印刷用紙:B4横 1ページの行数:40 1行の文字数(半角で):84   −−以下 指導案本文−−   第6学年国語科学習指導案 日 時 平成8年10月22日(木)2校時 児 童 6年1組男20名女17名計37名 指導者 佐賀 敏子 1.単元名 十二歳の記録(光村6年下)  教材名 今、わたしは、わたしたちは 2.単元について 6年生の作文指導の目標は、「目的や意図に応じた文章を書く力を育てる。」  ことである。そのためには、次のような作文の力を育てていかなければならない。 ・目的に応じて必要な事柄を集め、全体を見通してから書く力 ・目的に応じて文や文章の組み立ての効果を考えたり、文章全体の流れを考えた   りして書く力 ・根拠となる事象と感想、意見などとを区別して文章に書き表す力 ・自分の書いた文章を読み返し、効果的な叙述の仕方について工夫する力  本単元の指導においては,「目的(要旨のはっきりした文章)に応じて文や文  章の組み立ての効果を考えたり,文章全体の流れを考えたりして書く力」を育て  ることに重点をおく。   本単元は、自分が十二歳であることを自覚し,自分の生活ぶり・周りの人々と  のかかわり方,自然や社会に対する考え方を振り返って自分の考えが明確に伝わ  る文章を書くことや,内容や表現方法を工夫して記録する活動を行う。 「今、わたしは、わたしたちは」という標題から、「十二歳の自分を支えてい  ることばや宝物」,「自分の考え」「将来への夢や希望」など,子供達の内に秘  めたたくさんの思いや願いなどを表現する学習を通して,卒業までの日々を大切 に生きていこうとする心構えをつくることができる。 教科書における作品例として@今の自分の考えや心に残ること(作文)Aこの 1年間の行事や出来事(文とイラスト)Bみんなの好きな言葉とその思い出(イ ンタビュー)C未来の自分・夢の履歴書の創作D好きなものベストテン(アンケ ート)Eわたしの宝物(寄せ書き)が示されている。文章表現以外にイラスト・  表や図,寄せ書きなど題材や表現方法も多彩で,個人作品や共同作品と学習方法  も変化に富んでいる。また,卒業アルバム作りに取り組む時期でもあることから  本教材は子供達が自分の個性を生かしながら楽しく意欲的を持って表現活動に取  り組むことに適した教材と考える。 本単元は1学期で学習した「生活を見直して」で身近にある諸問題に目を向け  てきたことや小教材「さまざまな表現に目を向けて」でさまざまな表現方法を知  り,効果的に表現の工夫をする学習に直接関連している。また,説明文単元「み  んなで考えよう」に述べられている内容もこの作文単元で取り組む問題と共通点  がある。これらの学習を生かしながら,「今の自分を支えるさまざまなこと」を  振り返ったり,今の自分を考えたり,将来のことを想像したりしながら、要旨の  はっきりした文章を書くことが学習の中心となる。そして、卒業を目の前にし十  二歳の自分を意識して書くこの活動は単元「思い出をシナリオに」の学習に生か  されていくことになる。 3 児童の実態 児童は4月に「今年の作文計画」で1年間の作文学習に意欲を持つことができ た。以来,「生活を見直して」では生活意見文を、小単元「さまざまな表現に目 を向けて」ではこれまでに学習した文章や作品を違う形に書き直す学習を、そし て「みんなで考えようーわたしたちの生きる今」では文化に対する自分の考えを 文章に表す活動を経験してきている。また,日常指導の中では「わくわくスピー チ」の原稿作りや短作文の学習, 行事作文,新聞づくりなどを継続している。 これらの学習を通して,自分の好きな文種では,主題の明らかな文章を書こう と意欲的に学習するようになってきているが,相手意識や目的意識を持って構成  の仕方を工夫したり,文章表現を工夫したりできる児童は少ない。さらに,書い  た文章を読み返して効果的な表現になるよう練ることができる児童はほんのわず  かで,原稿用紙の使い方や表記上のきまりが身に付いていない児童や平仮名だけ  で2〜3行の作文がやっと書ける程度の児童も数名おり,個別指導を継続してき  ている。 文章表現に限らず,自己表現が消極的なため,自分の考えを明るく表現  できるよう,いろいろな表現活動を通して支援している。 4 指導にあたって 児童個々が興味・関心を持ち、意欲的に学習できるよう,次の点について指導 を工夫していきたい。 (1)単元のはじめに,作品の形や読み手を明確にする。   ・ 自分たちの記録をどう残すか,また誰に読んでもらいたいかをじっくり話     し合わせることにより,読み手意識を高め,学習の意欲化を図る。 (2)単元構成並びに題材を工夫する。   ・ 「卒業」を意識した単元の特性から,単元の学習を個人で取り組む「6年1     組・十二歳のぼく・わたし文集」づくりと学級全体で取り組む「6年1組     ・卒業壁新聞」づくりの2つに分ける。   ・ 文集のテーマを     ・今のぼく・わたしを支える言葉や宝物・ぼくの成長物語など    ・今,ぼく・わたしが考えていること、熱中していること,第3者になり     代わって自分を描くなりきり作文     ・ぼく・わたしの未来の姿 などから,自分の書きたいテーマを選択させ,題材を自由に考えさせる。   ・ 文集づくりでは自分の書きたいテーマに応じて文種を選択できるように,     「文種コース選択別学習」を取り入れる。 