−−−−−−−前−−時−−の−−学−−習−−内−−容−−−−−−−−−+ | | |◎構成メモに付け加えをし、構成メモを完成する。 | | ・グループで調査した結果を確かめ、考察する。 | | ・話し合ったことを参考にし、構成メモに付け加えをする。 | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | | | | | +段階 学習内容 −−+教師の働きかけと予想される児童の反応 教師の支援・評価 | | | | | |つ|1.学習内容を確|○今日は、構成メモをもと|・前時の成果を認め、意欲を| |か|認する。 |に作文を書きましょう。 |高めるような導入にする。 | | | |+−−−−−−−−−−−+ | |む| || | | | |2.本時の学習課|調べたことと分かったこと|・報告文とは、どんな文章な| | | |+−−−−−−−−−−−+ | | | | | | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ |3|題をつかむ。 |を区別して報告文を書こう|のか想起し、学習課題を導く。 |分| | | | | |3.参考作文をも|○報告文は「調べたこと」|・調査した結果を分かりやす| | |とに、記述の仕|と「分かったこと・考えた|く伝えるための表現の工夫が| | |方について学ぶ。 こと」が分けて書かれてい|分かるような参考作文を用意| | | |ます。「分かったこと・考|して考えさせる。 | | | |えたこと」だと思うところ| | |学| |に線を引きましょう。 | | | | | | | | | |○分かったことや、聞いて|・文末表現に気づかせ、事実| |ぶ| |分かったことは、どんな文 と感想・意見を区別して書く | | | |末表現になっていますか。 ことを確認させる。 || | | |・分かったことは〜という|| || |12| |ことです。 ||参考作文から進んで見つ|| | | |・〜分かりました。 |+けようとしたか。−−−+| |分| |・〜のではないかと思いま| (関心・意欲・態度) ―発表― | | |した。 | | | | |・〜そうです。 | | | |4,自分のめあて|○それぞれの文末表現が、 |・構想表を見て、どの表現が| | |をもつ。 |自分の作文のどこに生かせ|生かせそうか考えさせる。 | +−+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−+ | | |るか、考えましょう。 | | | | | | | | | | | | |つ|5,メモをもとに|○メモをもとにして、書き|・記述中の支援は最小限にし| | |作文を書く。 |方を自分なりに工夫しなが|て、自力で書き上げる時間と| |く| |ら作文を書きましょう。 なるようにする。 −−−−+| | | | || || |る| | || || | | | ||事実と感想・意見を区別|| |23| | |+して、作文を書くことが+| +分+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+−できたか。(技能)―作文―+ | | | | | | | | | | | |6,作文を読み返|○自分の作文を読み返し、|・自分の学習を振り返り、意| |ま|し、自己評価す|めあてが達成できたかどう|欲的に書くことができたか、| | |る。 |か、振り返ってみましょう。事実と意見を区別して書くこ| |と| | |とができたか、の二点につい| | | | |て自己評価させる。 | |め| | | | | |7,相互評価をす|○隣の人と作文を交換して|・友達の作文を読み、読んだ| |る|る。 |読み合い、感想を話してあ|感想を伝え合わせる。友達の| | | |げましょう。 |作文の良い点を中心に話させ| | | | |る。 | | | | | | | |8,次時の学習内|○次の時間は、作文の続き|・今日の学習で向上したとこ| | |容を知る。 |を書き、作文を完成させま|ろ、頑張っていたところを認| | | |しょう。 |め、次時への意欲を高めるよ| +7+−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+うにする。−−−−−−−−+ |分 | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 次時の学習内容 | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ ◎作文の続きを書き、完成させる。 +−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |+−−−−−−−−−−−−−+| || || |めあて || |+−−−−−−−−−−−−−+| | 調べたことと分かったことを | |区別して報告文を書こう。 | 《調べたこと》 | | ・〜分かりました。 | | ・〜ということでした。 | | ・〜そうです。 | 《分かったこと》 | | ・〜と思いました。 | | ・〜考えました。−−−−−+| |参考作文 || | | || | | || | | || | | || | | || | | || | | || | +−−−−−−−−−−−−+| | | +−−−−−−−−−−−−−−−+