児童個々のテーマにしたがって、意見文・生活文・物語文・なりきり作文     ・説明文など,今までに学習してきた基本的な書き方に自分なりの工夫を     取り入れることにも挑戦させたい。 (3)学習形態を工夫する。 ・ 文集づくりでは文種別グループ(4人程度)に分かれ,書き方の工夫など     について意見を交換しながら学習させていく。 ・ 壁新聞づくりでは,生活班を基盤に全体で内容を分担し学習を進めていく。 (4)参考作文・参考資料の提示を工夫する。   ・ コース選択別学習を成立させるために,ワークシートを工夫する。     単元の学習が見通せるワークシートやコース別のワークシートを作成し,    目的に応じた文章表現がグループや個人でも取り組めるように工夫する。    どの文種にも生かせるような参考作文や参考資料などを提示し,全体で考     えたり練習したりする時間を設定することにより,基礎的な文章表現力を 高めていく。 (5)評価について ・内容面「読み手に自分の伝えたいことが伝わるような工夫」についてと意     欲面の2点からグループ内評価や自己評価を行い,学習の目標の意識化を 図っていく。相互評価ではお互いのいい点を探させることに重点を置く。 5 指導目標 (1)関心・意欲・態度    ・十二歳の今,自分が考えていることや思っていること,抱いている夢など     についてテーマや文種を選択し,読み手によく伝わるよう,意欲を持って     文や記録を書こうとする。 (2)技能目標    ・要旨や主題のはっきりした文章を書くことができる。    ・書こうとする文章の種類や目的に応じた構成の文章を書くことができる。    ・書いた文章を読み返して,効果的な表現になるよう,文章を練ることができる。 (3)言語事項    ・目的に応じて指示語や接続語、文末表現などを的確に使うことができる。                            6 指導計画(11時間) 段階       学    習    内     容         時間 +−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+ |つかむ ◎作文や記録を書く目的をつかみ、学習への関心を持つ。 | | +−+(1)教材文を読みどんな文集や記録を残したいか,話し合う。−−− 1−+ | | | | | |◎文集の内容・方法を工夫して記録に残す。 | | +−+(1)目的に応じた作文の書き方について学ぶ。−−−−−−−−−−+−+ | | ・教科書の作文例を読み,効果的な文章構成について考える。 1 | |学|(2)自分の作文のテーマや文種を決定し,教科書の作文例や参考作文| | | | などをもとに表現の工夫をしながら書く。 | | | | ・自分の作文のテーマ(題材)や文種を決定する。 1 | |ぶ| ・目的に応じた表現の工夫について考えながら,メモをとる。 1 | | | ・要旨や主題が伝わるように工夫しながら,構成メモを作る。 1本時 |・| ・要旨や主題が読み手によく伝わるように文章表現を工夫しなが 1 | | | 作文を書く。 | | |つ| ・推敲し,清書する。 1 | | | | | | |◎壁掲示として模造紙に張り出す内容を記録に残す。 | | |く+(1)班ごとに取り組む内容を決定、取材、表現の工夫をして記録する+ | | | ・記事内容が生きるように表現の工夫をする。 1 | |る| ・効果的なレイアウトの工夫をする。 1 | | | ・内容が工夫されたものになったか見直す。 | | | | | | まとめる ◎作品をまとめる。 | | +−+−−・文集に表紙をつけたり,壁面掲示の作品を仕上げたりする。−− 1−+ | | | | | | | | 7−+本時の指導−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−+ (1)本時の目標    ・自分の選択したコースの構成のしかたについて、すすんで学習しようとする。    ・読み手に要旨や主題がよく伝わるように工夫して構成メモをつくることができる。 (2)指導にあたって     本時は単元計画「学ぶ・つくる」段階の3時間目で構成メモづくりが学習活動の中    心となる。自分の作文の要旨や主題に関わる文章の最も中心となるメモをスペシャル    メモとし,「スペシャルメモを生かした作文の構成を工夫しよう」という学習課題の    もとに自分の文種に応じた構成のしかたをどうしたらよいか,自分のめあてをより具 体的にした上で意欲的に学習をすすめていきたい。そのために,本時の「学ぶ・つく る」段階では今まで学習した文種ごとの基本的な構成のしかたを取り上げ,文種によ    って構成のしかたが異なることや工夫する上での共通点を学ばせた後,全体の課題を    受けた自分の構成におけるめあてを明確にさせる。学習の形態として,文種ごとの4    人グループとしたい。グループでは,自分のテーマ(題材)や 自分の文章の要旨や主    題を何にするのか,どこを工夫するのかを知らせ合う。それぞれの文種グループに合    ったワークシートを使い,構成メモをつくる。指導者として,グループ・個人に合った    支援をしていきたい。    「まとめ」の段階での評価はグループごとに構成のしかたや意欲に関する相互評価や     自己評価を行わせ,学習のまとめとしたい。 (3)展開       前    時    の    学   習   内   容 +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |◎自分のテーマや自分の文種に合うことがらや内容についての取材メモをつくる。 | +−・文種別グループにかれ,文種に合った取材のしかたを学ぶ。−−−−−−−−−−−+ | ・自分の文章の主題や要旨につながる取材メモをつくる。 | | | |段階 学習内容 教師の働きかけと予想される     児 童 の 反 応 教師の支援・評価 +−+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | |1 本時の学|○前の時間で取材したことの中でどん ・自分が一番伝えたいこと | +−+−習内容を確+−なことを一番伝えたいですか。−−−+ を一人一人が明確にもて + |つ| 認する。 |・野球大会の思い出で「友達の励まし | るようにする。     | | | | が,ぼくの負けそうな心を勇気づけ | | | | | てくれた」ことを伝えたい。 | | | | |・自然破壊について思うことで「わた | | |か| | したちの気持ちの持ち方で地球の自 | | | | | 然を守っていける」ということを伝 | | | | | えたい。 | | | | |・ぼくの将来の姿で「Jリーグの選手 | | |む| | で活躍している様子」を物語で書き | | | | | たい。 ・文種によって構成が異な | |5| |○読み手に一番伝えたいことが伝わる | ることをおさえる。 | |分| | ように文章の構成を工夫していくこ | | | | | とが今日の学習です。 ・自分が読み手に一番伝え | | |2 学習のめ |めあて | たい事柄が書いてある取 | | | あてをつか | | 材メモを「スペシャルメ | | | む。 | スペシャルメモを生かした作文 | モ」とよぶことを確認す | | | | の構成のしかたを夫しよう。 −−+ | る。 | | | || | | | | | || | | | | | || | | | | |3 参考資料|○自分の伝えたいことが読み手に伝わ | | +学+−をもとに文+−るようにするにはどのように工夫し− ・生活文・説明文・意見文 + | | 種に応じた| たらよいでしょう。 | の基本的な構成のしかた | | | 構成のしか| | を確かめた後,参考例2 | |ぶ| たを考える| | で1つの文種を取り上げ | | | | | 取材メモの構成のしかた | | | | | の共通する工夫点につい | | | | | てまなび合う。 | |13| | | | |分| | | | | | |○どんな構成の仕方にするか,自分の | | | | | 今日のめあてを決めましょう。 ・見通しもたせ,学習意欲 | | | | ・ぼくは意見文なので,事実と意見 | を高めたい。      | | | | がはっきりわかるように構成する | | | | | ことをめあてにします。 | 自分なりの課題を持 | | | | ・わたしは生活文なので,中の部分 |+ち,工夫をして構成−+| | | | の材料の組み合わせを工夫します。 ||表をつくろうとして || | | | ・わたしは物語なので,現在→未来 ||いるか。(関心・意欲・態度) | | | →現在の構成にします。 || 発言 || | | | || || | |4 自分の文章 ○めあてに向かって構成表をつくりま ・前時に 取材したカードを | | | | |+−−−−−−−−−−+| +つ+ の構成表を +−しょう。−−−−−−−−−−−−−+ 取捨選択し,一番伝えた + | | つくる。 | | いことが書いてあるカー | | | | | ド(スペシャルカード) | |く| | | の位置をはっきりさせる | | | | ・机間巡視をし,グループ | | | | | や個人に合った支援をし | |る| | | たい。 | | | | ・構成表をつくり終わった | |20| | | ら,つなぎことばや文末 | |分| | | など,文章表現上の工夫 | | | | | を考えさせる。     | | | | | | | | | | | | | | | | | | | | 自分が伝えたいこと  | | | | | が読み手に伝わるよう +| | | | | に工夫できたか。(技能)| | | | || 構成表 || | | | || || | | | || || |ま|5 互いに読|○グループごとに読み合い,工夫して ・短時間でカードに評価さ+| +と+−み合い,評+−つくったところや学習態度について−+ せたい。        + |め| 価し合う。 | 評価し合いましょう。 | | | | る |○工夫のあった友達の構成のしかたを ・参考になる児童の表を簡 | |8| | 紹介しましょう。 | 単に分析し,よい工夫に | |分| | | ついて次時につなげる。 | | |6 次時の学|○次の時間は実際に作文を書きます。 | | | | 習内容を予| | | | | 告する。 | | | | | | | | | | | 次 時 の 学 習 内 容 | | +−+−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−+ | ◎作文を書く。 | +−・自分の作成した構成表にしたがって,表現のしかたを工夫しながら作文を書く。−−+ | | | | +−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+